2814.米金融機関の行方で世界は?



サブプライム問題は想定した拡大基調になっている。  Fより

サブプライム問題として見ると、シティーと英HSBC、ウェルズ
・ファーゴ、メリルリンチが大きな損失を受けると見える。事実、
英HSBCは世界2位であり、英国中央銀行総裁が企業モラルと発言
したために問題が吹き上がっている。このHSBCより大変なのがシテ
ィーで、アブダビ投資庁から8000億円の出資を受け入れることが決
定したが、それでも、足りないので米バンカメと経営統合する可能
性があるようだ。

山一證券を飲み込んだメリルリンチも世界的にリートなどの土地投
資からシフトするようであるが、サブプライムで大きな損失を出し
ているメリルリンチの救済について記事になっていないのが不思議
である。もしかすると、日本はこのメリルリンチを救済することに
なる可能性があると見える。

ゴールドマン・サックスやJPモルガン、バンカメは、住宅投資に
あまり深入りしていないんで、傷が浅いようである。このため、バ
ンカメとシティーを統合して、そこにFRBは金を入れようとして
いる可能性を感じる。または同じロックフェラー家が大株主である
JPモルガン・チェースとの統合かもしれない。米国の金融再編に
繋がることは確かのようだ。

シティーは経営環境の悪化に対応するため、業務の効率化とコスト
削減を検討し、今後人員削減を本格化する可能性がある。また、米
5位の銀行ウェルズ・ファーゴやメリルリンチなども大幅な人員削減
になるはず。このような事態になり、地区連銀報告は景気判断を下
方に修正した。FRBのバーナンキ議長は、異例の警戒態勢を引き
ドルの追加利下げも示唆した。金融機関の貸し渋りも増えている。

また、サブプライムの新たな貸し倒れを防ぐために、米政府は新た
な救済措置を協議して、債務者の返済負担を軽減するため、現行の
低い借入金利を一時的に据え置く方向のようだ。銀行自体が傷つき
始めて、徳政令的な施策を米政府も実施する必要性を認識し始めて
いる。やっと、国家的な施策をとり始めたようである。

このため、石油の価格は100ドル/B近傍で張り付いているし、産
油諸国は米国への投資から日本やEUなどへの分散投資にして、ド
ル暴落時の備えをしている。このため、日本の株価が世界的にも低
いので、興味を持っているようである。特に世界企業としてのトヨ
タ、キャノン、村田製作所などに割安感を持っているように見える。

一方、中国に対しては人民元の切り上げ要求・ドルリンクの廃止に
米国とEUが連携して取り組むことにして、経済・通貨的な自立を
中国に促し、米国の景気後退に備えて、世界的な景気維持に中国の
需要を利用したいし、EUは米国の需要減退で中国製品が今以上に
EUに押しかける心配をしている。

中国政府としては今の金融的な位置が心地良いので、抵抗している
が、米国のドルと元をリンクさせているために、石油の値段が大幅
に上昇している。供給も追いつかない。このため、世界的に石油や
鉄などを輸入する。この輸送に日本郵船などが関わり、日本は国内
需要は伸びていないが、外需で景気を維持している。

しかし、どうもこの均衡が崩れるのでないかと米評論家は言い始め
ている。一時的な米国需要の減少で中国の景気も落ち、その余波は
日本にも押し寄せるのではないかと言うのだ。

さあ、どうなりますか??
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FRB議長、追加利下げを示唆・「異例の警戒を維持」
(nikkei)
 【ワシントン=小竹洋之】米連邦準備理事会(FRB)のバーナ
ンキ議長は29日、ノースカロライナ州で講演し、米国の信用力の低
い個人向け住宅融資(サブプライムローン)問題に端を発した金融
不安と米景気の悪化に強い懸念を表明した。「FRBは異例の警戒
態勢と柔軟性を維持する必要がある」と語り、12月11日に開く次回
の米連邦公開市場委員会(FOMC)で追加利下げに踏み切る可能
性を示唆した。

 議長は8月9日以降に本格化した金融不安について「9月から10月に
かけての改善が部分的に帳消しになった」と指摘。9月と10月の連続
利下げ後も市場の動揺が収まらず、金融機関の損失拡大などを背景
に一時より事態が悪化したとの認識を示した。

