6120.米中対立本格化と日本の再生



中国の「国家安全法」の成立で、米中の覇権争いが本格的に始まる
。それで、日本のチャンスが到来している。その検討。津田より

0.米国および世界の状況
NYダウは、2月12日29,568ドルまで上昇して史上最高株価になった。
3月23日18,591ドルまで下げて、先先週5月22日は24,465ドルで、26
日は529ドル高の24,995ドル、27日は553ドル高の25,548ドル、28日
は147ドル安の25,400ドル、29日は17ドル安の25,383ドル。

ナスダック指数は一服して、出遅れ株が上昇したことで、NYダウの
上昇が目立った。コロナの感染者数と死者数が減り、経済再開期待
が目だったが、週後半に中国全人代で「国家安全法」の香港適用で
、米中対決ムードが出て下落したが、トランプ大統領の演説で、危
惧された米中貿易第一段階合意の見直し、制裁関税等、具体的措置に
は言及せずに中国への制裁にならずに、株価は維持した。

トランプ大統領は、再選に不利になる株価下落をさせずに、国内向
け中国叩きを行うという難しい舵取りすることになるが、それでは
、中国はほとんど傷つかないので、意味がない。

今の時期に強硬手段をとる中国の政策は、実に巧妙である。巧妙で
あるが、世界の中国に対する見方を激変させた。

しかし、米国には手がないことが明確化した。香港への特別優遇の
停止、WHOからの脱退、中国人留学生の制限などと、中国経済を直接
的に叩いていない。

その上に、無抵抗の黒人を警察官が殺したことで、黒人暴動がエス
カレートして、全米で、略奪が横行している。米国の衰退が、コロ
ナと大恐慌と黒人暴動の3つの苦難で一気に加速している。

黒人暴動と言う危機で、益々、トランプ大統領の再選が難しくなっ
ている。

1.日本の状況
日経平均株価は、2018年10月02日に24,448円でバブル崩壊後高値に
なり、3月23日18,591ドルまで下げて、先々週の5月22日は20,388円
で、25日は353円高の20,741円、26日は529円高の21,271円、27日は
148円高の21,419円、28日は497円高の21,916円、29日は38円安の
21,877円。

海外投資家の大量空売りの買戻しが出て、週で1500円も上がり、
22,000円近くまで回復する場面もあった。しかし、トランプ大統領
が、中国への対応を発表としたことで週末の株価は下落した。

空売りの踏み上げによる株価上昇は、上昇の最終局面でもある。6
月始めは調整になるが、トランプ大統領の対中制裁は空振りであり
、下落幅は少ない可能性もある。

2.中国対応の温度差
中国は「香港国家安全法」に寄り、香港の自由主義を止めて、中国
国内と同じ体制にすることを全人代で決定した。このため、民主主
義諸国から反発を招いている。

英国、米国、カナダ、豪州の4ケ国は、共同で対中非難声明を出し
たが、英国政府はG7とオーストラリア、韓国、インドの10か国の
民主主義国で「D10」のグループ結成を提唱し、5Gのインフラ
やその他先端技術における脱中国依存や技術開発のための連携強化
を目指すとした。

中国の先端技術を阻止するために、民主主義国家群が共同で技術開
発を行うとした。「脱中国」の動きが鮮明になって来たが、韓国は
中国市場の方が大きいので、躊躇している。

EU外相のボレル外交安全保障上級代表は、中国が「香港国家安全法
」の導入を決定したことについて、EUは「深く懸念している」と
述べ、EU外相理事会が対中戦略の厳格化で合意したことを明らか
にした。

日本は、中国の習近平国家主席の国賓来日を進めてきた関係で、香
港国家安全法に対しての態度が、欧米に比べると憂慮という生ぬる
い言葉である。

中国は、強硬な対応で反発を受けても、中央アジアや東南アジア、
ロシアなどの親中諸国との関係を強めていけば、勝てると見ている
はず。その上に、EU諸国の内でドイツとイタリア、スペイン、ギリ
シャなどを中国シンパにできるし、韓国も味方にできると見ている
。日本も可能性ありと思っている。

一方、米国は、現時点で中国からの輸入品がなくなると、米企業の
売上げが減り、また景気悪化時のインフレになるので、中国からの
輸入を止めることができない。第一段階合意の輸出も止まると大き
な痛手になる。米国経済は、中国と手を切れないことになっている。

このため、中国を叩きながら、中国との貿易関係を持続するという
ことになる。中途半端な状態の米中対決になる。

このため、徐々にサプライチェーンを中国から米国内や同盟国内に
移行することが必要になっている。しかし、もしバイデン大統領に
なったら、中国政策を変更するので、中国もバイデン候補の対中政
策を見てから、対応を取った方が得な状態になっている。まだ、そ
のバイデン候補の対中政策が、よくわからない。

中国国内では6億人の月収1.5万円以下の農民工がいると李国強首相
が言うように、多くの労働者は貧しい。この労働者が失業して、不
満も溜まっている。このはけ口で対外政策をしている。コロナ不況
で、20世紀的な対外政策を中国がすることで、世界は再度不安定に
なってきた。

3.新型コロナウィルスの世界の状況
アメリカのジョンズ・ホプキンス大学の日本時間31日午前6時半の時
点のまとめによると、新型コロナウイルスの感染が確認された人は
世界全体で600万3762人と600万人を超え、亡くなった人は36万7356
人となっている。

