6129.新型コロナ感染再拡大



新型コロナ感染拡大で、全国的に新規感染者が増大している。この
今後の対応を検討しよう。   津田より

0.米国および世界の状況
NYダウは、2月12日29,568ドルまで上昇して史上最高株価になった。
3月2日は26,703ドル、その後急落して3月23日18,591ドルまで下げて
、7月17日は26,671ドルで、20日は8ドル高の26680ドル、21日は159
ドル高の26,840ドル、22日は165ドル高の27,005ドル、23日は353ド
ル安の26,652ドル、24日は182ドル安の26,469ドル。

NYダウは27,000ドルを越えたが、そこから下落。そして、ナスダッ
クは、7月21日の10,839ポイントで「かぶせ陰線」の高値圏のサインが
出て、7月24日10,363ポイントまで下落した。
そして、株安と共に一時、1ドル=105円台までドル安が進行した。
一方、金価格は上昇している。

下落の一番の原因は、両国領事館の閉鎖を要求した米中関係悪化だ。

その他にも、ハイテク株の利益確定売りが出てきて、ブラックロッ
クも企業内部関係者が株式を売却していると。このままでは8月暴落
となる。その上、コロナ感染拡大による店舗休業で、新規失業者申
請件数も141万6千件と先週の130万件より増加に転じている。

このことで、ムニューシン財務長官が動き始めた。コロナ再拡大を
理由に、米政府の財政出動で、8月以降も再度1兆ドルの特別給付を
行うようである。しかし、給付金は雇用された時の給与の7割という。
米民主党は、今まで通りの給与の2倍程度の給付を要求している。

ヨーロッパは、EU首脳会議が行われて、復興基金がまとまり、ユー
ロが上昇している。メルケル首相の指導力が発揮された。

1.日本の状況
日経平均株価は、2018年10月02日に24,448円でバブル崩壊後高値に
なり、2月21日は23,427円で、3月19日16,358円まで下げ、6月10日は
23,124円まで戻したが、7月17日は22,696円、20日は21円高の22,717
円、21日は166円高の22,884円、22日は132円安の22,751円、23日・
24日は休場。

日経平均株価は、23,000円が大きな節で、ここを抜けられないよう
である。その上に全国的なコロナ感染拡大と連休後、NYダウ下落を
受けて、下落の可能性が高い。

2.新型コロナ感染評価関数を定義するべき
コロナ感染しても、日本人は、知らぬ間に獲得免疫があるので、死
なないし広がらないから、経済活動を行うべきであるという評論家
や傾向分析だけで楽観論を言う若手評論家が出てきて、大きな影響
を与えている。

その影響でGOTOトラベルを前倒ししたようである。しかし、その考
え方を基盤にしたために、政策評価関数を定義していないようで、
分科会で医学者と経済学者の意見を調整する客観的な基盤が存在し
ないように見える。

現実を見ると、やはり感染拡大と共に、60歳以上への感染が広がり
、重症者が増えている。

基礎疾患を持つ人と60歳以上の人への感染を阻止して、経済活動を
行うことが必要であるが、この人たちに拡大して重症者が増えたら
、再度、GOTOトラベルを中止して、それでも拡大するなら緊急事態
宣言を出すべきである。その評価基準が見えない。

ということで、政府や分科会でベースとなる戦略的な論理ができて
いないように見える。

日本の実施している政策は、活動を活発化するダンスと活動を抑え
るハンマーの(ダンス&ハンマー)政策であると認識することが必
要である。

このため、ダンスをいつ初めて、ハンマーをいつ叩くかということ
が重要になる。このため、政策評価が重要なのである。

政策評価には、評価関数が必要になる。この評価関数は、コロナ感
染死者だけではなく広い関連分野全部での死者数である。

そして、死者数を最小限にすることが、このコロナ対策の政策キー
になっているはずだ。

死者数は、新型コロナでの死者と病院ひっ迫により治療できずに亡
くなった死者と、景気後退での自殺者であろうと見る。サブ関数が
対策出費総額となる。この出費総額はなるべく少なくしたい。対策
支出を少なくして、コロナ後の経済的な自由度を確保することであ
る。

この政策の終了は、治療方法が確立したときか、ワクチンが皆に打
てる状態になった時点となる。長くて2年と見る。この期間で、ど
れだけ死者を減らせるかが、政府を評価する基準となる戦いである
。他国と比較する戦いではない。

そして、この期間も短くすることである。コロナ・ワクチン1億人分
が2000億円でも、その期間が短縮するなら選択した方が安い。

新型コロナの死者を少なくするには、都市封鎖が有効であるが、反
対に景気後退による自殺者が出るので、経済活動をしないといけな
い。しかし、自殺者を減らす方法は、事業給付金や雇用者給付金と
いう手もある。

新型コロナの死亡者数は、重症者の半分と言われている。病院ひっ
迫での死者数も第1波で分かっているはず。重症者は病院に3ケ月い
て治るか死ぬかであることも分かっている。中等症患者も病院ひっ
迫になるので、中等症者数も重要になる。

これらから、やはり優先するのは、地域での中等症者数&重症者数
の限界値を作り、それに達したら、地域での都市封鎖、ロックダウ
ンを行い、それが、複数都市に広がったら、全国的な緊急事態宣言
を出すことである。

20代から40代までは免疫力が強いので、死なないので、死者数は増
えない。このため、経済活動をしてもらう必要がある。本当は、旅
行もして地方に金を落としてもらい、地方の旅館やホテルを潰さな
いようにしたい。これで対策支出を大きく減らせる。

