2809.米国覇権崩壊にどう対応するか?



米国の覇権は、ドル基軸通貨、最強金融、最強の軍事力で支えられ
ている。このシステムが崩壊しようとしている。   Fより

1.クリントン候補の主張
ヒラリー・クリントン候補の主張は、イラク撤退、国民保険制度の
確立である。オバマを初め、民主党候補の多くはイラク撤退になっ
ている。

イラク撤退を実現しようとすると、その治安維持に国連軍か特定国
軍を組織する必要がある。しかし、国連は米国の侵略戦争として反
対している。欧州諸国も国連決議があるアフガンに軍を派遣してい
るために、イラクへは派遣できない。

クリントン候補は、中国にイラクでの油田開発の変わりに治安維持
を頼むのでないかと見える。この意味は軍事的な側面での覇権を中
国に譲ることになる。中国は原油産出国や資源国に近づいている。
中国としても大きなメリットがある。

国民保険制度の導入には予算の裏づけが必要であり、この予算をど
うに練りだすかであるが、夫クリントンと同様に軍予算の削減で、
できると見ているようだ。空母12隻体制から5隻程度に縮小する
可能性がある。米民主党は労働組合やユダヤ人が支持基盤であり、
軍に依存していないために軍縮小を行う。

2.空母の脆弱性
空母は3度傾いただけで、もう役に立たない代物で、魚雷を浴びる
可能性があると、その海域には航行できない。通常空母には護衛す
る艦艇が5隻程度と潜水艦を監視する哨戒機を飛ばしている。しか
し、中国の潜水艦はその監視域内に易々と入り込んで、急浮上した。

中国の潜水艦がいる地域には米空母は航行できないことになったの
で、中国周辺海域、中国と中東を結ぶシーレーン上の中国潜水艦基
地がある海域には、中国軍との連絡が必要になっている。もう、空
母が対中国には、役立たないことになった。

中国の潜水艦は、電気モータ走行で音をほとんど出さないようだ。
レアメタル使用の高出力モータと潜水艦用のリチュームイオン電池
が開発済であることを確認している。

海軍力が米国の強さであったから、この制限は覇権維持力の減退に
なる。日米合同の海軍力で維持することが望まれるが、それは、今
の日本の政治情勢ではムリでしょうね。

3.石油離れ
中東の原油を見込めないために、米国は石油離れを加速している。
エタノール生産を拡充するために85%エタノール、15%ガソリ
ンの車用燃料に国家が優遇処理を取り、トウモロコシの値段は高騰
している。これに引きずられるように大豆、小麦なども高騰してき
ている。しかし、これにより当面の燃料を確保して、米国内の原油
で国内需要を賄うようだ。もう1つ、石油から作るプラスチック類
もエタノールから作る方向にシフトすると見ている。

しかし、サトウキビ由来のエタノールで、ブラジルがトップを行っ
ているために、米国がエタノール市場を制することはない。国内的
な消費に限られることになる。

電力の供給では、米国で原子力発電所を36年ぶりに作ることにな
っている。しかし、石油供給の不安から欧州や中国など多くの国で、
原子力発電所を建設する予定があり、ウランの逼迫が心配になる。
このため、高速増殖炉に転換することが必要になる。これがあれば
、ウランの心配もいらない。今はMOX燃料であり、ウランを分解
した後にできるプルトミュームを燃やすことで長期に原子力エネル
ギーは持続できる。この高速増殖炉を完成させられるのは文殊を作
った日本しかない。フランスのスーパーフェニックスはできずに現
時点、断念している。

米国は石油支配とドル基軸通貨体制で、覇権を取ってきたが、それ
も崩壊しようとしている。中東石油地域もペッグ廃止論が活発で、
ドル離れに拍車がかかっている。

4.サブプライム問題
ここで、サブプライム問題が発生した。この損失額は、OECDの
予測では33兆円となっているが、全体の1割を損失として計上し
ているので、10倍すると総額になる。なんと、現時点で総額が損
失になるとすると350兆円になる。この債務担保証券(CDO)は
欧州でも買われているために、米国と欧州はこの損失の処理で当分
、金融機関は低迷することが確実である。

日本は全体で1兆5000億円程度の損失に留まるようだ。中国も
そんなに多くないと思う。中国の外貨準備は1兆4336億ドル(約150
兆円)と世界最大であり、日本100兆円程度の外貨準備である。

米国は3大銀行に集約されている。シティーコープ、バンク・オブ
・アメリカ、JPモルガン・チェースであるし、証券ではメリル・
リンチである。この当たりのCDO保有額は相当に大きいと思われ
るので、米国1国では救済できない可能性がある。

