6114.新型コロナ解決後の経済は



世界的な都市封鎖が解除になる方向で、新型コロナウィルスの第1
波は、ピークを越えようとしている。次に感染症の戦いの中、どう
日本を立て直すかの検討が必要になる。     津田より

0.米国株価
NYダウは、2月12日29,568ドルまで上昇して史上最高株価になった。
4月9日は23,719ドルで、4月13日は328ドル安の23,390ドル、14日は
558ドル高の23,949ドル、15日は445ドル安の23,504ドル、16日は33
ドル高の23,537ドル、17日は704ドル高の24,242ドル。

ドル円は、106円-108円で安定。13日20年3月期の企業決算が悪い内
容になると懸念されて株価は下落した。もう1つが、970万B/日の
協調減産で合意したが、石油需要の急激な落ち込みから不十分との
見方が出て、原油価格も18ドル台になっている。

14日は、トランプ大統領が早期の経済活動再開するとしたので、米
国の感染ピークは過ぎたと市場が好感し株価は上昇した。

3月23日18,591ドルと新型コロナ騒動前の2月21日28,992ドルの半値
は23,781ドルで、14日23,949ドルで騒動前の半値戻しになっている。
半値戻しは全値戻しと囃す市場関係者も出て、市場は強気の雰囲気
である。

15日は、FRBの経済統計が出て、過去最悪の指標が並んだ。3月鉱工
業生産指数は103.7で5.4%低下で1946年以来の大幅な下落、NY州連銀
の4月製造業景況感指数はマイナス78.2%で過去最悪の数値である。NY原
油も20ドル割れになる。

また、米金融大手の1~3月期決算では、融資先の経営破綻などに備
えて計上する貸倒引当金が急増したことで、銀行株が大幅な下落を
した。FRBは、米銀に21兆円の資本増強を要求した。

16日は、失業者申請件数が525万件であり、3月からの累計で2200万
人の失業者が出でいる。4月の失業率は、7.3%であるが、このままだ
と失業率が22%にもなる。リーマンショック時の失業率が10.2%であ
るから、いかに大きいかが分かる。

このため、前半は大幅な下げであったが、トランプ大統領の経済再
開の重要発表で、株価は急速に戻し小幅反発となった。

17日は、コロナ治療薬ギリアドの臨床試験良好で株価は上昇した。
3月10日以来の約5週間ぶりの高値水準になった。

トランプ大統領の経済再開プログラムは、3段階で進めるとして、
第一段階、レストラン、ジム条件付き再開するが、バーは除く。10人ま
で集会も可。第二段階、学校再開。不要不急の旅行可。バーもOKで50
人まで集会も可。大リーグなどスポーツも、無観客試合なら解除も示
唆した。三段階が全てOKという。これを州知事が決定するという。

中国の1-3月期のGDPは、マイナス6.8%となり、初のマイナス成長を
記録した。IMFも1930年以来の大恐慌になると警告している。

しかし、FRBの無限QEで、市場は冷静である。恐らく、米GDPもマイ
ナス25%-30%程度になるはずだし、それに伴い企業の業績も悪くなる
ので、株価は期待から失望になる可能性もある。

このため、株価が現在も近い将来の経済も表していない。株価が表
すのは、金余りの期待感でしかない。

1.日本株価
日経平均株価は、2018年10月02日に24,448円でバブル崩壊後高値に
なり、先々週末10日19,498円、4月13日は455円安の19,043円、14日
は595円高の19,638円、15日は88円安の19,550円、16日は259円安の
19,290円、17日は607円高の19,897円。

13日は、連日の1200億円日銀ETF買いがなかったことで、失望売りに
なった。出来高が1兆6千億円と非常に少なかった。14日は、NYダウ
先物が強く、トランプ大統領の経済活動再開の発言で一層上昇した。

15日は、経済再開に米感染症研究所のファウチ所長が疑念を表明し
たことと原油先物が20ドルまで下落したことで、株価も下落した。

16日は、米国経済統計でNYダウ下落し、日経も下落した。SBGの大幅
赤字により、PERも14倍台になり割高になってきた。毎日赤字になる
企業が増えるので、PERは今後、大幅に倍率を上げることになる。

17日は、コロナ治療薬ギリアドの臨床試験良好の報道とトランプ大
統領の経済再開プログラム発表で時間外でNYダウ先物が急騰して、
それに引きずられて日経平均も株価が大幅な上昇をした。緊急事態
宣言を全国に拡大するという材料は無視された。

