6119.新型コロナから米中の覇権争いへ



米中の覇権争いが本格的に始まるようである。中国は、香港の自治
廃止や南シナ海の支配強化で、自国強国化優先で対応するが、米国
と同盟国も反中で一致した。新型コロナへの抑制で協調するべき時
に、米中に分裂することになる。その検討。    津田より

0.米国および世界の状況
NYダウは、2月12日29,568ドルまで上昇して史上最高株価になった。
3月23日18,591ドルまで下げて、先先週5月15日は23,685ドルで、18
日は911ドル高の24,594ドル、19日は390ドル安の24,206ドル、20日
は369ドル高の24,575ドル、21日は101ドル安の24,474ドル、22日は
8ドル安の24,465ドル。

ワクチン開発が進んだことで大幅高になったが、次の日はワクチン
の効果を疑問視されて、利益確定売りで下げたが、FRBの追加支援と
米経済回復期待が大きい。

トランプ大統領は、再選するためには、経済回復と対中強硬路線の
2つの相反する政策が必要になっている。一方、中国は全人代で香
港の一国二制度をなし崩し的に終了させることを狙って国家安全法
を施行するとした。トランプ大統領は、これに強硬に対決するとい
うので、米中の対立は激しくなり、週後半は株価が下落した。

1.日本の状況
日経平均株価は、2018年10月02日に24,448円でバブル崩壊後高値に
なり、3月23日18,591ドルまで下げて、先々週の5月15日は20,037円
で、18日は96円高の20,133円、19日299円高の20,433円、20日は161
円高の20,595円、21日は42円安の20,552円、22日は164円安の20,388
円

5月18日現在でEPSは576円になり、PERは36.5倍になってしまった。
しかし、21日には関西圏の緊急事態宣言解除になって、今週も自粛
緩和による経済回復期待で上昇相場が続いて、75日線も上向きにな
ってきた。しかし、中国全人代で香港へ国家安全法の施行というニ
ュースがあり、世界経済を下押しするという懸念が出て下げた。

マザーズ指数は、927ポイントと年初来高値になっている。ウイズ・
コロナ時代に適合した企業に買いが集まっているようだ。

2.原油価格上昇が必要
サウジの国家予算を維持するには、原油価格を80ドルまで上げない
といけないが、コロナショックで需要が激減して、供給過多になっ
たことが大きく、一時20ドル/B以下になってしまった。

このため、米国シェール生産を潰して、原油価格を元に戻すことを
サウジのムハンマド皇太子は画策して大成功になった。

シェール原油は、採掘コストが35ドル以上であり、米国シェールの
産出量は、日量1700万Bから12000万Bまで減少している。原油を産出
するリグ数は、1000基から250基まで急減した。採算が取れずに、新
しいリグを施工できない。このため、近々産出量も大きく減ること
になる。

シェール企業はトランプ支持であり、このため、ムハンマド皇太子
は、トランプ大統領の怒りを買ってしまった。

トランプ大統領は、サウジのムハンマド皇太子に電話して、原油増
産するなら、製油所を守っている米軍のパトリオット部隊を引き上
げ、かつサウジへの軍事支援も打ち切ると脅した。減産して原油価
格を45ドル以上にしろとトランプ大統領は要求したようである。

直ぐにムハンマド皇太子は、欧米への原油供給を停止して、WTI
原油価格を20ドル以上にした。

その後、ムハンマド皇太子は、6月に日量100万Bの減産を追加で行い
、その後もロシアと共同で、1000万Bの減産に乗り出して、原油価格
を45ドル近辺まで上げることにした。

このため、米国のシェール企業倒産などで排除できないので、長期
に原油価格が50ドル程度に低迷すると見て、ムハンマド皇太子は、
国家財政が苦しくなると、消費税率を2倍にしたが、それでも苦しそ
うである。国内の不満もたまっている。王国の危機が迫っている。

しかし、45ドルまで原油が戻らないときには、トランプ大統領は、
イランへの攻撃をして、ホルムズ海峡を封鎖することも考えている
。このため、イラン攻撃を行う調整をイスラエルとしているし、イ
ランには国連での制裁決議を目指すという。裏でイランとも調整し
ているはず。本格的な核戦争にはしない。

しかし、米国も都市封鎖を緩和する方向で、少しガソリン需要が戻っ
ている。米国の需要は日量500万Bを切る水準から750万Bまで戻したが
、平常時の950万Bには戻っていない。しかし、自動車での移動はソー
シャル・ディスタンスも取れるので、飛行機から長距離移動も自動車
になって、需要が増えてきて、クッシングの貯蔵タンクが空き始めた。