 こうした金融不安の再燃で「信用収縮の動きがさらに広がり、住
宅市場が一段と冷え込む可能性がある」と強調。金融不安の悪化が
実体経済に与える打撃にも「特別な注意」を払うべきだとの考えを
示した。(13:07) 
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米銀の不良債権処理、20年ぶり高水準・サブプライム焦げ付きで
(nikkei)
 米国の銀行の不良債権処理が急増している。米連邦預金保険公社
(FDIC)が28日公表した商業銀行と貯蓄金融機関による今年7
―9月の処理額(貸倒引当金)は166億ドル(約1兆8000億円)で前
年同期の約2.2倍に達した。

 1987年4―6月以来、約20年ぶりの高い水準。信用力の低い個人
向け住宅融資(サブプライムローン)を中心に焦げ付きが膨らみ、
銀行の体力が奪われている。

 不良債権に引き当てで対応するのではなく、債権を直接バランス
シートから落とす直接償却も前年度を50%上回る36億ドルに拡大し
た。(11:27)
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米経済、一段と減速・地区連銀報告、景気判断を下方修正
(nikkei)
 【ワシントン=小竹洋之】米連邦準備理事会(FRB)は28日発
表のベージュブックで10月中旬から11月中旬にかけて「米経済の拡
大が続いたが、そのペースは以前より減速した」とした。10月17日
の前回報告に比べて景気判断を下方修正した。

 サブプライム問題を発端とする8月9日以降の金融不安に関して
は「住宅ローンの減少傾向が続き、消費者ローンの審査の厳格化や
企業向け融資の減速もみられる」と指摘。金融機関の収益悪化など
を背景に、信用収縮の範囲が拡大しつつあるとの認識を示した
。(10:45) 
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サブプライム救済、現行金利据え置きも・米政府と金融機関
(nikkei)
 【ワシントン=小竹洋之】米紙ウォールストリート・ジャーナル
(電子版)は30日、米政府と米大手金融機関が信用力の低い個人向
け住宅融資(サブプライムローン)問題の新たな救済措置を協議し
ていると報じた。特定の債務者の返済負担を軽減するため、現行の
低い借入金利を一時的に据え置く方向で検討している。早ければ12
月上旬にも合意し、正式発表する見通しだ。

 同紙によると、財務省を含む関係当局とシティグループ、ウェル
ズ・ファーゴ、ワシントン・ミューチュアル、カントリーワイド・
ファイナンシャルなどの大手金融機関が救済措置を協議している。
対象者の条件などをなお詰めている段階だが、最終合意に近づきつ
つあるという。

 債務者の延滞や物件の差し押さえが深刻化しているのは変動金利
型のサブプライムローン。返済当初は低い金利を適用し、2―3年後
に高い金利に移行するのが一般的で、今後2年間で約200万人の金利
負担が増えるといわれる。(21:06) 
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米バンカメ、シティに統合打診か・米紙報道
(nikkei)
 米紙ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)は28日、米バン
ク・オブ・アメリカが米シティグループに経営統合を打診していた
と伝えた。

 同紙によれば、シティ側は「現在、新しい最高経営責任者(CE
O)を探しているところで、再編を交渉する時間などない」として
いる。一方、バンカメ側もシティへの提案について公式には認めて
いないという。(ニューヨーク=発田真人)(07:01) 
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米シティグループ、コスト削減を検討
(nikkei)
 【ニューヨーク=蔭山道子】米銀最大手シティグループは26日、
経営環境の悪化に対応するため、業務の効率化とコスト削減を検討
中であることを明らかにした。米経済専門テレビ局CNBCはコス
ト削減に伴い最大4万5000人を削減する可能性もあると報じた。これ
に対しシティは「報道された削減人数は事実に基づくものではない
」とコメントしている。(07:24) 
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米シティ、8000億円出資受け入れ・アブダビ投資庁から
(nikkei)
 【ニューヨーク=財満大介】世界最大の金融グループ、シティグ
ループは26日、アラブ首長国連邦(UAE)アブダビ首長国政府の
アブダビ投資庁(ADIA)から75億ドル(約8000億円)の出資を
受け入れると発表した。普通株に転換される出資証券を発行し、転
換後のADIAの持ち株比率は4.9%になる見通し。シティは信用力
の低い個人向け住宅融資(サブプライムローン)問題に絡み、有価
証券の評価損などで多額の損失を計上。追加損失の可能性もうわさ
され、経営の健全性が不安視されていた。

