6124.未来は歴史の韻を踏む



中国はトランプ大統領の再選を望んでいる。トランプ大統領と習近
平国家主席は、ギブ・アンド・テイクの関係である。この状況を「
歴史は繰り返さないが韻を踏む」から検討したい。 津田より

0.米国および世界の状況
NYダウは、2月12日29,568ドルまで上昇して史上最高株価になった。
3月2日は26,703ドル、その後急落して3月23日18,591ドルまで下げて
、6月12日は25,605ドルであった。6月15日は157ドル高の25,763ドル
、16日は526ドル高の26,289ドル、17日は170ドル安の26,119ドル、
18日は39ドル安の26,080ドル、19日は208ドル安の25,871ドル.

FOMCで、ムードが変わり利食いモードになってしまっている。今週
は、新型コロナ感染第2波の可能性があったが、FRBパウエル議長が
社債の買い入れを実施するという説明と、トランプ大統領が1兆ドル
のインフラ整備を行うということで、週前半NYダウ株価は上昇した。

しかし、依然失業申請件数が151万件あり、利食いモードが継続した
。そして、その上にトランプ大統領が要求した経済活動を早期再開
した共和党知事州で、コロナ感染再拡大により、APPLEの店舗が閉鎖
された。このことで、週後半、株価が下がった。

現時点での政府債務は28兆ドルで3月時点では23兆ドルであったので
、5兆ドルを支出したことになる。また、FRBの資産は8.3兆ドルで、
3月20日時点では3.8兆ドルであったので、数か月で5兆ドルの資金を
市場に供給したことになる。要するに、政府の債務を肩代わりした
ということだ。この上にパウエル議長は、社債買い入れを行うとい
う。米国のGDPは20兆ドルであり、政府債務が対GDP比で100%を越え
ている。

そして、失業者への割増給付金は7月までであり、8月からは失業保
険給付しかなく、にわか投資家は、今まで投資した株を売って現金
化して生活することになり、8月は株価の大幅な暴落が予想できる。

しかし、コロナ感染拡大で外出禁止が長引くと、給付金を8月以降ま
で配ることになる。すると、暴落も遅れることになり、政府債務が
数兆ドル増えることになる。

1.日本の状況
日経平均株価は、2018年10月02日に24,448円でバブル崩壊後高値に
なり、2月21日は23,427円で、3月19日16,358円まで下げて、先々週
の6月10日は23,124円でその後、6月12日は22,305円と下落した。
6月15日は774円安の21,530円、16日は1051円高の22,582円、17日は
126円安の22,455円、18日は100円安の22,355円、19日は123円高の
22,476円。

新型コロナ感染第2波の可能性で下げたが、16日は大幅な上昇で、元
に戻した。しかし、北京や米国、南米などで感染者が増加している。
まだ、油断ができずに、株価は不安定になっている。

19日から首都圏から他県への旅行を解禁するというので、徐々に日
本は、ウイズコロナでの正常化が進むことになる。「GOTO」キャンペ
ーンも7月から開始する方向である。もう1つ、支援材料は、海外投
資家の売越し額が3.8兆円もあり、どこかで買い戻す必要がある。こ
のため、大きな下げの時に買いを入れると、買戻しが入り株価は戻
ることになる。上昇の可能性もある。

しかし、株の大魔神こと高山緑星氏によると、6月から7月上旬は、
21,500円程度の下げと御託宣。8月暴落と読む私より前に調整がある
とする高山氏の株価予測は、過去のパターンを研究して予測してい
るので、当たる確率が高いような気がする。このため、投資家の皆
様は注意が必要です。

2.トランプ取引外交で再選が苦しく
トランプ大統領は、中国の米農産品の輸入拡大する再選支援を中国
・習近平国家主席に依頼、その代わりに中国のウイグルでの強制収
容所問題の不問や香港問題も穏便に済ますこと、ファーウェイも制
限を緩和するなどと、2019年6月大阪のG20サミットで合意したと、
ボルトン前大統領補佐官の回顧録で述べられている。

今までの経緯から、この記述はあり得る。取引外交そのものだ。こ
のことが出たことで、対中強硬姿勢はまやかしであると思われたの
で、トランプ大統領は、ウイグル人権法案に署名せざるを得なくな
った。選挙後、米中の関係断絶をするとも言っているが、現時点は
、中国との関係を保つという。

