6092.香港問題と台湾問題



韓国のGSOMIA破棄回避で、韓国の悲惨な運命は一時的に回避したが
、香港問題と台湾問題が今後出てくる。それを検討しよう。
                       津田より

0.香港人権法と米国株価
NYダウは、11月15日に史上最高値28,004ドルとなったが、11月22日
27,875ドルと下落している。PERは17倍台でまだ、割高な水準である
。そして、米中通商交渉が11月中に合意できるとしていたが、来年
にずれ込む見通しとなり下落したが、米議会上下院で香港人権法が
成立しても、相場は楽観的な見方が出て、11月15日には100ドル以上
上昇している。

この香港人権法が米上下院で可決されて、大統領の署名を待つ段階
になっている。中国は香港人権法が成立したら、米国に報復的処置
を行うので、トランプ大統領は、署名をするかどうか明らかにして
いない。しかし、署名をしないと連邦議会の開会中の場合、10日で
その法案は、自然成立して法律となる。

そして、トランプ大統領が拒否権を発動すると、再度議会で全会一
致で再決議される。その上に、共和党での弾劾賛成議員が増えてし
まうことになり、弾劾裁判が成立する危険もある。支持者のうち、
中国強硬派は支持を止める危険もある。

トランプ大統領が、何をしようと法律は成立してしまう。このため
、どちらにしても、今後、中国の米国への報復処置が出てくること
になる。

しかし、ペンス副大統領が、弾劾後大統領になると、今より中国に
対して強く出ることが予想できるので、中国はトランプ大統領の方
が、交渉しやすい。

このため、中国の習近平国家主席は、珍しく「米国が誤った判断を
しないよう、戦略的な問題で対話を強化すべきだ」と述べたと新華
社は伝えている。また、米国との通商交渉合意について、「貿易戦
争を恐れないが、合意に向けて努力したい」と述べ、安易な妥協は
しないものの「互いの尊重と平等という基礎のもとに、第1段階の
合意に向けて努力したい」とした。

というように、トランプ大統領の元で、中国も香港人権法の成立を
阻止したい意向のようである。香港理工大学への警察機動隊の突入
は、習近平主席の指示であり、警察隊が阻止されたら、中国軍のテ
ロ対策特殊部隊を投入する予定であったという。

これに対して、香港司法は「覆面禁止法」を基本法違反であると断
定したことで、三権分立の基本法を止めて、香港の「1国2制度」を
廃止して、中国に取り込むようである。

この時には米国の香港人権法が強力な対抗処置になる。しかし、既
に四中全会で決定したとも推測できる。ということで、米中通商交
渉の合意は、人権・民主化問題などで難しくなってきたように感じ
る。トランプ大統領は、人権も民主化も意に介さないが、米国全体
では、いきり立つことになる。

12月15日に、1500億ドル分への対中関税UPがあり、電子製品などに
課税されることになる。アップルは、大統領にアップル製品への課
税を免除するように誓願している。もし、課税されるとアップル株
暴落の危険があり、市場全体での楽観論も破壊さるので、株価が全
体的にも暴落する危険がある。

ということで、アップル製品への課税は見送りになる方向のようで
ある。というより、12月15日分の課税は、交渉が進展しているとい
う理由で延期する可能性が高い。

というように、株価暴落の危険性が徐々に拡大してきている。中央
銀行バブル維持は、徐々に脆弱化してきて、維持コストが上がり始
めている。

トランプ大統領は、米中通商交渉合意ができないときのために、株
価維持で、FRBに対して、量的緩和のステルスQE4(POMO)を2月末ま
で行わせ、3回の利下げを行わせ、その上に、パウエルFRB議長にマ
イナス金利を要求している。景気後退時のFRBの政策手段を奪ってい
る。その上に、来年は、景気維持のために中間層への大型減税をす
ると述べている。来年は、米国の赤字が120兆円にもなる可能性が高
い。MMT理論で合理化するようであるが、あまりにも強引である。

一方、中国市場で、米企業の自動車も売れなくなり、トヨタが自動
車販売台数で8%UPで2位になり、GMは2位から7位に落ちている。徐々
に、米中間での経済分離が進んでいる。デカップリングが進んでい
る。米国製造業の景気後退は明らかになっているが、非製造業の景
気は良いが、徐々に不景気の兆候も見え始めている。

中国の強権的な香港への処置を見て、欧州、日本、米国は再度、対
中政策で共同歩調を取れるのかが重要なことになるが、この視点と
違う考え方をトランプ大統領がするので、皆が共同歩調を取れない
可能性も大いにある。

そのため、強権的な中露の時代は、続くことになる。早く、トラン
プ大統領を止めさせないと、中国への対抗処置が取れないような絶
望感も増している。

1.日本の株価
日経平均株価は、11月11日に年初来高値23,520円になったが、以後
米中合意に疑念が出て下落して、11月21日に22,726円と、23,000円
台を割り込む場面をあった。

しかし、市場は楽観的な見方に変化して、11月22日23,112円となっ
ている。まだ、日本株が割安に見えることで、海外投資家が押し寄
せていることには変わらない。PER=14倍程度になり、割高感も出て
きたが、米国のPER=17倍より低いので割安感がある。しかし、日本
の景気動向は、非常に弱くなっているので、景気回復のために補正
予算10兆円という声も出てきた。

米国の相場に波乱が出ない限り、海外投資家は、割安な日本株を買
うことになるとみるが、その米国市場の株価維持に脆弱感が出てき
たように感じるし、その上に、日本の景気後退が重なると、何が起
きるのであろうか?

