6130.経済を回すのは、治療法確立か抑込み



新型コロナの全国的な感染爆発を起している。一方、企業決算では
大恐慌のようである。経済を回すにはどうしたらよいか検討しよう。
               津田より

0.米国および世界の状況
NYダウは、2月12日29,568ドルまで上昇して史上最高株価になった。
3月2日は26,703ドル、その後急落して3月23日18,591ドルまで下げて
、7月24日は26,469ドルになった。27日は114ドル高の26,584ドル、28
日は205ドル安の26,375ドル、29日は160ドル高の26,539ドル、30日は
225ドル安の26,313ドル、31日は114ドル高の26,428ドル。

NYダウは26,500ドル付近で膠着である。そして、1ドル=104円前半ま
でドル安が進行した。今後もユーロ高ドル安が続くようである。パウ
エル議長は、無限量的緩和と金利水準をゼロのまま当分行うというこ
とで、投資家や富裕層がドルから金や他通貨に逃げている。このため
、金は先物で1トロイオンス=2000ドルになっている。

しかし、ドル安による輸入物価の上昇によるインフレになると、FRB
が、インフレ対策を優先すると、財政出動も量的緩和もできなくな
る。このため、パウエル議長は金融緩和条件からインフレ条項をは
ずした。

そうすると、投資家や富裕層が益々ドルから逃げるので、ドル安が
進むことになる。このため、現役ファンドマネージャーの西山考四
郎氏は、70円までの円高もありえると言う。このため、ドル売りポ
ジションを当分続けるという。

円高阻止のGPIFのドル買いが入ることで、どこまで円高を阻止でき
るかが見物である。

新規失業申請件数は143万件で、先週より増えているし、世界のコロ
ナ感染者数の1700万人の1/4が米国であり、死者も15万人まで増えて
いる。情報通信や電子機器は順風、自動車や空運は逆風で、世界企
業の3社に1社が赤字転落している。また、ミシガン大消費者マイン
ド指数も7月は72.5になり、6年ぶりの低水準になっている。

その結果、4月ー6月で米国GDPは、年換算で-32%に落ち込んだ。ユー
ロ圏GDPも-40.3%となり、大幅なGDPの落ち込みになっている。日本
は民間予測でGDP-26%となっている。

世界的な大恐慌の様子が見えてきた。

1.日本の状況
日経平均株価は、2018年10月02日に24,448円でバブル崩壊後高値に
なり、2月21日は23,427円で、3月19日16,358円まで下げ、6月10日は
23,124円まで戻したが、7月22日は22,751円、27日は35円安の22,715
円、28日は58円安の22,657円、29日は260円安の22,397円、30日は57
円安の22,339円、31日は629円安の21,710円。

日経平均株価は、6日続落となり、22000円割れになった。この原因
は、104円前半の円高と、米国に比べて財政出動が不足している上に
、GOTOトラベルなどの景気刺激策による全国的なコロナ感染拡大で
しょうね。

その結果、東京、大阪、名古屋、沖縄などは、酒を出す飲食店に対
して、営業の自粛要請したことも影響している。

しかし、一番大きいのが、7月27日からの企業決算発表で、第1四半
期の赤字・減益は8割に上り、それに嫌気を差して売りが膨らんで、
600円以上の下げになった。特にハイテク分野の株価が上昇していた
が、アドバンテストの決算発表で、利益が前年より23%も減り、450
億円と発表したことで、値下がりが加速した。

円高と企業業績悪化のために、株価は新しい財政出動とコロナ感染
の有効的な対策などの政策が出てこないと、当分、下げ続けること
になる。このままでは、8月暴落説が実現してしまう。日銀のETF買
いで、暴落を止めることができるのか見物である。

2.ウイズコロナ時代の経済政策をどうするのか?
徐々に、コロナ感染症の重症化へのプロセスが分かり始めている。

50歳台から免疫細胞の内、T細胞が年と共に減少してくる。T細胞は
免疫の司令塔で、B細胞に抗体を作る指示を出す。この指令物質がイ
ンターフェロンβであり、このインターフェロンβが出ずに、B細胞
を活性化できず、このため、抗体が作られない。

よって、コロナウィルスは、大々的に繁殖する。そして、血管に潜
り込むと、血管細胞がSOSの伝達物質であるサイトカインを出す。こ
のサイトカインを多量に出すので、サイトカインストームが起きる。

そして、B細胞はT細胞からの指示がなく、抗体が作れないので、自
爆攻撃を行い、その自爆攻撃で血栓が作られ、それにより多臓器不
全を起こす。となるようだ。

このため50歳代から中等症や重症患者が出て、死亡率が65歳以上
では上がり、80歳以上では死亡率が50%にもなるのだ。

このため、50歳代からコロナ感染に気を付けて、65歳以上では十分
に気を付ける必要がある。

京大上久保教授の説では、既に日本人は弱毒のS型、K型のコロナに
感染して獲得免疫があり、抗体生成能力があるという説ですが、抗
体検査では、ほとんど抗体反応しない。これは抗体がなくなり、再
度、コロナウィルスが侵入すると、T細胞がB細胞に指令して抗体を
作り出すというものです。

