6113.コロナ後の世界はどうなるのか?



日本でも緊急事態宣言が出た。感染者数拡大が続くが、検査機器が
各社から出てきている。アビガンなどの治療薬も出てきている。数
か月でコロナ生物戦争も終わり、コロナ後が問題になる。それを検
討しよう。          津田より

0.米国株価
NYダウは、2月12日29,568ドルまで上昇して史上最高株価になった。
4月3日は21,052ドル、4月6日は1627ドル高の22,679ドル、4月7日は
26ドル安の22,653ドル、4月8日は779ドル高の23,433ドル、4月9日は
285ドル高の23,719ドル、4月10日はお休み

ドル円は、108円台で安定的になっている。6日、米国コロナ拡大の
ピーク近しとの見方で買戻しが優勢になった。クドローNEC委員
長は、コロナ戦争の「戦時国債」を発行するとしたことで、株価は
上昇した。しかし、ジョンソン英首相が新型コロナの病状悪化で集
中治療室に入ったという情報も。

7日はクオモNY知事発言で死者数が2日連続変わらずであるが安定化
の兆しと述べ株価は上昇したが、原油価格の下げが加速したことで
株価はマイナスに転じた。

8日は、米ファウチ国立感染所長「今週過ぎれば(米国)感染拡大が
転換の始まり」と述べ買いが優勢になり、その上に原油も10%高
の26ドル/Bになり、OPECプラスでの1千万バレル減産合意期待から
株価が上昇した。

9日には、失業者申請件数が660万件になったが、FRBは2.5兆ドルの
追加の資金供給で、ジャンク債や州債を買うとした。ジャンク債を
FRBが買うことになり、CLO債も価格が上昇した。

また、9日のOPECプラスで1000万バレルの減産がサウジ・ロシアの合
意で決まったことで原油価格と株価が上昇した。また、民主党サン
ダース候補が大統領予備選の撤退を発表した。民主党は大統領候補
としてバイデン氏に決まり、ウォール街は安堵した。このため、市
場は楽観的な見方が支配した。

10日、ジョンソン英首相も集中治療室から出て一般病棟に移ったと
報道。OPECプラスでの削減合意1000万Bでは、削減量が足りないと
原油価格は22ドル/Bと下落した。石油の消費量が経済自粛で大きく
落ち込み、サウジは当初2000万Bの減産を目指していた。しかし、
1000万Bの減産合意になったし、メキシコが減産に反対したが、メキ
シコ減産分を米国が肩代わりして減産することで合意にこぎつけた。

先週のNYダウは上昇したが、今回のコロナショックは、1929年大恐
慌や1987年ブラックマンデーと同じ軌道で、半値戻しを試している
ようである。もし、2つの軌道と一緒なら、この後、大幅な下落が
ある。2番底になるか、前の底より下落して1番底になるかはわから
ない。

1.日本株価
日経平均株価は、2018年10月02日に24,448円でバブル崩壊後高値に
なり、先々週末3日は17,820円、4月6日は756円高の18,576円、4月7
日は373円高の18,950円、4月8日は403円高の19,353円、4月9日は7円
安の19,345円、4月10日は152円高の19,498円。

連日1200億円の日銀ETF買いがあり、順調に上昇してきた。。海外投
資家は、8週連続の売り越しで、3月合計では4兆8千億円の売り越し
となっている。為替も108円で安定した。7日に緊急事態宣言も出た
が、株価は上昇した。

企業の業績の下方修正が続いていて、今後も下方修正が出てくるこ
とになる。このため、PERは今後も低くなるが、PBRは0.8倍であり割
安感がある。

新型コロナでの自粛がいつまで続くのか見えないことで企業の来期
の見通しが立てられない状況にもなっている。

2.新型コロナウィルスの世界の状況
アメリカのジョンズ・ホプキンス大学のまとめによると、日本時間
の11日午前3時現在、感染者の数は世界全体で165万210人で死亡者
数は10万376人と、10万人を超えた。

死亡した人を国や地域別に見ますと、イタリアが1万8849人、米国
が1万7925人、スペインが1万5970人、フランスが1万2210人、英
国が8958人。

そして、世界各地に、感染が広がり、特にアフリカ・南米などの発
展途上国での致死率が高くなっている。全世界に感染が広がり、1918
年から始まるスペイン風邪と同じ状況だ。このままでは1929年から
始まる大恐慌より、すごい恐慌になってしまう。

3.日本の状況
10日は午後10時までに全国で632人の感染が新たに確認され、1日あ
たりで最多を更新した。東京は緊急事態宣言が出て、10日も189人と
過去最大の新規感染者が出た。

