6108.新型コロナウィルスは、世界経済の構造を変える



この新型コロナウィルスの騒動で、世界経済の構造が変化する。中
国依存の供給体制を各国が必需品を国内生産に代える。その仕組み
を検討しよう。   津田より

0.米国株価
NYダウは、2月12日29,568ドルまで上昇して史上最高株価になった。
しかし、2月28日25,409ドルとなり、新型コロナウィルスで17%程度
の暴落である。12日時点では、PERは19.5倍であったが、28日のPER
は15倍程度のなっている。

3月2日には1293ドル上昇したが、3月3日G7財務相・中央銀行の電
話会議では、「あらゆる政策を動員する」という合意声明を出した。
3月3日は開始後大幅な下げになったが、パウエル議長が緊急の0.5%
の利下げを行い、発表直後27,084ドルとなったが、終値では785ドル
安の25,917ドルになった。

スーパーチューズデイで、バイデン候補が勝ち、非製造業ISMも
57.3と予想より良好で、3月4日は1175ドル上昇で株価27,090ドルと
なったが、3月5日969ドル安の26,121ドルで、10年米国債一時0.81%
になった。3月6日256ドル安の25,864ドルになり、10年国債は0.7%割
れまで行く。

新型コロナウィルスの感染拡大で、カルフォルニア州が非常事態宣
言になり、ニューヨーク州でも感染者が増えるなどで景気への懸念
が出きた。このため、米国にもブラック・スワンが現れたようだ。

4月のFOMCでも、利下げ0.5%に追い込まれそうである。また、ここ数
日、NYダウも1日の値幅が1000ドル以上と異常な相場になっている。

しかし、米国も新型コロナで、死者が増えている。新型コロナウィ
ルスには、FRBの利下げの効果はない。1929年以来の下げ幅になり、
1929年の株価の動きと、今回は似ている。とすると、当分、新型コ
ロナウィルスの感染が収まるまでは下落になるのか、心配になる。

1.日本株価
日経平均株価は、2月3日22,775円まで下げたが、2月6日23,873円で
2月28日21,142円と下げたが、3月2日、突如日銀のETF買い介入が実
行されて、20,800円で急に上昇して、21,300円まで行く。この日の
介入額は1014億円であり、相当な介入で株価を支えた。

しかし、3月3日261円高の21,082円、3月4日17円高の21,100円、3月
5日229円高の21,329円、3月6日579円安の20,749円と上下にNYダウと
同期して動いている。しかし、3月6日は円高105円台になった。

株価は、どこまで下がるのか、PBR1倍の20,800円と見たが、今日は
、そこを下抜けした。3月6日午前の20,800円辺りでの攻防はすごか
ったが、日銀が売りに負けた。

このため、2万円割れになる可能性も出てきた。海外勢の売り圧力は
すごい感じだ。GPIFは、ドル円105円が防衛ラインであるが、こちら
も円買い圧力に負けそうで、GSによると1ドル=95円までの円高にな
るという。円高株安になりそうである。

東京オリンピックの開催は、中止か延期になるでしょうが、中止に
なると日本売りがすごいことになりそうだ。1年延期にしてほしい
ものである。IOCは、無観客試合も検討しているという。

2.新型コロナでの中国の覚悟と世界
中国は、新型コロナウィルスの収束の段階になったと言う。しかし
、北京と上海に入るためには、入る人はすべて14日間の検疫隔離が
必要であり、この2都市だけ、感染から守る意向のようである。

出稼ぎ労働者も2都市に入るには、14日間の検疫隔離が必要である
が、他の都市には自由に行けるようになった。出稼ぎ労働者がいな
いと、工場の稼働ができないからである。

習近平が、「どちらにしろ、1千万人が死ぬ。職場再開をすれば百姓
が1千万人死ぬ。職場再開をしなければ政権が崩壊して共産党員が1
千万人死ぬ。」と言い、工場再開に動き始めたと噂が出ている。