そして、ポンペイオ米国務長官と中国外交担当トップの楊潔チ共産
党政治局員が17日、ハワイで会談した。米農産品輸入量を確保す
ることの代わりに、中国も同等の成果を要求した。もう1つ、大阪
サミットでの約束履行を迫ったようである。

このため、香港とコロナ問題で取引した可能性が高い。その証拠に
、ここ数日、中国非難をしなくなっているし、ファーウェイの制限
を緩和した。このことで、確実にトランプ再選には、大きな障害が
増えたことになる。

共和党と民主党の両党支持者はそろって対中関係では強硬であり、
親中的なトランプ大統領にビックリすることになる。

その上に、姪の回顧録も7月に出されるが、その中に家庭でのトラン
プ氏の横暴さが出るという。支持母体であるキリスト教福音派の理
想家庭の逆を行く姿に、福音派は支持を維持できるのであろうか?

もう1つ、トランプ大統領の再選の可能性があったのは、バイデン
氏の副大統領候補が、ウォール街に強硬なウォーレン女史と思われ
ていたことで、ウォール街はバイデン候補を嫌っていたからだ。

しかし、副大統領候補として穏健なカマラ・ハリス女史となりそう
で、ウォール街は歓迎している。バイデン氏の大統領当選に障害と
なる要素が1つ無くなっている。その分、トランプ大統領再選の目
がなくなったことになる。トランプ大統領が再選しないと暴落する
と言われていたが、それもなくなった。

しかし、市場関係者は、トランプ大統領の方が政策が明確で株価動
向を見極めやすいので、トランプ政権存続を望むと言う。

そして、中国・ロシアとしては、軍産学複合体が支援するバイデン
候補より、米軍嫌いで、欧州からもアジアからも中東からも軍撤退
を進めるトランプ大統領の方が覇権奪取には都合がよいと、トラン
プ再選を支援するようである。

3.朝鮮半島情勢と中印紛争
トランプ大統領は北朝鮮と韓国の問題についても、遠い国での話で
、米国は関わらないと述べている。韓国は在韓米軍の維持費交渉で
負担増を拒否した結果、米国を頼れなくなっている。また、韓国は
、日本との関係でも元慰安婦問題と強制労働問題で、悪化している
。中国は韓国と北朝鮮の問題には関与しない姿勢である。

というように、韓国の孤立化が明確になっている。このため、韓国
総合株価指数は、一時1566Pまで下げた。

北朝鮮は経済的な苦境にあり、韓国からの支援が必要で、このため
韓国を北朝鮮にすり寄らせるために、いつもの暴力団的な物言いが
始まった。文大統領は、北朝鮮融和であるので、人道支援を北朝鮮
に行うことで決着させる。朝鮮半島の紛争は、援助を要求する、い
つもの手と見てよい。

もう1つが、北朝鮮が大陸弾道弾ミサイル実験をして、米国が出て
いくかどうかで、トランプ大統領は再選と国内問題で手いっぱいで
あり、中国に振る可能性もある。こちらも大事にはならない。日本
は高みの見物でしょうね。

インドと中国のカシミール国境で、紛争があり両軍で40名近い死
者が出たようである。中国の強狼外交の一環であると思うが、イン
ドも反中陣営に追いやるようである。インドは、9月の米国のG7会
議に出席して、反中声明に合意することになる。しかし、今後、中
印紛争には注意が必要になる。

中国の孤立化が進んでいる。欧米日はG7外相会議で、香港への国家
安全法施行に対して、中国非難の声明を発表した。その上にインド
も欧米諸国サイドに行かせている。中国が期待できる味方は、ロシ
アだけになる。

4.「歴史は繰り返さないが韻を踏む」
人間の本質は、変わらないので、歴史は繰り返すというが、完全に
同じことが起きるわけではなく、同じような方向に行くということ
で韻を踏むという。

この観点から見ると、1914年から1918年の第1次世界大戦は、戦後の
冷戦で1991年のソ連崩壊で終結と見え、第1次大戦に負けたことを問
題視したナチスドイツのヒットラーは、冷戦に負けたことを問題視
するロシアのプーチンであり、1929年から始まる大恐慌が2020年か
らのコロナ恐慌と同相になる。