医師が疑う人全員に検査できる体制と治療薬ができるまでは、3密
を避けて行動して、感染拡大を避ける必要があるが、後1ケ月でで
きることを願うが、半年後と言うことはないはずだ。

今までは、感染者の追跡ができないことや病院のベットの空きがな
いこと、治療方法がないこと、検査可能数が限られていることなど
で、厚労省と保健所が、検査精度がないという理由で、検査しない
方向で介在していた。

しかし、迅速な検査キットが整備されて検査可能数が上がり、軽症
者をホテルなどで収容しているので、保健所の介在なく医師の診断
で検査する体制ができる方向である。検査体制の整備は、自衛隊の
防疫部隊の活用も考えるべきだ。特に東京と大阪は急を要すること
になっている。

後、残すは治療薬である、この2つが揃えば、この感染症はインフ
ルエンザと同じレベルの感染症になり、怖がる必要もなくなる。

新型コロナウィルスは、無症状感染者が多いので、撲滅することは
無理であり、来年の冬には再度流行する可能性もある。このため、
検査体制と治療薬を準備すれば、それ以上のことを現時点ではでき
ないし、必要もない。ワクチンはできる可能性もあるが、変異が大
きいので、直ぐに効かなくなる。このため、有効性に疑問がある。

4.治療薬の候補
そして、抗ウイルス薬「レムデシビル」については、重症感染者に
投与した初期研究結果を日米欧などの国際研究チームが発表した。
投与したのは53人と小規模だが7割近くに症状の改善がみられ、チー
ムは「決定的な結論は出せないが、見込みはある」との見解を示し
た。治験を早期に実行し承認することである。

しかし、残念ながら、アビガンの効用を中国武漢で確認できたとい
う論文が取り下げられたことで、まだ、アビガンが治療薬として有
効かどうかは確実ではなくなった。永寿総合病院の感染者にアビガ
ンを投与したが、重症になり効果もほぼ無しと報告された。品川病
院の軽症患者には効果があったという。効果にばらつきがある。

クロロキンとカレトラについては、中国武漢の医師は、効く人と効
かない人がいるし、副作用が大きいことで疑問視している。

抗マラリア薬「ヒドロキシクロロキン」は副作用が大きいので、ア
ジスロマイシンとの併用を米国CDCは推奨していた。このクロロキン
をトランプ大統領は推奨して、すぐにでも承認するようにFDAに圧力
を掛けたが、これも効果なしと報告が米CDCでは出ているという。

キューバ医師は、インターフェロン・アルファ2Bリコンビナントを
持って、主に新興国や途上国で新型コロナ治療に任るという。この
薬も中国での治験で有効性が確認されている。中国は世界の医薬品
の実験場であるし、その基礎原料の供給元でもある。

武田薬品は、高免疫グロブリン製剤「TAK-88」を開発中という。

というように、治療薬のテストが継続しているが、既存の寄生虫治
療薬「イベルメクチン」、急性膵炎治療薬「ナファモスタット(商
品名フサン)」、気管支ぜんそく治療薬「シクレソニド」(商品名
オルベスコ)など多数の候補が上がっているが、これらも治験を開
始して、有効性を確認してほしいものである。世界に160万人もの検
体があるので、世界が連携して治療薬の治験を開始して、早く数種
の治療薬を決めてほしいものである。

中国は、漢方薬の金花精感顆粒などで治療して効果があるとした。

どちらにしても、早く効果を確認して、治療薬として承認されるも
のが出てきてほしいものである。それもなるべく早くしてほしい。

5.コロナ後の日本
そろそろ、コロナショック後を考える必要がある。日本は都市封鎖
をしていないし、経済活動の半分以上を動かしている。それでも3
月から3ケ月の営業自粛で、多くの食料品以外の店がつぶれること
になる。外出自粛で、お客がいない。

しかし、中企業以上の会社は、銀行などからの融資で何とか持ちこ
たえると思う。雇用助成金などもあり、正規社員は大丈夫であるが
食料品以外の店で働いていた正社員と非正規社員の多くが解雇され
た。

この人たちは、給付金で食いつないでほしいと思う。5月までなら
小企業以外の企業は生き延びると思う。そうあってほしい。

このため、5月までの営業自粛ならブイ字回復可能であるが、それ
以上なら、日本経済は大きく傷つくことになる。その時には回復ま
でに数年、数十年を要することになる。

このためにも、5月中に目途をつけて、6月始めまでには新型コロ
ナ治療体制を確立してほしいのである。

6.コロナ後の世界は
しかし、日本がこの状況であるから、欧州は、日本より激しい都市
封鎖であり、イタリアではとうとう、民衆が食料店へ押し掛けて、
店の食料品を強奪している。スペインでも同じようなことが起きる
可能性がある。インドネシアなど新興国、南アメリカなど途上国な
どでも暴動が起きている。米国でも強盗が増えているので、銃砲店
で弾丸を買う人が増えている。銃が必須と言う状況である。

