6116.世界大恐慌と米中冷戦になる



世界的な都市封鎖が解除になる方向が、日本は継続して緊急事態宣
言である。それに伴い、経済不況の深刻化が心配だ。救済政策の遅
さ甘さで、特に小企業の倒産や非正規社員の解雇が起き、生活がで
きなくなり、犯罪や自殺が増えることを心配する。死者の数は、新
型コロナ患者より多くなると予想できる。     津田より

0.米国株価
NYダウは、2月12日29,568ドルまで上昇して史上最高株価になった。
3月23日18,591ドルまで下げて、24日は23,775ドル、4月27日358ドル
高の24,133ドル、28日は32ドル安の24,101ドル、29日は532ドル高の
24,633ドル、30日は288ドル安の24,345ドル、5月1日は622ドル安の
23,723ドルとなった。

27日は、世界的な経済活動再開の動きで株価は上昇した。
28日は、欧米で経済活動が段階的に再開され、景気回復に向かうと
の期待から買いが先行。しかし、主力ハイテク株の利益確定売りで
引け間際に下げに転じた。

29日は、ギリアドの「レムデシビル」について、臨床試験(治験)
で主要な評価項目を満たしたとの発表で、経済活動の早期再開がで
きると株価が上昇した。しかし、1-3月の米国GDPは、マイナス4.8%
と大きく減少している。

30日は、新規失業保険申請件数が383万件と3月個人消費は前月7.5%
減と景気の先行きを懸念して株価は下げた。

5月1日は、米中対立が再燃することで、新型コロナの上に世界経済
を下押しするとの懸念で、株価は大幅に下落した。米ISM製造業
景況指数も41.5になり、1948年の統計開始以降で最も大幅に低下し
た。

長期の外出自粛が必要になり、経済活動は長期に止まり、大恐慌よ
り大変な不況になることが見えてきている。FRBの無限QEで、株価は
上がったが、実体経済を表していない。

今、原油価格の大幅な下落と株価の上昇という2つの相反する価格
動向にあるが、実体経済は原油価格に表れているので、株価は、そ
の内に実体経済にサヤ寄せするはずであり、いつか、大幅な下落が
起きると見ている。

その上に、トランプ大統領は、中国への制裁として、政府退職年金
基金の中国投資の禁止を検討ということで、冷戦に向かうことにな
る。米中のデカップリングが起きる。共和党議員は、中国留学生の
米国理系大学への入学を阻止するとも言っている。

新型コロナウィルス拡大での世界的な協力体制は無理で、米中のコ
ロナ冷戦になるようである。

よって、「セル・イン・メイ(5月に売り抜けろ)」で、大底が来る
可能性がある。

1.日本株価
日経平均株価は、2018年10月02日に24,448円でバブル崩壊後高値に
なり、3月19日16,358円まで下げて、4月24日は19,262円、27日は
521円高の19,783円、28日は12円安の19,771円、30日は422円高の
20,193円、5月1日は574円安の19,619円。

27日は、世界的な経済活動再開の動きで株価は上昇した。
28日は、原油安になったことと、PERが14.5倍になり、株価を下げた。
ドル円が円高方向で推移して、106円台に入った。

30日は、NYダウ上昇の影響で株価は上昇して2万円を回復した。出来
高は3兆円を越えた。安倍首相は緊急事態宣言を延期すると言ってい
るのに、株価は大幅な上昇となったが、半値戻しの20,318円には届
かなかった。

5月1日は、失業率が上がりNYダウが下げたことと、米中対立への懸
念で先物に売りが出て、日経平均も下げた。トランプ米大統領が、
政府退職年金基金の中国投資の禁止を検討となり、107円台になる。

日本企業の四半期決算が出てきて、上場企業の13.5%に当たる199社
の集計で、2020年1~3月期の純利益合計が前年同期比67.3%減とな
っている。そして、来期の業績も見通せない企業が多い。この状況
で、PERは割高の15倍以上になったようだ。

今後、5月末まで緊急事態宣言が延期されると、より多くの企業が倒
産や廃業することになる。外食産業では大手しか残らない可能性も
出てきた。数か月間緊急事態宣言が続くなら、家賃など固定費が重
荷となるので、飲食店を閉め、事後に再度、店を持った方が良いこ
とになりそうである。家賃やローンの支払いを凍結する処置をしな
いと、飲食店の多くが廃業せざるを得ない。

日本株のバフェット指標は、現在でも120%であり、割高の水準にあ
る。もう1つ、海外投資の売りが継続しているので、オイルマネー
の売り比率が高い可能性もある。

その上に米中貿易投資戦争、医療技術戦争など、多重の対決で、世
界はグローバル化から米中陣営に分かれる動きになる。そのため、
世界経済の一層の減速を警戒する動きも出ている。

