2783.サブプライム問題と世界景気



サブプライム問題が進展している。その検討。   Fより

今までに何度か、この問題を取り上げたが、日本のバブル崩壊と同
じような事態になるので、対策を小出しにせずに、大きな対策を打
つ必要があると述べてきた。しかし、今までの所、米国も欧州も銀
行のモラルハザードを心配して、対応が後手になっている。

しかし、9月の米国での住宅着工件数は10.2%減で、14年半ぶり低
水準という統計値が出てきた。その数値に連動したように、ウォー
ルマートの全商品の2割を値下げしたなど、米消費者の需要動向に
注意が向けられている。そして、米地区連銀報告も景気判断を下方
修正し、「成長が減速」とした。また、信用収縮の大幅な改善は見
られず、住宅ローンなどの貸し渋りが続いているとの認識を示した。

G7やEU首脳会議の席上でも、やっと欧米諸国が一致して対応処
置を取る方向で合意したようである。そして、米国の財務省が音頭
を取って実現した大手米銀行が共同で10兆円規模のファンドを立ち
上げるなどの施策も打たれ始めている。しかし、このような施策は
欧州ではまだない。

この米国の共同ファンドでもグリーンスパン前FRB議長は市場に
打撃を与えると警告しているが、これも今までの銀行のモラルハザ
ード論の一環であると見ている。それも影響力のあるグリーンスパ
ン前議長の発言であるので、米国の政策にも反映される可能性があ
る。私Fは何もしないよりいいと思うがどうでしょうね。

その米国の景気状況でも、石油が値上がりしているし、ダウ平均株
価も上昇している。これは中国の景気が年率10%以上で上昇して、
世界の企業がその中国景気で潤っているので、米国の景気下降局面
でも、全体的には物が売れている証拠である。ドルへの投資からユ
ーロなどへ投資が逃げていることや、石油産出国でもドル・リンク
を止める動きが加速している。このため、ドルの下落が続いている。

今までは、米国の消費者に世界経済は依存していたが、この依存関
係は確実になくなっている。その代わり、中国の消費者に依存する
傾向にあり、次期米国大統領候補ヒラリー・クリントンは中国傾斜
を強めるとしている。

ここで中国がより世界に対して政治的にも経済的にも強くなる可能
性が高くなっている。2010年までには、中国のGNPが日本の
GNPを抜いて2位になることも確実に成ってきた。

中国の気がかりな面は民主化であるが、今開催している共産党大会
でも胡主席が権力を把握していないことが明確化している。民主化
をどう進めるのか、課題は先送りになっている。

どうも、中国民衆の不満の爆発が、政治改革より先に進行している
ように感じる。

さあ、どうなりますか??

2761.米サブプライム問題の波及
http://www.asahi-net.or.jp/~vb7y-td/190922.htm
2742.米国の動揺
http://www.asahi-net.or.jp/~vb7y-td/190902.htm
2724.米国発金融不安について
http://www.asahi-net.or.jp/~vb7y-td/190812.htm
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米経済の最大リスク=住宅市場の落ち込み−財務長官
10月20日9時1分配信 時事通信
 【ワシントン19日時事】ポールソン米財務長官は19日、先進7カ国
財務相・中央銀行総裁会議(G7)終了後の記者会見で、「米経済は
健全で成長は続く」としながらも、低所得者向け高金利型(サブプ
ライム)住宅ローンの焦げ付き多発を受けて落ち込みが続く住宅市
場について、「これが最大のリスクとなっている」と警戒感を示し
た。 
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英独仏首脳、金融安定化求め声明・透明性と信認回復重要
(nikkei)
 【リスボン=下田敏】米国の信用力が低い個人向け住宅融資(サ
ブプライムローン)問題による金融市場の混乱を踏まえ、欧州連合
(EU)主要国の英独仏は19日、金融安定化への取り組みを盛った
共同声明をまとめた。共同声明は「透明性確保と信認回復が市場の
安定に極めて重要だ」と強調。EUとして金融システム混乱や信用
収縮の再発防止策を急ぐ考えを表明した。

 7カ国(G7)メンバー国の英ブラウン首相、独メルケル首相、仏
サルコジ大統領はリスボンで開かれたEU首脳会議の席上、金融安
定の強化策で合意。来春の首脳会議で金融規制改革や市場の動揺に
備えた警戒システムなどの検討を進める考えで一致した。ブラウン
首相は記者会見で「サブプライム問題は先進国の経済成長に影響を
与える。英経済の安定維持に努力する」と語った。(07:01) 
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9月米住宅着工、10.2%減・14年半ぶり低水準、サブプライム響く 
 【ワシントン=小竹洋之】米商務省が17日発表した9月の住宅着工
件数(季節調整済み)は年率換算で119万1000戸となった。前月に比
べ10.2%減少し、1993年3月の108万3000戸以来、14年半ぶりの低水
準を記録した。信用力の低い個人向け住宅融資(サブプライムロー
ン)問題を発端とする金融不安の広がりが影響し、住宅市場が一段
と冷え込んでいることが浮き彫りになった。

