6032.米中貿易戦争の緩和か



11月第1週は、株が下落していたがトランプと習近平の電話首脳
会談で貿易摩擦緩和で一致したという。どうなるか?  津田より

0.株価上昇の原因
NY株は、10月3日に26,651ドルと過去最高値を付けて、10月26日に、
24,688ドルまで下がったが、11月1日25,380ドルに戻したが、11月2
日は25,270ドルと前日より109ドル下げた。中国と米国の電話首脳会
談が実現して、11月の首脳会談で合意草案策定をトランプ大統領
は指示したと報道、その後、ホワイトハウス高官やクドロー米国家
経済会議(NEC)委員長が早期の米中の貿易合意に否定的な見方を示
したことで、下げている。

しかし、日経平均は、合意草案の報道を受けて空売りの買戻しで11
月1日に550円以上も上げて22,243円まで上昇した。日本も10月2日に
24,448円と6年ぶりの高値を付けたが、10月26日に20,971円と下げ
ていたが、戻した。

前回、米中貿易戦争の一時休戦などの政治的な取り組みがないと、
下落が続くとしたが、トランプ大統領も暴落の原因が米中貿易戦争
であると見て、日本の安倍首相に中国と米国との仲介を依頼したと
見ている。

そして、安倍首相により中国に、日本が経験した米国との貿易摩擦
の対処方法を説得し、中国が対応を変えたようであるが、そのこと
を中国国民に隠すために、中国が日本より上を演出したのであろう。
安倍訪中に米国は、非難しなかった理由でもある。

安倍首相は、帰国後米国のトランプ大統領に中国の妥協した事項を
伝えて、米国から電話して米中電話首脳会談が実現し、妥協が成り
立った可能性もある。中国の対応が大きく変化し柔軟になっている。

しかし、まだ、妥協事項についてはわからないし、トランプ大統領
の得意な交渉の駆け引きかもしれないし、中間選挙のために株価を
上げるためだけに、わざと仕組んだ可能性も否定できない。

1.株価の今後の動向
IMFは、2019年の経済見通しを下方修正し、アップルの決算報告は
良かったが、今後の見通しを述べなかったことで期待値に達しない
と、アップルまでもが株価を下げてしまった。これでFANG株すべて
が、値下がりになった。NY小型株はほとんど下げているし、J&JやPG
などのデフェンシブ株だけが良い。しかし、ハイイールド債の暴落
はまだないので、景気の後退期には入っていない。一進一退の景気
状況のようである。

日本企業も減額修正が多くなり、すべての企業が増収増益の感じか
ら少し変化して、景気の変わり目を予兆している。

これは、相場の大きな転換点になっている。そして、2019年3月以降
景気減速が明確化する可能性が高い。3月以降は、米減税の効果が剥
がれてくることになり、景気を支えるものがない。

よって、空売りの戻り買いしかないので、自立反発も長続きはしな
い。だから、10月2日に付けた24,448円を上抜けはしない。株価は、
将来を織り込むので、景気後退が見えてきた現時点では、それを織
り込み始める。

悪い材料が出ると空売りが50%を超えて株価が暴落し、良い材料が
出ると暴騰の繰り返しになる。上下動に激しい相場になる。しかし
、企業業績が徐々に下向きになるので、株価は徐々に下がることに
なる。

ということで、下げのエリオット波動が始まり、第1波が来たようで
もある。上下しながら、下がっていくことになる。景気後退期にな
り、金融政策も変化させる必要になる。

2.金融政策
次回のFRBの利上げは難しい。株価の暴落になると利上げはできない。
というより、金融緩和に戻る可能性も高い。量的緩和で資金が市中
にダブつき賃金上昇によるインフレ圧力は高く、米国債金利上昇で
景気後退になるとスタグフレーションとなり、最悪になるので、そ
の前に処置をしないといけなくなる。インフレが大きくなる前に米
国が景気回復の金融緩和すると、日本はどうするかということにな
る。

現時点でも1ドル=113円であり、金利差が縮小すると円高の可
能性も出てくる。景気後退期に入り、日本の金融政策の方が難しい。

円高で不景気になるが、より強い量的緩和を行うと、株式市場も市
場機能が失われる。現時点ではPERが13倍程度と株が安い状態
であり、市場機能は健全であるが、企業利益が少なくなり、PER
が16倍以上になると、株が高い状態になり、日銀のETF買いは
市場機能を損なう可能性が出てくる。