米国、ドイツ、英国、フランスは、当初からこの状況を想定してい
たので、手厚い給付を行っている。資金的な余裕がある国は、この
ようなことができる。中央銀行は資金を市場へ大量に供給している。

しかし、経済縮小は、都市封鎖が長くなれば長くなるほど、大きく
なる。米国の失業者は、この3週間で1600万人にもなっている。米
国の労働者1億人の16%が失業状態である。まだまだ増えることにな
る。その間、給付を続けるしかない。

今でも大きな債務を抱える欧米の大企業は、追加の債務が出て、借
金が多くなり、倒産の危機になる。この倒産企業を虎視眈々と狙っ
ているのが、中国である。少ない資金で欧米企業を買収しようとし
ている。欧米の大国としての条件は、強い企業があるからだが、そ
れが中国企業に買収されることで、大国の条件を失うことになる。

ということで、コロナ戦争で、勝者は東アジアの台湾、韓国、日本
であり、中国は敗者復活戦で勝者になり、かつ戦後、中国が一番、
焼け太りすることになる。

敗者は欧米諸国と途上国、中国以外の新興国である。

台湾の勝因は、水際作戦の成功である。12月には中国からの入国を
制限したことだ。韓国は、検査制度と隔離を早いうちから行ってき
たことである。

日本は、比較的早期から感染ルートを徹底的に洗ったことであり、
できなくなったら、検査充実とアビガンなどの治療薬開発で一歩リ
ードしていたことでしょうね。日本はまだ、勝利を確実にしていな
いが、ここでは治療薬が間に合ったということで述べる。

勝者の中国は、国連や国際機関を支配し始めている。WHOは中国の機
関化しているし、それが露骨になっている。

このため、米トランプ大統領は、新型コロナ感染を放置した自分の
ミスを転嫁するために、本気で中国敵対政策を始めている。中国の
機関化したWHOにもクレームを付けている。

米国と米同盟国(日本、英国、豪州)は、中国からのサプライチェ
ーンを切り、自国でサプライチェーンを完結することになる。この
ために、重要な商品の部品などにも大きな関税を掛けて、自国生産
を保護することになる。

中国でマスク生産していた日本企業の工場のマスクも、日本への輸
出禁止になり、全量中国政府が買い付けになったことで、日本での
マスク不足を引き起こした。

これは医療品原料でも同じであり、中国で原材料加工をすると、危
機時に自国への供給ができないことを世界は学んだ。これは米国も
同じでN95マスクの輸出禁止になり、世界的な医療品の不足になった
のである。

今回のことで、自国生産がいかに重要であるかを多くの国が学んだ
ようである。危機時の重要品目は、自国生産にするしかない。

もう1つに、中国への対抗上、米大企業を助けることができるのは
、日本企業しかない。ボーイングなどの債務超過になった企業の救
済を米国から頼まれることになる。日本企業は内部保留500兆円もあ
り、財務体質が非常に良い。日本企業は余力を持っている。

この結果は、日米英加豪NY台やメキシコなどの米同盟国対中露やイラ
ン、北朝鮮、キューバ、ベネズエラなどの反米同盟国に明確に分かれ
ることになる。韓国は中国寄りであり、インドは中立になる。南米の
多くの国は米国寄り、アフリカ諸国は中国寄り、東南アジアも中国寄
りになる。中国寄り国家が多くなることは確かである。

メインランド対リムランドの戦い、独裁国対自由主義国の戦いが開始
することになる。

欧州各国には、中国寄りと米国寄りの国があり、EUとしての立場は
どっちつかずの微妙立場になる。そして、EU自体も分裂気味になる。

国際機関も分裂する。米同盟国は、同盟連絡機関と言う国際機関を
作り、IMFや世銀などと同じような出資金相当の発言権を持つ仕組み
になる。

参加国の平等な国連や今までの国際機関は、すべて中国資金で運営
する中国サブ機関化が進み、中国の出先機関となる。

1929年の大恐慌から1941年の第2次世界大戦までには、11年を要す
るが、徐々に次の何かの事件を起こす可能性も出てくると見る。
戦争ではないかもしれないが、大きく世界を変えることになる。

2008年のリーマンショックが1918年の第1次世界大戦であり、今回の
2020年のコロナショックが1929年の大恐慌であり、そして10年後に
第2次世界大戦と同様なことが起きる可能性が出てくると見る。

さあ、どうなりますか?



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