今週は、新型コロナウィルスより、日本市場なのに、米国の楽観的
な見方が支配したような感じで、株価は上昇した。普通は株高円安
になるはずが、ドル円は、107-108円で動かない。

しかし、日本は、一人10万円の給付となり、真水が4兆円から14兆円
と膨らみ、日銀の国債買取を増やして対応することになるが、不景
気のインフレになるよう気がする。

特に食料品の値上げに注意が必要になる。米国の肉加工工場が操業
できない事態になっているというし、小麦の輸出を禁止する国も出
てきている。

2.原油の協調減産について
今週は原油価格が下落している。世界の原油生産量は1億B/日で、米
国とロシア、サウジの3ケ国で世界の生産の4割を生産している。需
要も今までは1億B/日あり、バランスが取れていた。OPECは、今年の
世界全体の石油需要を前年比で日量685万B(6.9%)減の日量9282万B
と見込んだ。このため、OPECプラスは、970万B/日の原油生産の協調
減産とするが、生産量の1割である。

米国が最大で1400万Bを生産しているが、コストが35ドル/Bであるの
で原油価格が20ドルでは採算割れになり、原油生産量が40%程度も落
ちている。シェール会社の採掘リグ数が3-4割程度落ちて、米国の原
油生産は1000-800万B程度。

新型コロナウィルスで経済が落ち込み、特に車と飛行機の需要が大
きく落ちている。このため、日量6.9%削減どころではなく、需要は
40%程度落ちると言われている。3月で2900万バレル/日の需要減少で
、この時点でも3割減だ。

現時点での減産規模は米国とOPECで、最大1600万B/日であり、需要
の減少分4000万B/日に届かないことで、今後も供給の方が需要より
大きく、原油は下がる方向になる。事実、17日には、中国の第1・
四半期国内総生産(GDP)のマイナス成長で嫌気して18ドルに下
落した。

このため、トランプ大統領は、米国のシェールオイルが全滅すると
いう危機感を持っているので、追加の減産を提案して、2000万B/日
にすると述べているが、コストの高い米国シェール企業の採掘は全
部なくなるはず。カナダのサンドオイル、ベネズエラの重油なども
コストが高いので、採掘できないことになるはず。

ロシアとサウジは、追加の協調減産を行う用意があるとしたが、何
もしないで、コストの高い原油生産を潰すことで減産するという可
能性もある。

このため、サウジやUAEなどは、オイルマネーで世界の株を買ってい
たが、それを取り崩すことになるし、その他の産油国で経済崩壊す
る国も出て、世界的な混乱を起こす可能性もあるし、社会の崩壊で
アルカイダやISが息を吹き返す可能性もある。

それと、原油の需要量が、世界経済の体温を表すので、この原油価
格の動向は、世界経済を見る上でも重要である。株価は経済の現状
を表さなくなり、原油価格で見るしかないようである。

3.新型コロナウィルスの世界の状況
米ジョンズ・ホプキンス大学の日本時間18日未明、世界の死者が
15万人を超えた。3日に5万人、11日に10万人を上回ったばかりで
、約1週間に5万人のペースで増加。最も多い米国(約3万5000人)
にイタリア(約2万3000人)、スペイン(約2万人)が続いている。

 一方、世界の感染者は累計221万人を超え、最多の米国が約69万人
で約3分の1を占める。AFP通信の集計によれば、欧州は合計で
約110万人と、全体の半数に相当する規模だ。

全般的には、欧米の鎮静化から少し流行が収まってきている。しか
し、新興国や途上国での感染が始まり、南半球が秋から冬に向かい
、これから流行のピークになる危険性もある。新興国や途上国では
、先進国のような国民への一時給付のような政策ができないので、
社会封鎖などをすると、国民の餓死や暴動の可能性もでてくる。

感染が拡大している欧米日など先進国も自国民の救済が先であり、
途上国の救済には限界がある。中国だけが復活して、世界の救済を
一手に行う可能性があり、途上国と新興国の希望は中国と言うこと
になる。