金融政策でもマイナス金利で現時点でも金融機関の利益がなくなり、
地方銀行が大変なのに、不景気になったら貸出先もなくなることで
一層存続が見通せなくなる。

非常にアクロバット的な金融政策にするしかなくなる。PERの数
値に基づく日銀ETF買いと短期金利をゼロ%にして10年国債の
金利を引き上げて1%にした国債買いを行うことにするしかない。
この処置を景気後退前にすることである。景気後退が明確化した後
では、この処置もできなくなる。

しかし、不景気で輸出がなくなると経常収支が大幅な赤字になり、
円安に振れるので、その時は不景気化のインフレ(スタグフレーシ
ョン)になり、打つ手なしになる。インフレが加速しないように金
利を上げるしかない。

この状態にならないような財政金融政策を取っていくことが重要で
しょうね。ということで、今まで私が提言した金融財政政策を無視
したことで、非常に難しい状況になってきている。

3.米国のトランプ大統領と共和党幹部との違い
米国中間選挙が日本時間11月7日(水)の昼に分かるが、この選挙の
途中結果が発表されるごとに株価が上下することになりそうである。

トランプ大統領は、共和党のペンス副大統領などの国際派とは違い
、政治思想なく自分の評判しか関心がない。今の時点、景気を維持
して株価維持の方が、対中国貿易戦争で強硬な手段を取ることより
優先レベルが高いようである。為替条項を日本とのFTA交渉でも入れ
るというように、中国に対抗するための日米同盟重視でもない。そ
の時々の自己評価優先である。このため、右と左に大きく振れるの
で、トランプ政策の予測が難しい。

世界は予測できないトランプ外交を信用できなくなり、米国を頼り
にできないために、米国抜きの外交にシフトしている。その最も進
んでいるのが韓国である。

3.韓国の変化
韓国は、核付き南北統一に突き進んでいる。そして、韓国の有事指
揮権も米国から韓国に移管するという。これで、在韓米軍は、韓国
指揮下では戦えないので、在韓米軍は撤退になるだろう。米韓同盟
も終了になる。韓国は対北朝鮮国境線を無防備にするというし、人
的往来を自由化するというし、北朝鮮と合併するしかない。

北朝鮮での鉱山ビジネスや安価な労働力などを手に入れるが、膨大
なインフラ建設などの負担がかかってくる。経済的な観点がない。

勿論、日本は、慰安婦問題や徴用工問題で、韓国との対立があり、
韓国からの資金支援要請を受けないでしょうし、北朝鮮の拉致問題
が解決しないことから、北朝鮮への資金援助もしないはず。

文在寅大統領は、核付きの強大国になる夢を追いかけ始めた。日本
に対しても核兵器で脅せる。このような政策の理由は、賃金の引き
上げ政策で、韓国経済を弱めてしまい、経済の起爆剤が欲しいから
のようだ。韓国経済は、今サクソンとLG以外は不景気であり、就
職先がないので韓国の学生の多くが日本企業に就職する道を志向し
ている。

文在寅大統領は、韓国経済の起爆剤として、韓国の鉄道をロシア鉄
道に繋げて、釜山をユーラシア横断鉄道の起点としたり、北朝鮮の
鉱山開発をするようである。

4.世界分割ゲーム
トランプ外交が信用できないので、世界を再分割するゲームが起き
ている。イスラエルが一番心配である。米国を頼りにしてきたが、
中東撤退の方向であり、サウジとの友好関係でイラン対抗をしよう
としたが、サウジと米国の関係がおかしくなり、近傍に味方がいな
くなる状況になっている。このため、イスラエルのネタニエフ首相
は、サウジとの友好関係を維持すると声明した。

サウジもロシアとの関係を強固にするということで、ロシアが中東
を取り、中国がアフリカと東南アジアを取り、日本とインド、ベト
ナムなどは共同して中国の進出を緩和しようとしている。

米国は孤立化し、カナダは欧州に寄り、中南米は迷っている。中国
は中南米にも手を出し始めている。欧州は、中をまとめるのに忙し
く他地域への関心はない。これは、中露による世界分割劇になって
いる。ここでも日月神示の予言が実現している。

さあ、どうなりますか?



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