6087.米国株強し



バブル崩壊の危険があると有名なトレーダーが警告するが、米株価
のナスダック、SP500は最高値を更新し、NYダウも高い。この原因と
今後を検討しよう。          津田より

0.米国株価
NYダウは、利下げ期待で、7月16日27,398ドルと最高値を更新したが
、その後下落して、製造業ISMが50割れ、かつ米欧貿易戦争も始まり
大きく下落したが、ステルスQE4と3回目の利下げ、10月新規雇用12.8
万人で事前予測7.5万人より強く、9月も18万人と8月も21.9万人に
上方修正。

その上に、米中貿易協議も、部分合意で署名できるレベルになったと
米中当局同時発表。このようなことで11月1日に27,347ドルと最高値
まで51ドルに迫っている。

米国FRBがPOMOで、月600億ドルの短期国債を買い、資金を市場に大
量供給したことで、株価は上昇し始めているが、その上にFRBは0.25%
の利下げで適温相場になって、雇用統計や米中貿易交渉の合意もなり
、SP500:3,066とNasdaq:8,386と史上最高値を更新した。そして、JP
モルガンは、SP500が3200まで上昇すると言っている。

しかし、株価は、現時点でも50%も高い水準にあるとバフット氏は、
言っているようだ。それでも上がるのは、資金がジャブジャブで、
かつ金利が低いことによる。

ドイツ銀行の倒産なども起こりえない状況であり、合意なきブレク
ジットも起こらないし、米中貿易戦争も一服して、経済の問題点が
すべてなくなり、投資家心理が改善したことも大きい。

そして、完全にリスクオン相場になってきた。有名なトレーダーは
、バブル相場であり官製相場に注意が必要と述べているが、景気の
底割れを回避したと、米経済評論家は述べている。というように総
楽観相場になっている。

この総楽観相場は、強引な金融政策による株高・債券高であり、ト
ランプ大統領が再選されたら、どこかで正常な金融政策に戻す必要
がある。しかし、アマゾンとアップルなどGAFA株は、2019年9月
をピークに株価は下げているので、現時点で株価上昇を支えている
のは、多くのバリュー株である。

トランプ大統領は、2020年6月当りをピークにしたいのかもしれない
が、このような早期の株価上昇をさせると、2020年6月まで持つのだ
ろうかと不安になる。しかし、今の所、トランプ大統領の株価コン
トロールは、大成功をしている。

1.日本株価
日経平均株価は、2018年10月2日24,448円になったが、以後低調で、
12月26日18,948円と暴落し、その後はレンジ相場になり、10月から
売り残の買戻しとFRBのステルスQE4、それに伴う海外投資家の買い
越しで上昇したが、10月29日23,000円を付けた達成感から横バイが
続き、11月1日22,850円となっている。

FRBは利下げしたが、日銀は何もしなかった。しかし、為替は、1ド
ル107円と円高に一瞬なったが、直ぐに108円台に戻している。日本
のGPIFなど機関投資家は、米国の債券と株に投資していることで、
ドルを買うのでドル円はほとんど動きがないようだ。

自動車関連など製造業を中心に下方修正になっているが、半導体と
電池関連の株価が上昇している。5Gで半導体関連企業の受注見込
みが急増していることで、株価もしっかりしている。米中貿易戦争
が一服すると、中国からの一層の受注も加わると、半導体・電池関
連会社は期待しているという。

しかし、自動車の売上高は減少して、自動車部品会社は再編が必要
となり、アイシン精機は子会社を併合したし、ホンダと日立の部品
会社も合併した。というように自動車関連企業が厳しいことになっ
ている。しかし、再編で一転株価は上がっている。

11月5日は、米国の株高を反映して、23,000円台を回復する可能性も
ある。しかし、実体経済は減速しているのに、上げているバブル相
場であることは、知っておくことが必要だし、この上げは、海外投
資家の出遅れ日本株の買いで支えられている。

米国の今の金融政策は、プラザ合意後のバブル形成になった日本の
金融政策を思い出す。その米国金融政策が日本に波及しているので
、このバブル形成は抑制する必要がある。

日経平均株価が、23,000円を越えたら、日銀は手持ちのETFを売り、
相場を冷やす必要があると思う。20,000円以下であれば、大量にETF
買いをして暴落を止め、23,000円以上になれば、日銀はバブル形成
を抑制する必要がある。今の相場は、常識的な相場とは、かけ離れ
た状態になっている。

日銀は、市場の暴落を止めると同時に、市場のバブル形成を止める
役割もあるはずで、そうしないと日銀の株式での金融政策運営がお
かしくなる。

ETFを買うなら売ることも、日銀は仕組み的には備えることが必要で
ある。10年国債も金利をプラス圏に維持するために、日銀は10年国
債を売る方が良い。短期金利をマイナスにしても、スティーブ化で
、長期金利は2%程度にする必要がある。

2.米軍のシリア撤退回避
米軍は、シリア撤退といいながら、クルド人支配の油田地域に移動
して、クルド人部隊と共同でパトロールを開始した。この油田地帯
は、トルコとイラクの国境付近のシリアであり、ISは崩壊し指導者
アブバクル・バグダディを殺害したので、敵はISからトルコとロシ
ア、イランになっている。