よって、WTI原油価格は34ドルと上昇している。このため、6月切
りの原油先物取引で、マイナス価格にはならなかった。マイナスに
再度なると見て、空売りした投資家が踏み上げられている。

もう少して、シェール企業が生き延びれる水準の価格になると見る
が、まだ安心はできない。テキサス州は、大統領選挙で激戦が予想
されるので、トランプ大統領としては、早く45ドルになることが必
要である。石油業界で働く人たちの支持が絶対に必要だからである。

しかし、米中対決ムードになり、原油価格は34ドルから31ドルに、
再度下落した。自粛解除と中国経済の復活の2つが、原油価格上昇
には必要であるが、どうなりますか?

3.米中対決が必要
新型コロナ感染が拡大する恐れがあるにも関わらず、経済活動再開
を急ぐトランプ大統領に対して、とうとう、オバマ前大統領が批判
し始めた。

民主党バイデン候補を応援するために、オバマ前大統領が参戦し始
めて、死亡者が多い黒人などに共感が出て、黒人の票が大量にバイ
デン候補に流れている。

白人の次に多い黒人票がバイデンに流れ、かつ南部のテキサス州な
どでヒスパニックが多くなり、それもバイデン候補に流れて、トラ
ンプ大統領の劣勢が明らかになり始めている。

バニー・サンダース元候補の若い支持者も失業が増える可能性があ
り、学費ローンの減免や国民保険拡大のバイデン候補を応援するよ
うである。

このため、トランプ大統領は、対中非難ツイートを多数発信して、
「中国は容易に疫病を回避できたのに、何もせず。誤った情報を流布
してバイデン候補を勝たせ、米国から法外なカネを騙し取ろうとし
ている。」と、かなり強烈に中国非難をしている。

それと、武漢ウィルス研究所への研究開発費援助をオバマ時代に行
ったことで、オバマ前大統領が新型コロナを広めたと強弁し始めて
いる。トランプ再選にとって、オバマ前大統領の批判が大きな痛手
であることが透けて見える。

しかし、バイデン候補は、マイクロソフトのビル・ゲイツ氏などの
IT業界の意向を受けて、容易には反中強硬政策に踏み出せないで
いる。

そのため、益々、トランプ大統領はバイデン候補に勝つためには、
反中強硬策を米国民にアピールして、票を積み増すしかないと直感
的に思っているようだ。トランプ大統領の直感は正しいことが多い。

ポンペイオ国務長官は、イスラエルに行ったが、イラン攻撃への調
整であるが、もう1つ、イスラエルから中国に先端技術部品が輸出
されているが、それを自粛するように依頼に行ったようである。

米国では中国企業のNY市場へのIPOを制限することと、今、上場され
ている中国企業への調査を行い、調査を拒否する企業の上場を廃止
する法案を上院の全員一致で可決した。国営企業排除の方向であり
、大企業の多くが国有化されているので、排除できると見ている。

一方、中国では、汚職取り締まりをした王岐山副国家主席や習近平
を推挙した宋平氏などが、習近平が進める党主行政従、国営企業重
視で民間企業弱体化の国進民退、官僚に対する恐怖政治などの政治
経済政策が問題であると、習近平国家主席が進める独裁強化の国家
政策に異議を唱えている。しかし、この2人は習近平氏の恩人でも
あり切れないし、2人を裏からサポートする官僚がいて、国内で官
僚などからの不満も大きい。

習近平権力集中体制が、地方の医師の警告を押しつぶしたことで、
新型コロナウィルスの拡大に繋がったと見ているが、その事実を、
習近平国家主席は、覆い隠そうとしている。欧米が要求するコロナ
発生調査についても、WHOでの多数決で決まったので受け入れるが、
多くの条件を付けて潰そうとしている。中国に原因はないと強弁す
るようである。

香港の「一国二制度」の自治も潰して、中国中央集権体制に組み入
れようとしている。台湾に関しても平和的統合という言葉を外して
、武力統合を暗示している。軍事費は6%増の16兆円であるが、関係
予算を含めると30兆円規模であり、米国に次ぐ軍事費になっている
。米国に代わって覇権国化する準備をしている。

コロナ収束の自信からと国内不平不満のはけ口とで、中国の強権体
質が出て欧米諸国に反中国の機運が出ている。

その機運に、米トランプ大統領も乗って、中国への対決姿勢を増し
ているのだ。そして、その強硬な政治姿勢しか、バイデン氏に勝て
ないと思っているからである。

中国は、逆に1930年代と同じようなコロナ大恐慌で米国の覇権は弱
くなり、中国の時代が来ると見て、ここは強権的な行動で覇権を握
れると見て行動している。

まるで、今の中国は、1930年から1940年代のナチス・ドイツを見て
いるような感じになっている。1936年のラインラントに進駐開始し
た当時のドイツと同じように南シナ海の占拠と香港の支配強化を開
始した。

