6052.三尊天井の形成



NY株も日経平均も高値圏での暴落サインである三尊天井を形成した
。このため、今後株価は大暴落になる可能性が出てきた。今後を検
討しよう。   津田より

0.日米株価
NYダウは、三尊天井を形成した。第1の山が、2018年01月22日26,616
ドル、谷が2018年3月26日23,344ドル、第2の山が2018年10月01日で
26,951ドル、谷が2018年12月24日21,712ドル、第3の山が2019年2月
28日26,241ドルで、3月8日25,450ドルと下落で三尊天井が形成され
た。

日経平均株価も、三尊天井を形成した。第1に山が、2018年01月22
日24,129円、谷が2018年3月26日20,347円、第2の山が2018年10月01
日24,448円、谷が2018年12月24日18,948円、第3の山が2019年3月4
日21,860円、3月8日21,025円と430円安で三尊天井が形成された。

日米株価ともに三尊天井を形成したが、第1の山で高値トライ、第2
の山で高値トライして更新できたものの力尽き、第3の山で越えられ
ないことが、確定してショートやロングの利食いで大幅に下がる事
になる。

ECBのドラギ総裁が早期の利上げをしないと宣言し、金融緩和の方向
も示唆したことで景況感が大きく転換した。世界の主要国中銀の全
「ハト派化」の裏には世界経済減速懸念がある。

そして日本も景況感が下がったが、株価の維持をNY株価上昇期待と
日銀のETF買いでしたが、中国経済の減速で、ルネサンスが半導体工
場を2ケ月間も操業停止というし、外食産業も赤字に転落や減収減
益になり、全般的に企業業績が落ちている。それを中央銀行が買い
支えても無理がある。

米国は日本とは違い、景況感が悪くない。雇用統計でも2万人増と
予測値18万人増より大きく悪いが、賃金上昇が3.4%増になり、労働
参加率も63.2%で高水準維持している。

製造業の景況感もよく、米貿易赤字が過去最大8787億ドルと増大し
たが、米中貿易戦争の良い面も出ている。その分、NY株価の下落も
小さい。

その上で、NY株価を高値維持しているのは、FRBの利上げ停止と米政
府の強力なPKOと自社株買いであり、官製相場であることは間違いな
い。米政府の強力なPKOでNY株価もピーク株価の近くまで来た。

もう1つの上昇要因が、2018年7月にはAI投資がNY株の取引量の半分
になったが、まだAIの学習が十分ではなく、新聞の見出しを重視し
ているために、上にも下にも大きく振れるため、ここまで上昇した
ようだ。AIの学習が進むと上下の幅は徐々に小さくなるかもしれな
いが、現時点は振れ幅が大きい。

しかし、米国の対中関税UPで中国経済が減速し、その影響で欧州や
日本経済が明確に減速してきたが、まだ製造業が堅調で米国経済の
減速は限定的である。しかし、今後の世界経済の減速で米国も影響
を受けることになる。

その上に、日本の1月景気動向指数一致CIが前月比-2.7になり、ECB
もハト派になったことで、急激に景気減速観で高まり、この日米の
官製相場の限界に来たようだ。

ということで、AI投資も相まって、世界的な株価暴落になるようだ
。日経平均は、19,000円割れの可能性も高い。そして、エリオット
波動のCで奈落の底に落ち、今相場は完全終局になる。そして、上
げ相場になるまで、当分かかる.

