2810.ドル崩壊の懸念



米国のドル崩壊が近い。その検討。   Fより

米国覇権の崩壊を昨日は論じたが、ドル崩壊の方が先に来てしまう
ので、これを論じよう。サブプライム問題は、すでにサブプライム
だけではなくて、優良顧客向け住宅ローンのオルトAやプライムも
傷ついている。通常ならローンを払える人たちでも景気の悪化や金
融系社員や住宅系社員では退職させられている。また、SIVとい
う債権保証会社の金融資産が底を着き、保障ができない事態になっ
ている。このため、CDOの内でも優良とされていた債権も、格下
げになっている。

これではいくら、損失金額を発表しても、どんどん損失が膨らむだ
けである。このため、FRBはドルの公定金利を引き下げた。この
引き下げで、ドルの下落が起こり、その上に大量のドルを保有する
中国がドル売りを示唆したことで市場に混乱が広がった。

また、このドル下落により、サウジアラビアなど中東産油国では、
自国通貨をドルに連動させるペッグ制を廃止すべきだとの意見が台
頭している。これで石油とドルのリンクも切れて、米国の石油支配
も過去のものになる。

一方、米国は消費志向の国民と金融を維持するのには巨額の資本流
入を必要としており、2007年上半期では国内総生産(GDP)
の19%を外部からの資金に依存している。しかし、ドルの金利を
下げたことで、ドルからユーロなどに資金が流れ出している。

このように、ドルの魅力がなくなり、ドルからユーロの流れを放置
すると、基軸通貨はドルからユーロやペッグ制を止めたら元などに
なる可能性がでている。元を上げるのは、将来的に米国に対抗でき
るのは中国だけだと見ているからだ。

12月に予定されている米中経済戦略対話でも人民元切り上げで「
目に見える成果」(ポールソン財務長官)を求める米国側を牽制す
る狙いともみられるが、米中関係が悪化すれば、中国がドル下落に
無防備な米国にドル売りという攻撃を仕掛けてくる可能性がある。

このような動きに対して、米国は弱気になっている。中国製光沢紙
を反ダンピングとしたが、米ITCは逆転「シロ」を決定して、中
国との無用な摩擦を避けるようである。このように米中経済対決も
米国のサブプライム問題で様相が一変している。

ここ当分、米国の金融当局の動きに注意が必要である。その前に、
米国の3大銀行の損失額が天文学的な数字になりはしないかと恐れ
ている。米国政府は印刷した大量のドルを銀行に補給すると、ドル
激安とドル基軸通貨の崩壊が起きて、米国のインフレは加速し、米
国民は消費ができなくなるのではないかと見る。
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中国の外貨準備、ユーロシフトの憶測
(nikkei)
 【北京=高橋哲史】中国の政府高官から「強いドル」を求める発
言が相次いでいる。中国が抱える外貨準備は9月末時点で1兆4336億
ドル(約150兆円)と世界最大。大半をドルで運用しているとみられ
、ドル相場の下落はそのまま外貨準備の価値の低下を意味するから
だ。

 外国為替市場では、中国が外貨準備の「6割以上」といわれるドル
の比率を下げ、「ユーロなどの比重を高めようとしている」との憶
測が広がっている。(07:03) 
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中国製光沢紙、逆転「シロ」決定・米ITC、関税発動見送り
(nikkei) 
 【ワシントン=藤井一明】米国際貿易委員会(ITC)は20日、
中国製の光沢紙を巡る相殺関税と反ダンピング関税の調査について
、ともに「シロ」と最終決定した。商務省は10月に中国製品の不当
な安値により米国産業が被害を受けているとして「クロ」と認定し
たが、これを覆した。関税の適用には商務省とITCの見解がそろ
わなければならないため、発動は見送られる。

 光沢紙はカタログや雑誌、教科書などに使われる上質紙。ITC
の委員は5対1で商務省の判断を否決した。「米国の産業は輸入品
により被害を受けておらず、その恐れもない」と認めた。

 光沢紙に高率関税をかけるかどうかは、米中間の通商摩擦の象徴
的な案件。中国は相殺関税などを課す米政府の方針を不当だとして
世界貿易機関(WTO)に提訴するなど対立が深まっていた。米政
府の中でも独立性の高いITCの決定を受け、米国の産業界や議会
の対中強硬論がかえって高まる可能性もある。 (20:08) 


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