ブラジルのような新興国は、感染拡大と経済活動のバランスが難し
く、地方と中央の意見が相違して、政権が不安定になっている。軍
のクーデターの可能性も言われている。

早く、ワクチンや治療薬が出てくることが待たれる状態である。

4.日本の状況と方向は
公明党が自民党との連立解消を言い出したことで、無条件一人10
万円給付を安倍首相も了承し、財務省は補正予算の組み換えとなっ
た。

その理由として、全国的に感染が拡大していることで、緊急事態宣
言を日本全国に拡大するとした。

東京の国立国際医療センターによると、PCR検査での陽性率が当初5%
程度であったが、直近は20%程度に急拡大しているという。NHKでは、
直近50%になっていると。ということで、感染爆発を起こしかけない
ほど、感染が広がっているようだ。

17日も東京で201人の感染が確認された。PCR検査を強化しているこ
とで、感染者が増えている側面もあるが、隔離する施設の拡充が必
要になっている。

日本全体でも感染者9297人、死亡者190人で、新規感染者数が増加し
て、それに伴ない死亡者数も増えてきている。死亡者数の増加は、
感染増加から遅れるので、今後益々増加することになる。

東京の増加では、特に新宿区、杉並区、世田谷区、港区など夜の街
に行ける高収入の人たちと夜の街の従業員に多くの感染者がいると
いう。

この高収入な人たちは、出張も多く、全国の街で感染を広げたよう
である。このため、東京以外でも感染が広がっている。俳優の石田
純一氏などは、感染していたのに沖縄に東京から行っていた。

今まで、感染拡大を有効的な方法で止めることができていない。緊
急事態宣言でも東京都と政府の意見が違い、飲食店の開店が認めら
れているし、自粛要請を無視して一部のパチンコ店も開業している。

もう少し、強制的な閉店や外出禁止令ができるような法体系が必要
なのかもしれない。そして、感染ルート不明の感染者が多いので、
満員電車での感染も心配になっている。

感染拡大により、東京都医師会は、都内47ケ所にPCR検査所を設けて
、一般病院で医師が見て、必要ならPCR検査所を紹介するという。保
健所経由から町医師経由になった。これは大きな前進である。

しかし、一般病院で新型コロナの患者を診察することになり、町医
者が感染してしまう可能性がある。近くのかかりつけ内科の先生も
完全防備の姿で対応している。

徐々に、医師が必要と認める人へのPCR検査ができるようになり、次
には、治療薬である。

有望な治療薬のアビガンについて、開発した白木公康富大名誉教授
は、「発症6日までにアビガン治療を開始すれば死亡率が激減する
」と述べている。

また、安倍晋三首相も16日、抗インフルエンザ薬「アビガン」に
ついて、安全性に十分留意した上で、使用を拡大するとした。

アビガンが有効な期間は、新型コロナウィルスが増殖する時であり
、この時期を逃すと効果がない。重症患者には効果がない。何を意
味するか、早期発見、早期治療と言うことになる。

今までは、発症後4日くらい様子を見てから保健所に連絡し、指定病
院の医師の診断を受け、順番を待ってPCR検査でしたが、これでは発
症後6日以降になる可能性が高いことになり、アビガンの効果がない
ことになる。

様子を見ないで、熱がある風邪症状なら、すぐに町医師の診断を受
けて、PCR検査をして、陽性であれば、アビガンを投与することであ
る。本当は、町医者でPCR検査もできて、直ぐにアビガンを処方する
のが良いので、一刻も早く阪大ベンチャーの簡易検査キットを利用
するべきである。もう1つの問題が偽陽性患者がいることだ。

しかし、アビガンはRNAウィルスには効果があるので、どのような
RNAウィルスでも効果がある。インフルエンザなどにも、早期にアビ
ガンを投与しても大丈夫である。症状がある感染者は、これで隔離
でき、かつ、隔離期間が短くできることになる。

医療崩壊は、感染爆発した場合、隔離している人の数も問題になる。
このため、医療崩壊を防ぐのは、重症者を出さないこと、隔離者の
数を減らすことと、感染拡大を阻止することである。

残すは、妊婦や子供の欲しい若い男女などであり、この人たちには
アビガンを投与できない。軽症者には、イベルメクチン、シクレソ
ニドなどの投与では、どうであろうか?

