6099.中東混乱の行方



中東でのソレイマニ司令官殺害、イランの報復、米国の自粛と目ま
ぐるしい対応で、安心感が広がっている。しかし、この安心感は、
いつまで続くかを検討したい。      津田より

0.米国株価
NYダウは、イランの報復攻撃で米軍に死者がなく、米国は反撃しな
いことで、中東戦争の危険性がなくなり安心感と雇用統計はまずま
ずで、高値更新で1月10日10時に史上初の最高値29,009ドルとなった
が、その後は、利益確定売りに押されて前日より133ドル安の28,823
ドルとなった。ドル円は109円台に戻したし、原油価格は59ドルと下
落したが、金価格だけは1562ドルと上昇して高値となっている。

米雇用統計は、非農業部門雇用者数+14.5万人増、平均時給は2.9%
上昇と予想値の16万人増、平均時給0.3%上昇から見るとまずまずの
結果であったことになる。しかし、景気上昇への期待値が高いのか
、発表で株価は下落して、その後も利益確定売りに押されたようで
ある。

金価格が元に戻らないということは、中東紛争が終わっていないと
感じているし、株式市場は総楽観であるが、2万9千ドル辺りが、
P.0589で述べた牛田権三郎の「あきれる値」になった可能性はある
と見る。

大統領選挙年は、あまり株価は上昇しないというアノマリーとも合
致した動きかもしれない。

もう1つ、原油価格が上昇すると、10年国債金利が上昇して、米企
業の借金は多いので、投資ができずにインフレになる。すると、FRB
は、一層の金融緩和ができなくなり、景気後退とインフレが来るス
タグフレーションになる。

このため、金融緩和もなく、投資もなく、株価は大幅な下落になる
。よって、米中通商交渉から中東紛争へ、今年の大きなテーマは移
ることになる。

トランプ大統領再選には、福音派の支持と株価の高値維持、米軍に
死者が出ないことなどが必要であり、そのすべてを実現する必要が
あるから、大変な年になる。

1.日本株価
日経平均株価は、12月17日に年初来高値24,091円になったが、以後
景気後退などから下落して、12月30日23,656円、ソレイマニ司令官
殺害で、大発会1月6日23,204円と451円安、1月7日23,575円と379円
高、1月8日23,204円と370円安になり、この日9時半22,951円と一時
2万3千円割れになった。

しかし、米国の反撃がなくなり1月9日23,739円と535円高、そして、
1月10日23,850円と110円高なった。乱高下の1週間になった。

中東情勢は今後も株価への影響が大きいと見るが、イランと東京は
5時間差がある。10時にイランで何かの事件があると、東京は15時で
株式市場は終わり、夜中に軍事衝突があると、東京市場の午前中に
なる。このタイミングで株価が大きく動くので注意が必要になる。

今後は、当分上昇になるが、2万4千円の壁を抜けるかどうかである。
1月は上昇でも、日経平均のシーズナルチャートを見ると、2月に大
きく下落することが多いとあるので、注意が必要である。

シーズナルチャートと見ると、2月と10月に下落することが多く、上
昇は4月、7月、12月が多いとなっている。

今年の株価は、PBR1倍の2万円からPER15倍の2万6千円程度であろう
を見る。1株利益が1740円と見た場合であるが、現時点1株利益は
1640円であり、これでPER15倍とすると24,600円であり、企業業績は
100円程度上がらないと難しい。ということで、現状の業績であると
24,600円が上限になる。

2.中東混乱になるか?
米国が3日ソレイマニ司令官を無人機で爆殺した後、日本時間1月8日
午前7時半頃、イランは弾道ミサイル十数発をイラクの米軍基地に打
ち込み、しかし、イランはイラク政府に対してミサイル発射時間を
通告し、その内容をイラクは米国に通知していた。このため、米軍
は人員約1000人がシェルターに避難したほか、万全体制ができ死者
も出なった。このため、日本時間1月9日未明にトランプ大統領は反
撃しないと表明した。

イランは、当初第2波の攻撃をするとしたが、ウクライナ航空機を誤
ってミサイルで墜落させたことで、第2波攻撃を中止した可能性もあ
る。当初、イランはこれを否定していたが、米国の衛星からの映像
を公開されると、否定できなくなるので、認めたようだ。

それと、イラン革命防衛隊の精鋭コッズ部隊のソレイマニ司令官と
ともに、イスラム教シーア派武装勢力人民動員隊のムハンディス副
司令官も殺されている。このイラクのシーア派武装勢力の報復は、
まだない。