この救済に、日本のバブル崩壊の場合は、トップ行は国有化したが
、2番手以降の銀行は欧米ファンドに救済してもらっている。

これと同じことをする必要があるが、資金の貸し手は日本と中国し
かないような気がする。シティーバンクが日本国有銀行になるとす
ると、米国は金融分野も手放すことになり、米国の覇権は終了する
ことになると思う。

5.米国覇権の受け皿
覇権国家の条件は、国内市場が大きく世界から人や物が集まる国家
であり、資源支配をある程度志向する国家であると見ると、中国か
欧州連合しかない。しかし、今後の国内需要とすると中国になるし、
安定と見ると欧州になる。

中国の問題は民主化がされていずに、人権問題があることでしょう
ね。欧州は域内のことで手一杯でかつ、金がないことでしょうね。
米国クリントン候補は覇権を中国に移管する方向であると見る。

残念ながら、日本人は覇権の野望を抱かない。江戸時代でも海外か
らいろいろな物を法外な値段で買うが、日本が出て行って資源を奪
うということをしないし、金で解決することを望むようだ。貿易が
なくても江戸時代は暮らしていけたのでそうなる。

しかし、現在、日本の人口は江戸時代の4倍もいるが、日本人はイ
カや海草など何でも食べるために、世界の人たちが食べない物を輸
入することで、生き延びるのでしょうね。

6.共和党候補は
アイオワ州の民主党予備選挙の形勢として、支持率はオバマ氏が30
%で首位だった。続いてクリントン氏が26%、エドワーズ元上院
議員が22%。とオバマ候補が優勢になっている。

共和党候補指名争いでは、マイク・ハッカビー前アーカンソー州知
事(52)の支持率が急上昇、保守層、宗教右派からの強い支持が
背景にある。先頭を走るジュリアーニ前ニューヨーク市長らを脅か
し始めた。

イラクでの治安改善で共和党・保守派に支持が戻り初めている。日
本としては、共和党保守派にがんばって欲しいところですね。

というようにまだまだ、分からないが、確実に米国の覇権は終わり
に近づいている。その米国の動向を見ながら、日本も将来を考える
ときではないでしょうかね。
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サブプライム損失、最大33兆円・OECD報告
(nikkei) 
 【パリ=野見山祐史】経済協力開発機構(OECD)は21日にま
とめた金融市場動向に関する定期リポートの中で、米国での信用力
が低い個人向け住宅融資(サブプライムローン)問題に触れ、金融
機関や機関投資家が抱える損失額が最大3000億ドル(約33兆円)に
膨らむとの見通しを公表した。米国の住宅ローンの市況はこの先一
段と悪化する公算が大きく、投資家が保有する債務担保証券(CD
O)など関連資産の価格低下を理由に挙げた。

 返済遅延が起きやすい住宅ローンの残高が今後も増えていくこと
を挙げ「我々はまだ状況悪化の途上にある」とも強調した。 
(07:02) 
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湾岸各国、ドル安に懸念・ペッグ廃止論活発
(nikkei)
 【ドバイ=加賀谷和樹】ドル安による石油収入の実質価値の目減
りに直面するサウジアラビアなど中東産油国では、自国通貨をドル
に連動させるペッグ制を廃止すべきだとの意見が台頭している。自
動車、家電など欧州や日本からの輸入品がドル安に連動した自国通
貨の下落で、値上がりしたことへの不満がある。

 アラブ首長国連邦(UAE)の中央銀行は22日、政策金利を年0.1
―0.2%引き下げた。外国為替市場でディルハム買いが膨らみ、利下
げで為替相場を低め誘導せざるを得なくなったからだ。(07:03) 
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オバマ氏支持、ヒラリー氏を抜く 大統領選で世論調査(ASAHI)
2007年11月21日00時59分

 米大統領選の民主党候補指名レースは、先頭を走るヒラリー・ク
リントン上院議員をオバマ上院議員が追う展開だが、年明けに全米
最初の党員集会が予定されるアイオワ州では形勢が逆転しつつある。
同州で発覚したクリントン陣営のやらせ質問が影響した可能性もあ
り、見通しが不透明になってきた。 

 同州の党員集会は来年1月3日に開かれる予定。各陣営が激しい
選挙戦を集中的に繰り広げている。米ABCテレビとワシントン・
ポスト紙が19日に公表したアイオワ州での世論調査(14〜18
日、民主党支持者500人が対象)によると、民主党の立候補予定
者の支持率は、オバマ氏が30%で首位だった。続いてクリントン
氏が26%、エドワーズ元上院議員が22%。ほぼ横一線だった前
回の7月調査に比べると、オバマ氏が一気に抜け出した。 


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