 住宅着工件数の減少は3カ月連続。9月は市場予測の平均値である
約128万戸を大幅に下回った。前年同月比では30.8%減った。地域別
では北東部が前月比45.4%増えたものの、中西部が28.4%、南部が
11.7%、西部が10.1%減少した。

 全体の8割を占める一戸建て住宅は96万3000戸で、前月比1.7%減
った。2カ月連続で100万戸を割り込み、全体の件数と同じ14年半ぶ
りの低水準を記録した。 (21:36) 
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米地区連銀報告、景気判断を下方修正・「成長が減速」 
 【ワシントン=小竹洋之】米連邦準備理事会(FRB)は17日、
地区連銀経済報告(ベージュブック)を発表した。9月上旬から10月
上旬にかけて「米経済の拡大が続いたが、成長のペースは減速した
」と総括。9月5日の前回報告より景気判断を下方修正した。信用力
の低い個人向け住宅融資(サブプライムローン)問題が住宅市場を
一段と冷え込ませているだけでなく、個人消費や企業生産にも打撃
を与えつつあることをにじませる内容になった。

 報告は5日までの経済指標に基づき、全米12の地区連銀が管轄地域
の景気・物価動向をまとめた。サブプライム問題を発端とする8月9日
以降の金融不安に関しては「多くの地区で貸出基準が厳しくなった
」と強調。信用収縮の大幅な改善は見られず、住宅ローンなどの貸
し渋りが続いているとの認識を示した。 (10:37) 
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米サブプライム対策基金、市場に打撃の可能性
                =グリーンスパン前FRB議長
(ロイター)2007年 10月 20日 02:26 JST

 [ワシントン 19日 ロイター] グリーンスパン前米連邦準
備理事会(FRB)議長は、大手米銀によるサブプライム対策基金
について、市場を支援するよりも打撃を与える可能性があるとの見
方を示した。エマージング・マーケッツ誌が19日、前議長とのイ
ンタビューの概要を電子版で報じた。

 同誌によると、グリーンスパン氏は、米銀が創設を進めている同
基金が、市場の混乱で既に不安定となっている信頼を一段と損ねる
リスクがあり、「極度の悪影響」を引き起こす可能性があるとの認
識を示した。
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米シティなど共同ファンド検討、サブプライム対応・10兆円規模
(nikkei)
 【ニューヨーク=財満大介】米シティグループなど複数の大手金
融機関が、信用力の低い個人向け住宅融資(サブプライムローン)
問題に対応するため、共同で750億―1000億ドル(8兆7000億―11兆
7000億円)規模の支援ファンド設立を検討していることが分かった。
米ウォールストリート・ジャーナルなど米欧メディアが報じた。
大量の資金を準備して信用市場の混乱を収拾し、金融機関の経営悪
化やマクロ経済への悪影響を食い止める狙いがある。

 ファンド設立協議には米大手銀バンク・オブ・アメリカ、JPモ
ルガン・チェースも参加しているという。協議は米財務省の主導で
行われているが、公的資金は投入されないもよう。ただ反対してい
る金融機関もあり、流動的な面も残る。

 新設されるファンドは住宅ローン担保証券(RMBS)などに投
資している運用会社に、融資や資産の買い取りを通じて資金を供給
する。(11:18) 
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米FRB理事「金融不安沈静化、公定歩合で足りなかった」
(nikkei) 
 【ワシントン=小竹洋之】米連邦準備理事会(FRB)のクロズ
ナー理事は11日、短期金融市場への資金供給や公定歩合の引き下げ
だけでは8月9日以降の金融不安を沈静化できず、9月18日の米連邦公
開市場委員会(FOMC)で本格的な利下げに踏み切ったと述べた。
FRBの政策対応が後手に回ったことを認めるような発言で、議会
などに波紋が広がる可能性がある。

 同理事はノースカロライナ州で講演し、8月9日に開始した潤沢な
資金供給や8月17日の公定歩合引き下げなどに言及。「これらの行動
は市場の緊張をある程度、緩和するのに役立ったが、市場の機能は
9月のFOMCまでに正常化しなかった」と語った。

 一連の措置だけでは金融不安が収まらず、9月のFOMCでは最重
要の政策金利であるフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を
「0.5%引き下げるのが適当だと判断した」と述べた。 (13:02) 


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