イラク政府は、米軍を含む外国軍隊の撤退を要請している。米軍が
撤退しないと、ロケット弾などでイラクシーア派武装勢力の報復攻
撃が起こることになり、また、イラン革命防衛隊司令官は、米国が
中東からいなくなるような戦略的復讐を行うとも言っている。

また、イラン政府の言うことを各地のシーア派武装勢力がどこまで
聞くのかもわからない状況になっている。という意味では、まだ始
まったばかりである。少なくとも、米軍が中東のシーア派地域にい
る限り終わっていない。

と見ているので、まだ株式市場の乱高下は起きることになると見て
いる。

3.プーチン大統領の工作
このイランと米国の危機的な状況時、プーチン大統領は、シリア、
トルコ、イラン、イラクの首脳と会談している。この危機時、ロシ
アと米国は、同期して動いたような気がする。

ロシアは中東紛争を歓迎する。ロシア製のS400が売れるし、ロシア
の味方が増えるし、原油価格は上昇するので、経済的な面からも米
軍が中東に居て、紛争を起こす方が良いのである。

しかし、米国とロシアが直接対決になると、第3次世界大戦になり
、ロシアの軍事費は、米国の軍事費に比べて非常に小さいので、大
きな負担になり、かつ核戦争になりかねず、それはできない。

このため、ロシアは中東戦争ではなく、中東混乱にしたいのである
。そのためには、シリア政府に自制を求めたようである。シリア軍
は、シリア原油地帯の米軍を攻撃する計画を立てたが、それをプー
チン大統領が止めている。

次に、トルコに飛び、リビアへの軍事介入で、ロシアの取り分とト
ルコの取り分を決めたようだ。東の石油利権はロシアで、西の石油
利権はトルコにしたのではないかと見る。

東部のハフタル将軍をサポートしているのがロシアで、西部の国民
合意政府であるトリポリ政府を軍事支援するのがトルコになる。

ロシアは石油利権を欲しいとは思っていない。武器を援助するだけ
であり、欧米支援の政府を潰したいだけである。トルコは、欧米に
恩を売りたいのと、石油利権を欲しいのである。プーチンはトルコ
のエルドアン大統領の希望を知っているので、調停できるようだ。

そして、トルコに米軍脱出ルートの確保を確認している。イラクか
ら米軍が撤退するとき、シーア派地域を通らないで行けるトルコが
必要になる。これは、ポンペオ国務長官もトルコに確認しているが
、プーチンも念を押した可能性がある。

その後、イランとイラクの首脳と電話会談か直接会談をして、米国
とイランが戦争をしないような調停案を作り、両者に提案したよう
である。イランとイラク政府は、それに従って行動したと感じる。

同時にグロムイコ外相とポンペオ国務長官が電話会談を複数回行い
、米トランプ大統領も了承したようである。

プーチン大統領は、イランに恩を売り、テロ情報の恩を米国に返し
た可能性が高い。しかし、米ロが組んでいると見られないように、
アラビア海でロシアの戦艦が米国の駆逐艦へ「攻撃的に接近」させ
て、米ロ対決姿勢を演出している。

ということで、中東情勢は、ロシア主導で米CIAと露KGBが外交を仕
切っている。そして、米ロ協調で、中東の主導権をロシアに譲って
いる。

もう1つ、イランの代理人であるスイスの調整もあったという報道
もある。これも米ロ協調を否定する材料のような気がする。米ロ協
調では、トランプ大統領の再選には悪材料になるからだ。

ロシアの調停が必要なのは、トランプ大統領の再選には、米軍に多
くの死者が出さないことが、どうしても必要だからである。

4.トランプ大統領の地球温暖化容認はなぜ
オーストラリアの山火事で、野生のコアラやカンガルーたちが多数
犠牲になっている。広大な森林が燃えて荒野になって、この地域は
砂漠化することになる。

このように温暖化は、疑いを許さない状況になっている。温暖化の
原因はCO2やメタンガスであるが、この状況はヨハネの黙示録の第6
の封印を解いた状況である。予言されていたことになる。

しかし、トランプ大統領は、それを認めなかった。パリ協定から脱
退を宣言して、温暖化ガス削減協定を無視したが、米国の去年の夏
には、多くの山林で火事が出たし、今年もそうなると予測できる。

ということで、とうとう、トランプ大統領も地球温暖化を認めると
述べた。認めた理由が、福音派のためであり、第7の封印を解くこ
とを約束するためには、ヨハネの黙示録の第6の封印が解いた状況
も認める必要からである。

福音派の支持を得るために、2020年11月まではヨハネの黙示録の第
7の封印を解く方向で行動するが、しかし、第3次世界大戦、中東戦
争にならないようにしていくことになる。と言うように、この面か
らも中東の紛争は、戦争にならないような状態で続く事になると見
ている。というより、私や世界の願望である。

