2820.日本の景気と今後の課題



景気の動向に黄色信号が灯り始めた。その検討。  Fより

日本の景気にも要注意の黄色信号が灯り始めている。石油価格の値
上げと小麦粉などの食料品の値上げで企業や家計に大きな打撃を与
えているが、それに加えて、建築確認が中々、降りないことや金融
商品法の強化で行政不況とも言える状況で、関係業界の売り上げが
落ちている。

行政の規制強化は、姉歯氏の構造偽装や金融商品に対する消費者保
護の観点から、マスコミが騒いだことによる世論の要求で強化され
たので、ある面しょうがない所がある。行政の責任にする日本の風
潮が大きな政府を作ることになり、かつ行政改革で小さい政府を主
張する世論の矛盾がここでも出たように感じる。

しかし、日本の押し寄せる次の不景気の波がくる。今、日本の景気
は外需で潤っている。中国などの所得向上による需要の拡大で、そ
の需要に対する製品の供給が日本経済を押し上げている。

この中国の需要拡大は米国に対する製品供給のための部分が大きく
、米国のサブプライム問題で米国の需要が落ちると、中国の景気に
も悪い影響が出ることは避けられない。中国の需要が落ちると日本
からの輸出も必要がなくなり、日本経済にも悪影響が出ることにな
る。このため、日銀の福井総裁も日本経済にリスクがあると言って
いる。

もう1つ、日本の財政改革は、民主党と自民党が拮抗しているので
、どうしても国民にばら撒きを政治がする方向になっているし、増
税はできない方向になっている。このため、財政収支の均衡化も遅
れることになりそうである。国債の増加は止まらないことになる。

日本の企業業績はいいのに、円は安値圏で終始して石油・資源など
の高騰に晒されるっことになる。企業でも国際化した一部企業はい
いが、国内企業は厳しい状態である。個人の小企業はどんどん無く
なっている。中小企業の固有技術も失われている。
このように今後の日本自体にも黄色信号が灯っているように感じる。

また、企業競争力が将来落ちる可能性がある。国際学力調査で理科
に対する関心が最下位となった。女性の社会進出で労働力の確保は
出来ているが、子供の教育と言う面では疎かになっている可能性が
あると感じる。

このように日本の問題点は沢山あるが、日本の伝統文化力は高い。
この日本の伝統の力と欧米の論理的な経営がミックスした経営がで
きれば、日本は飛躍する可能性がある。
事実、日本の経営は「ハイブリッド型に進化」したと英エコノミス
ト誌も特集を組んでいる。
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日本銀行の福井総裁「サブプライム問題…当初の想定に比べて影響
はじわじわと拡大」 【ロイター】

 [東京 30日 ロイター] 福井俊彦日銀総裁は30日、金融
情報システムセンター(FISC)で講演し、米サブプライムロー
ン(信用度の低い借り手向け住宅ローン)問題について、当初の想
定に比べて日本の金融機関への影響が拡大している、との認識を示
した。

 ただ、日本の金融システムの安定性に大きな影響を及ぼすものと
は考えていない、とも強調した。日銀が講演要旨を公表した。

 福井総裁は「わが国金融システムの競争力強化に向けて」と題し
た講演で、サブプライム問題について「海外市場における問題の一
段の広がりと深まりに伴い、日本の金融機関にも、当初の想定に比
べて影響はじわじわと拡大している」と指摘。「一部の金融機関で
は、市場価格下落に伴い投資商品に損失が生じたり、海外証券化ビ
ジネスに関連して金融商品在庫に対して評価損を計上する例がみら
れる」と語った。

 ただ「日本の金融機関の場合、クレジット市場への関与の度合い
は相対的に低く、これまでのところ損失は各金融機関・金融グルー
プの期間収益や経営体力の範囲内で十分吸収可能」との見方から、
「欧米金融市場の動向については、今後とも注意深くみていく必要
があるが、現時点において、今回の問題が日本の金融システムの安
定性に大きな影響を及ぼすものとは考えていない」とも付け加えた。

 (ロイター日本語ニュース 志田義寧記者)
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サブプライム背景の米住宅不振、企業景況・消費に波及
(nikkei)
 【ニューヨーク=財満大介】米国の信用力の低い個人向け住宅融
資(サブプライムローン)焦げ付き問題を背景にした住宅市場の不
振の影響が、経済全般に広がってきた。住宅価格の下落や金融機関
の融資引き締めが個人消費や企業の景況感を冷やし、直近の経済指
標は7月時点に比べ下降線をたどっている。米連邦準備理事会(FRB
)は金融緩和で景気悪化に先手を打っているが、原油高でインフレ
懸念も根強く、難しいかじ取りを迫られている。