感染者の多い国は、アメリカで176万4671人、ブラジルが46万5166人
、ロシアが39万6575人、イギリスが27万4219人、スペインが23万9228
人、イタリアが23万2664人。

死者の多い国は、アメリカで10万3605人、イギリスが3万8458人、
イタリアが3万3340人、フランスが2万8717人、ブラジルが2万7878人
、スペインが2万7125人。

新型コロナ感染症では、共産主義のような独裁国か、国民全体が中
間層で、規則を守る国しか感染症を抑えられていない。アジア諸国
は、単一民族国家が多く、移民が少ない。シンガポールも当初、成
功したかに見えたが、移民が多く、移民の感染が拡大した。

日本は、東南・東アジアの中では、死亡率が高い方になっている。
欧米と比べると低く見えるが、アジア中では、政策失敗が確実に出
ている。

中国は、国家主導で外出禁止して、共産党の隣組みたいな組織で、
相互扶助をしていた。ベトナムも共産圏で同様な処置をしている。

欧米では、移民などの貧困層が多く、そこに感染が広がり、医療体
制が富裕層の物であり、貧困層が医療を受けられないことで、感染
拡大した。貧富の差があると感染症防止は難しいことが分かる。今
は、貧富の差があるブラジルに広がっている。

4.香港金融センター機能の移転先は
香港は、世界的な金融センターであり、金融取引規模も大きい。
世界金融センタートップ5は、上から順に、ニューヨーク、ロンド
ン、東京、上海、シンガポールで、6位に香港である。この香港の
金融センターがどこに移転するかで、順位が変わる。

グローバル化の見直しは、実体経済面では地産地消経済になるが、
金融取引という面では、グローバル化は一層進むことになる。この
時、どこが金融センターになるかが、都市の発展には欠かせない。

その香港の優遇処置を米国は停止するというので、香港の金融セン
ター機能は失われる。一部は上海に移るが、大きくはアジアのシン
ガポールと東京に移るしかない。台湾は、香港住民の移民を無条件
で受け入れるので、金融センター機能は台北に移るというが取引量
がないので、無理だと思う。

もし、多くが東京に移転すると、EUを離脱したロンドンを抜いて
東京が2位になることになる。金融センターになると、そこに金持
ちたちも移住してくる。

特に中東の金持ちたちがロンドンからどこに行くのかが気になるが
、パリやフランクフルトより東京の規模が大きいことで、東京に、
中東の王族が別荘を構えると、東京は大発展することになる。金持
ちが文化を作るので、日本の伝統工芸や高級品の重要な顧客になる。

もう1つ、欧米報道機関のアジア総局は、香港か北京になっている
が、これも東京に移転するはずであり、東京の重要性は増すことに
なる。

東京の方がコロナ感染症で死ぬ確率が低く、貧富の差がないことで
公衆衛生的にも優れ、犯罪率も少ないことで、欧州より条件が良い
となれば、東京を選択する。勿論、東京誘致の営業をしてください
よ、中東事情を知る小池知事。東京の優位性は、このコロナで確実
に上昇している。

米国はコロナにかかる人、死者は貧困層であり、その中心が黒人で
あり、黒人の死亡率が高い。フランスでも死者は、移民の貧困層で
あり、欧米では貧困層での死者が多い。しかし、東京では夜の街で
遊べる富裕階層の方が感染者が多く、死者も多い。日本だけ違う。

中東金持ち層は、メイドを雇うが、このメイドが病気を持つてくる
ことを心配する。その点、東京では夜の街で遊ぶ人たちであり、メ
イド層での感染は少ない。中東の人たちは夜の街にはいかないので
、感染リスクが低い。東京は、その面からも安全性が高い。

もう1つ、内部保留が430兆円もある日本の大企業は、コロナ・ショ
ックでは潰れない。日本企業が米国企業を助けるために買収するこ
とになるとも見ている。そうしないと、FRBが、いくら社債を買
っても企業の借金の重みが消えないので、倒産することになる。大
企業の倒産が続くと、NYダウはパニックになる。それも、あと数
か月後である。

ということで、東京が世界トップになる可能性もある。東京と上海
がトップ1位、2位になる日が近いような気もする。中国も近々、上
海市場を海外投資家に開放するというので、取引量は増えてくる。
そして、中国国営大企業は潰れない。

米欧企業は借金の重みで、倒産する可能性が高い。中国企業の買収
を避けるために、日本企業への売り込みを促進することになる。

多くの評論家は、米国が衰退した後、中国が覇権を取ることになる
と言っているが、その可能性は軍事力的には言えるが、経済的な覇
権は、取ることができない。民主主義的な雰囲気がない中国に、自
国企業を売ることはないと、欧米諸国は思い、日本を次の経済覇権
先にすることで合意することになる。

このため、日本は米欧サイドにいることが絶対に必要になっている
。米国と中国の2者対決では、日本と欧州は、中立的な位置に居れ
ばよいが、中国対米欧という対立では、日本は米欧に着くことであ
る。それが次の日本の生き残る方法である。

そして、「効率」より「安全」を優先した社会を作ることである。
そうして、日本だけではなく、世界経済を発展させて、安全への投
資を拡充するしかない。

さあ、どうなりますか?



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