5987.中国対抗戦略の開始



トランプ大統領は、鉄・アルミの輸入関税を上げたり、北朝鮮との
首脳会談をしたり、1つには中間選挙での票獲得であるが、もう1
つが、中国対抗戦略でもあるようだ。検討しよう。 津田より

0.最近の動向
中国の全人代で、習近平国家主席の任期廃止で終生国家主席になる
ことが確定した。王岐山も副国家主席になり、彼も終生職にいて、
汚職を取り締まることになる。これで、中国は独裁国家になったこ
とを意味する。

この体制で、中国の強国化を推し進める。経済力と軍事力の両面で
米国の対抗できる国にすることが目標だと習近平国家主席は言う。
そして、一帯一路や北極圏航路、宇宙開発で着々と実績を積んでい
る。

しかし、欧米諸国では、中国の経済発展が続けば、民主国家になる
という妄想があったので、中国の輸出主導型の経済政策を、これま
では容認してきた。しかし、その思いを中国は完全にひっくり返し
て、独裁主義国家になってしまった。欧米諸国は、中国対抗戦略を
練り直すことになる。

米国は、北朝鮮政策を中国に依存したが、中国の交渉カード化を危
惧して、直接、北朝鮮との対話を開始した。マティス国防長官は、
中東に米軍がいるために、特にシリア・トルコ・クルド人勢力の三
つ巴の戦闘があり、今はクルド人勢力と行動を共にする米軍をどう
するのかの対応が必要であり、軍事力の分散になる北朝鮮戦争には
反対していた。同じ意見のティラーソン国務長官は、韓国の融和政
策に理解を示すが、国務省弱体化で北朝鮮対話の行動はできなかっ
た。

このため、ポンペCIA長官が秘密裡に北朝鮮との対話を開始して
、韓国文政権の融和政策を利用し公式化しようとして動いていた。
政権内部で、北朝鮮戦争を推進していたのが、マクマスター安保担
当補佐官であるが、戦争計画をトランプ大統領に説明しても、途中
退座してしまうと言っていた。全体統制をケリー首席補佐官が行っ
ているが、CIA主導の中国抜きの対話を秘密にするために、中国
シンパのイバンカ・クシュナー氏にもCIA情報を秘密にしていた。

このため、ティラーソン国務長官など政権幹部も、米朝首脳会談合
意は「寝耳に水」の状態であったようである。安倍首相も同様であ
る。合意後のトランプ大統領からの電話会議で知ったようだ。

1.中国からの輸入を止める
トランプ米大統領は8日、鉄鋼とアルミニウムの輸入制限発動文書に
署名した。輸入制限は、中国製の鉄とアルミを止めるためのもので
あるが、中国は鉄・アルミを第3国経由で米国に輸出している。
このため、対象国をカナダ・メキシコ・オーストラリアを除いた国
に広げる必要があったとロス商務長官が述べている。ロス長官は明
確に中国製が対象と述べている。

このため、習近平国家主席は、経済顧問を務める劉鶴氏を米国に派
遣して、貿易摩擦解消に動き始めた。米国は1000億ドル(約11兆円
)の貿易赤字削減を要求しているが、中国は、この対応に時間が必
要である。しかし、その回答を待たずに、次の輸入制限を行うよう
である。

この行動を決定しているので、トランプ大統領も劉鶴氏とは会談し
ない。今度は、知財商品が対象で、インテルやクワルコムなどの特
許を侵害していると思われるものを対象とするように感じる。

今後、米国はいろいろな分野で中国の経済力を削減するために、輸
入制限などを行うことになる。中国の経済力を落とさないと、一帯
一路などでの経済援助で、世界の多くの国が中国の味方になり、米
国の政治力がなくなっていくし、中国企業の資本進出などで、欧米
のノウハウや技術などが奪われることになる。

中国の交渉カードを奪い、抜け道を塞いで、中国国内産業保護政策
を失くしていくことを求めるとともに、経済力を落とし軍事力増強
を止めることが真の狙いである。

中国は、貿易戦争になれば、米国債の売却を行うはずであるが、FRB
が米国債購入で、過度な金利上昇を抑えるようである。

中国対象であるなら、TPPも対抗処置であったが、トランプ大統
領はTPPを離脱してしまった。今後、もう一度、中国包囲網を築
く必要がありそうである。その中に、北朝鮮があれば、面白いがど
うなりますか?