このため、新型コロナウィルスが収束したから、職場再開ができる
状態だとデータを作り、宣伝し始めた。武漢を含む湖北省以外では
新しい感染者数はゼロになっている。

世界でも、中国のサプライ・チェーンが復活しないと、多くの企業
で部品がなくなり、自国工場の生産ができない状態で、中国の工場
再開が必要になっている。このため、中国のデータ改ざんを見て見
ぬふりをしている。しかし、実際は深センでも昼間、突然倒れる人
がいるが、新しい感染者はゼロになっている。

「ブルッキングス研究所」は、この感染症の報告書で、新型コロナ
ウイルスが世界に拡散された場合(パンデミック)の想定被害が、
まとめられており、最善のケースでも死者約1500万人、最悪のパタ
ーンだと約6800万人が死亡する恐れがあるとした。

日本においても新型コロナウイルスで死者は約57万人ほど発生する
と推測され、感染の拡散が抑えられたとしても、12万人前後の死者
は出るだろうという。

この報告書でも先進国の死亡率は1%以下に抑えられているが、WHO
は、致死率3.4%と報告していることから、現実はもっと厳しいこと
になる可能性も十分にあり得るようだ。

事実、新型コロナウィルスは、2種類あり、武漢の死者が多いのは
、劇化したウィルスが原因であり、この劇化ウィルスが流行すると
、その地域の致死率は大きくなる。中国の武漢の他に、イランとイ
タリアのウィルスも、劇化した物のようだ。死者の数が他地域と、
大きく違う。日本は、今の所、軽い方のような気がする。しかし、
変異を重ねると劇化する可能性が高いので、注意が必要である。

とうとう、日本でも劇化が起こり、山梨県で20歳の若者が新型コロ
ナウィルスで髄膜炎になった。「早期発見、早期隔離」をしなかっ
たことで、劇化したウィルスが、若者も殺し、致死率も上がること
になる。心配したことが起きている。早く、簡易検査キットを配ら
ずに、検査に制限を付けていたことが、悲惨な結果を生むことにな
る。

もう1つ、この新型コロナウィルスは、数年流行が続く可能性もあ
る。現時点で北半球だけではなく、南半球でも感染が拡大している
。気候に影響されないのか心配だ。

この疾病とともに、大量のバッタが食料を食いつくしている。来年
の冬には飢餓問題も出てくることになる。特にイランが両方なので
注意が必要である。中国もバッタ被害を受ける可能性がある。

1つの希望は、ステロイド薬が新型コロナウィルスに効くことでし
ょうね。この薬は、使い勝手が良いので、手ごろだ。この薬が効く
なら、早期に収まる可能性が出る。

3.世界経済はどうなるのか?
リーマンショックで、グローバル経済と金融資本主義が終わったが
、その延命のために、中央銀行が資金を市場に大量供給し、バブル
を起こして、グローバル化を進め賃金は上がらずに、すべての資産
が上昇した。

しかし、これにより、貧富の差が拡大して、若い学生たちが、学生
ローンを返せない状態になったし、中間層の人でも医者に費用が高
くて掛かれなくなった。このため、サンダース氏がいう学生ローン
の徳政令、公営大学の授業料の無償化、国民皆保険という公約は、
大きな意味を持ってくる。

もし、新型コロナウィルスが全米で猛威を振るうことになると、サ
ンダース氏が民主党候補にもなりえる。

新型コロナの猛威は、米国社会を根底から変えるトリガーになりそ
うである。もう1つ、サンダース大統領になると、米国の国際的な
不介入主義が出てきて、国際社会も大きく変わる必要が出てくる。

この疾病で、株価が落ち、サプライチェーンの混乱による製品不足
で物価が上昇し、かつ企業倒産も増えてくる。一番問題なのが、ジ
ャンク債の価格の急落で、CLO価格が暴落することになる。その次に
債券全体の暴落となる。安全と見られた社債の暴落で、ミンスキー
・モーメントに到達する。資産の全部売りだ。恐らく、社債の暴落
が「灰色のサイ」(グレー・リノ)なのでしょうね。