 シティは資本増強でリスクへの耐久力を増し、市場の不安を払し
ょくする。ADIAに対して年利11%の有価証券を発行。2010年3月
以降、4段階に分けて普通株に転換する。増資は今後数日以内に完
了する。シティによるとADIAは4.9%を超えて出資する意図はな
く、役員を送るなどの経営関与もしないとしている。米メディアに
よると、ADIAはシティの筆頭株主の一角を占めるという。
(13:52) 
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米ゴールドマンのヘッジファンド:運用資産、年末時点で60%減も
Goldman's Global Alpha May End 2007 Down $6 Billion
2007年11月19日 ブルームバーグ 
米ゴールドマン・サックス・グループのヘッジファンド「グローバ
ル・アルファ」は今年、約60億ドル(約6600 億円)の資産を失い、
運用規模が前年比で60%減少する可能性がある。同社顧客の投資家
2人が匿名を条件に明らかにした。取引失敗による損失や顧客の資
産引き揚げが影響した。 
グローバル・アルファの年初の運用資産は計100億ドルを上回ってい
たが、低調な運用成績から11月14日までに37%減少した。特に8月
の金融動乱で大規模な損失が発生した。同社は年初からの資産引き
揚げのほか、9−11 月期に約20億ドルの償還請求を受けている。 
グローバル・アルファは数学的モデルを用いて運用するクオンティ
タティブファンドで、マーク・カーハート氏とレーモンド・イワノ
ースキ氏が運用している。2006年の手数料収入は7億ドル、05年の
リターンは約40%だった。 
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米サブプライム融資事業の上位10金融機関の状況
2007年 08月 9日 

[9日 ロイター]以下は、米国サブプライムローン(信用度の低
い借り手向け住宅ローン)事業を手掛けている上位10金融機関(
2006年の融資実績に基づく)の状況。加えてサブプライムロー
ン事業を手掛けていなくても最近の市場混乱の影響を受けている住
宅金融業者の状況も示した。

*上位10金融機関の状況(特記以外は米国企業、カッコ内はサブ
プライム融資残高

1位:英HSBCホールディングス(HSBA.L: 株価, 企業情報, レ
ポート)(528億ドル):
07年に入り、サブプライムローン事業の業況悪化を理由に初の業
績悪化見通し示す。上期の不良債権に係る費用は63億5000万
ドル。

2位:ニュー・センチュリー・フィナンシャル(516億ドル):
07年4月に連邦破産法第11条適用を申請。現在、清算作業が進
行中。

3位:カントリーワイド・フィナンシャル(CFC.N: 株価, 企業情報
, レポート)(406億ドル):
サブプライムより信用力がある借り手の間でも延滞が増えているの
を理由に07年の利益予想を下方修正。

4位:シティモーゲージ(380億ドル):
シティグループ(C.N: 株価, 企業情報, レポート)の住宅金融部門。
第1・四半期のサブプライムローン設定額は前年比29%増の81
億ドル。

5位:フレモント・ジェネラル(323億ドル):
サブプライム融資事業をヘッジファンドのエリントン・キャピタル
・マネジメントに売却。

 6位:アメリクエスト(295億ドル):
06年に200超のリテール支店を閉鎖。07年2月には親会社の
ACCキャピタル・ホールディングスが、ホールセール・モーゲー
ジ組成・サービシング(債権回収)事業について、シティグループ
が買収する選択肢を持っていると発表。

7位:オプション・ワン(288億ドル):税務サービス大手H&
Rブロック(HRB.N: 株価, 企業情報, レポート)の子会社。プライベ
ートエクイティのサーベラス・キャピタル・マネジメント[CBS.UL]
への売却手続きが進行中。

