6036.ロシアの攻勢で戦争の時代に



ロシアは、東にある中国と日本とを友好関係して、西の中東やウク
ライナに攻勢をかける方向である。世界が戦国時代に逆戻りをした
ようだ。今後を検討しよう。 津田より

0.NY株価
NYダウは、11月23日24,268ドルから11月30日25,538ドルに急上昇し
た。これは、パウエルFRB議長が、政策金利が成長を加速も減速
もしない中立金利の推計レンジに近づきつつあるとし、政策に対す
る柔軟なアプローチを採用していると示唆したことによる。事実、
米国債利回りが3%割れで、適温相場が復活した。しかし、市場が
パウエル議長の発言を故意に誤解したようでもある。
その上、12月1日の米中首脳会談に期待する姿勢を示して、市場は上
げになっている。

中立金利は2.5%から3.5%であり、現時点の金利は2%であり、数回の
利上げが必要であり、期待しすぎの感がある。そして、ハイイール
ド債(ジャンク債)が暴落し始めている。中国の富裕層が爆買いを
しなくなったことに寄り、ティファニーやササビーと高級不動産の
市場が冷えてきて、株価が低下してきている。また、中国企業の海
外資産が大量に売り出されてきた。そろそろ、世界景気減速のシグ
ナルが点灯してきている。

一方、日経平均は11月21日21,243円から順調に11月30日22,351円ま
で上げてきた。こちらは、PERが11倍台と安い水準からPERが12倍台
へと上がってきたことによるが、悲観的なムードが少し和らいだよ
うに感じる。しかし、依然、中国の景気いかんであることは変わり
ない。

1.米国財政破綻の回避
米国の財政破綻が意識されて、より一層、ハイテク技術の防衛が必
要になっている。現時点、イノベーションによる産業しか高利益を
得ることができない。既存技術産業は、GEでさえ利潤が減ってきて
、株価は大きく低下している。ルノーは新技術開発競争に遅れて、
日産の技術が必要になり、日産を支配下に置きたいとしたことが、
逆に日産の反発を呼んでいる。ハイテク競争の時代である。

しかし、このハイテク技術を仰臥しそうなのが、中国の国家政策で
ある「中国製造2025年」であり、米国は中国にその政策放棄と技術
開発に国家資金を使うことを禁止させようとしている。技術開発の
中心が国営企業であるので、国営企業の民営化も求めている。

この部分は、中国も妥協できないので、貿易交渉は難航しそうであ
る。これが貿易戦争の表面である。

しかし、米国の目的は貿易戦争の裏にある。米国は、急を要する財
政破綻回避のために、貿易戦争を起こして、輸入品に関税を掛けて
税収を増やし、所得税減税で国民の支持を得ることを目指していた。
このため、貿易赤字国に対しての関税を個別に上げていく必要にな
っていた。中国には全商品に10%の関税を掛けていけば、相当に
大きな税収が見込めることになる。

しかし、下院で民主党が議会を占め減税ができなくなり、税収増が
現時点の関税上げで出来き、これでコストアップインフレが起こり
、労働賃金も上がり税収は増える。基軸通貨でないなら、ドルは相
対的に減価させるはず。

そして、1ドル=50円になれば、2200兆円の米国債は、減価して
1000兆円になる。これが、一番国債を持つ中国の人民元切上げを米
国が要求する理由でもあるが、ドルが基軸通貨であるので、ドルは
逆に上昇している。

このため、ドルの魅力をなくすためにFRBが再度、量的緩和を行い金
利を1%程度にすることが必要になっている。インフレをハイパーイ
ンフレにしないためには、米国の人口を減少させて、経済成長を止
める必要がある。これって、日本の現状の政策であろう。

このため、移民や難民の受け入れをしないで、消費経済を減少させ
ることである。しかし、そうすると、諸外国が米国債を買われなく
なり、FRBが国債を買い取る必要になる。このように、ドル安円高に
もするようである。

ということで、経常収支赤字国である米国は、ある程度のハイイン
フレを起こすはずである。

もう1つ、トランプ大統領がパウエル議長に文句を言うのは、FRBが
国家財政破綻を見ていないことに対するクレームである。その点、
日銀は財政破綻を意識しているが、今度は量的緩和を止められない。

というように、財政破綻を回避するために、米国は日本化しようと
しているのである。トランプ大統領は、この目的を隠すために、暴
れるプロレスラーを政治というリングで演じているとも言えるし、
ある直感で国家財政危機を乗り越える方法を見つけたともいえる。

そして、このため、絶対に貿易戦争を止めることはできない。今後
もできない要求を中国に投げていく。これで世界経済が減速しよう
が、米国の財政破綻回避の方が急を要するということだ。やっても
速度調整でしかない。しかし、現時点では、これ以上の貿易戦争激
化の必要もないので、一時休戦にしたようである。