次に1938年にはオーストリアを併合。9月にはチェコスロバキアに対
し、ズデーテン地方の割譲を要求した。

これと同じように、次に台湾を要求し、尖閣列島を要求してくるこ
とになる。このように歴史が進んでいく。どこかで戦争になる可能
性が出てくる。このような行動をしないように早期に、世界は中国
へ警告する必要がある。

しかし、昔の英国・チェンバレン首相が今のドイツ・メルケル首相
である。ドイツは、中国に妥協的になっている。それが逆に中国に
自信を付けさせることになる。

もし、今後も中国がナチスドイツと同じような行動するなら、世界
は協力一致して、中国を懲らしめるしかない。最終的に核戦争にな
り、おそらく、中国がなくなるか、日本、欧州、米国がなくなる。
ロシアは、中立でしょうから生き残る可能性もある。

若い時から座禅の時に見ていた最悪な状態に向けて、世界は進んで
いっている。長く、このコラムを見ていただいている人たちには、
分かってもらえると思うが、その状態を実現しないように、このコ
ラムを通じて、歯止めをしようとしてきた。

しかし、残念ながら、それができない近い将来の現実が見えてきた
ように感じる。中国海軍力は圧倒的な力を持つので、今の日本には
、中国を押しとどめる力はない。日米欧など多数の国が協力しない
と、中国の力を抑えることはできない。まるで、今の日本は、ナチ
スドイツに対抗した昔のフランスのようである。

4.新型コロナウィルスの世界の状況
アメリカのジョンズ・ホプキンス大学の日本時間の24日午前3時時点
の集計によると、新型コロナウイルスの感染が確認された人は、世
界全体で526万7452人、亡くなった人は33万9949人となった。

感染者の多い国は、アメリカで161万1691人、ロシアが33万5882人、
ブラジルが33万890人、イギリスが25万8504人、スペインが23万4824
人、イタリアが22万9327人。ロシアとブラジルの増加が著しい。今
後、南米に新型コロナ感染の中心地になりそうである。

死亡した人が多い国は、アメリカで9万6479人、イギリスが3万6757
人、イタリアが3万2735人、スペインが2万8628人、フランスが
2万8218人、ブラジルが2万1048人。

5.政権末期に
やっと、経済的な困窮者への給付の対応が出てきたが、そのスピー
ドが遅く、10万円給付でも6月になる可能性が出ている。フリーラン
ス労働者には、やっと第2次補正予算で対象となるようであるが、あ
まりにも遅い。コロナ後には、給付を迅速に進められるように、マ
イナンバー制度の普及を進めて、かつ自治体の住民票、銀行口座な
どとも紐づけすることが必要である。

国会審議では、検察官の定年延長法案の審議で、第2次補正予算審議
も遅れている。廃案にするくらいなら、最初から審議するべきでは
ない。

財務省と日銀が政策で一致させて、無利子の融資を中小企業に行う
と共同記者会見で述べたが、融資ではなく、有望中小企業へは資本
注入を行うべきである。ここでもスピードが重要である。

何か、安倍政権の対応が全般的におかしい。安倍首相が押していた
治療薬アビガンも効果がないと医師会トップに言われるほどであり
、何かがくるっている。私のアビガン承認を早くという提案に、著
名な評論家は、アビガンの効用に疑問と言っていたが、それが本当
のようである。

早く有効な治療薬を決めてほしいと思うが、現場の医師から効果な
しとなる薬を安倍首相が推すこと自体に情報管理がくるっているこ
とになる。著名な評論家も安倍首相に、疑問と言っていたのであろ
うか?

何をやっても何かがおかしいと国民も感じて、支持率が急速に低下
してきた。とうとう、安倍政権の末期的な症状が出ている。菅官房
長官を切った時点で、安倍政権は終わっていたが、それを無理して
継続して、国民にあきれられた危機管理政策を連発して、とうとう
、本当に末期的になっている。

どう、幕引きをするかが重要になってきた。そろそろ、次期総裁に
バトンを渡した方が良いと思うが、どうであろうか?

日本の体制をしっかりしないと、中国の脅威が迫っている。緊迫し
た世界情勢になる前に、早期に体制を一新する必要がある。

さあ、どうなりますか?



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