しかし、地方には60歳以上の人が多くいるので、その人に感染する
と地方の医療体制は脆弱であり、すぐに中等症者数&重症者数の限
界値に来る。そしたら、旅行先として閉鎖する。その地域のホテル
には、事業継続給付金を出すことである。

県単位、町単位での中等症者数&重症者限界値を決めて、それに達
したら、GOTOトラベルを中止し、旅行者の受け入れを止めて、そし
て、病院がひっ迫したら、都市封鎖を行うことである。複数県が、
それに達したら、緊急事態宣言の再度の発出をすることである。

2年の間に、これを複数回、繰り返すと見た方が良い。その評価関数
と体制を早期に準備するべきである。

複数回の繰り返し規模を小さくするのは、感染者を出すクラスター
を丹念に潰し、営業停止命令を出さる法律体系を整えることである。

憲法に国民の安全のためには私権の制限ができるとあり、これを利
用して、営業停止できるようにしてほしいものである。また、クラ
スターの追跡をする保健所の体制も強化が必要である。

現状では、「夜の街」対策が不十分で感染を広げて、その上に「GOTO
」トラベルで、与論島のような医療体制の脆弱な地方に感染を広げて
しまったという結果になっている。結果論的にはGOTOトラベルは失敗
であり、緊急事態宣言を出す前に、即座に止めるべきである。

3.トランプ大統領は米中戦争に乗り出す
ポンペオ米国務長官は23日、対中国政策について、強権的な手法で
影響力を強める中国に「私たちが共産主義の中国を変えなければ、
彼らが私たちを変える」と警戒感を表明。行動を改めさせるため、
民主主義国家による新たな同盟を構築して対抗すべきだと訴えた。

さらに、国連や北大西洋条約機構(NATO)、主要7カ国(G7)、20カ
国・地域(G20)などの国際的な枠組みを列挙し「経済、外交、軍事
力を適切に組み合わせれば、脅威に十分対処できる」と述べた。

そして、「今週、我々はヒューストンの中国領事館を閉鎖した。ス
パイ活動と知的財産窃盗の拠点だったからだ。」と領事館閉鎖の理
由を述べている。

その対抗処置として、中国は、成都の米国領事館の閉鎖を要求した
ので、今後、米中が相手国の公館閉鎖要求を繰り返すことになりそ
うである。

事実、トランプ米大統領は、中国が対抗処置を取った場合、米国内
にある他の中国の在外公館の追加閉鎖も「いつでもあり得る」と言
う。

これらのことで、トランプ政権で、ポンペオ国務長官などの強硬派
が対中政策を掌握したことが明らかになった。今までは中国の米農
産物の買い入れやエネルギー買い入れのために対中強硬派ではなく
、ムニューシン財務長官などの対中穏健派が対中政策をリードして
きた。

しかし、トランプ米大統領は、新型コロナウイルスの感染拡大にお
ける中国の役割を理由に、中国との貿易合意の意味は私には「はる
かに薄れた」との認識を示した。

そして、英ジョンソン首相は「中国びいき」と言い、近年、親中路
線を歩んできたが、ファーウェイの5Gシステム向け設備の購入を禁
止するなど、米国に同調している。そして、中国が香港への国家安
全維持法を施行したことで、香港住民に英市民権付与し、英国への
移住を認めるとした。

このように、世界は、米国を取るか、中国を取るかの「二者択一の
世界」に巻き込まれている。

豪州政府は、新型コロナの発生源がどこかや、中国の感染初期の対
応について、客観的な調査を要求したが、中国は強く反発。中国は
、豪州産牛肉の輸入停止、豪州旅行自粛を自国民に通告した。

カナダは、米国の要請を受けて18年12月にファーウェイの孟晩舟副
会長兼最高財務責任者(CFO)を逮捕して以降、対中関係が悪化し
ている。

インドに対しては、中国はヒマラヤ地域での国境紛争で、インド兵
を殺して、インドは対中政策を大きく変化させて、中国製品の使用
を中止するとした。このインドと豪州で、豪印防衛協定を結ぶこと
になっている。

その中国は、インドの保護国であるブータン国境に軍を移動させて
、領土要求をして、依然、インドとの関係悪化を深めている。

日本に対しては、尖閣諸島は中国の領土であり、日本漁船の操業を
停止しろと要求してきた。

周辺諸国を含む米中対決により、英国は、太平洋に空母を派遣して
中国との対決に備える方向である。

しかし、中国対決の前面に立つのが、日本となる。ロシアが南下政
策で、その防波堤として日本と英国は日英同盟を結び、その後日露
戦争になったように、今後は、中国の南下政策に対して、英国と米
国は、日本と同盟関係を結び、台湾侵攻をする中国に対して、防波
堤の日本を巻き込んだ米英台日対中の戦争になる可能性がある。

中国習近平国家主席は、国際的に四面楚歌の状態になっても、国内
での失業者の不満があり、海外に突破口を開くしかない状況である。
一方、トランプ大統領も11月の大統領選挙で、コロナ対策の失敗な
どを受けて、支持率が低下して、再選が危ぶまれている。

どちらの指導者も、戦争手前まで緊急を高めて、国内の不満などを
愛国心に代えて、自分の地位を守りたいと思っているようだ。

事実、第4次コロナ経済対策と中国総領事館閉鎖要求した時のラス
ムッセン世論調査では、トランプ大統領の支持率と不支持率が49%vs
49%で拮抗と大幅に改善している。

このように支持率を上げようとして、チキンゲーム状態になり下手
をすると、米中戦争になってもおかしくない。日本にとっては、最
悪なことになる可能性もあり、身構える必要がありそうだ。

さあ、どうなりますか?


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