5995.日米首脳会談は失敗



日米首脳会談は大失敗。トランプ大統領の取引きは、首脳間の信頼
より重要であり、貿易黒字縮小策を持っていかないことで、日米FTA
が決定し、北朝鮮での交渉でも日本の攻撃ができる中距離核ミサイ
ルと核の廃絶には否定的になってしまった。この先、どうなります
か?それを検討しよう。 津田より

0.トランプ大統領の取引外交
トランプ大統領は、安倍首相に日米首脳会議のため訪米時、貿易赤
字の縮小政策を示すことを要求していた。このため、日本は鉄・ア
ルミ関税除外国にもしなかったのだ。日本より、貿易黒字が大きい
ドイツは、EU全体での対米対抗策を作り、米国と取引ができて関税
除外国を勝ち取っている。

韓国は、防衛問題を出されて、譲歩して為替介入が出来なくなり、
米車の輸入もほぼ無制限になってしまった。この米韓FTAの再交渉が
上手くできたので、次は日本ということになっていた。

このような状況では、絶対に貿易黒字縮小策を持っていくことが必
要であった。トランプ大統領は、信頼より取引である。このことを、
日本のリーダーたちも肝に銘じる必要がある。同盟国であろうと、
容赦はしないからだ。

それなのに、何の貿易黒字縮小策も持たずに、訪米してしまった。
これは、非常に大きな判断ミスである。事前に、このコラムでは対
応策を示したが、一連の不祥事の対策に追われて、何の検討もしな
かったようである。

このため、首脳会議では何の成果もなく、ただ、北朝鮮に拉致問題
を話すとトランプ大統領が言ったことが唯一の成果としているが、
米国人で捕まっている人たちの交渉が先で、その解放後言うだけで
ある。

また、ポンペオCIA長官訪朝の交渉結果は、ICBMの破棄と核実験場破
棄はするが、今ある核が保持するということで核廃絶とは違い、今
ある核は容認することになったようである。

ボルトン氏が主張するリビア方式核廃絶の合意は、米朝首脳会談に
持ち越しとなったようである。核施設廃棄は可能性がまだある。こ
の合意の目途が立たないとトランプ大統領は会談を行わない可能性
もあるとした。中国にも合意できるように交渉しているようである。

しかし、これでは北朝鮮は中距離ミサイルと核を持ち、日本は北朝
鮮の脅威を感じ続けることになる。米国としては、北朝鮮の脅威が
あるので、イージス・アシュアや敵地攻撃の巡航ミサイルが日本に
売れることになり、米国としては満足な結果である。商売と軍事が
一体になっていることを思い知らされる結果になった。取引である
から商売も防衛も一緒に考えているのである。

このため、小野寺防衛相は、核の完全な廃棄と中距離ミサイルの廃
棄を主張している。これが本来の日本の要求であるが、日朝交渉を
圧力を掛けながら先に行わなかった安倍政権の失敗により、米国の
思い通りにされることになる。このコラムでは圧力を掛けながらの
日朝交渉を行うことを主張したが、相手にされなかった。

日本は貿易黒字縮小策と引き換えに核廃絶の取引をしなかったこと
で、このような結果になってしまったのである。もう一度言うが、
トランプ大統領は、信頼より取引である。

トランプ大統領の目標は11月までに、貿易赤字を縮小して成果を
出すことに執着している。この執着を逆手に取る必要があるのに、
安倍首相は、何も考えていない。これでは、内政のゴタゴタもある
が、首相失格である。首脳同士の信頼関係も維持できないことにな
り、首相を続けることが日本の国益ではなくなっている。

1.米国経済
モルガン・スタンレーの報告書によると、財政出動が短期的には成
長を後押しするが、その効果はすでに「織り込み済み」の公算が大
きく、景気サイクルの終わりに際し相場が下落に向かう可能性が高
まっていると「うたげが始まったばかりであるかのように振る舞う
理由は減っている」とし、市場は「うたげの始まりよりも、終わり
に近い」と指摘された。

この報告書が出て、米20日株式市場は、前日比201ドル下がり、長期
金利は、再度上昇して3%近くになってきた。円は107円後半と円安
方向になっている。

このため、11月まで景気を持たすために、一層の景気刺激策を取
り、金融機関へのボルガー・ルールのドッド・フランク法の骨抜き
をして、FRBは金融機関への定期検査も止めてしまった。このため、
銀行の収益は、2008年以上に増加しているが、それはレバレッジを
高めて、かつジャンク債を大量に買い始めたことで達成され、2008
年のリーマン・ショック前と同じ状態でなっている。それにも関わ
らず、FRBは検査しないというのである。

