6090.日本経済をどう維持するか?



日本の人口は減少し、物作りでも日本の若者が関心なく、AIとソ
フト開発には論理力が必要であるが、日本人はあまり数学が得意で
はない。日本経済の今後を検討しよう。   津田より

0.米国株価
NYダウは、利下げ期待で、7月16日27,398ドルと最高値を更新したが
、製造業ISMが50割れ、かつ米欧貿易戦争も始まり大きく下落したが
、ステルスQE4と3回の利下げと、雇用統計もよく米中貿易協議も、部
分合意の方向と報道で、大きく上昇。

リスクオン相場で連日最高値更新になっているが、10年国債の金利
は1.6%に上昇してきたし、米中通商交渉が12月に延期したことや中
国が関税下げの一段の拡大を要求するが、トランプ大統領は、それ
を合意していないとしたのに、6ドル高の11月8日27,681ドルになる。

トランプ大統領は、米中通商交渉を株価のコントロールに使ってい
るが、現時点の株価上昇は行き過ぎであり、少し止めたいと思って
いるが、市場は熱狂に包まれて、株価は上昇している。このため、
中国との12月部分合意の調印もなくなる可能性が出てきた。

IMFは、世界全体で、188兆ドルの債務が政府と民間であり、この
債務は返せないと警告し、同じく19兆ドルの社債が発行されている
が、半分はデフォルトの危険があると、言っている。

ガン・ドラック氏は重大な局面にあると述べている。バブル絶頂期
は株価も猛然と上がり、熱狂の中にいるので、その相場に巻き込ま
れてしまうことになる。しかし、実体経済を見ると、企業の収益は
減少して、資産と借金を増やす両建経営は行き詰まり、そろそろ限
界に近い可能性がある。

景気のピークは、2018年でそれから下り坂になっている。雇用統計
で雇用が増加しているが、低賃金労働者だけである。中間層以上の
雇用は減少している。投資家は、次の不況に備える行動を取ること
だと、ガン・ドラック氏は警告している。

バブル崩壊は、そこに踊った金の量に比例するので、中央銀行がバ
ブルを作ったので、今までの10倍以上のお金が踊っているので、今
までの10倍の衝撃になるとガン・ドラックは言っている。次のバブ
ル崩壊で米国経済は崩壊することになると見ている。

ここで、米中通商交渉が破綻すると、そのトリガーになりかねない
と見るが、トランプ大統領の9月1日分の関税引き上げを元に戻すこ
とは了承しないことで、中国の農産物輸入500億ドルも宙に浮くこと
になる。しかし、悪いニュースで株価が下がると、押し目買いが入
り、株価は落ちない。

トランプ大統領は、2020年6月に株価を最大値にしたので、現地点で
の爆上げは危ないと感じて、12月の合意が危ぶまれる状況にするこ
とで、株価を少し下げたいようである。しかし、今の熱狂相場で、
悪いニュースを相場が無視してしなう傾向が出てきた。

中国も米国の世論調査を見ていて、バイデン候補の支持率が復活し
てきたことで、様子見のムードが漂い始めている。しかし、中国の
輸出が9月1日の関税引き上げで16%の減少しているので、これ以上の
関税UPは阻止して、できれば9月1日実施分の関税UPも元に戻したい
ようである。

1.日本の株価
日経平均株価は、2018年10月2日24,448円になったが、以後低調で、
12月26日18,948円と暴落し、その後はレンジ相場になり、10月から
売り残の買戻しや海外投資家1.6兆円の買い越しで、連日の年初来高
値になっている。たぶん、海外の買いの半分以上は投機筋の先物買
いで、24,000円に向けて上昇している。

しかし、ソフトバンクGの155億円の赤字、楽天の141億円の赤字な
ど下方修正が多数出ている。上場企業の前期比1兆円の収益悪化にな
っている。実体経済は弱い。それと、米中通商交渉の行方に心配が
出ても、なお、11月8日23,391円と続伸した。熱狂相場が日本株をも
押し上げている。

リスクオン相場であり、1ドル109円台になって、想定為替レート108円後
半より円安になり、外人投資家が日本株買いを開始したようである。
日本は、景気後退が米国より強く出ているのに、株高になっている。
バブル抑止を日銀が進めないと、バブル崩壊時の衝撃を米国同様に
受けて、大手銀行の一角を含めて、多数の地銀が倒産の憂き目にあ
うことになる。

