6075.リセッションで、どうのようなショックが来るか?



米中貿易・金融戦争になり景気後退局面で、日韓紛争が起きた。次
の心配は、今の景気後退から大恐慌へ、どのようなことが起きるか
である。検討しよう。  津田より

0.日米株価
NYダウは、利下げ期待で、7月16日27,398ドルと最高値を更新したが
、トランプ大統領が中国への追加関税UPと為替操作国認定で、8月7日
25,440ドルまで下げ、8月9日26,287ドルになっている。

日経平均株価は、2018年10月2日24,448円になったが、以後低調で、
12月26日18,948円と暴落し、米国で今年利下げ観測で、7月25日に、
21,823円まで戻したが、米国の追加関税UPで8月6日20,110円と大幅
な下落になり、8月9日20,684円になっている。

1ドル=7元以上になり、中国への追加関税の上に、為替操作国認定
と米国は、対中政策が過激化してきた。このような過激な政策を提
案したのが、ナバロ通商局長であり、他の側近はすべて反対したが
、トランプ大統領は、ナバロの提案を採用した。中国を為替操作国
にしたことで、貿易戦争は通貨戦争に拡大した。米国は、9月もFRB
は利下げになる方向だが、トランプ大統領は1%の利下げをFRBに要求
している。

このため、世界は通貨安競争になり、新興国などが利下げを加速し
たことで、利下げができない日本の円は、105円台になっている。こ
の円高と米国の対中政策で、空売り比率が50%以上になり、日経平均
株価もPBRが1倍(20,252円)に近づき、日本企業の現状は最高益より
落ちたが、最高益付近であり企業価値がそこまでは低くないと、空
売りの買戻しが入っている。2万円台前半で買戻しが入り、膠着状態
になっている。

しかし、貿易摩擦から通貨安競争となり、世界的な金利水準が問題
として大きくなり、また、貿易摩擦で貿易量が減ってきている。
今週は、お盆で企業の多くがお休みで、実需の円売りがないので、
投機筋が円買いを仕掛ける可能性がある。そうすると、1月のフラッ
シュ・クラッシュの104円台を越えた円高になる可能性もある。しか
し、企業利益は減益とはいえ、過去最高レベルにある現状では、株
価の大幅な下落を起こせない。PBRが0.6倍になったリーマンショク
のような大きな世界的なショックが起きないと買戻しが出て、株価
の下落は限定的である。2万円の攻防が当分続くことになる。

現状の株価動向は、1998年の株価動向と非常によく似ているが、こ
の年は、8月と10月に底がなっているダブルボトムを形成している。
このため、当分、もみ合った後、再度大幅な下落が起きる可能性が
高い。

1.米中貿易・通貨戦争の行方
中国は、米国の為替操作国認定と追加関税UPに対抗する手段がなく
、米国農産物の購入を停止したが、関税UPをできない状態である。

中国としては、米国との交渉を未決着のまま、長く引き伸ばすしか
方法がない。決裂すると、中国で生産する海外企業の撤退が本格化
して、経済成長が止まるか減少することになり、ドル建て企業債務
が多い中、人民元のキャピタルフライトが起き、企業デフォルトが
多発する危険性がある。もし、デフォルト多発になると金融恐慌に
なる危険がある。そのことで、共産党独裁体制の危機に直面するこ
とになる。

このため、米国との交渉を止めることもできない。妥協として、「
中国製造2025」を期間延期して、中国製造2030や2035にすることで
しょうかね。米国と交渉決裂は、できないようだ。

しかし、トランプ大統領は、合意できない9月末の米中交渉をしない
とツイードしたが、株価の大幅下落する経済問題は、中国ではなく
、利下げをしないFRBであるとして、中国との交渉を継続するようで
ある。大統領選挙戦後半2020年8月にでも、突如合意したというツイ
ードをするのであろうか?トランプ独壇場で、前後関係が見えない。

米国は、中国との交渉に期待しないで、WTOルールの改革を要求して
、だめなら独自ルールを作り、同盟国にも広めて、現在の不平等な
国際ルールを無効化するようだ。世界の戦後経済体制を破壊して、
米国を守る方向になっている。この方向を提案するのか、ナバロ局
長であり、トランプ大統領も賛同している。

米国の覇権を擁護する戦後の世界経済体制を、米国が破壊すること
になっている。米国は自国の覇権を放棄することにもなる。

中国は、米国が中国阻止を進めるなら、最後の手段は、中国のダメ
ージも大きいが、大量に持つ米国債を投げ売ることになる。それと
同時にドル決済を止めて、ロシアやイランなどと人民元決済圏を作
るようである。この準備は着々と進めている。

そして、米国債を売られると、米国長期金利が上昇して、FRBが短期
利下げしても、長期金利が上昇して債券の買い替えができなくなる
事態が起きることになる。

米国企業も、ドル建ての債券発行が多く、それで得た資金で自社株
買いや新規投資をして、両建て経営をしている。しかし、ここで金
利が上がると、借金ができずにデフォルトになる危険性が出てくる。

ポール・チューダー氏は、現状の低金利や量的緩和の金融政策は、
このまま続けることはできないという。企業の借金経営を助けるジ
ャブジャブの金融政策では、どこかで限界がきて、社債市場が限界
になり、借り替えができなくなる。