そして、いやなことは旧約聖書のエゼキル書などで、やはり終末の
状況を述べている。この予言の発展形として新約聖書のヨハネの黙
示録があるし、コーランにも発展形があるという。どちらの宗教も
旧約聖書を基本としていることは同じである。

このように温暖化による地球の破壊は、聖書の予言を基にしている
ので欧米では、当たり前として、そして温暖化の後に第3次世界大
戦があると、真剣に心配しているのである。

アジアの予言体系は、インドの輪廻転生が基本であり、終末観がな
い。このため、日本では温暖化の後に第3次世界大戦があると見て
いないのである。

このため、欧州では、温暖化を防止することで次の予言に行かない
ようにするという目的もあるが、日本には、そのような順番を意識
していないので、温暖化にも真剣ではない。中国もインドも同じで
温暖化に切実な思いがない。

日本は周りを海で囲まれているので、温暖化になると乾燥ではなく
多量の水蒸気が上がり湿潤な気候になるので、温暖化で森林が繁茂
することになる。砂漠化しない。山火事にもなりにくい。このため
、真剣でもない。特に原子力発電所の事故後は温暖化に一層、真剣
ではなくなったように感じる。

5.自衛艦の派遣
中東紛争になり、日本海上自衛隊も中東に派遣して、今後、日本の
石油タンカーの護衛を受け持つことになるが、心配である。しかし
、野党が自衛隊の派遣を中止しろと言っている。それだと、石油タ
ンカーの護衛なしに攻撃されることになり、野党は石油タンカーも
中東に行くのは禁止ということであろうか?

もしそうであれば、日本は油断になるので、その解決方法を提案す
る必要がある。

民間船の危険は良いが、自衛隊の危険は回避しろというのは、あま
りにも論理矛盾である。危険があるから民間船を警護するために行
くのであるので、そうであれば、先に民間船の危険を除去する方法
を提案する必要がある。

その上、イランにも事前に了承を取っている。米国は了解している
。外交努力している。何が問題なのか、よくわからない。

この問題より、IR汚職や桜を見る会などの問題を取り上げて、与党
を追及した方が良い。というより、日本の復活方法を野党は提案し
ないと、また前の民主党政権と同じで、国民の期待を裏切ることに
なる。そして、今、日本復活のチャンスが出てきた。

6.日本復活の可能性
米国の海外技術者入国制限、ウィーワークスのIPO失敗やウーバーの
株価下落などから米国でのベンチャー企業への投資が下火になって
いる。シリコンバレーでの起業より、ベンチャー投資が活発な日本
での起業の方が投資を集めやすいようである。もう1つが、シリコ
ンバレー周辺での山火事が多く、物価も高く生活もしにくい。世界
からの技術者も集めにくくなっている。

日本は世界からの技術者を歓迎する制度に変更したことや、ベンチ
ャー企業投資に減税する制度を入れたことで、大企業のベンチャー
投資が増加する傾向にある。

中国での起業は、いつ何時、スパイ行為で逮捕されて、強制労働所
に入れられるか心配があり、海外技術者は中国での起業や就職をし
ない方向になっている。英国の技術者がSOSを発信して、中国の危険
性を知らしめている。

欧州では、先端技術の製造業がないので、物が売れないことになる。
というように、日本のベンチャー投資環境が整い始めているようで
ある。日本は生活費も安く、治安が良く安全で、観光地も多く、エ
ンタメも多いので、日本に来たい技術者は多いようである。

特にCogent LabsなどのようなAIベンチャーで、優秀な技術者を世界
から集めている。社内会話は基本、英語である。この上に、中東戦
争の心配があるイスラエルから多くの技術者が来ると、日本が新し
いシリコンバレーになる可能性が高い。

特に東京である。東京は周辺での山火事もなく、スモッグもなく温
暖になってきて、物価も安く暮らしやすい。小池東京都知事の影響
力も大きい。東京を英語で暮らせる街にして、世界から投資家と技
術者を積極的に入れて、最先端金融都市にする構想が、徐々に実り
始めているようである。

このようなことで、日本株を全部売却したという世界的な著名投資
家のジム・ロジャース氏も日本に再度、投資するという。

日本全体の衰退は人口減少で、止めることはできないが、技術者や
投資家、観光客などが来て、日本には新しい魅力が加わることにな
ると見ているようである。

その上に、中国の影響で個人の自由を奪われる韓国や台湾、香港か
ら逃げてくる人たちが出ると、人口も増加に転じることになる。日
本の復活が近いような気がする。その準備を、法制面から確立して
ほしいものである。

さあ、どうなりますか?


コラム目次に戻る
トップページに戻る