日銀の金融政策の方針を転嫁する必要がある。バブル抑止に替える
ことである。金利水準はそのままで、日銀手持ちのETFを大量に売る
ことである。そして、バブルを抑止して、外人投資家の期待を裏切
ることである。これを、強く推奨しておく。

米国のバブル崩壊、経済崩壊に巻き込まれてはいけない。EUは、
巻き込まれないように、不況風を吹かせているが、それが正解であ
る。

2.日本は、すでに物作り大国ではない
株価は上昇しているが、AV系、IT系機器では韓国と中国に負け
て、ソフト産業、ITサービス業では、米国と中国に負けている。
自動車でも今後のEV系では、中国や欧州に負ける危険性がある。

徐々に、製造業のGDPに占める割合も低下しているし、民生機器
での日本企業のシェアが下がっている。モノづくりでの限界点に来
ているように感じる。物からサービスへ産業構造が変化してきてい
る。設備投資でも製造業ではなく、観光産業が活性化している。

それに伴い、若者に物づくりへの情熱を感じなく、優秀な人が物づ
くり企業に入らない。このため、企業は物づくりで日本離れを推し
進めている。

工作機械や電子部品でも中国、韓国企業が徐々に出てきている。特
に「中国製造2025」で急速に先端製品の性能が上がっている。

三菱航空機のスペースジェットは、複数回の納期延長でキャンセル
が多発している。日本人だけでの開発が大きな問題となってきてい
る。外人が主力で、日本人は補助の方が良かった感じである。

反対に、ホンダ・ジェットは、知識ある外人で設計・開発したこと
で、大きな成果を出している。米国での設計・開発・生産を行い、
日本には何もない。

日本人の物づくり能力がそれほどでもないことが、証明されてきて
いる。また、大学でも研究費用が削減されて、将来ノーベル賞を取
れる研究が少なくなり、若手が研究生活を送れないような環境にな
っている。AIや量子コンピューター分野の実用化でも米中に、大
きく離されている。

これにより、大きく製造業の競争力が失われることになるが、国家
予算の余裕もなく、対応できないでいる。今後、10年程度で、中小
企業の半分程度がなくなり、職人芸的な物作りができる部品産業も
衰退することになる。

勿論、AIやソフトの開発に機械産業でもシフトせざるを得ないが
、これは、論理力が必要であり、日本人の5%程度しか対応できな
いし、必要なら世界から有能な人間を日本に来てもらうしかない。

物作りを捨てるのではなく、世界から有能な人間に来てもらうこと
である。職人芸が必要な部品産業は、東南アジアの人に任せるしか
ない。製造業の工場は、AIとロボットで無人化されてくるので、
日本人を必要としなくなる。

このような状態では、日本は、もう、物作り国家から違う国家像を
描かないといけない。勿論、AIなど最先端技術をベンチャーなどで
行い、それを国がサポートして、大きな力を掛けるべきであるが、
予算が回せない。

日本を衰退途上国という評論があるが、それではどうするかの議論
が出ていない。そして、衰退途上国としてどう生きるかは、日本人
の特性を再度検討して、違う道を模索することが必要である。

3.観光立国
とすると、日本の次は何かというと、観光しかない。観光には、そ
れを魅力的にする複数の要素がある。その要素を強化する方向で、
観光業を推進することである。

日本は、「観光資源+礼儀良さ+治安の良さ+まじめな態度+観光
に必要な高級食材+料理を作るシェフ」などを重層的に育成して、
それほどには、論理力を必要としない分野に力を入れて推進して、
国民の8割が食べていける職を作る方が良い。低賃金かもしれない
が、一流になれば、それ相当な賃金になる。

観光資源では、伝統工芸の世界も維持する必要がある。漆産業や漆
工芸などは、維持する必要がある。治安の維持には、貧富の差を拡
大しないような仕組みを作るしかない。まじめさは、論語教育など
が必要である。

そして、観光立国化することで、最低の職を確保しておくことであ
るが、これは、フランスやスイスと同じ戦略でもある。日本のスイ
ス化やフランス化とも言えることである。

現時点、4000万人が来日して、1人20万円程度を日本で使うと、それ
だけで、8兆円規模の産業になる。IRなど観光での消費を増やせば
、10兆円規模になる。携帯電話やコンビニの市場規模と同じレベルに
なる。