8位:ウェルズ・ファーゴ(WFC.N: 株価, 企業情報, レポート)
(279億ドル):米国5位の銀行。7月にサブプライム融資など
を手掛ける事業者向け融資を扱う部門を閉鎖すると発表。

9位:ファースト・フランクリン・フィナンシャル(277億ドル)
:07年にメリルリンチ(MER.N: 株価, 企業情報, レポート)に
13億ドルで買収される。

10位:ワシントン・ミューチュアル(266億ドル):米貯蓄貸
付機関(S&L)で最大手。焦げ付き増加を受け最近、サブプライ
ム向けの一部ローン商品の提供停止。

*その他影響を受けている住宅金融業者
◎アメリカン・ホーム・モーゲージ・インベストメント:
約7000人の人員削減を実施。8月6日に連邦破産法第11条の
適用を申請。

◎ホームバンク(HMB.N: 株価, 企業情報, レポート):
今週に入ってローン事業を停止。5カ所のリテール支店をカントリ
ーワイドに売却することで合意。

◎イージス・モーゲージ:
8月6日から新規ローン申請の受け付けを停止。モーゲージ事業を
閉鎖。

◎ナショナル・シティ:
ブローカーが組成したホーム・エクイティ・ローンの販売を停止す
ると発表。 

◎インパック・モーゲージ・ホールディングス:
 プライムとサブプライムの中間に位置する「オルトA」ローンの
提供を停止。
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「米中間だけの課題ではない」人民元改革で米特使、欧州と連携へ
(nikkei)
 【ワシントン=藤井一明】米財務省のホーマー中国担当特使は27
日の講演で、人民元改革について「もはや米中間だけの課題ではな
い」と述べた。先の訪中時に改革を迫ったサルコジ仏大統領を含む
欧州各国首脳と連携して中国への圧力を強める方針を表明した。
(19:19) 
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宮崎正弘の国際ニュース・早読み:2007年11月27日
通巻第2011号  

 中国のガソリンスタンドに長い長いクルマの行列
  ガソリンを奪いあって、ついに殺人事件、暴動も発生している

 北京は平安である。
なぜなら首都の威厳をかけても、ガソリン供給は、余裕のあるとこ
ろを外国人に見せつけなければ行けないからだ。
 北京五輪が石油供給不足で不安視されてもたまらない。

 しかし11月1日に北京政府は石油価格の10%値上げを認めた。
 それまで原油価格高騰にも関わらず、中国国内でのインフレ抑制
政策の目玉として、ガソリンスタンドでの値上げを認めなかった
(当然、逆ざやが発生し、そのトータルは20億ドルと見積もられる)。

 「安徽省ではドライバー同士がディーゼルのスタンドで供給の順
番をめぐって殴り合いを始め、一人が刃物で刺され、死んだ。この
事件は11月19日に起きた。その三日前には湖北省で、バスにガ
ス供給ができず、公共バスが止まった。およそ十万の通勤者に支障
がでた」(英誌『エコノミスト』、07年12月24日号)。

 北京をのぞいて石油、ディーゼル、軽油の供給不安が拡がってお
り、プレミアつきのGSもあれば、軍の横流しとみられる闇市場が
全土に拡大している。
 原油高騰が、中国経済を窒息させつつある。
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2007年3月末世界銀行時価総額ランキング

順位  社名           国       時価総額(兆円)
1    シティグループ      米国        29.7 
2    バンク・オブ・アメリカ  米国        26.9 
3    HSBC           英国        23.7 
4    中国工商銀行       中国        21.0 
     バークレイズ+ABNアムロ  英国+オランダ   20.7 
5    JPモルガン・チェース   米国        19.8 
6    中国建設銀行       中国        15.1 
7    中国銀行         中国        15.0 
8    UBS           スイス        14.6 
9    ロイヤル・バンク・オブ
    ・スコットランド     英国        14.4 
10      三菱UFJフィナンシャル    日本               14.4 
23     みずほフィナンシャル      日本                9.0 
24     三井住友フィナンシャル    日本                8.2 

注)トムソン・データストリームのデータを基に作成
時価総額・順位は3月末現在
(日本経済新聞) 

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