非常に危険な状況になってきたように感じるが、多くの株式の評論
家は、まだ強気を維持している。そろそろ、見方を変えるときでは
ないかと見るがどうであろうか?

2.韓国のGSOMIA破棄撤回
韓国は、11月22日18時に日本との間のGSOMIA(軍事情報協定)の破
棄通知を撤回すると日本に連絡してきた。このコラムでは、在韓米
軍撤退を危険があると述べてきた。

事実、エスパー米国防長官は在韓米軍縮小の可能性を尋ねる質問に
「我々がするかしないか分からないことについて予測したり推測し
たりしない」とし、場合によっては縮小することもあるということ
の仄めかした。これは「在韓米軍の撤収はあり得ない」という米国
の従来の立場とは完全に違うことになり、その上に、米議会上院で
GSOMIA維持法も可決されて、韓国はGSOMIA破棄撤回せざるを得ない
ことになったようだ。

韓国には、国連軍、米韓連合軍、在韓米軍の3つの米軍があり、米
韓連合軍のトップに韓国の将軍がなった。しかし、全体指揮は、依
然、国連軍司令長官が持ち、この司令長官は米将軍である。この将
軍がGSOMIA破棄であるなら、撤退するしかないと見ていたのであろ
う。

朝鮮半島有事には、日本の自衛隊が兵站を担うことになっているが
、韓国がGSOMIA破棄で、日本との関係を切ると、在韓米軍への兵站
ができないことになり、国連軍などの維持ができなくなる。

このため、在韓米軍維持には、日本の自衛隊が必要なのである。こ
の部分を韓国は、無視して、歴代日本叩きを行っていた。とうとう
、堪忍袋の緒を切った日本に対して、米国も同情的になっていた。

しかし、もし米軍が韓国からいなくなったら、北朝鮮は韓国に脅し
を掛けて、支配権を奪い、韓国から上納金を大量にせしめることに
なる。そして徐々に、全土を金王朝支配にすることは確実である。

このため、韓国が北朝鮮と朝鮮統一するためには、在韓米軍の存在
は重要なのである。この部分は、いくら親北朝鮮の文政権でもわか
るはずであり、とうとう、在韓米軍維持のためにGSOMIA破棄を諦め
ざるを得ないことになったのである。

しかし、日本を敵視する政権が、韓国に出てくる限り、最後には北
朝鮮の支配を韓国は受けることになり、多数の移民が日本に来る可
能性がある。少し延期しただけである。

韓国国民が日本の良さを気が付くのは、独裁国家北朝鮮の厳しい支
配下で、多くの命を失う事態になってからであろうと、絶望的に思
ってしまう。

3.台湾問題
中国の習近平国家主席は、BRICS首脳会議でブラジル訪問時「台湾に
1国2制度を引く」と発言した。香港は「1国2制度」を廃止して中国
共産党支配体制にして、台湾を「1国2制度」にするというのだ。

台湾の蔡英文総統の独立志向が強いと見て、習主席は台湾を統一す
る方向で、軍を動かすことを覚悟した可能性が高い。このため、国
産空母を台湾海峡に入れたり、爆撃機を国境近くに飛ばしたりなど
の軍事的な圧力を台湾にかけ始めている。

1月11日に台湾総統選挙があるが、香港の民主主義を止め共産党支配
下に置くなどの中国の行為で、独立志向が強く出て、蔡英文総統の
当選が確実視されている。このため、サイバー攻撃など中国の攻撃
が続くことになると見る。ここでも米中対決は続くことになる。そ
して、中国が台湾に出てくるなら、台湾国民も日本への移住を考え
る可能性が高い。

香港市民は、香港の自由を奪われて、台湾に移住する人が多いが、
そこも中国から支配される危険性があり、最終的には、日本への移
住となる可能性も出ている。

香港の金融機関、ヘッジファンドなどに対して、東京へ来ないかと
小池都知事を筆頭に都職員が勧誘しているというが、シンガポール
に行くか東京に行くかは、その優遇処置いかんであると思う。日本
に来るように小池都知事は、頑張ってほしいものである。

4.日本が安住の地
日本は古代から、中国や近隣地域の紛争や王朝滅亡時、その亡命先
であったが、今後は、中国や北朝鮮などの独裁主義国からの攻撃で
香港、台湾、韓国などの自由主義国から、多くの自由を愛する人た
ちが、日本に移住してくる可能性が高いことになる。

今までも、日本基礎文化に新しい文化を足してきたのは、この周辺
諸国から来た知的水準の高い移民たちである。

昔は華南から呉の王族が呉服やコメを日本にもたらし、百済・新羅
から秦氏や百済王族・貴族が土木建築技術、絹織物や仏教・書物を
もたらし、高句麗から王族が埼玉県の高麗に来たし、南宋の王族・
貴族たちが鎌倉・京都五山文化として書院造り、精進料理やわび・
さびの芸術を、日本にもたらした。このように、日本文化の多くは
、移民と共に日本は入ってきたのである。

そして今、日本が人口減少時に、再度、中国の圧力で東アジアから
多数の移民が来る可能性が出てきた。昔の状況と同じような時代背
景になってきたようである。

このように移民たちが来るための安住の地にするためには、日本は
、中国から攻めることができないような安全保障上の守りを確実に
しておくことであり、もう1つが、移民受け入れ体制を整えること
である。

さあ、どうなりますか?



コラム目次に戻る
トップページに戻る