6030.映画評論「華氏119」



マイケル・ムーア監督の映画であり、11月2日に公開予定の映画
の試写会に行ってきた。私は、映画が好きではなく、ほとんど見て
いない。しかし、私のトランプ政策への批判の評論から、ご招待が
来たのもしれない。

そして、ムーア監督の作品なので、トランプ極評の映画であろうと
行ったが、期待通りの作品であった。

ムーア監督は、ゼネラルモーターズの生産拠点の一つであったミシ
ガン州フリントでアイルランド系の家庭に生まれ、フリント郊外の
デイヴィソンに育ったので、フリントの鉛水道の問題が出てくる。

ラスト・ベルト(錆びついた工業地帯)の民主党の活動が少ないこ
とで、トランプ氏が勝った。民主党が労働者の党から資本家の党に
なり、労働者の利益を守る党がなくなってしまったことによる。

米国の新自由主義の資本主義は、企業の利益最大にするために、自
国民を搾取するので、米国民は貧困になり、この貧困者からも搾取
するので、貧困者が健康を害するまでになってきた。この結果で、
フリントの水道が鉛汚染になったようである。

民主党が労働者の党ではなくなり、貧困の原因を資本家のせいでは
なく、移民や黒人のせいにするという国民を分断することでトラン
プ大統領は、絶大な支持を得ている。

本当は、資本家の利益追求が国民を貧困にしたのに、その批判の芽
を摘んでいる。バニー・サンダースは、そこを訴えたが、民主党幹
部に阻止された。しかし、今、この旋風が吹き始めてきたようであ
る。

最後に、トランプ大統領の政策を、ヒットラーの政策と比較して、
米国に自由がなくなっていくと訴える。この部分は、堤美果氏の「
アメリカから<自由>が消える」をヒットラーの政策と比較してい
るのが面白い。

ムーア監督の映像で見ると、このコラムの記事とは違う迫力で迫っ
てきて、米国の貧困化を実感できるようだ。米国の時代は終わり、
世界的な変革の時代を実感する。

米国の政治・経済・社会の動向に興味がある人には、必見な映画か
もしれない。



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