事実、社債市場で、ジャンク債金利と長期金利の差が拡大している。
ジャンク債の金利は大幅な上昇をして、借り換えができなくなって
いる。とうとう、ジャンク債市場から始まりだした。

ということで、米中経済の潰し合いという結果になる。しかし、確
実に、その方向に米中は向かっている。それに引きずられて、世界
経済も下降してきている。

ということで、米中の世界経済体制破壊が始まり、次の新世界経済
体制誕生への苦しみが当分続くことになる。そして、次の新世界経
済体制がどのようなルールになるか、まだ見えていない。MMTで
はないことは確実である。

2.どのような金融恐慌になるのか?
このような世界的な景気後退期に最初に金融恐慌が起きるのは、そ
の時点で、一番問題を抱えている地域や企業になる。

その1つが、日韓紛争が起きている韓国である。韓国ウォンは、ド
ル1,214ウォンと1200ウォンの節目を越えて上昇している。これはキ
ャピタルフライトが起きているように見える。これに連動して、韓
国総合株価指数も下落したが、8月8日に日本が輸出許可を出したこ
とで落ち着き、節目の1900を割った8月6日1891から8月9日1937にな
っている。

しかし、韓国が徴用工賠償請求で日本資産を現金化した時点で、日
本は韓国に経済制裁を行うが、金融封鎖すると韓国経済は、破綻す
ることになる。現時点でも韓国ウォン安であり、金融封鎖になると
より深刻なウォン安になり、日本のメインバンクは信用状も出せな
くなり、輸出業務も止まることで、韓国企業は立ちいかなくなる。

ということで、韓国発の金融恐慌が起きることになる。韓国は通貨
スワップ協定を日米と結ばず、中国とも更新していない。このため
、ウォン安を食い止めるドル資金調達の経路が少ない。また、韓国
が破綻して、IMF管理体制になる危険性が、大いにある。今度は
日本は、韓国を助けてはいけない。

勿論、日本にも波及的な悪影響が起きることになるが、それほど大
きくない。そろそろ、波及を大きくしないためにも、韓国経済の破
綻を見越した日本企業の対応が必要になってきたと見る。輸出に対
する厳重な資金管理が必要である。

もう1つが、ドイツ銀行の倒産である。デリバティブ取引でどのく
らいの損失が出ているのかわからないが、投資部門のバッドバンク
構想が出ているが進んでいない。ここでも金利が上昇すると、損失
の飛ばしができなくなり、デフォルトの危険性がある。

もし、そうなると、世界的なデリバティブ取引の踏み倒しが起きて
、EUの銀行の連鎖倒産が起き、そのために、世界的に金融恐慌が
起きることになる。日本の金融機関にも大きな影響を及ぼすことに
なる。これが一番心配である。

3つ目としては、GE、GM、フォードやテスラなどで現時点でも
倒産は心配されている多くの米企業の倒産が起きることで、米国市
場の株価が大きく落ちて、また、それによる連鎖倒産も起きて、そ
の影響が世界に及ぶことになる。これも日本の部品企業の輸出先で
ある可能性も高いので、大きくなる。

4.韓国の軍事情報協定の破棄
韓国経済の危機的状況にも関わらず、韓国は、日本との関係を破棄
する一環として、軍事情報協定の破棄を検討している。これに危機
感を感じている米国は、エスパー国防長官を派遣して、軍事情報協
定の破棄を思い留まるように説得している。しかし、韓国の文大統
領は、反日的な発言を止めず、軍事情報協定も破棄する方向である。

このようなことを受けて、2019年版防衛白書では、安全保障協
力の重要度を、韓国について18年版はオーストラリアに続く2番
手だったが、今回は4番手と位置付けた。防衛省筋は「事実上の格
下げを意味する」と明言した。

このため、トランプ大統領も「日韓対立は、米を苦しい立場に」と
言い、日韓の歩み寄りを促した格好であるが、この発言も日本が8月
8日にサムソンへの輸出許可を出した後に言っている。日本が歩み寄
ったのだから、韓国も歩み寄れと言うことである。

そして、その上に、トランプ大統領は、米韓合同演習も金食い虫と
批判し、また在韓米軍経費を5倍に増額したことで韓国と合意した
とツイードしている。米国は韓国に対して、批判的になっている。

軍事情報協定の破棄は、韓国での戦時作戦統制権を有する米軍(国
連軍)を無視して韓国が勝手に決められるものではないし、米国が
許容するはずもない。それでも、もし韓国が軍事情報協定の破棄な
ら、米軍は韓国から撤退となる可能性が高い。または、韓国軍のク
ーデターなどで、文政権の排除になる。

北朝鮮の金正恩委員長の方が、感情的ではなく論理性があるので、
交渉相手として良いということのようである。北朝鮮と直接交渉で
きるので、取り扱いが難しい感情的な韓国を捨てても損得的には、
米国にとってトントンということのようである。

しかし、それでも、韓国は、国民支持を勝ち得るにも、総選挙に勝
つためにも反日感情からも軍事情報協定を破棄するしかないと思っ
ているようである。

このように米国の動きを見ても、文政権では、韓国経済破綻の可能
性が高いように感じる。

さあ、どうなりますか?


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