2重の意味で、米国経済はバブル経済化して、崩壊する危険が迫っ
てきたようである。それを自社も最高益になったモルガンが指摘し
ているのである。

この経済状況をトランプ大統領も知っているので、勝利を収める確
率の高い日米貿易交渉を行い、日本を苦しめることになる。

一方、中国は強力な対米対抗策として、北朝鮮問題と貿易の両面で
対策を取り、米中取引ができる可能性もある。日本も取引しないと
、日本だけ割を食うことになる。今のような信頼という感情論だけ
では危険だ。

2.戦争への道
一方、シリア懲罰攻撃後、中東がより一層恐ろしいことになってい
る。イスラエルがシリア領にあるイラン軍基地の防空ミサイルを空
爆し始めている。米国は米軍の撤退の後、サウジとイスラエルが中
心にイラン対抗の軍事体制を築こうとしているが、この構築前に、
シリア内戦の延長上で、イスラエルとイランの対決が起こる可能率
も高くなっている。

特に米国がイラン合意を破棄して、その直後にイスラエル軍がイラ
ンの原子力発電所、核施設などを攻撃するのではないかとの憶測が
出ている。そして、この憶測カードを使って、北朝鮮に核施設放棄
をポンペオCIA長官は交渉したようなのである。

イスラエル軍のパイロットは多くが米軍パイロットでもあるので、
今までもイラク原子力発電所攻撃、19年前のシリアの核施設攻撃な
どの実績もあり、北朝鮮が支援したシリア核施設を金正恩委員長も
知っているので、効果が高いようだ。

トランプ大統領は、中東戦争に向けて、サウジやイスラエルなどを
嗾けている。キリスト教福音派が希望する中東での大戦争に向けて
、着々と準備が整い始めている。核戦争になる可能性が高いが、聖
戦と米国福音派、イスラエル、そしてイランも思っているのが、厳
しいところである。

ということで、米中貿易戦争か米国バブル崩壊による世界経済の崩
壊危機と中東での戦争の準備がどんどん整い始めている。

さあ、どうなりますか?