発見が遅れた重症者は、ギリアドのレムデシビルでしょうね。早期
に承認されるので、米国が承認したら、日本も直ぐに承認すること
である。しかし、アビガンに比べて、副作用が大きいことと値段が
高いことが問題だ。

最後に、どうやって無症状感染者を見つけるかであるが、これは今
までの濃厚接触者のPCR検査しかない。そのため、感染ルートを追う
ことも必要である。しかし、今の大都市の保健所の人員では無理が
ある。

このため、感染爆発や医療崩壊の危険性が無くなったら、抗体検査
をして、抗体がない人達にPCR検査をして陽性であれば、CTで肺炎が
ないかを確認した方が良いように思う。勿論、アビガン投与しても
よいはず。

今は、風邪症状であれば、早期にPCR検査を受けて、軽症の間に、ア
ビガンを若者でも高齢者でも、できる限り多くの人に投与すること
である。

もう1つが、今回の感染症で増加させた病床を削減しないで、有事
に使えるように、国は保持費を払ってでも、病院に保持させておく
ことである。それが日本の大きな安全・安心の武器になり、魅力に
なる。

5.都市格差、国格差で東京に期待
東京とその他地域では、中小企業への休業補償の差が大きい。東京
は税収も多く、財政が黒字であり、今までに貯めた資金もあり、保
証が広範囲に及ぶ。芸術家にも保証をするということで、これでは
、コロナ後、東京への一極集中が進むことになりそうである。

前回も述べた通り、米中の対決が激化して、メインランド対リムラ
ンドの対決が鮮明化する。中国は新興国、途上国に対して広く援助
をするが、米国は、米軍を新興国や途上国から撤退させて、米国一
国主義になる。国際的な援助もしなくなる。

米国は、先進国Gの一員でしかなくなる。多様性を拒否して、国内
優先になり、移民もできにくくなる。反対に日本は、海外工場を日
本に戻し、その代わりに移民を多数入れないと、工場労働者が足り
なくなる。

日米の役割が逆転する。日本は国民皆保険制度が完備しているし、
貧富の差がないこと、移民に対する差別もないようにして、世界か
ら広範な人を企業が雇い、地産地消経済を構築することになる。

もう1つ、大企業がベンチャーを助けて多様化をしていくことであ
る。このベンチャーに有能な外国人を多数入れて、そこに大企業が
投資して、イノベーションを起こすことだ。

有能な外国人を社員にしないことで、安定性はないが社員より給与
はよくできる。勿論、そこでの言語は英語でよい。東京の標準語は
、日本語と英語になっていく。それが国際都市の条件である。

よって、世界でも東京への集中が起きる可能性が高い。手厚い保証
と医療アクセスの良さが重要である。有能な人だけを対象とした医
療が、いかに脆弱かは、NY州の現状を見るとわかる。感染防止に
は、国民全員の医療水準が高くないといけない。

もう1つが、日本文化での人との接触が少ないこと、小まめに清掃
を行うこと、靴を脱ぐ文化などが感染予防に有効そうである。東京
には、この魅力もある。命を大切にする文化があるということだ。

今の時代、人間は自然から大きな脅威を受けている。21世紀前後
、グローバル化したことで、世界的な感染症での危機が多発してい
る。この感染症に対する備えを十分に行う必要になっている。

世界的なサプライチャーンでは、感染症が流行すると、国境を越え
られなくなり、工場が止まるリスクが大きくなる。ということで、
いかに脆弱かが分かった。

このため、今後は一国内でのサプライチャーン化が必要になる。地
産地消経済が主流になる。日本でも日本で危機時に消費する分は、
日本国内で一貫して作る必要になる。工場は完全な自動化が出来つ
つあり、労働コストより、危機コストの方が大きくなるし、危機時
の損害が大きく、それを減損する必要になっている。

ホワイトカラーの仕事はAI化できるので、会社の正規社員の仕事
は、イノベーションや新製品などの企画になる。しかし、工場自動
化でも梱包や倉庫、物流やコンビニなどのブルーカラーの仕事は、
当分残ることになる。ここに人員が必要であり、人員不足が起きる
ことになる。この不足人員を海外に求めるしかない。

自由世界での中心地は、米国NYから東京に移行することになりそう
である。独裁国と新興国、途上国と一部の欧州諸国の中心は、中国
北京になる。2つの世界に分かれる。

自由世界は、今の先進国だけの狭い世界になる。その狭い世界に、
自由を愛する有能な人たちが集まるが、その中心地が東京になると
見る。

効率よく儲けるには米国が良いが、命を守ることの方が重要と有能
な人たちは気が付いた。経済規模とイノベーションし易さと健康の
3つの指標で住むところを選ぶことになる。

これからの国際化の意味は、日本人が世界に出ていくことではなく
、外国人を日本に入れることになる。このためにも、東京は一層、
選ばれる都市になることである。

さあ、どうなりますか?



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