そして、前回述べたように、景況感が悪いのでインバース系の持ち
高が極端に増えて、強気筋が株価を踏み上げて、投げ売りを誘って
いたが、このコラムの読者の多くも、空売りかインバース系に投資
していると思うが、今回は弱気筋の勝利になる可能性が高まったよ
うである。

1.中国経済
全人代は、3月5日から15日まで開催されている。この中で、今年の
GDP伸び率目標が6~6.5%と下げたが、国防費は7.5%増、1兆1898元
規模。厳しい財政から20兆円近くを割き、強軍化建設に力を入れて
いるという。このことから、習近平国家主席の正当性を経済発展か
ら中国の強国化実現達成にするようだ。軍事覇権を米国から奪う方
向である。

中国経済の減速が明らかになり、中国の2月貿易統計によると、ド
ル建て輸出は前年同月比20.7%減となり、減少率は2016年
2月以来の大きさとなった。一方、輸入も3カ月連続で減少した。

1~2月累計の世界全体に対する輸出と輸入を合わせた貿易総額は、
前年同期比3.9%減の6627億ドル(約73兆8千億円)で、輸出は4.6%
減の3532億ドル、輸入は3.1%減の3095億ドルとなった。

この影響で機械・自動車などを輸出している欧州や資源を輸出して
いる豪州、そして日本の経済も減速したのである。

中国がくしゃみをすると、世界は風邪を拗らせるという関係になっ
ている。現時点でも、経済覇権は中国にあるような感じである。

しかし、米中通商交渉は、現時点でも協議が難航しているようだ。
米国の中国構造改革要求9項目中5項目は合意しているが、4項目
は拒否しているようだ。米中首脳会談を3月後半から4月に延期す
るようである。

米中首脳会談で、輸入関税撤廃などの合意できないと、株価は大き
く下落し、合意できれば、ある程度戻すことになると見る。しかし
、部分合意はあるかもしれないが、そう簡単に全面合意できると見
ない方が良い。

2.現代金融理論
米中通商交渉の難航や景気減速感が出てきたことで、トランプ大統
領は、日本と同じような金融財政政策を取り、壁建設やインフラ投
資で、財政赤字を増やしてでも、景気を維持して核価も維持をした
いようだ。その分国債を増やす方向に舵を取りたいが、その金融財
政政策を裏付ける現代金融理論(Modern Monetary Theory)が、米
国で大きな議論を呼んでいる。

独自の通貨を持つ国の政府は、通貨を限度なく発行できるため、デ
フォルト(債務不履行)に陥ることはなく、政府債務残高がどれだ
け増加しても問題はない、という考えだ。しかし、パウエルFRB議長
は、2月26日の議会証言で「自国通貨での借り入れが可能な国にとっ
て赤字は問題でないという人もいるが、私は間違っていると思う」
と明確に否定した。

米国は債権国の日本とは違い、債務国家であり、国債の売り先は海
外で、危機になると逃げ足が速くて、ドル安と悪い金利上昇が相乗
的に進む可能性が高いことになる。

しかし、トランプ大統領は、ドル高に誘導するFRBを再度、批判して
いる。2200兆円もの債務を抱える米国政府としては、FRBに長期金利
を日本と同じように0%近傍にしてほしいようであるが、そうする
ためには、FRBが米国債を買うしかないことになる。量的緩和という
ことでドル安にもなる。

そのことを受けて、FRBが8月から利下げやQEを開始するという観測
も出ている。この予測の根拠もMMTのようである。

しかし、FRBは、現在の財政赤字は問題であり、軍事費の削減を求め
ている。量的緩和と軍事費削減の条件取引のようである。トランプ
大統領もシリアやアフガニスタンからの撤退や米韓軍事演習の中止
や米軍駐留経費に5割を上乗せた駐留支援費を駐留している国に要
求するなどで軍事費の削減を行い始めた。

ということは、米国は、中国に経済的な覇権は取られているが、完
全に軍事的な覇権国家も止めることになる。その方向に事態は進ん
でいる。米国は、巨大な軍事費を支える財政基盤を失くしている。

