2787.17中国共産党大会と中国の今後



中国で新胡錦濤体制が発足した。この検討。    Fより

北京で開かれている第17回中国共産党大会は10月21日に、今
後5年間の指導部を担う新しい中央委員と同候補計三百数十人を選
出して閉幕した。

その陣容を分析することで、中国の方向はある程度分かることにな
る。新しい政治局常務委員の顔ぶれをみると胡派は、胡錦濤、温家
宝、李克強の三人しかいない。居残りの呉邦国、賈慶林、李長春の
三人は江沢民派で、新任の習近平、周永康、賀国強の三人がいずれ
も江沢民派か、太子党である。

このため、3対6で、胡錦濤派は劣勢である。
胡派が少ないので、次期総書記のポストは太子党の習近平にさらわ
れる可能性が出てきた。胡錦濤は李克強を後継者としたかったが、
次期首相となる可能性が高い。

政治局全体25人の中でも胡派は8人しかいない。このように党内
の地盤が脆弱で胡の主導は確立されないと見るが、胡錦濤は土壇場
になって「科学的発展観」を党規約に挿入させることに成功し、
かつ台湾への柔軟路線を引くことができたことで、一定の実権を確
保しているようである。

前任者の江沢民の「三つの代表論」は、総書記を去る間際に党規約
としたことと比べると一目瞭然である。また、上海派や守旧派など
が唱える台湾強硬路線を押さえたことでも、一定の実権を確保した
ことが分かる。胡は陸軍・古参幹部の江沢民派をはずし、陸海空幹
部に大量の若手を起用して。軍権を確実に手中にしたし、省の書記
、省長クラスに胡派陣営から大量の登用した。

当面、政治局の人事面では太子党や江沢民派に配慮しながら、着実
に地方や軍の人事を通じて胡派陣営を強化し、かつ政治面でも胡錦
濤が主導する対米協調路線を推し進めることになる。

中国は、米国の衰退を前提として、アフリカや中南米諸国と連携を
強めて、米国後の世界覇権をとる方向で動いているようだし、米国
もそれを認めている。これはヒラリーの論文を読むと明らかである。

米国後では、太子党の習近平が対米強硬路線に戻り、一気に台湾を
併合する可能性がある。米国はサブプライム問題が拡大して、世界
の覇権を維持する金融も軍事の力も失くして行く途上にある。米国
のサブプライム問題の楽観論を見ると、1990年から数年間の日
本を思い出す。その当時、日本の評論家も楽観論が多かったが、結
果は10年の時を日本は失った。米国のサブプライム問題も徐々に
その影響が拡大して、経済的な大問題になるように見ている。

そして、中国の時代が来ると、欧米知識人は言うが、それも違うと
見ている。
中国の民主化がどうなるかが問題で、中国の国家体系を代えるのは
、そう簡単なことではできない。特に今回の人事で江沢民派と太子
党が多数を占めたことで、迅速な民主化は遠のいたとみる。

天安門事件で趙紫陽が失脚して、江沢民が太子党の支援の下に政権
を取った。民主化を押さえるために太子党と江沢民は連携した。

胡耀邦・趙紫陽ともに共青団出身で、民主化に理解を示した。胡錦
濤も同じ共青団出身で、かつ胡耀邦の秘書も勤めている。このため
、胡錦濤はこの20年の歴史を見て、民主化にそれほど積極的では
ない。民衆の不満をかわすために経済成長主義で、反民主化ではな
いが徐々に民主化する手法を取っている。

しかし、完全な民主化は江沢民派と太子党が多数の占めているので、
今後も中国は民主化を上からはしない、できない。このため民衆の
不満が爆発する可能性がある。それは中国バブルの崩壊で経済的な
成長が止まった時であると見ている。

さあ、どうなりますか??
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新胡錦濤体制が発足 中国共産党、1中全会開催(ASAHI)
2007年10月22日13時08分

 中国共産党の第17期中央委員会第1回全体会議(1中全会)が
22日、北京で開かれ、胡錦濤(フー・チンタオ)総書記(64)
=国家主席=を再任した。最高指導部の政治局常務委員には新たに
習近平・上海市党委書記(54)と、李克強・遼寧省党委書記(52)
が中央委員から政治局員を飛び越えて昇格し、5年後に引退すると
みられる胡氏らの有力後継候補となった。 

 このほか政治局員から賀国強・党中央組織部長(64)、周永康
公安相(64)が常務委員に選出された。胡総書記を含む新常務委
員9人は同日、人民大会堂で記者会見を開いた。党内序列は胡氏に
続き、呉邦国(ウー・パンクオ)・全国人民代表大会常務委員長
(66)、温家宝(ウェン・チアパオ)首相(65)、賈慶林
(チア・チンリン)・全国政治協商会議主席(67)まではこれま
でと同じ。序列5位以下は、李長春(リー・チャンチュン)氏(63)
=再任=、習近平氏、李克強氏、賀国強氏、周永康氏の順。賀氏は
中央規律検査委書記に就任した。 

 今回、常務委員を退いたのは、曽慶紅(ツォン・チンホン)氏
(68)、呉官正(ウー・コワンチョン)氏(69)、羅幹(ルオ
・カン)氏(72)。江沢民・前総書記との関係が深い実力者だっ
た曽氏の引退で、胡氏の基盤はさらに強固になる。中国筋によると
、胡氏は、共産主義青年団(共青団)で胡氏と同様に第1書記を務
めた李克強氏を強く推薦したという。しかし、同じく江氏が登用し
た呉邦国氏や賈氏が残留。江氏や曽氏らが、関係が深いとされる習
氏や周氏の昇格を推し、一定の影響力を示した。 

 常務委の人数は当初、江氏が前回増員した9人(その後黄菊氏が
死去し8人)から7人に戻すことが検討されていたが、江氏や長老
の中に、減員に消極的な意見があり、多様化する業務に対応するた
めにも9人体制の維持が必要と判断された模様だ。 
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中国新指導部、50代が25人中6人占める
(nikkei) 
 中国共産党が22日決めた指導部の政治局常務委員と政治局員25人
の顔ぶれをみると、50歳代が6人で全体の24%を占めた。ただし今後
5年間の胡錦濤政権2期目に当たるため留任が15人と多く、選出時の
平均年齢は61.4歳と5年前(60.5歳)より1歳弱上昇した。

 常務委員を含む政治局員の人数は5年前より1人増えた。ただ5年前
に政治局員候補が1人いたため、実質的には同数。呉儀・副首相
(68)が政治局員から外れたため、女性は新任の劉延東・党統一戦
線工作部長(61)が「紅一点」。新しい女性リーダーになりそうだ。
漢民族以外の政治局員は5年前同様、回族の回良玉・副首相(63)1
人だった。

 江沢民前総書記に近い人脈やかつての高級幹部の子弟グループ
「太子党」からの登用も目立つなど派閥バランスの重視は鮮明。
ただ、胡総書記の支持基盤である共産主義青年団(共青団)が8人を
占め、徐々に存在感を増している。(北京=張勇祥) (07:02) 


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