2828.サブプライム問題の追跡



サブプライム問題の対応を欧米中央銀行が本腰になって実施してい
る。                Fより

欧米中央銀行は、サブプライム問題に本格的に対応し始めて、年末
の短期資金を供給する体制を引いた。これで短期資金が調達できな
くて銀行が潰れることはないが、これだけではサブプライム問題の
解決にはならない。

米銀行の融資が慎重になっている。特にサブプライムとオルトAの
審査は慎重になり、石油の高騰と合わせて、自動車などの販売に影
響が出ている。特にGMやフォードなど石油の消費が激しい車の販
売は激減して、トヨタ・現代など小型の日本・韓国車が売れている
が、それでも微減という状態のようである。トヨタはGMの生産を
抜かして世界最大の自動車会社になることが確実になっている。
なかでも、トヨタの有名なエンジニアであった故中村健也氏が考案
したプリウスなどハイブリット車が好調である。健也氏は次世代の
自動車として電気自動車も研究していた。横に逸れた。

話を戻すと、住宅価格が下落しているために、大型の商品が売れず
にパソコン専門チェーンCompUSAが倒産している。私も米国に居る時
によくPCの周辺機器を買いに行ったものである。しかし、米国の
直近の景気はまだ良いようである。11月の消費は年末商戦もあり
2%も伸びている。

もう1つが、欧米の銀行は住宅ローンや証券化ビジネスの縮小とと
もにサブプライムローンの損失が拡大して、資本比率が下がるため
に、資本を増強する必要になっている。この資金を持っているのが
、世界の工場である中国やオイルマネーの中東、最先端部品や自動
車の日本であるが、中東と中国は政府系投資会社を設立して、秘密
に自由に投資ができるので欧米大手の銀行に投資していけるが、日
本は郵貯などの政府系企業を民営化したために、民間会社のメガバ
ンクに救済の依頼をする必要になっていた。そして、サウジも政府
系投資会社を立ち上げたので、近々に欧米の銀行に投資をするはず。

日本の膨大な外貨準備として持っているドルを米国債で運用してい
るが投資庁を作り、政府が投資するということはしないために、欧
米の銀行は日本政府に支援を要請したが無理であったようだ。この
ため、サブプライム基金創設に日本のメガバンクから出資を依頼し
たが拒否されて、サブプライム基金創設自体を諦めたようである。

中国の景気がだんだん下降している。人件費の高騰で工場が中国か
らベトナムやタイ、ミャンマーなどに移転している。北京オリンピ
ック後のバブル崩壊はあり得ると感じている。中国政府もその事態
を予測して、賃金法を改定して1年契約から長期雇用に社員の待遇
を改善するように法律化した。これにより、ただ単に人件費が安い
から中国で生産していた工場は労務・人件費の高騰に成り立たない
ことになり、付加価値のある工場だけになるようだ。この政策が成
功すればいいが、失敗すると本当にバブルの崩壊に繋がる。世界は
経済的にも不安定期に入った可能性がある。世界同時不況になる可
能性が高まっている。

このような事態で、グリーンスパン前FRB議長は、公的資金を銀
行に入れることも考えるべきと述べ始めた。これも海外の資金だけ
では不足する事態を予測していると見る。もちろん、ブッシュ大統
領は財政出動を否定している。しかし、世界の金が米国の銀行だけ
に集まるとは期待できない。最後は公的資金を投入さざるを得ない
と私Fも見ている。

中東諸国は欧米の銀行に投資するとともに、政府系投資会社はドル
暴落に対応するために、投資の分散化をしてドルヘッジを取ること
が確実である。政府系投資会社の資金は、イスラム教の教義に反し
ない日本などアジアの世界的な製造メーカやサービス業に投資をす
るようだ。中東産油国のUAEもサウジもカジフ油田がメインの石
油産出であり、このカジフ油田の寿命も後10年程度である。現状
の石油高騰で得た金を投資して、将来の油断に備えざるを得ない。

ドルとのペッグ制も2010年までにバスケット制に移行すると明
言している。このため、投資をドルに偏らせることはできずに、4
大通貨であるドル、ユーロ、ポンドかルーブルか元、円に投資する
はずである。

まだまだ、欧米のサブプライム問題は終わらない。日本の民間投資
会社も米国の大金融機関を買収する良いチャンスになっている。今
の時点は経営にタッチしないなどの条件があり、まだ美味しくない
が、今後、欧米銀行の損失が拡大し、かつ景気が後退するようであ
ると、条件が緩和され、かつ株価は最低になるので、今は待ちかも
しれないが、近々に出動をするチャンスが出ると見ている。

さあ、どうなりますか???
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米FRB、新方式の供給定例化・2度目落札の利回り4.67% 
(nikkei)
 【ワシントン=藤井一明】米連邦準備理事会(FRB)は21日、
入札方式で金融機関に融資する新たな資金供給を2週間ごとに実施し
、当面は定例化すると発表した。短期金融市場で資金調達の圧力が
高まっていることに対応し「必要な限り続ける」と表明。金融安定
化に継続して取り組む意思を鮮明にした。

