6027.日本の復活に必要なこと



量的緩和の限界やトランプ大統領の外交政策については、いろいろ
な記事が、このコラムと同様な意見になり、このコラムの主張を繰
り返しているので、新しい観点から日本の未来を見ようと思う。そ
して、安倍三選で、今後3年間安倍政権が続くことになるが、日本
復活の政策が必要になっている。それを検討しよう。 津田より

0.日本の問題点
日本は、衰退を遅らせるために、日銀の量的緩和策で国債費を増や
さないようにして、継続的に毎年20兆円以上の財政出動をしてき
た。このため、国債発行高は1000兆円を超しても、毎年20兆
円以上増えている。量的緩和は問題がないと言ってきた評論家も、
沈黙し始めている。

そして、世界経済の曲がり角にきて、日本企業の業績もそろそろ天
井になる。日本企業は人口減少、労働人口の減少で国内消費の伸び
がないので、世界市場に積極的に出て、その歩みと同期して、世界
経済も拡大したことで、売り上げと利益を拡大してきた。

日本企業でも素材、重電、電子部品などの企業は、今まで欧米企業
の領域であったが、そこに攻め入って、ある程度のシェアを分捕っ
た。このため、AVや家電を中国・韓国企業に取られ、国内企業も
衰退し、貧富の格差は拡大したが、日本の株価上昇で日本経済も維
持してこれたのである。

しかし、FRB利上げと米中貿易戦争で中国が米10年国債を買わない
ことで米金利3.24%と上昇になり、世界経済は減速して、この
海外売り上げも天井になり、そろそろ下降し始める時期に来た。

その上に、米金利上昇により円安になってきたことに加え、原油価
格が上昇して、インフレ懸念が出ている。日本の食料自給率は30
%であり、エネルギー自給率は0%であり、このため、輸入食料、
輸入原油に頼っている。その価格が上昇しインフレになってきた。

このため、日本円を安くして景気を維持した策も、そろそろ限界に
来ている。インフレ圧力が増して、日銀の量的緩和もどこかでやめ
る必要が出てきた。米国景気は好調であるが、米金利上昇で株から
債券にシフトが起き、世界経済も減速して日米ともに株価が調整局
面に入ってきたのに、インフレ圧力で日銀の株ETFも終了しかないが
、調整局面と重なることになる。

このため、大暴落する可能性が出てきた。どちらにしても、日銀の
量的緩和終了で逆回転が起こり始める時期に来たようだ。そして、
景気は回復しないために、景気回復後の国債償還は難しくなってき
た。日銀手持ちの国債をゼロ金利の永久国債化で塩漬けにするしか
ない。株価下落を起こすが、株上昇時に日銀手持ちの株ETFは徐々に
売るしかない。

しかし、もし5年前の金融緩和策をしていなかったら、円高で日本
は、急激な衰退の可能性があったので、それを防止した意味では成
功したが、それだけでは日本の復活はない。

1.予算の使い道
この原因は、財政出動した予算の使い先が悪かった。多くの予算を
高齢者への手厚い保護に投入したことで、その予算を投入していれ
ばできた可能性が高い新しい産業もできず、出生率向上の施策に予
算を投入していれば、増加したかもしれない人口も増えず、徐々に
人口減少で消費も減少して、日本は緩い衰退の状態から脱していな
い。

その一番の例が大学の基礎研究であろう。大学の基礎研究に資金が
行かず、年々大学への補助金が減らされている。このため、研究者
の地位が不安定になって、ノーベル賞級の研究ができなくなってい
る。ノーベル賞受賞の学者が口をそろえて言っている。これでは、
日本の産業競争力は大きく損なうことになる。

日本は課題大国と言って、安倍首相は登場し、国連でも自由貿易を
主導すると期待を集めたが、今のままでは日本の衰退は免れること
はできないし、勿論、自由貿易を主導することもできない。

財政出動先を高齢者への手厚い保護では、日本の発展がなく、日本
の衰退も自由貿易も救うことは不可能である。このため、残念なが
ら日本の復活もない。

2.問題先送り
要するに、課題の多くを問題先送りして、量的緩和により財政出動
ができて、得票率の多い高齢者のご機嫌を取って、無事に過ごして
きただけである。

そして、今後、医療費も年金も、団塊の世代が後期高齢者になるの
で、益々予算が必要になり、その予算の穴埋めを若者世代に回すと
、手取りが減り、消費が増えないことになる。安い消費財に流れる
だけで、日本の新しい物や事に消費が向かないことになる。

そのため、新しい産業も生まれないことになり、日本は益々世界か
ら置いて行かれることになる。日本の衰退は目に見えるようになる
はずである。

この対策の一歩目は、人口増加策であるが、移民と出生率向上が必
要になる。予算があまり必要がない移民政策をやっと実行した。

しかし、今後毎年80万人程度人口減少となるが、移民を毎年80
万人も入れたら、いろいろな問題起きてくる。日本の治安も文化も
守れなくなる。徐々に制度を整備しながら、移民は少しづつ入れて
いくことであり、人口減少の対策の1つでしかない。

根本的な解決は、大きな予算が必要な子供育成支援による出生率向
上である。

3.高齢者福祉から子供育成・教育へ
このため、高齢者福祉から資金を教育と子供支援に振り向けないと
いけない。子供の育成支援を野党も言うが、それには資金が必要で
あり、その資金を増税で賄うと、労働者の実質賃金を減らしてしま
い、新しい価値を産めないことになる。

消費税の増税も10%程度で終わり、予算自体の拡大は止め、予算
の振り向け先を変更して、日本を復活させる予算にする必要がある。
という意味では、健全財政に向かわせることである。

しかし、高齢者福祉をすべて無くすことはできない。年金支給の意
味は、老齢になり健康を害して働けなくなった人たちが、寿命を全
うできるようにしたことである。しかし、近年75歳程度まで健康
寿命が延びているので、健康の間は働いてもらうことである。

詳細な制度は、専門家に任せるが、予算のバランスが著しく失われ
た状態になっていることだけは確かである。

4.その他、予算不足の施策
社会保障費の増加で、いろいろな分野の資金が減らされていて、日
本の脆弱性が高まっている。そして、国際政治の混乱や温暖化の影
響で災害が増えて、日本の脆弱な部分を浮き彫りにしている。

温暖化による台風や集中豪雨、地震、火山の噴火など天災が日本に
襲い掛かってきている。この対策費も不足している。北海道のブラ
ックアウトなども需要の半分以上を1つの発電所で賄うという脆弱
性に起因している。

関西空港などは、滑走路のかさ上げ工事が必要である。東広島市の
扇状地にある住宅は撤去して、転居先をあっせんするべきであるし
、このように災害に脆弱な部分を見直すことが必要になっている。

国際政治上の混乱では、中国と米国の全面的な対立で、日米の一体
的な軍運用も必要になり、日本も応分の負担が必要になる。このた
め、米国は国防費のGDP2%を要求してくる可能性がある。

国家の目的は、国民の将来を維持していくことも重要であり、過去
の業績に対する報酬と共に考えていくことが必要である。予算の配
分を過去と将来に均等に分けていかないと、将来を失いことになる。

今の日本は、予算の配分を過去に振り向けて問題を先送りし、将来
に希望が無くなってきているに思う。

与党も野党も高齢者の支持を得るために、将来を暗くしているよう
に感じるがどうであろうか?

さあ、どうなりますか?



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