そして、高級化も推進して、富裕層の観光を促進して、1人当たりの
消費額を上げる政策も必要になる。

この産業を延ばすことで、次の日本のメイン産業をするために、観
光公害などを、抑制して地元住民の暮らしとの調和を図る必要があ
る。京都市の行っている宿泊税などは、迷惑を金に代えて、市民生
活を保護したり、舞妓さんを見ようと観光客が大勢来る祇園などは
、地域に入る木戸銭を取ればよいような気がする。舞妓を見るショ
ーなども行い、観光客の要望を満足させればよい。

というように、観光業を組み立てなおして、次の多くの日本人の就
職先は、観光業関連にすればよい。こちらは対人サービスであり、
人間が対応した方が良い。

地域振興にもなる。地域の観光資源を掘り起こすことである。特に
外国人が好むのは、田畑と里山の風景であり、日本のどこにもある
風景である。これを観光化することが必要になる。

自然風景も観光資源になる。3月に奥入瀬に行ったが、雪が多く歩き
にくいし、緑もない風景であったが、多数の外国人がいる。聞くと
、台湾からの観光客であり、台湾には雪のある奥入瀬のような風景
はないと言っていた。日本人は秋の紅葉のシーズンが良いと思って
いるが、台湾の人は冬の方が良いのである。北海道も冬にタイから
の観光客が多いという。いろいろな国の観光需要は違うので、それ
に対応すると、面白いことになると見た。

4.農業の再生
現在、温暖化や寒冷化が同時に起きている。大陸内部では極地から
の冷たい風で、10月の米国中西部は、ものすごい吹雪に覆われて、
普通5度程度の温度であるのに、今年はマイナス30度まで下がってい
るので、トウモロコシの40%が刈り取り前で収穫できなかったという。
大豆も半分程度がダメなど、大きな被害が出ている。このため、米
農家の倒産が20年ぶりに多くなっている。日本では逆に温暖化によ
る台風の強大化で被害が出ている。

オーストラリアなどは温暖化による干ばつで、小麦が不作になり、
中国も米国から大豆、豚肉などの輸入をせざるを得ないことになっ
ている。農作物の世界的な気候変動で、不作になっているのだ。

発展途上国は、農産物価格のインフレで、国民が政府に対して、怒
りのデモを行っている。この現象が徐々に日本の食卓にも出てくる
ことになる。

このことが、日月神示に出てくるので、心配している。このため、
早く、日本農業の再生を政府主導で行う必要があると見ている。

若者の農業への誘導を行い、農産物の収穫量を増やしていくことが
必要になる。農家の平均年齢が70歳では、農産物の量を増やすこと
ができないし、耕作放棄地が増えるだけである。

儲かる農業のために、大規模で自動機械農業への投資支援をして、
若者の就業を促進することが必要である。地方の人口減少も、この
政策である程度は防げることになると見る。

5.水素社会への移行、素材革命
トヨタが推進する水素社会への意向は国家も含めて、推進するべき
分野であろうと思う。自然エネルギーの変換効率が上がり、キャン
ピングカーには、必需品化してきた。家でもFITが終了して、今後、
蓄電池などのサポートで、使われることになる。

原発から巨大な電力ではなく、地域などでも地産地消エネルギーが
出てきて、電気の分散化が進んでいくことになる。

また、ミドリムシの量産に成功したことで、ミドリムシを餌にする
油分の多い微生物の量産もできることになっている。石油が微生物
から得ることができるはずである。ミドリムシから石油にするより
効率が大きく上がるはずである。自然エネルギー利用であり、CO2を
減らすことにもなる。

素材での日本は大きなポジションがある。固体型電池、セルロース
・ナノファイバー、IPS細胞などで、物性や生物の特性に起因した
研究の方が日本人気質に合っている。

日本人の弱い論理分野は、海外から論理力のある人を日本の会社が
雇い、AIやロボット化、機械のソフト化を行い、日本企業が今後も
世界で戦えるようにしないといけないと同時に、観光業と伝統芸や
農家、水素社会化、素材分野などを振興して、今度の寒冷化・温暖
化を見据えて、国家戦略を変えていくことである。その基本にある
のは、日本は衰退途上国にあり、すべての分野で最先端になること
はできないという諦めであろう。

さあ、どうなりますか?


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