6023.トランプ大統領の考え方とは?



トランプ大統領の考え方が分からない。そのため、トランプ大統領
のやっていることを歴史的に分析するしかない。トランプ大統領は
、アップルに対して米国で製造をすることを要請した。ここからト
ランプ大統領の考え方を考察しよう。       津田より

0.アップルなどハイテク・グローバル企業
アップル、アマゾン、グーグル、フェースブック、ネットフリック
スなど株価が上昇しているFANGなどは、超国家企業である。企
業の母国である米国の雇用をほとんど増やさず、儲けだけが大きい。
このため、一番儲けているFANGが国家より強くなっている。

アップル製品を作るのは、ほとんど中国であり、部品も日本や韓国
からであり、米国企業から買うのはCPUぐらいである。そして、
できた製品も海外で販売するので、米国の関税も税金もかからない。

米国で行っているのは、設計と企画だけのために、米国の雇用数は
数千人程度であり、株価1兆ドルの大企業としては少ない。雇用の
ほとんどは海外にいる。販売を世界的に行っているので、海外の各
地に販売担当者がいる。

そして、売り上げのほとんども海外であり、資金も米国には戻さな
かった。ケイマン諸島などのオフシェアにおいて、税金逃れをして
いた。

グーグルやFBは、ネットコンテンツであり、製造分野がないので
海外でも雇用数は大したことはない。しかし、少人数で大きな儲け
を出している。そして、税金も納めない。研究機関を海外に持って
いき、税金の安い各地域本社で資金をプールしているので、米国の
税金は少ない。

このように少数の超国家企業が大きな儲けを出すが、米国には大き
な雇用も生まず、税金も納めないことで、利益最大を目指している。

そして、今までは政治資金を出す超国家企業を米民主党は、企業へ
の干渉しないで育成してきた。というように、この超国家企業と民
主的資本主義とは相性が良い。

しかし、これにより貧富の差が拡大し、もう1つが、東海岸と西海
岸の企業の格差も大きくなり、国家に貢献もしない超国家企業が大
儲けをして、威張っていると東海岸の企業は、嫉妬していた。

多くの白人労働者は高賃金の製造業の職を奪われ、貧困状態になり
貧富の差を解消するというトランプ大統領に投票したのである。白
人労働者だけではなく、東海岸や中西部のエネルギー・鉄鋼などの
多国籍企業もトランプ大統領を応援した。

1.トランプ大統領の出現
貧富の差拡大と企業格差拡大により、超国家企業を何とかしないと
いけないと登場したのが、トランプ大統領である。企業は国家に貢
献するべきだというのが、トランプ大統領の考えである。

まず、超国家企業が海外に貯めこんだ余剰資金を米国に戻すために
、税金を掛けないとした。米国への輸入品に関税を掛けるので、超
国家企業は米国で製品を作れと要請し、海外技術者の入国も制限し
た。

結局、トランプ大統領がしたいことは、アップルなどの超国家企業
の生産ラインを米国に作らして、米国に貢献させようということで
ある。

この米国での生産の要請を受け入れたのが電気自動車のテスラであ
るが、うまくいっていない。テスラは雇用数を少なくする完全自動
化で乗り越えようとしたが失敗した。このため、目標数の生産を達
成できたのに赤字である。このように超国家企業は、国家に貢献す
ると赤字になり、潰れる可能性があるので、海外の安い人件費を使
って生産するしかない。

というように、これは米国と超国家企業との戦いが始まったと見え
る。

2.中国の戦略
中国は、超国家企業の前提である世界的で均一なインターネットの
前提条件を壊して、国内と国外の間に壁を作り、国家統制が効く企
業しか国内に入れなかった。そのため、国家統制を利かすために海
外企業の進出は、中国国内企業との合弁でしか認めていない。

このため、米国のFANGも中国には入れないで、中国ではチャッ
ト、検索、ネット通販会社を独自に国家統制のもと育成した。この
企業群は、中国以外の国に出て行ってもうまくいかない。このため
、税金も獲得でき、雇用も中国人だけになった。

このように、インターネットの壁を作り、自国を超国家企業から守
ったのである。

このようなことで、米国は中国に対して、ハイテク技術を盗んだと
いうが、国家と超国家企業の戦いを封鎖したことにもなっている。
しかし、このような中国は貿易自由化をしない独裁・国家資本主義
という形態でしかできない。そして、そこが民主的資本主義国から
批判されているのである。

一方で人件費を安くして、超国家企業の生産を請け負っていた。中
国はいいとこどりをしていたが、そこを突かれた。

トランプ大統領は、中国のすべての輸入品に関税を掛けるという。
このことは、超国家企業の製品にも関税を掛けることになるので、
トランプ大統領と中国の戦いと皆は思っているが、本当は、トラン
プ大統領対超国家企業の戦いが本番を迎えるなったのである。