2.米中の冷戦になる
米国のトランプ政権は、中国にあるウイルス研究所の査察を要求し
、中国に損害賠償を求める訴訟も各国で相次いでいる。

アメリカでは、ミズーリ州で数十億ドル、テキサス州で20兆ドル、
フロリダ州で6兆ドル、カルフォルニア州で8兆ドルなどの集団訴訟
が提起。イギリスは6.5兆ドル、イタリアは1,000億ユーロ、エジプ
トは10兆ドルなどで、フランス国際放送局RFIによると、米・英・豪
・伊・独・印・エジプト・ナイジェリアの8か国の政府や民間機関
が現時点で中国政府に賠償を求め、請求総額はなんと「100兆米ドル
(約1京1000兆円)」を突破し、中国のGDPの7年分に相当するという。

武漢ウイルス研究所については、4月14日付の米紙ワシントンポ
ストが「同所を訪問した米国の調査団は、2018年の公電で国務
省に危険性を警告していた」と報じ、大きな反響を呼んだ。

このコラムでは、「P0595.免疫機能無効化実験中のウィルスか」で
武漢ウィルス研究所から漏れたのではないかと疑問視したし、しか
し、論理的に見て生物兵器ではないとしていた。

再度、このテーマが浮上したことになる。日本の多くの方たちは、
当該コラムをフェイクとしていたが、米国が騒ぎ始めたので、誰も
フェイクとは言わなくなっている。

このため、米国など国際社会は、武漢ウィルス研究所へ国際的な要
員による調査を要求しているが、中国は拒否している。

しかし、米情報機関は、武漢ウィルス研究所の研究にテキサス大学
が援助していた関係で、武漢ウィルス研究所の関係者から経過を調
べて、このウィルスが生物兵器ではないと見ている。それでも、ト
ランプ大統領は武漢ウィルス研究所から実験途中のウィルスが漏れ
た責任があると見て、中国を追及するようである。

そして、トランプ大統領は、中国はウィルスで大統領再選の芽をつ
ぶそうとしていると言い、中国への制裁を検討するとした。中国の
持つ米国債を無効化する案も出たようであるが、クドローNEC委
員長は、あり得ないと否定したし、トランプ大統領も否定したので、
それはないようだ。

制裁の方法は、関税引き上げなどで検討中であるが、米同盟国への
賠償などでの同調も要請している。日本にも来るはずで、米同盟国
として同調することになるが、中国の近傍にあり難しいことになる。

トランプ大統領の行動は、主義や思想的な固い物がなく、中国との
話し合いで、いつ裏切るかわからないので、対応が難しい。11月に
バイデン氏が大統領になったときの対中政策も見る必要がある。厄
介な問題が出てきた。

また、WHOが中国寄りと批判されているが、トランプ政権のオブライ
エン大統領補佐官は、「WHOは中国に支配され、中国宣伝の道具にな
っている。中国が影響力を持つために、別に資金を支払ったのかど
うか、詳細に調査している」と、WHOも追及する構えだ。

どちらにしても、WHOに代わる医療国際機関を作り、米同盟国の連絡
事務所などの国際機関を作る可能性が出てきた。その機関で、中国
への賠償問題を協議することになる。徐々に米中二極体制に世界は
分裂することになる。米中の新冷戦になる。

まるで、人間が世界全体でバベルの塔を作るのに、神が怒こって言
葉をわからなくして地域に分けたのと同じようなことになってきた
。米中を含めたグローバル化という人間の行動に、神が怒りウィル
スをまき散らして、強固な国境を作り、人の移動をさせないように
したようだ。

・ロシアの行動
このような対中国への米国の動きに対して、ロシアの戦略としては
、中国と協力して、米欧中心の世界秩序を崩壊させるという点では
一致している。

しかし、同時にロシアは中国中心のブロックの一員というサブの立
場になることを望まない。しかし、現実的には、ロシアの経済・技
術・金融分野における中国への依存度が急速に高まっている。

ロシアは、新たな米中二極体制において中国陣営の一員にならず、
世界的な勢力均衡を維持するために、中国への依存度を低下させ、
欧州・インド・日本などの経済・金融大国との関係を発展させる方
向になると見る。どちらの味方もしない中立で、ロシアと日本は、
その意味で同じような状態になる。

・イランについて
イランによる武器の輸出入を禁じた国連安全保障理事会制裁が10月
に期限切れとなる。トランプ米政権は、禁輸措置を延長する新たな
安保理決議案を準備しているが、中国やロシアは反対するとみられ
、イランを巡る攻防が強まりそうだ。