しかし、T細胞の数が減って、そもそも伝達物質インターフェロンβ
がでないと、B細胞の活性化ができないので、重症化する可能性があ
る。

もう1つ、第1波で多くの高齢者が重症化したが、第1波時点でも上
久保説は有効であったはずで、そこで高齢者の死者や重症化した人
がいたということは、上久保教授の説でも、今後も高齢者は注意が
必要になる。

もう1つ、上久保説が正しいとして、中国人が来ない地方では、そ
もそも、弱毒なS・K型コロナに感染した人も少なかったはず。しか
し、そこは高齢者も多く、重症化リスクが大きい。その地域に、
GOTOトラベルで都市生活者を迎えることになる。

上久保説でも、S・K・G型に感染した都市と、過密を避けて旅行者が行
く、S・K・G型に感染しなかったであろう田舎の差も出てくる。今後、
東京などの都市より地方の方が重症者が出やすいことになる。

そして、第1四半期の企業決算を見ると、JR東日本が1500億円の赤字
JAL・ANAなども1000億円以上の赤字など、交通・観光系企業や飲食
業界やコンビニ業界、日産などの製造業も大幅な赤字となり、この
ままでは、日本経済は大恐慌となり、日本沈没になる。

現時点で休業者が600万人がいるので、今年の秋口には、失業者が、
200万人以上になる可能性も出てきた。この失業者をどうするのかと
いう議論もしないといけなくなる。

飲食業や交通・観光業は、成り立たないので、産業構造改革も必要
になる。観光業に依存した地方の企業倒産が増えて、地銀の破綻も
多くなる。この地銀再編も待ったなしになる。それと、地方では生
活ができずに、地方崩壊のスピードが上がることにもなる。

2007年のリーマン・ショック以上の経済危機が、日本や世界に押し
寄せることは確実である。

このため、経済危機を予測するニューヨーク大学のヌリエル・ルー
ビニ教授は、今年は「ホワイト・スワン」が来ると警告している。
予想された通りの世界的な危機が押し寄せると言うのだ。

よって、少なくとも日本の経済危機を小さくしたい。そのために、
GOTOトラベルを行う必要も分かる。65歳以上の退職者が、旅行の多
くを占める事も分かる。この人たちが旅行に出ないと、観光業が成
り立たないことも分かる。また、昼から飲める65歳以上の人に飲食
を自粛させることもできない。

しかし、この65歳以上の人たちは、重症化の危険性が高い。

このため、政府は、65歳以下の会社員をターゲットにした「ワーケ
ーション」を持ち出してきた。これは、この状況下では理解できる。
若い人たちは、飲食したり、旅行して日本経済を回すことが必要で
あるが、その若い人たちが、最初に失業してしまうことになる。

日本は能力主義ではないので、日本の大企業では中間管理職、中堅
幹部の多くが50歳以上で、上級幹部は65歳以上になっている。この
ため、経済的余裕があるのが50歳以上となる。若い人が始めるベン
チャー・小企業などは資金繰りが付かなくなり、休業倒産になる確
率が高い。

一方、7月31日に東京は463人の感染者が出ている。全国では中等症
&重症者の数も多くなってきた。ウイズコロナ時代の有効策が見つ
かっていない証拠でもある。

というように、コロナ感染拡大で経済回復の解決策がない。そのた
め、基本に戻るしかないようだ。

1つに、根本的な治療法の確立を急ぐべきである。
それに必要な重症化プロセスはわかり始めている。プロセスのどこ
かを直せばよいことになる。

一番良いのが、治った人の血液中の抗体を重症化した人やしそうな
人に注入する治療法である。これは米国での治験でも有効性が証明
されている。武田がその治療薬を治験している。早く承認すること
だ。

キューバの医師たちは、T細胞の指示物質インターフェロンβを持っ
て、イタリアに行って、コロナ感染拡大を静めたが、これが次の候
補となる。これも英国で治験中である。

最後に、日本の花王のVHH抗体が、コロナウィルスを的確に認識して
、無効化するというので、これも候補になりえる。これはまだ、治
験を開始していないが、常温での保管が可能であり、かつ大量生産
が可能である。非常に取り扱いが簡単だ。

そして、ワクチン6000万人分を来年6月に米製薬大手ファイザーから
供給されるが、ワクチン自体が3ケ月しか効力を発揮しないので、一
般人までワクチンが行き渡るのは、早くて2021年末でしょうね。

どちらにしても、65歳以上の人や基礎疾患を持つ人でT細胞が減少し
ている人たちの治療法を確立してほしいものである。

2つが、コロナウィルスの完全な抑え込みである。中国や韓国での
方法を参考にして、カラオケ店、飲食店、特にキャバレー、バーで
のクラスター発生店舗の店名を開示することだ。その店に行ったこ
とがある人たち全員のPCR検査、抗原検査を行う。