 FRBは欧州中央銀行(ECB)などと協力し、金融市場の混乱
を防ぐ対策として入札方式の資金供給を開始。当初は1月末まで実施
する方針を公表していた。

 FRBは21日、入札方式による2度目の資金供給の結果を発表。20
日の落札金利は17日の初回入札時に比べ0.02ポイント高い年4.67%。
応札した金融機関は73行で初回入札を20行下回ったが、FRBは市
場安定化に役立つ枠組みと判断したようだ。 (02:15) 
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UBSに出資、サウジ王族か・英紙報道 
 21日付の英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)は、シンガポー
ルの政府系ファンドなどからの出資を受け入れたUBSの資本増強
策に関連し、名前が明かされていなかった「中東の投資家」はサウ
ジアラビアの王室一族だと報じた。UBSは10日、米国の信用力の
低い個人向け住宅融資(サブプライムローン)問題に絡み100億ドル
の追加損失計上を発表、併せて1兆3000億円の増資を決めていた。
このうち1兆1000億円はシンガポール政府投資公社(GIC)が引き
受けたが、残る2000億円は「匿名の中東の投資家」として名前を明
かさなかった。UBSは報道に対しコメントを控えている。
(フランクフルト=石井一乗) (23:01) 
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アブダビ投資庁、米シティグループに8100億円の出資
2007年11月28日 11:04 発信地:ニューヨーク/米国    

【11月28日 AFP】米金融大手シティグループ(Citigroup)は26日、
アラブ首長国連邦(UAE)のアブダビ投資庁から75億ドル(約8100億
円)の融資を受けると発表した。これによってADIAは、同グループ
の4.9%の株式を保有する最大の出資機関となり、経営不振に悩む同
グループにとって大きな後ろ盾となると見られる。

 ADIAは、UAEで最大の首長国、アブダビ首長国によって運営されて
いる。UAEの他の投資ファンドも、米テクノロジー関連企業やプライ
ベート・エクイティ・ファンド、小売企業、ラスベガス(Las Vegas
)のカジノなど、積極的に投資活動を行っている。

 この背景には、1バレル100ドルを目前にしている原油価格の高騰
が産油国UAEに大きな利益をもたらしていることが挙げられる。また
、ドル安が続いていることで、海外の投資家にとって米資産の割安
感が出ていることも要因の1つだ。

 ADIAはこの出資に際し、シティグループの経営に関しては一切の
権利を持たないことに合意している。

 シティグループに関しては、サウジアラビアのアルワリード・ビ
ン・タラール(Alwaleed Bin Talal)王子も株式4%を保有している
と報じられている。

 シティグループは、長引く米住宅市場の不況や差し押さえ物件の
急増、信用収縮などによって経営不振に陥っている。(c)AFP
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米シティなど3行、サブプライム基金創設見送り
(nikkei) 
 【ニューヨーク=発田真人】信用力の低い個人向け住宅融資(サ
ブプライムローン)対策を巡り、シティグループなど米銀3行は21日
、今秋から準備を進めてきた証券化商品の買い取り基金設立の構想
を見送る方針を決めた。みずほフィナンシャルグループ、三井住友
銀行の邦銀2行が保証枠を供与するシンジケート団への不参加を伝え
るなど、日欧主要銀の協力が得られない見通しとなったため。シテ
ィなどは資金繰りが悪化している簿外の運用組織を連結化し、自前
で支援する。 

 シティ、バンク・オブ・アメリカ、JPモルガン・チェースの3行
は21日夕、邦銀などに対し「現時点では基金創設の必要がなくなっ
た」と事実上、断念する意向を伝えた。 

 信用保証枠の提供要請を受けた邦銀のうち、みずほと三井住友は
同日までに、提示された条件では協力が難しいとの判断を伝えた。
三菱UFJフィナンシャル・グループも「保証額が巨額で、経済合
理性にかなわない」と回答を留保した。 (10:05)
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サブプライム損失、仏大手銀が4000億円計上 
 【パリ=野見山祐史】仏銀大手クレディ・アグリコール(CA)
は20日、米国の信用力の低い個人向け住宅融資(サブプライムロー
ン)問題に起因する株式相場の下落などの影響で、25億ユーロ
(約4000億円)の有価証券評価損を計上すると発表した。損失の大
半を計上した資産運用部門子会社のカリヨン銀行は赤字に転落する。
 (01:06) 
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「米中経済緊張、日米に影響も」元米国防副長官・日米シンポで講演
(nikkei)
 日本経済新聞社は17日、都内のホテルで米戦略国際問題研究所
(CSIS)との共催による第4回シンポジウム「2008年米大統領選
と日米関係の行方」を開いた。元米国防副長官のジョン・J・ハム
レCSIS所長兼最高経営責任者(CEO)は基調講演で、不法移
民の増加などグローバル化に伴う問題への取り組みが次期米政権の
優先課題になるとの認識を示した。

 ハムレ氏は「米国内で『自国が国際的なリーダーになるべきだ』
と考えるエリート層とグローバル化に恐れを感じる平均的市民層と
の間に分断が生じている」と指摘。「次期大統領がだれであれこの
問題に取り組まなければならない」と主張した。