しかし、昔からの多国籍企業も中国で生産しているので、損害を被
ることになって、中国への関税UPが支持企業も巻き込むために、
躊躇している様だ。EUにも米国多国籍企業が工場を建てているの
で、譲歩している。しかし、米国多国籍企業の工場が少ないので、
日本に対しては強く当たれる。

3.超国家企業と国家的資本主義との戦い
もう1つ、この超国家企業の基盤が民主的資本主義であり、超国家
企業を止められるのは国家資本主義しかないとトランプ大統領も思
っている。

というように、2つの戦いが起こっている。超国家企業と国家の戦
いと民主的資本主義と国家資本主義の戦いである。トランプ大統領
は思想ではなく、感覚的にこの2つの戦いをしているのである。

しかし、2重構造になっているので、周りから見るとトランプ大統
領の行動が訳が分からないと見える。

そして、トランプ大統領は、米国を民主的資本主義から国家資本主
義にすることも目指しいるように感じる。これが、プーチンや習近
平、金正恩などの国家指導者が好きで、民主的指導者が嫌いとなる
理由だ。しかし、そこは共和党主流派も了承できないことになる。

そして、同盟国に辛く、独裁の国家資本主義国にやさしいが、米国
政権幹部は同盟国を尊重しないと中国に負けると見ているので、ト
ランプ大統領にレジスタンスするのである。このため、米国の外交
政策がメチャクチャの印象になる。

ということで、トランプ大統領が目指しているのは、超国家企業を
国家従属企業にして、そのために国家資本主義を確立することにな
る。このことからFRBの政府機関化も述べている理由である。

4.日本の現状
日本にもラインやメルカリなど超国家企業の卵たちが徐々に出来て
きているが、米国から随分遅れて来たので、まだ、その弊害が見え
ていない。楽天などは、ビジネスモデルが新しくないので超国家企
業になれなかったように思う。

孫さんのソフトバンクは、自分で超国家企業になるビジネスモデル
を作らず、作れず、新しいビジネスモデルの超国家企業の卵に投資
するベンチャーキャピタルに変身した。携帯電話企業も超国家企業
から比べると儲けが少ないし、国家統制の範囲にいるので、儲けを
国家にコントロールされてしまう。

ソニーは、アイボで超国家企業のようなサービスを始めた。アイボ
の性格を決める頭脳をソニーのセンターに置き、個犬情報をすべて
管理することで、新しいサービスや商品を売る仕組みを作った。こ
の場を、いろいろな人に解放して、商売をさせるとアマゾンのよう
なことができる。ソニーを超国家企業にシフトさせたとも言える。
というように日本の多国籍企業は、超国家企業のビジネスモデルを
取り入れ始めている。

5.次の国家観を目指して
インターネットにより、世界は一体化して、仕事も世界に分散でき
るようになってきたことで、超国家企業はこれからも増加し、グロ
ーバルが進む。

このようなグローバル化により、自国だけを考える今までの単一民
族国家から国家像を変化させ、民主的資本主義の発展の方向として
も、今後増える超国家企業との親和性を高める必要になっている。

その答えが、超国家企業に対して超国家的国家を作ることになる。
国家にはウチとソトの区別があり、国境という区切りがあり、超国
家企業のビジネスがやりにくい。

このため、国家の上に国家を作る必要になっている。それがEUの
ような経済共同体である。

ローカルな住民の利益も考え、グローバル化にも適合した経済共同
体を作ることしかないような気がする。昔のローマ帝国や唐などの
ような多民族が混在して、しかし、民族が固まり暮らすことを保障
する緩い国家としての経済共同体で、自由な交易と民族の連帯をと
もにできる仕組みが必要である。

このように、経済共同体が今後の方向であり、日米経済共同体を実
現させて、トランプ大統領が感覚的に目指す国家資本主義ではなく
、民主的資本主義を維持させるためにも、安倍首相がトランプ大統
領を説得する必要があると思う。

そして、ローカルな住民の利益は、ここでも述べている地産地消経
済しかない。なるべく住民が職を地元で得るためには、地元に自分
たちが消費する物を作る工場があった方が良い。超国家企業は、そ
の地産地消を手助けすることになる。

設計図とキー部品だけを超国家企業が作り、それらを安く利用させ
、後は現地の工場でバリエージョンを増やして作ることだ。特に3
Dプリンターやロボットなどを駆使すれば品質的にもあまり違わな
い。

さあ、どうなりますか?



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