 米住宅市場は夏以降、大きく落ち込んだ。サブプライム問題で金
融・信用市場が機能不全に陥った8月を境に、住宅ローン会社が融資
基準を引き締め、需要がいっそう冷え込んだ。10月の中古住宅販売
(年換算)は497万件と、現行の集計方法になった1999年以来で過去
最低。住宅着工件数(同)も7月から1割減った。(07:01) 
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日本の経営「ハイブリッド型に進化」・英エコノミスト誌が特集
(nikkei)
 日本企業は米英とは異なる新しい形に進化している――。英エコ
ノミスト誌は今週末発行の12月1日号で、日本の企業経営に焦点を当
てた特集を組んだ。編集責任者のトム・スタンデイジ氏は「日本企
業は伝統的な価値観を重んじながら米英流の手法を組み込むことに
成功した」と語った。

 同誌が日本の経営論で特別記事を掲載するのは1999年以来、8年ぶ
り。バブル時代の挫折を教訓に日本的経営が生まれ変わり、新たな
「ハイブリッド型」が誕生したと高く評価している。
(編集委員 太田泰彦)(07:03) 
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<国際学力調査>「理科に関心」最下位 数学的活用力も低下
 (毎日新聞)
 経済協力開発機構(OECD)は4日、57カ国・地域で約40
万人の15歳男女(日本では高1)が参加した国際学力テスト「学
習到達度調査」(PISA)の06年実施結果を発表した。学力テ
ストで、日本は数学的活用力が前回(03年)の6位から10位と
なり、2位から6位に下げた科学的活用力と併せ大幅に低下した。
また、理科学習に関するアンケートで関心・意欲を示す指標などが
最下位になり、理科学習に極めて消極的な高校生の実態が初めて明
らかになった。

 ◇57カ国・地域が参加
 調査には、前回より16多い57カ国・地域が参加。日本では無
作為抽出された高校1年の約6000人が参加し、学力テストでは
「数学的活用力」「読解力」「科学的活用力」の3分野を、アンケ
ートでは、理科学習への関心・意欲などを調べた。

 日本の数学的活用力は前回534点から523点に低下した。特
に女子が男子より20点低く課題が残った。また、読解力は前回と
同じ498点だったが、順位を一つ下げ15位となった。8位から
14位と落ち込んだ前回と同様、OECD平均レベルではあるが、
改善しなかった。科学的活用力はOECDが先行して公表しており
既に前回548点から531点に低下したことが分かっている。

 関心などのアンケートでは、理科を学ぶ「動機」や「楽しさ」な
どについて、それぞれ複数の項目を尋ねた。このうち「自分に役立
つ」「将来の仕事の可能性を広げてくれる」など、「動機」につい
て尋ねた5項目では、「そうだと思う」など肯定的に答えた割合が
OECD平均より14〜25ポイント低かった。これらを統計処理
し、平均値からどれだけ離れているかを「指標」にして順位を出し
たところ、日本は参加国中最下位だった。

 また、科学に関する雑誌や新聞などの利用度を尋ねた「活動」の
指標でも最下位。科学を学ぶ「楽しさ」を聞いた指標も2番目に低
かった。こうした関心・意欲の低下が順位の低下につながった可能
性もあるとみられる。【高山純二】

 ◇渡海文科相「そんなに落ち込まなくてもいい」
 渡海紀三朗文部科学相は「科学的活用力が前回2位から6位にな
ったことは残念。しかし、上位グループなので、そんなに落ち込ま
なくてもいい」と話した。理科学習への関心・意欲が他国よりも低
いことには、「政策の中でより理科教育の充実が必要だと感じてい
る」と述べ、次期学習指導要領改定で理数教育の授業時間を増やし
ていく必要性を指摘した。

 【ことば】◇OECDの学習到達度調査(PISA)◇ 生活に
必要な知識や技能が15歳の子どもたちに身に着いているかを測定
する国際的な学力テスト。00年に第1回調査が行われ、以後3年
ごとに実施されている。00年は読解力、03年は数学的活用力、
06年は科学的活用力を中心に調査が行われ、次回の09年は読解
力を中心に調査される。今回はOECD加盟国30カ国、非加盟国
27カ国・地域の約40万人が参加。09年は64カ国・地域が参
加する予定。
[毎日新聞12月4日] 


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