6128.米中対立の行方



香港への国家安全維持法の適用範囲が拡大して、民主勢力の行動を
全て押さえ込む方向で、とうとう、米国は本気に中国との対決を決
意した。今後を検討しよう。   津田より

0.米国および世界の状況
NYダウは、2月12日29,568ドルまで上昇して史上最高株価になった。
3月2日は26,703ドル、その後急落して3月23日18,591ドルまで下げて
、7月10日は26,075ドルで、13日は10ドル高の26,085ドル、14日は
556ドル高の26,642ドル、15日は227ドル高の26,870ドル、16日は135
ドル安の26,734ドル、17日は62ドル安の26,671ドル。

NYダウは26,700ドルを越えて、暴落直前の値を越えた。しかし、ナ
スダックは、7月13日の10,824ポイントから下落して10,503ポイントになっ
て、かつ「包み足」を形成して天井圏を知らせている。

ということで、ハイテク株の利益確定売りが出てきたようだ。この
ため、グロース株からバリュー株に目先買いが移っている。よって
、NYダウが上がり始めた。

FRBの量的緩和で景気が悪いのに、株高と言う歪な状況に対して、批
判が出てきて、これ以上の量的緩和は行いにくくなっている。この
ため、株価は高値圏で硬直状態になっている。

その上に、米中対決という世界経済を壊しかねない要素が出てきた
。しかし、それが出た時には、FRBが再度、量的緩和を行い資金を市
中にばら撒くという期待が生まれるので、株価が下がるより上がる
とも見ることもできる。

そして、FRBが市場介入で、株価は経済実態から大きく離れた状態が
続くことになる。しかし、この状況は、いつまで持続可能なのであ
ろうか?

一方、EU首脳会議が行われて、メルケル首相が推す復興基金が話し
合われたが、まとまらなかった。再度、EU首脳会議が近々に開かれ
ることになるが、ユーロ高の期待は一時的に保留となったようだ。

1.日本の状況
日経平均株価は、2018年10月02日に24,448円でバブル崩壊後高値に
なり、2月21日は23,427円で、3月19日16,358円まで下げ、6月10日は
23,124円まで戻したが、7月10日は22,290円で、13日は493円高の
22,784円、14日は197円安の22,587円、15日は358円高の22,945円、
16日は175円安の22,770円、17日は73円安の22,696円。

日経平均株価は、上海市場の急騰に影響されて、22,700円に上昇し
ているが、23,000円に大きな節があり、ここを抜けるのは大変のよ
うである。

2.トランプ大統領は再選するために対中強硬策へ
バイデン候補の経済政策は、トランプ大統領の経済政策より、強力
であり、インフラ投資に、トランプは1兆ドルで、バイデンは2兆ド
ルと言う。特別給付もトランプは8月以降止めて雇用を増やすために
雇用奨励金としたが、バイデンは8月以降も今の特別給付を続けると
した。このことで、世論調査すると、経済政策でもバイデンが優勢
となっている。

今までは、米国民は、バイデンよりトランプの方が経済政策だけは
上と見ていたが、これらにより逆転されたことになる。他の項目は
すべて、バイデン優勢で、経済だけがトランプ優位であったので、
これで、すべての項目でバイデン優位となってしまった。

特にコロナ再拡大で、南部州でもバイデンが優位になり、トランプ
大統領は、何か想定外の国民が喚起する政策をする必要になってい
た。

その上、前回述べた黒人ラップ歌手のカニエ・ウェスト氏は、大統
領選挙出馬を諦めたようであり、バイデンの黒人票を減らすことも
できないことになった。

バイデン氏の政策公約を見ると、対中政策が記載されていないし、
容中派のスーザン・ライス氏を副大統領にする方向と言うことで、
この中国政策を大統領選挙の最大争点化できると、トランプ大統領
は見て、これしか逆転できないと見たようだ。

この政策を「米国の中国に対する戦略的アプローチ(United States
 Strategic Approach to The People's Republic of China)」とい
う報告書で5月20日議会に提出した。これ以後、米国はまるで中国へ
宣戦布告をするかのように、ほぼ全領域にわたって中国への攻撃を開
始した。

一方、中国は、香港に対しての締め付けを強化して、民主派の予備
選は、国家安全維持法違反であり、民主派候補の立法会議員選挙へ
の立候補を認めないという。

これに対して、香港の自治を阻害する中国当局者に制裁を加える「
香港自治法」を米議会が下院6月30日、上院7月1日に通したが、トラ
ンプ大統領が署名するかどうかと前回に述べたが、対中政策を最大
争点化する必要から7月14日に署名した。しかし、これを推進する中
国政治家への制裁を当面しないとしたが、代わりに中国共産党員や
技術を盗む中国留学生の米国入国を認めない方向のようである。