3.日米交渉
トランプ大統領が「安部首相は7工場を米国に移すと話していたが、
もっと移すべき。日本との貿易赤字は大きすぎる」とツイードした。

3月から日米交渉を開催すると、ライトハイザー通商代表は言うが、
中国との交渉を進めている間は、日本まで手が回らないはず。とい
うことで、4月以降になると見る。

自動車や部品などの工場を米国に移して、中国も米国産の部品や自
動車を優先的に買うので、日本企業からすると、米国に工場を移す
ことは有利になる。米国労働者も喜び、トランプ支持者を増やす効
果がある。日本では人手不足になり、日本から消費地に工場を移す
必要が出ている。地産地消経済を推進するしかない。

その上に、農産品、LNGや石油などを米国から大量に輸入して、黒字
を失くすことである。中東から石油、LNGの輸入を削減して、中東の
戦争による石油途絶リスクを下げた方が良い。

しかし、自動車の輸出数量限定になると、その数量にもよるが管理
貿易体制を引くことになり、日本の構造改革とは逆向きになる。

もう1つの為替管理の問題であるが、円安防止ではなく、円ドルリン
クで、1ドル=105円の5円幅で無限スワップでリンクして、両国の
通貨を繋げて両国が連携してハイ・インフレを起こす事が重要であ
る。日米で通貨価値を下げて、国債債務残高の重みを消すしかない。

4.景気後退期の政策は
今までも述べてきたが、日本の未来を目指した構造改革を行う必要
がある。資本主義が行きついたところが、社会主義であるというマ
ルクスの言葉を実現しているのが、日本だと思っている。

このキーは、能力差による著しい貧富の差を作らないことである。
ある程度の貧富の差は仕方がないが、行き過ぎないことである。日
本は縄文時代から人間関係を重視して、なるべく平等にしていた。

集団社会では、それが社会の安定になり、犯罪も少ないことになっ
ていたが、工業・ハイテク社会になり、徐々にその原則が崩れてき
た。これを取り戻して、その上に経済的な富を増やすことである。

日本人は江戸時代でも、皆が助け合って暮らしていたから、皆が笑
顔になれたようである。西洋人から見ると、貧しいのに皆が楽しそ
うであると記述している。

結果の平等も少しは必要なのである。皆が安定的に暮らせて初めて
、社会の安定が成り立つからである。日本が今後、今より衰退して
貧しくなる可能性があるが、しかし、その原則の上で政策を打つこ
とである。新自由主義経済では日本は難しい。平等を志向した社会
的な資本主義のアプローチを取ることだ。江戸時代の統治思想に近
い。この統治思想のために、論語を思想教育の中心に据えたのであ
る。為政者やリーダーは、私より公を優先する徳が必要と説く。

短期的な金融政策は、前にも述べたように、アクロバット的な金融
政策しかない。長期金利は1%程度にして、短期金利は0%にする
が、国債を売って長期金利を高める必要にもなる。そして、株価を
下げないために、ETF買いはその幅を増やし、ある基準より高い時に
はETFを売り、日銀の株保有量を調整することである。21,000円を基
準にして、21,500円以上では売りでよいと思う。より強い統制経済
化することである。通貨連合により日米でハイインフレを起こすこ
とも含まれる。しかし、いつか矛盾がでてくるから、長く続けるこ
とはできない。どこかでは正常化が必要である。そのためには、新
しい産業と強力に構造改革を進めることである。

ということで、長期的な政策は、少子高齢化に適合した構造改革と
新しい産業を興すしかない。世界経済が冷え込み、日本企業の業績
も下降して、税収も減少することになる。ハイインフレにすること
で、税収を確保して、年金改革、移民政策、土地制度改革、インバ
ウンド促進、農業水産改革、イノベーション促進で水素社会を作る
ことである。

規制緩和はイノベーションを起こすために行うことである。リスク
を取らないと、何も生まれない。規制緩和をむやみに行いことも弊
害があるが、新しい産業を生みための規制緩和は、行うべきである。

しかし、貧富の差を広げるイノベーションは拒否することも必要で
ある。ウーバーなどの大都市での規制は、必要である。

さあ、どうなりますか?


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