この恐慌で、貧富の差が大きく昭和恐慌での貧困層の不満から青年
将校たちによる2.26事件を起こし、満州国が生命線と騒いだ昔
の日本が、コロナ恐慌で6億人の農民工が不満を持ち、軍部が不穏な
動きをするので、その矛先を変えようと核心的利益と台湾や南シナ
海をいう今の中国が同相である。

李克強首相が、農民工の生活を安定させるとしたのは、軍部の青年
将校の不穏な動きを感じて、それに対応した行動でしょうね。昔の
日本から類推できる。

そして、今後、第2次世界大戦のような戦争が始まるような気がす
る。勿論、米ソ冷戦と同じような米中冷戦になると信じたいが、熱
戦の可能性もある。しかし、熱戦になると核戦争になる。

昔のドイツ・日本が今の中国・ロシアであり、昔の英国・米国が、
今の米国・日本になる。トランプ大統領は関税法などを制定したフ
ーバー大統領で、次の大統領が社会主義的なルーズベルト大統領と
なる。恐らく、サンバース氏を重要ポストで処遇して社会主義的政
策をする老齢なバイデン大統領になり、途中でトルーマン大統領に
なったが、今回もハリス大統領になる可能性もある。

もう1つが、コロナ恐慌で財政出動や量的緩和などで大量のドル紙
幣を刷る米国が、第1次大戦後のワイマール憲法下のドイツと同じ
ようなハイパーインフレになる危険性もある。今のコロナとの戦い
で、トランプ大統領の医学研究者の忠告を無視する米国は、負ける
ように感じる。

FRBは、社債を大量に買っているが、すべての危ない社債を買うと、
120兆ドルも必要で、米国のGDPの6倍以上の金をバラなくことになる。

大体、GDPの5倍程度がハイパーインフレになるかどうかも目安であ
り、それを大きく超えることになる。

当然、ドル基軸通貨制度も破壊されて、米国は超大国から大国に落
ちるし、世界覇権も失う。覇権の争奪戦が当分、続くことになる。

今後、当分は暗い時代になると覚悟した方が良い。

その時代でも日本にはチャンスがある。日本企業の豊富な資金力で
欧米企業の救済をして、世界企業になることができる。

5.日本はどうするのか?
コロナに寄り、デジタル化、オンライン化が遅れていたことを痛感
したはずである。マイナンバーのシステムも住民票とも連結せず、
不備があった。日本全体の国民を管理する統合的なシステムを作り
、電子政府を作ることが必要だ。

その電子政府ができることで、オンラインで住民票請求や住所変更
・修正届などがオンラインでできることが必要でしょうね。

この基礎の上に、いろいろなサービスが可能になる。

そろそろ、日本自体のデジタル化を進めて、デジタル社会への移行
を本格的に行い、AI化、自動化、無人工場などの次の社会への準備
をしておくことが必要だ。

AIにより、中間管理職が必要なくなり、資本家と会社の幹部、研究
開発要員や製品開発要員、企画担当要員など創造的な部門、営業要
員、それとロボットができない単純作業しか残らない。この構造に
するためには、どうすればできるかを考え、社会的な仕組みを今か
ら準備しておくことでしょうね。

社会インフラが道路ではなく、回線やインターネットになり、その
上に、全てをデジタル化して、AIで扱えるようにすることが重要に
なる。経理や納税などは人間の仕事からAIの仕事になる仕組みを作
ることだ。

このため、電子政府化も必要になる。AI同士で仕事をこなしていく
。人間の介在をさせない。このためには、デジタル通貨も必要にな
る。AIができることは、すべてAIに任せる。その環境を整備するこ
とだ。公共事業の中心は、現代の道路でもある社会のデジタル化整
備になる。

これにより、生産性を飛躍的に高められることになる。

未来会議では、この仕組みを作るためには、どのようなシステム連
携をしていく必要があるか議論することだ。

デジタル化・AI化で日本の新しい時代を作り、世界を引き込んでい
くことが必要である。もう、デジタルを拒もうとする人たちには、
御退場していただくしかない。

さあ、どうなりますか?


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