「香港自治法」「香港人権法」に寄り、香港への優遇処置は停止し
て、香港へのドル・ペッグ制を阻止する可能性も出てきた。クドロ
ーNEC議長が7月8日、ペッグ制阻止を検討すると言ったが、直ぐにホ
ワイトハウスは否定した。この時、並行してトウモロコシの契約交
渉が進んでいたことで、否定したようである。

その後、中国へ輸出するトウモロコシの契約も終わり、米中貿易交
渉の第1弾合意の80%程度が実行されることになった。トランプ大
統領は、米中貿易交渉の第2弾交渉はないと言って、これ以上の中国
容認政策を続けないとした。

中国は、ドルと香港ドルのペッグ制を利用して、香港でドルを調達
していた。これにより、中国の銀行が香港経由で借りているドルは
、1兆2千億ドルレベルである。

しかし、香港の優遇制度、特にペッグ制を米国が止めると、ドル調
達ができなくなり、返済のためには、中国は米国債を大量に売って
、ドルを手に入れる必要になる。

人民元は、まだ国際通貨として流通していないので、ドルを調達し
て、「一帯一路」構築の海外での投資や石油輸入の決済をする必要
がある。

しかし、中国が大量の米国債を売る時には、米国債の金利が上昇す
る恐れがあるが、FRBは丸ごと買うことで金利を上げないようにする
ようだ。

そして、今後、中国はドルを手にいれることが難しくなる。中国経
済の円滑油がなくなり、中国経済は縮小する危険もある。このため
、世界の貿易量でトップの中国経済が縮小すると、世界経済も混乱
する。当然、世界の株価も下落することになる。これをドイツは心
配している。

このペッグ制廃止を米国は、いつ行うかであるが、9月6日の香港議
会選挙で、民主派候補が立候補できない事態だと見る。

もう1つが、7月13日、マイク・ポンペオ米国務長官は「世界は中国
が南シナ海を自らの海洋帝国として扱うのを認めない」とした上、
ハーグ仲裁裁判所の判決に「米国の立場を一致させる」と強調。こ
れまで米国は、同海域の領有権問題には関与せず、当事者による平
和的な解決を求めるとしていたが、これを変えた。その上、尖閣諸
島にも言及している。インド国境での紛争も追い打ちを掛けている。

7月15日には、ポンペオ米国務長官は、中国と領有権問題争いをする
フィリピンやベトナム、マレーシアなどを支援していくとした。始
めに、偵察用無人機を援助するとした。米国が本格的に南シナ海の
紛争に乗り出すようである。

セブンアイ諸国(英国、豪州、カナダ、ニュージーランド)や日本
、インドなども米国に同調する方向であり、中国の孤立化が鮮明に
なっている。英国は空母を派遣し、日米英の3ケ国で南シナ海で演習
を実施するという。その後も、英国空母は、この地域に滞在すると
いう。日米英豪対中になる。

EU諸国は中国を非難するが、米国に同調はしないようである。

その上、米国のウィリアム・バー司法長官は、ハリウッドの娯楽業
界やグーグルやアップルなどのIT大手が中国共産党との「協力にあ
まりにも前向き過ぎる」と語って、禁止する可能性を示唆した。

その上にファーウェイ、ZTE、ハイクビジョン、ハイテラなど中国ハ
イテク5社の製品を使う企業との取引を禁じる「国防権限法」を、米
国政府は8月に施行する。日本企業の800社超が調達戦略の修正を迫
られることになった。この中国製品を使った企業は、米国政府への
取引が禁止になるからだ。

これらを受けて、温厚な王毅外相は、米国を非難して、「マッカシ
ーシズムのパラノイア」と表現したが、中国も米国と全面的にぶつ
かるのは得策ではないと、強気の外交政策を変更するようである。

3.中国の変化
中国は「中国製造2025」や人材を呼び戻すプロジェクト「千人計画
」を宣伝しないことや、孔子学院を中外語言交流合作中心と名称変
更して政府色を抑えようとしている。

このように、中国の孤立化を招いている強硬的な外交である「戦狼
外交」の見直しを行うようである。

それと、ペッグ制廃止により、今までは、中国は対外経済に力点を
入れていたが、内需拡大を優先的することになる。ドルが調達でき
なくなると、一帯一路の対外投資ができなくなるので、その面から
も変更せざるを得ないようだ。

これには、もう1つとして、国内の不満が大きくなり、国内で特に田
舎の教育・環境整備を優先投資して、海外投資を抑える必要もある
からだ。やっと、田舎の貧困農民たちの生活整備に金を回すようで
ある。1960年代の日本と同じような国家均衡経済政策にへシフトす
る。