日本は、米国とは違い経常黒字国であるので、まだハイインフレに
ならずに済んでいる。米国のハイインフレの影響は日本にも及び、
ある程度のインフレを期待したい。そうすれば、破綻を回避できる
可能性が出てくる。日本より先に米国の財政破綻が起これば、日本
が、その混乱を利用して破綻を回避できる可能性が出てくる。

2.ロシアの攻勢
ロシアは、東にある日本と中国との友好関係を維持して、特に、日
本とは北方領土の最低でも2島を返還しても、東での平和を確立して
、西に出ていくようである。この領土返還を国民が不満に思うので
、東で失う領土より、大きな領土を西で得る必要になっている。

日本の2島返還の要求が、プーチンに西の攻勢を嗾けているとも言
える状況になっている。

このため、ウクライナとの国境地域が大きな狙い目である。今回、
クルミア半島で仕切られる内海であるアゾフ海を手に入れるために
、ケルチ海峡のウクライナの監視艇を強引に拿捕した。

このアゾフ海を手に入れると、東ウクライナ全体がロシア派の領土
にできるからである。その領土をロシアに組み入れるのであろう。

これを受けて、G20でトランプ米大統領は、プーチン大統領との首
脳会談を中止した。また、ウクライナのポロシェンコ大統領は、ア
ゾフ海に艦船を配備するようNATOに要請した。しかし、NATOは動け
ない。

最終的には、ウクライナ全体をフィンランド化するしかないと見え
る。ロシアの要求をある程度、満たす必要が出てきたように思うが
、プーチンはヒットラーの可能性もあり、次々に領土要求を出して
くる心配がある。ということで、世界的な戦国時代が始まったよう
だ。恐ろしい時代になってきた。

もう1つ、シリア空爆をしていたイスラエル空軍F-35をイラン兵が
操作するロシア製S-300対ミサイル迎撃ミサイルが撃ち落とした。
F-35のステルス性に疑問があるのと、イスラル軍は、今後シリアに
いるヒズボラ・イラン軍を叩く手段がなくなる。

また、ロシア雇用兵が大量にシリアにいて、シリアのクルド人地域
にいる米軍と複数回、戦闘をしているという。ロシア軍ではないが
、ここでもハイブリット戦術で着々とシリアでの位置を固めている。
どうも、ヒズボラやイラン兵よりロシア雇用兵の方が戦闘力がある
ようだ。このため、イランよりロシアにシリアのアサド大統領は、
好意的になっている。

そして、日月神示でも、複数回、ロシアに気をつけろと言う記述が
あるが、世界に戦国時代を招き入れるのは、ロシアのような感じが
してきた。プーチンは、ヒットラーの再来かもしれない。

ロシアは、経済的には大したことがないが、軍事力としては大きい
というアンバランスな国家であり、プーチン大統領は経済的な苦境
で支持率が低くなり、対外拡張で支持率を上げたいのであろう。こ
のため、日本との経済関係を強固にして、経済の活性化をするとと
もに、軍事力を使い、領土拡張をする方向のようである。

より一層、ロシアが怖い存在になってきた。第3次世界大戦に進ん
でいる印象を受ける。ハルマゲドンかもしれない。

3.世界が統制経済化へ
今は、ロシアや中国の国家資本主義経済と欧米日などの民主資本主
義経済で経済効率化の競争になっていると多くの評論家が言う。し
かし、日本など多くの国は、徐々に経済の弱体化で、国家が経済の
前面に出てくるしかない状況になり始めている。

1つが、日銀の量的緩和による国債買取で金利の統制を強めている
し、ETF買いに寄り株式市場の統制も強めている。フランスもルノー
などを国営化して、国家管理を強めている。このように相対的に経
済が弱い国は、徐々に国家資本主義の方向に向いている。

米国も、その意味では関税の強化などで国家資本主義に向き始めて
いる。

中国は国営企業の強化で民間企業が潰れているので、企業の国家化
の方向である。より国家資本主義を強化している。

全ては、企業の儲けが少なくなり、国家が企業を守るために前面に
出てきているし、国家がなるなりふり構わず国益を振りかざしてい
る。多国籍企業に対しては、タックスヘブンを認めない方向で、利
益を全て吐き出させているし、デジタル税などで超国家企業に対し
ても統制し始めた。

もう1つ、日本の携帯会社は儲けすぎであると、菅官房長官は値下
げを要求している。国民の消費性向を上げるために価格統制に向か
う可能性も出てきた。

国家資本主義と民主資本主義との戦いではなく、先進国家でも国益
をどうするのか、国民をどう食わしていくのかを真剣に考える時代
になってきたように思う。どちらにしても、大変な時代が来た。

さあ、どうなりますか?



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