このような米国の動きを見て、イランは4月22日、軍事衛星の打ち上
げて成功させ、米国を標的にする核搭載の大陸弾道ミサイルを作る
ことができると牽制した。しかし、まだできてはいない。

このため、原油価格の下落で、米国は国内シェール業者が倒産の際
にあり、一方、湾岸付近ではイランと米国の軍艦同士の接近で、戦
闘に突入する危険性もある。

戦闘入りで、米海兵隊がイランの海軍基地などを攻撃して、イラン
はホルムズ海峡封鎖することも考えられる。この航路を止めると、
原油価格は大幅な上昇となり、シェール企業が潤うことになる。ハ
イイールド債の下落も止まり、CLO債も安定化する。CLO債を多く持
つ銀行を抱える日本にとってもよいことである。

そして、米国が黙認するとイラン原油も売れるので、両国にとって
利益があることになる。

トランプ大統領の行動は、主義や思想的な物がなく、目先優先で、
今は再選優先であり、何が起こるか推測できない。よって、イラン
と米国が結託することも考えられる。これしか、シェール企業を助
けることができない。サウジは大変なことになるが、トランプ大統
領の目先の損得には関係ない。

3.新型コロナウィルスの世界の状況
アメリカのジョンズ・ホプキンス大学のまとめによりますと、世界
全体の新型コロナウイルスの感染者の数は、日本時間の1日午前3
時の時点で、324万7648人となった。

感染者数を国別にみますと、アメリカが105万3036人、スペインが23
万9639人、イタリアが20万5463人、イギリスが17万2478人、フラン
スが16万6628人など。

また、世界全体で死亡した人の数は23万804人で、アメリカが6万1717
人、イタリアが2万7967人、イギリスが2万6771人、スペインが2万4543
人、フランスが2万4087人など。

PCR検査を大量に行って、感染者を隔離したことで、感染拡大はピー
クを越えてきた。このため、世界的に都市封鎖が解除の方向になっ
ている。

しかし、冬場にかけて、ウィルス感染拡大の第2波が来る可能性が
高いので、警戒は解いていない。入国制限は依然継続することにな
る。

4.日本の状況
国内では1日、新たに265人の新型コロナウイルス感染が確認された。
累計は1万4553人となった。死者は29人増え、計499人となった。

緊急事態宣言が継続となったが、ピークは過ぎたが、まだ安心できる
状態ではないということのようである。しかし、いつまで続くのかで
ある。緊急事態の出口を決める必要がある。

1つには、検査が簡単にできること。2つには治療薬ができること、
3つに軽症患者でもすぐに隔離できることであろう。3は実現できて
いる。

治療薬では、新薬であり有効性が30%しかない「レムデシビル」が認
可されるのに、なぜ日本の「アビガン」が認可されないかと言うと
、この認可でも日本は、平時の仕組みで認可しないからだ。

一方、米国は有事の対応で特別認可としている。加藤厚労相の官僚
主義が、有事には一番問題であり、担当大臣を変えるべきだと思う。
もし、技系官僚が反対するなら、その官僚を首にするぐらいの覚悟
で政治家は主張しないと駄目である。

米国で特別認可された「レムデシビル」を認可するなら、同じ基準
(有効性30%)で「アビガン」を特別認可するべきである。もしだめ
なら、新型コロナウィルス感染症は、新インフルエンザ感染症と言
い換えて、この感染症の治療薬として使用できるようにするべきで
ある。

もう1つが、15分で検査ができる検査キットを導入して、検査時間
を短くして、風邪症状の人にはすぐに検査して、陽性なら隔離して
「アビガン」を処方できるようにする。検査精度は、風邪症状があ
れば、あまり問題ではない。

検体採取の要員が足りないなら、検査技師や看護師への研修で資格
を与えて、検査要員を確保するべきだ。有事であるので、何事も特
別処置でするしかない。日本のやっていることは、平時モードのよ
うな気がする。検査液が足りないなら、輸入するべきである。有事
であり、実現する上で障害があれば、それを特例処置で取り除くこ
とである。

この体制ができたら、出口とするべきである。韓国はこの体制をい
ち早く築き、ロックダウンをしないで平常生活に戻っている。この
ようになったら、緊急事態宣言を解き、平常モードにすることであ
る。今は体制ができていないので、その間だけ、緊急事態宣言を出
すということにする。

早くしないと、新型コロナで死ぬ人より経済困窮で死ぬ人の方が数
倍も多くなる。

さあ、どうなりますか?



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