どうも、日米では優先順位が違うようだ。日本は北朝鮮の核開発が
中国より優先のようであるが、米国は北朝鮮より中国の方が優先順
位が高い。ここに、日本と米国の行動に違いが出ている。

米国はCIAや韓国を使い、北朝鮮との非核化交渉をして、本格的に中
国への対応を強めるようである。北朝鮮も親米国として、中国対抗
勢力化させれば、二重の意味で中国への対抗処置となる。

2.需要の奪い合い
米大統領、上下院選挙などで、政治家は多額の寄付金を富裕層から
支援を受けている。このため、見返りに富裕層への利益還元政策を
してきた。この結果、貧富の差が拡大して、人口の割に需要が少な
くなり、その減少を新移民たちの需要で上げてきた。しかし、トラ
ンプ大統領は、新移民を止めたことで、需要が増えない。このため
、外に逃げる需要を取り返す必要になっていた。

その大きな外に奪われている需要が、中国の33兆円の輸入赤字で
あり、次いで日本の7兆円の赤字。米国の需要防御が起きたのだ。
内需が縮小している日本も貿易による外需に依存している。この外
需取り込みを有利にするために通貨安にしている。

通貨安にするためには為替介入が一番早いが、それは世界的に禁止
されているので、金融量的緩和で通貨量を増やして通貨安にするこ
とが、近年流行したのであるが、ある程度のインフレになったら、
金融緩和を止めるしかなく、その代わりが輸入制限処置になる。

これにより、通貨安でも外需を取り込めなくなる。今、米国はこの
段階にある。その上に、米国は金利UPさせてもドル安にする政策を
実行する方向であり、日本の通貨安政策を封鎖しようとしている。

世界的な貿易戦争になる理由は、需要の奪い合いにある。特に、中
国が世界的に他国の需要を奪っているので、多くの国から目の敵さ
れることになる。そして、中国脅威論も出てくる。

それに輪をかけて、中国独裁化により、欧米諸国からは問題視され
ている。

貿易制限されると需要減少になり、中国の拡張政策は資金的に続か
ないことになる。需要を作り出す必要がある。最初は国内のインフ
ラ投資であるが、続いて海外のインフラ投資になるが、発展途上国
に資金的な余裕はないので、焦げ付いてくる。その借金の方にイン
フラを差し押さえることになる。中国は今、ここにいる。

しかし、次にはその海外インフラを守るために、軍事行動が出てく
る。アフリカの石油、鉱山などを手に入れているので、それを守る
軍事行動を次に行うことになる。そこへの軍事行動のために、海洋
ルートを抑える必要になり、各地の港を押さえ始めた。

次に、現地の不満を利用して欧米支援のテロ組織ができ、それとの
戦いが始めることになる。戦争経済は、無限の需要を生み出すが、
収入はないので、いつか疲弊して終わる。米国は今、この段階にあ
る。米国や欧州は、アフリカで支援するテロ組織を選択しているよ
うな気がする。

3.日本の役割
今、行っている需要の奪い合いでは、最後には戦争になる。日本は
、第3の道を行くことである。それが地産地消経済構築であり、そ
ののために、企業は、工場を各地に立てて、そこで生産消費するこ
とで、利益だけを持ち帰ることだ。その国の需要はその国で供給し
て、利益だけ持ち帰り、その利益で研究開発を日本で行うことであ
る。

そうしないと、この問題は無限に続くことになる。

さあ、どうなりますか?

参考資料
p0466.地産地消経済の思想とは
p0463.地産地消経済は植生文明
p0462.地産地消経済の成立条件は
p0461.資本主義経済から次の経済システムへ



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