 日米関係では「次期政権も現在の堅固な土台を引き継ぐ」と分析
。米中関係は「制御可能だが、経済で緊張が高まり、米国で保護主
義的な機運が強まるだろう」と予測した。そのうえで、米中関係の
展開が「(日米)相互の関係に影響する可能性もある」とも語った。
(14:47) 
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ブッシュ大統領「懸念ない」、国外政府系の米金融機関投資
(nikkei)
 【ワシントン=丸谷浩史】ブッシュ米大統領は20日、ホワイトハ
ウスで記者会見し、信用力の低い個人向け住宅融資(サブプライム
ローン)関連の損失で不振の米金融機関に海外の政府系金融機関か
ら資金が流入していることについて、懸念はないと表明した。さら
に「ウォール街(金融界)は損失を直ちに世界に公表しなければな
らない」と強調した。

 米景気の現状については、経済のファンダメンタルズ(基礎的条
件)は堅調との認識を明示。ただ、物価上昇を警戒しているとの見
解を示し、サブプライム問題に対応した住宅対策を含めて、景気刺
激のため「あらゆる選択肢を検討する」と述べた。

 地球温暖化対策に関連してトウモロコシなど食料を原料とするバ
イオエタノールへの過度な依存に慎重な姿勢を示し、食料以外を原
料にしたエタノールの生産に力を入れることを明らかにした。さら
に原子力エネルギーの普及を推進するべきだとの立場を鮮明にした。
(01:46) 
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米モルガン・スタンレー、中国政府系が5700億円出資
(nikkei)
 【ニューヨーク=松浦肇】米大手証券のモルガン・スタンレーは
19日、信用力の低い個人向け住宅融資(サブプライムローン)に絡
み9―11月期決算で94億ドル(約1兆600億円)の損失が発生し、中国
の政府系ファンド、中国投資有限責任公司から50億ドル(約5700億
円)の出資を受け入れると発表した。保有するサブプライムローン
を裏付けにした金融商品が大量に格下げされたため減損処理をする。

 出資を引き受けるのは、中国政府が外貨準備の効率運用を目的に
設立したファンド。普通株に転換される出資証券を引き受け、転換
後の持ち株比率は最大で9.9%になる見通し。モルガン・スタンレー
は巨額損失による自己資本比率の低下を緊急増資で補いたい考えだ。

 今回の損失処理で、9―11月期は35億8800万ドルの最終赤字(前年
同期は22億600万ドルの黒字)に陥った。(19日 23:26) 
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3邦銀、資金協力見送りか サブプライム基金(ASAHI)
2007年12月20日08時32分

 三井住友フィナンシャルグループは、米大手銀行が計画する「サ
ブプライム支援基金」への融資協力を見送る方向で最終調整に入っ
た。みずほフィナンシャルグループも現段階で見送る方向で調整し
ており、三菱UFJフィナンシャル・グループも追随する可能性が
高い。米銀側は3メガバンクそれぞれに50億ドル(約5500億
円)の融資枠設定を要請していた。 

 3メガバンクは回答期限である米国時間の19日中に向け、「慎
重かつ冷静に検討する」(奥正之・三井住友銀行頭取)との意向を
示していた。 

 見送りには、融資枠が巨額なことに加え、融資条件の細部がはっ
きりせず、現段階で自らのサブプライム関連損失が比較的軽いにも
かかわらず要請に応じることは、株主に対して合理的に説明しづら
いとの判断がある。 

 総額500億ドルとされる基金の設立には邦銀の協力が不可欠と
みられており、米国側の出方が注目される。 
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グリーンスパン氏、公的資金投入を提言・サブプライム問題
(nikkei)
 グリーンスパン前米連邦準備理事会(FRB)議長は16日の米テ
レビ番組で、信用力の低い個人向け住宅融資(サブプライムローン
)問題を解決するため、公的資金を投入すべきだとの考えを示した
。ブッシュ大統領は財政出動を否定しているが、同氏は「問題解決
のため必要なら使うべきだ」と主張した。
(ワシントン=共同)(14:08) 
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米銀サブプライム対策基金、500億ドル規模に
(nikkei)
 【ニューヨーク=発田真人】信用力の低い個人向け住宅融資(サ
ブプライムローン)問題に対応するため、米大手銀のシティグルー
プ、バンク・オブ・アメリカ、JPモルガン・チェースが設立準備
を進める共同基金構想の詳細が分かった。存続期間を最長10年とし
、総額500億ドル(約5兆6000億円)の資金を準備して資金繰りが厳
しくなった銀行傘下の運用会社から、格付けの高い住宅ローン担保
証券などの資産を買い取る。来年1月発足を目指し、日欧の金融機関
に協力を求めている。

 基金は買い取った資産を担保にコマーシャルペーパー(CP)を
発行し、資金を自力調達する。支払い不能に陥った場合の信用補完
のため、銀行団から500億ドルの融資枠を得る。米3行は10月、融資
枠1000億ドルを打ち出したが、自前資金で傘下の運用会社救済を進
める金融機関もあり、規模を縮小した。(07:02) 


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