こうなると、日本の金融機関が多く持つCLOで、大損が出て、地方銀
行などの銀行の倒産が多発し、日本では金融危機になる。

この時、景気は悪く、物価は上昇しているのでスタグフレーション
になり、中央銀行の金融緩和策ができないし、金利を上げる必要に
もなる。もし、ここで量的緩和をすると、通貨安に振れて、益々輸
入物価が上昇して、ハイパーインフレになる。ここまでは、日米と
も同じ論理である。

この時は、財政出動しかない。しかし、国債を発行すると、それを
消化するために、国債金利が上昇する。中央銀行はインフレで金融
緩和できないので買えない。金利が上昇すると、企業は資金を借り
ることもできずに倒産となる。景気を一層冷やすことになる。日本
の大企業は内部留保が多く、米大企業は借入金が多いので、先に米
大企業が、潰れることになる。

今まで、長期に渡る量的緩和で、中央銀行の金融政策に手が残って
いないし、大量の国債を発行していたことで、財政出動も国債市場
での国債暴落が起きる可能性があり、動きにくいことになっている。

その上に、この新型コロナでの日中韓「隔離」が起き、次に日米、米
中「隔離」になるだろう。隔離されると、新規ビジネスができない
。人の移動ができないことで、世界的なサプライチェーンはズタズ
タになる。これにより、グローバリゼーションは、終焉を迎えるこ
とになる。当分、国同士の隔離は続くことになり、それに合ったシ
ステムを作るしかない。

このため、各企業は、1国完結のサプライチェーンを作り、海外の
工場からの部品に頼らない仕組みを作るしかない。この1国完結の
仕組みを作った企業のみが、生き残れることになる。製品ができれ
ば、不足しているので、ドンドン売れることになる。国内雇用も増
えて、給与も上がることになる。途上国の労働者との競合もなくな
る。

これは、地産地消経済ということである。1国完結の供給システム
にした企業が生き残ることになる。このコラムでは、未来は、地産
地消経済になると述べてきたが、新型コロナウィルスの登場で、別
の意味で実現が早まったことになるようだ。

そして、グローバリスムの終焉になる。

4.世界の覇権システムが大きく変わる。
中国と米国の2大強国が、新型コロナウィルスの感染拡大で社会と
経済力が大きく弱体化することになる。こうなると、世界は、この
感染を防御した国が力を持つことになる。

ロシアを見ていると、ロシア全体が寒くて新型コロナウィルスも死
滅するので、感染の拡大は起きないようである。それと、中国人を
早い段階で入国禁止したことで、感染源も入れなかった。

それと、ロシア人は短命で、65歳以上の人が重要ポストにいない。
死者の多くが高齢者であるが、そもそも重要ポストに高齢者がない
ので、混乱も少ない。

中東のシリアとトルコの戦闘もロシアが、停戦に持ち込み、両国と
もに、ロシアが盟主と見ているようだ。米国の影が薄い。

軍事力も正規軍と非正規軍を巧みに使い、中東やアフリカなどの地
域覇権を徐々に取り拡大している。

米中のいがみ合いと疾病で、ロシアが、世界の覇権を取る可能性が
出てきたような気もする。中国がこの疾病で没落すると、次の心配
は、ロシアかもしれない。

5.日本の受難の年か?
2020年は、2011年の東日本大震災から9年目になるが、歴史を紐解く
と、869年東北地方の貞観地震M8.3で、9年後の878年関東地域に相模
・武蔵地震M7.4で、9年後の887年南海沖の仁和地震M8.0と9年ごとに
地震が起きている。

ということで、今年、関東に大きな地震があってもおかしくない状
態である。

よって、東京が疾病と地震のバブルパンチを受けないかと、心配に
なる。なるべくなら、疾病が収まった後に地震が来てほしいもので
ある。日本の受難の年になる可能性もあることを覚えて置こう。

さあ、どうなりますか?



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