このため、戦車を配備することとした。何のことはない、シリア撤
退回避になっているが、米軍の状況は周囲を敵に囲まれた状態にな
ってきたことになる。

軍産複合体の共和党議員は、トランプ大統領の弾劾裁判を否決する
代わりに、シリア撤退回避の取引(ディール)をして米軍をクルド
人地域に残留することになったのである。

このため、ペロシ議長が行った米下院の大統領弾劾手続き決議で、
賛成票232、反対票196と共和党は、全員が反対で民主党からは2名が
離反し、反対票になった。取引は成功して、トランプ大統領も弾劾
調査で無実であることが判明したとツイードしている。

上院は、共和党が多数派であり、多数の共和党の議員が離反しない
限り、裁判が否決されることになる。このため、ペロシ議長は、世
論に訴えるために、公開での討議を行うために下院で決議をしたの
であるが、裁判自体は否決されることが確定した。

しかし、この米軍シリア撤退騒動で、米同盟国であるイスラエルの
ネタニエフ首相もトランプ大統領は信用できないと述べている。米
軍の信頼感を大きく傷つけているが、それをトランプ大統領は狙っ
たとも見える。米軍の信用を落として、各国が自立することである
と暗にトランプ大統領は述べているのだ。

3.米中通商交渉
中国は、民主党バイデン候補がウクライナ疑惑で失墜したことで、
トランプ大統領が再選されると読み、米中貿易交渉を真剣に行い始
めた。

ウォーレン候補が大統領になると、米国株価は25%以上も下落するこ
とになり、対中政策もトランプ大統領よりも厳しいことになる。

ウォーレン候補よりトランプ大統領の方が、交渉がしやすいと見て
いる。トランプ大統領も再選のためには、中国が米農産物を大量に
買い、米国製品も買ってもらう必要がある。

中国は国家体制の変更になることはしないし、国内を説得できない
ため、貿易赤字解消の部分合意はできるが、国内制度改革などの完
全合意はできない。

その上、中国の経済は、米国との貿易が少なくなり、不景気になっ
て、地方銀行の信用不安も出て、これ以上の貿易縮小を防ぐ必要が
ある。

米国も、選挙前に農家の支持と製造業の支持を得るために部分合意
をしていくことが必要になっている。このため、米中は部分合意で
まずは、決着したようである。当初の見込みのような感じになって
きた。

そして、チリのAPEC会議の合間に米中首脳会談で合意する予定
が、チリの混乱で、APECが中止になり、トランプ大統領は農業
州であるアイオワ州で調印式を行いたいと言っている。農家のため
の合意であることをアピールしたのであろう。

しかし、香港で天安門のような事件になったら、人権問題であると
ペンス副大統領は、中国をけん制している。ハイテク問題と人権問
題を米国は中国に突きつけて、トランプ大統領は、ディールを有利
に進めたいようである。

4.韓国問題
超党派の国会議員でつくる日韓議員連盟と韓国の韓日議員連盟は、
1日、合同会議を東京都内で開催して、日韓関係の法的基盤が崩さ
れようとしているなどとして適切な対応を求める考えを表明したが
、韓国側の幹部は、「徴用工賠償」の司法判断は尊重しなければな
らないと述べて、日本が求める対応を拒否している。

これでは、問題の解決はできないことになる。また、経済基金を日
韓企業で作り、そこが賠償を行うとしているが、これは韓国側の国
際法違反を認めることになり、日本の尊厳と国益を大きく損なうこ
とになる。

11月末に情報協定であるGSOMIA破棄になり、米国は強く韓国
に破棄の中止を求めているが、この件は日本側で譲歩することでは
なく、韓国側が破棄を中止すればよく、日本の日韓議員連盟は譲歩
することは必要ない。日本の議員として、日本の尊厳放棄と国益棄
損になることを推進することは、非常におかしい。

日本の国益を守るべき議員が、このような国益棄損の行為をするな
ら、次回選挙で、自民党議員であったとしても、国民運動をして、
落とすことも考えるべきである。

韓国が日本企業の韓国資産を売却するなら、韓国の日本にある資産
を凍結するなどの強い処置を警告することが重要だと思うが、なぜ
、日本は強い処置を警告しないのであろうか?

このため、韓国は、日本が譲歩するという妄想を抱き、日本に対応
してくることになる。日本も強い態度を示すなど、対応を考えるべ
きであり、韓国の甘い考えを許さない態度が重要になっている。

日韓関係は最悪になってもしょうがないと、日本が意を決して、強
い態度に出るしか問題の解決はないと見る。

5.日本の今後
ラクビーの桜ジャパンは、外人半分・日本人半分の構成で世界と戦
った。リーチ・マイケル主将は、外人のチームメンバーに日本文化
を浸透させていた。このようなことが、今後、日本企業でも先端企
業では、出てくることになる。

今後、ソフト需要、AI需要が拡大するが、論理力のある人間は、人
口の1%程度であり、多くても5%程度である。このため、海外か
らも論理力のある人間を日本に入れないと、日本企業が世界で戦え
ない。そのため、先端日本企業でも半分日本人、半分外人であると
いう企業が増える。

世界全体が、上流階級と大衆階級に分離するが、日本でも同様なこ
とになる。その時、外人が日本文化に溶け込み、日本企業の中で、
活躍できると、外人は日本で上流階級になる。このため、日本での
上流階級は、半分外人、半分日本人となるような気がする。

日本人は「相見互い」などの精神で世界に出ていき、論理力で外人
が日本企業の主力となるような気がする。

さあ、どうなりますか?



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