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相場のうたげは「終わりに近い」-モルガン・スタンレーが警告
Joanna Ossinger
2018年4月18日 6:18 JST
景気サイクルの終わりが近づき、米国市場は既に最良のシナリオを
織り込み済みであるため、投資家は下げ相場に対して準備する必要
があると、モルガン・スタンレーが警戒を促した。
  マイケル・ジーザス、マシュー・ホーンバック、アンドルー・
シーツ氏らモルガン・スタンレーのストラテジストは17日付けのリ
ポートで、財政出動が短期的には成長を後押しするが、その効果は
すでに「織り込み済み」の公算が大きく、景気サイクルの終わりに
際し相場が下落に向かう可能性が高まっていると指摘。米国株のバ
リュエーションは税制改革成立前にピークを経過。株価は年内、企
業の実質的な利益の伸びや利益率も今年終盤か来年初めにそれぞれ
ピークに達する見通しという。
  このリポートでジーザス氏らは「うたげが始まったばかりであ
るかのように振る舞う理由は減っている」とし、市場は「うたげの
始まりよりも、終わりに近い」と述べた。
  リポートではまた、米政府の財政拡大は株式のレンジ相場と米
国債利回りのフラット化を後押しすると説明した。
  「景気サイクルの後期に差し掛かり相場の選別色が強くなるた
め、業種別あるいは個別銘柄の材料に注目するよう勧める。当社の
見方では、株価は年内に景気循環のピークに達する」と予測。「米
国債については連邦準備制度による利上げで利回り曲線のフラット
化が進み、月を追うに従って経済見通しがまちまちとなってくるた
め利回りが低下に向かうだろう」との見方を示した。
原題:Morgan Stanley Warns Markets the Best Times May Be Near
 an End(抜粋)
最新の情報は、ブルームバーグ
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米国株、ダウ続落 アップル急落、長期金利上昇も重荷 
2018/4/21 5:20日経
【NQNニューヨーク=森田理恵】20日の米株式市場でダウ工業株
30種平均は3日続落し、前日比201ドル95セント安の2万4462ドル94
セント(速報値)で終えた。スマートフォンの販売鈍化への警戒か
ら、アップルが急落した。米長期金利が約4年3カ月ぶりの高水準
に上昇したことで株式の割高感も意識され、幅広い銘柄に売りが出
た。一時は下げ幅を290ドル近くに広げた。
 ハイテク株の比率が高いナスダック総合株価指数は続落し、前日
比91.930ポイント低い7146.126(速報値)で終えた。アップルの急
落を受け、アマゾン・ドット・コムなど主力株に売りが波及した。
19日に半導体受託生産の世界最大手、台湾積体電路製造(TSMC
)が売上高見通しを下方修正。半導体需要が減少するとの懸念から
ブロードコムなど半導体関連株の一角に売りが膨らんだ。
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イスラエル、シリアでイランの防空システムを攻撃 米に事前通知
By Dion Nissenbaum and Rory Jones
2018 年 4 月 18 日 09:35 JST WSJ
 【ワシントン】イスラエル軍は先週、米国の暗黙の支持を得てシ
リアにあるイランの先進的な防空システムを攻撃した。この件の概
要を知る情報機関の職員などが明らかにした。
 ドナルド・トランプ米政権がイスラエルと協力して、中東におけ
るイランの影響力拡大を阻止しようとしていることが改めてうかが
える。
 同職員らによると、イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相は
トランプ氏と協議した上で、新たに配備されたイランの防空砲台へ
の攻撃を命じた。シリアで軍事作戦を実施しているイスラエルの戦
闘機に対しイラン軍がこれを使えないようにするためだ。
 また、イスラエル当局者は事前にトランプ政権へ今回の攻撃計画
を伝えていたという。
 イスラエルの指導者たちは攻撃について沈黙を守っているが、ロ
シア、イラン、シリアはいずれも同国の攻撃実施を非難した。情報
当局から提供された情報や攻撃について説明を受けた関係者の話か
らは、具体的な標的やイスラエルの狙い、同国と米政府との協議に
ついて新たな詳細をうかがい知ることができる。
 イスラエルはイランによるシリアでの軍事プレゼンス確立を阻止
しようと取り組んでおり、先週の攻撃はそれが大幅にエスカレート
したことを物語る。イランと同国が後ろ盾になっているイスラム教
シーア派武装組織ヒズボラはシリアのバッシャール・アサド大統領
にとって不可欠な支援を提供している。
 イランはイスラエルへの反撃をちらつかせており、イスラエルは
イランとの衝突拡大に備えている。こうした中東2カ国の対立が長期
化すれば、シリアに新たに危険な力関係が生じる可能性がある。ト
ランプ氏は、すぐに終結する兆しの見えないシリアでの衝突に米軍
がこれ以上巻き込まれないようにする手だてを探っている。
 一部の米当局者は、シリアにおけるイスラエルとイランの戦闘拡
大で、レバノンとイスラエル一帯で新たに突発的な衝突が引き起こ
されかねないことを懸念している。
 同地域ではシリア内戦を巡って対立する連帯組織や同盟諸国の思
惑が複雑に絡み、混乱を極めている。イラン、ヒズボラ、ロシアは
アサド大統領が反政府勢力を敗北寸前に追いやる手助けをしている。
一方、2000人を超える駐留米軍部隊の任務はクルド人やアラブ人勢
力と協力し、過激派組織「イスラム国」(IS)を掃討することだ。
そして、クルド人の勢力拡大阻止を狙うトルコ政府はシリアのクル
ド人支配地域を制圧している。
 米国のイスラエルの攻撃への支援は、終わりの見えない中東の争
いに警戒を強めるトランプ氏が、イスラエルとサウジアラビアを中
心とする同盟国により大きな役割を担うよう要請しているタイミン
グで行われた。
 イランは、同国がシリアで拠点確立を狙っているとの見方を否定
しているが、アサド政権を守るため軍隊を引き続き駐留させると述
べている。
 米国とイスラエルの協議に詳しい関係者によると、トランプ氏は
昨年大統領に就任して以来、ネタニヤフ氏と協力し、イランのシリ
アへの派遣部隊を標的にしたイスラエルの取り組みに戦略的な支援
を提供している。
 ネタニヤフ氏は2週間前にトランプ氏に電話をかけ、イランとシリ
アについて協議した。ホワイトハウスは詳細には言及せず、両者が
「イランの有害な影響に反撃し、活動を不安定化させるために引き
続き密接に協調していくことで合意した」と述べた。
 両者の通話について説明を受けた関係者の1人によると、ネタニヤ
フ氏はトランプ氏にイランの拠点を攻撃する計画について伝えたと
いう。しかし、イスラエルと米国いずれの当局も詳細は明らかにし
なかった。



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