もう1つが、人民元決済システムの確立を急ぎ、ドルの決済システ
ムSWIFT(国際銀行間通信協会決済システム)が使用できなくなると
いう最悪の局面に備えるようだ。人民元を国際通貨として確立する
ために、中国国債を外貨準備として買ってもらうように親中国に進
めている。ドルから人民元に中国勢力圏では基軸通貨化したようで
ある。このため、人民元のデジタル化も併せて行う。

今後、米中の対決は益々激しくなる。米中経済のデカップリングも
、どんどん進んでいく。ファーウェイなどの中国ハイテクと関係の
ある日本企業も排除対象となる。

一方、中国は、米国との経済関係が切れても成り立つように、日本
や韓国、ASEANなどの企業の工場などが中国に留まるように優遇策
を出してくることになる。

4.日本の対応
特に11月までの大統領選挙期間中、トランプ大統領としては、対中
強硬政策を中心に米国民にアピールする必要があり、激しくなると
思われる。

日本も中国に着くか、米国に着くかの踏み絵を踏まされることにな
る。中国に進出している日本企業の利益を擁護する二階幹事長など
の自民党内の親中派の存在を、トランプ大統領は許さなくなる。

自民党の中で親中派排除が起きるし、米国でビジネスをする日本企
業も中国でのビジネスをすることができなくなる。トランプ大統領
と友達の安倍首相は、この方向で早く対処することである。

5.「GO TO」トラベルの行方
東京の新規感染者が増えている。しかし、重症者が日本全国でも86
人しかいない。中等症者もほとんどいない様であり、病院にいるの
は軽症者であり、本来なら、病院ではなくホテル等の施設に収容す
るべき人たちである。軽症者も中等症にもならずに回復している。

このため、PCR検査を増やせば、その分、新規感染者数は上がるが、
相談窓口に来る軽症者や濃厚接触者である無症状者が増えることに
なる。

よって、PCR検査を制限していた4月時点とは大きく違う。徐々に、
コロナウィルスの性格が分かり、コロナウィルスの低濃度環境を経
て、徐々に日本人の自然免疫力が上がり、ある程度のコロナウィル
スでは病状が出ないし、コロナウィルスが常在菌化しているように
思う。

感染者が増えると、その3週間後に重症者が増えると言われている
が、その基盤となるPCR検査要件が違うので、そうはならない。

しかし、免疫力が落ちている高齢者や基礎疾患のある人か、高濃度
のコロナウィルス環境で長期間滞在し自然免疫力を乗り越えて感染
し病状が出ても長く放置した人しか重症者にならないように思う。

このような条件を排除して、国民全員が当分、マスクをするなどを
励行すれば、それほどには心配する必要がないようだ。

薬としては、コロナから治った人のコロナ抗体を培養した血液製剤
の登場を待たれるが、この薬は、大きな効果が出ている。今後、大
量に製造可能なダチョウからのコロナ抗体製剤やワクチンの研究も
してほしいものである。これができれば、インフルエンザ流となる
と思う。

一方、地方のホテル・旅館が倒産寸前であり、観光客が来ないと夏
終わりには倒産する所が多数出てくる。この苦境で、旅行需要を喚
起する「GOTO」トラベルを、やる意味は理解する。

しかし、東京では293人/日と感染者拡大で、東京発着の旅行は対象
外になったが、週間で全国的に感染者が3倍になり、感染拡大をして
も経済活性化を優先した施策は、国民の理解を得られない。

しかし、8月以降、倒産や失業者がますます増えて、自殺者の方がコ
ロナ死者より多くなることが確実になってきた。その上に第2波が来
ている。

このため、病院がひっ迫する危険がある中等症者が増えてきたら、
「GOTO」トラベルを即座に中止する条件を付けて行うことで、国民
理解を得た方が良いと見る。そうしないと、秋に総選挙を行うこと
ができないし、もし、再度コロナでの死者数が増えたら、来年の任
期切れの総選挙でも自民党は、敗退しかねない。

そして、重症化する危険のある高齢者や基礎疾患のある人は、政府
も「GOTO」トラベル対象外として旅行させないで、三蜜を避け、食
事質と適度な運動などの免疫力を上げさせることである。

中等症になる確率が高いのも、高齢者であり、その層に危険がある
旅行を奨励するのは止めるべきだ。

最近、耳鳴りがひどく、直下型地震が来ないかと心配になっている。
悪い時には、悪いことが続くようだ。疫病、集中豪雨、冷夏、地震
、バッタ、食料不足、恐慌的不況、餓死者となれば、世も終わりで
あろうが、それに向かって、世界は突き進んでいるような気がする。

キリスト教では、最後の審判と認識されるのであろう。
仏教は、末法の世ですかね。

さあ、どうなりますか?



コラム目次に戻る
トップページに戻る