それと、感染者名は開示しないで感染者の行動を開示する必要もあ
る。それと感染者が多い地域全体でPCR検査をするしかない。感染者
の早期発見、早期隔離を行い、安心できる環境を作り、経済を回す
ことが必要だ。感染の心配があれば、65歳以上の人は行動できない。
今は憲法の制約ということで、中途半端な対応に終始している。

感染者の発生した店舗のピンポイントの対策を打ち、有効な感染防
止策をして、感染者が出ていない店舗の休業自粛はしないことであ
る。コロナ感染対策の中途半端な対応では経済が回らない。

経済を回そうとしたら、コロナ感染を心配しない「安全な環境」を
作るしかない。

このためには、公共の利益で私権の制限ができるという憲法の条文
を利用して、室内、車内のマスクの義務化や有効な感染防止策をし
ない店舗の休業・廃業命令、感染者の行動開示などができるように
するべきである。私権を制限する強い対策をするしかない。

3.「ホワイト・スワン」とは
「ブラック・スワン」は、予期せぬ危機のことであるが、現在、世
界が心配することは、「ホワイト・スワン」で現時点で危機が起こ
りそうだという予見事象が、本当に起ることだという。

米中対決でのアジア地域戦争、米イラン対決での中東地域戦争、気
候変動による大災害、世界的な大恐慌、米国の分断などで、予測で
きる事象が起こると、それだけで世界は混乱する。

この内、世界的な大恐慌は、現に起こっているが、大規模な経済対
策で、見えないようにしているだけである。これが今後、大企業の
倒産などで、明確に見えるようになる。

もう1つが、トランプ大統領の行動である。トランプ大統領は、自
分が不利であることから、11月の大統領選挙を延期すると言い始め
ている。コロナ感染拡大で、郵便での投票になると不正が蔓延り、
選挙結果を信用できなくなるという。しかし、大統領選挙を延期す
る権限は議会にあり、民主党も共和党の両議会ともに、延期させな
いので、大統領選挙は11月3日に今の所は行われる。

しかし、大統領選挙で負けても、トランプ大統領はホワイトハウス
に居直る可能性も出てきた。選挙自体が不正であり、選挙無効を言
い始める可能性である。米国の分断が明らかになる。

そして、ボルトン氏は、トランプ大統領が11月の大統領選で再選す
れば、対中強硬から一転して融和姿勢を示し、さらなる貿易合意を
模索する可能性があると指摘した。中国と米国は、今でも裏で交渉
をしている可能性があるようで、選挙向けの対中強硬ポーズの可能
性を指摘している。

ボストン中国総領事館閉鎖に対抗して、成都の米国総領事館閉鎖さ
せた後、米国は対抗処置をしていないし、ポンペオ国務長官は、口
では対中強硬策を言い、米国でのTikTokを使用禁止などのあまり中
国自体に影響がない対策はする。

しかし、中国への影響が強烈なドル取引停止などという手段を使わ
ないし、香港立法会選挙を延期したことで、ドル調達先の香港のペ
ッグ制の停止もしない。何か裏で交渉した可能性を感じる。

ということで、中国がトランプ大統領の当選を熱望するのも分かる
し、これのいいことは、アジア地域戦争を回避する可能性である。

聖書にアジア地域戦争が最終戦争と書いていないことで、福音派が
米中戦争を阻止するようである。トランプ大統領も熱烈な支持者の
意向を無視できない。

しかし、同盟国には厳しい。マーク・エスパー米国防長官は、トラ
ンプ大統領の決定に伴いドイツの駐留米軍を今年中に1万2000人削減
する計画を発表した。しかし、11月にトランプ大統領でなくなれば
、計画を中止する含みもあるようだ。

このほかにも、シリアにいるヒズボラが、イスラエルとの国境でイ
スラエル軍と交戦したが、撤退したという。イランの原子力発電所
の火災は、イスラエルのハッカー攻撃によるともいう。このように
中東でも火の手が上がる可能性がある。

また、トルコは、シリア領内のトルコ族を支援し、かつクルド人を
攻撃、ギリシャ領内に軍を派遣して資源調査したり、アヤ ソフィア
をモスクにしたり、リビアでは、トリポリ地域政府を支援して、ト
ルコ軍を派遣、支配地域拡大のための攻撃を仕掛けている。

この攻撃に対して、エジプト軍やロシア軍が東部軍を支援してトル
コに参戦する可能性がある。広範な中東地域にトルコ軍を派遣し始
めている。

中東では、トルコのエルドアン大統領が、コロナ感染拡大の国内の
不満を解消するために、中国と同じように、オスマントルコを再現
するような覇権主義を取り始めている。

ということで中東地域で、聖書にある大規模な戦争になる可能性を
感じる。

このように見てくると、2020年は、国内も世界もどちらも、最悪な
年になりそうである。

さあ、どうなりますか?


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