2775.南北首脳会談について



朝鮮の南北首脳会談が開催された。この検討。   Fより

10月3日に韓国の盧武鉉大統領と北朝鮮の金正日総書記が、首脳
会談を行い、朝鮮半島の平和体制の確立や「経済共同体」構築を目
指す「宣言」を3日に署名、発表した。

韓国の盧武鉉大統領は、12月に大統領選挙で支持率が高い野党保
守色の強いハンナラ党に政権を取られないように、この首脳会談を
企画した。

北朝鮮は、経済援助をより韓国から頂戴することを考えている。韓
国も朝鮮統一よりコストが低い援助を行い、労働コストが低い北朝
鮮の労働力を使いたい。その意味では両国の利害は一致している。

気になるのは中国であるが、中国も歓迎している。米国は朝鮮地域
に対する中国の覇権を認めた可能性がある。中国は北朝鮮に多額の
援助を毎年行っているが、その見返りがほとんどなく、中国の意向
を無視する北朝鮮の金正日総書記に頭を痛めていたが、これで北朝
鮮への援助が軽減されて、かつ朝鮮半島全体を軍事圏にできること
になれば、北京防衛上も有利である。しかし、そうなると、日本の
防衛は緩衝地帯がなくなり、厳しいものになる。

このため、日本は中国との関係を規定しようと麻生元外務大臣が「
自由と繁栄の弧」といったが、米国は中国を敵対視する日本の言動
に違和感を表明していた。特にライス国務長官は、米国と中国はパ
ートナーであり敵ではないと言っている。

そして、日本がインド洋での給油を行わないと言えば、それだけ米
国にとって日本の存在が小さくなり、中国にアジアを任せるという
方向になるし、北朝鮮との敵対関係が無くなれば、日米同盟の価値
は益々なくなる。

と言うことで、日本の外交をどう修正するかが、問われている。安
倍前政権は反中的な言動をしていたために、北朝鮮の拉致問題でも
中国は日本とは組まなかった。これが原因で日本は孤立している。

米国が中国と同盟に近い関係を構築している時に、中国と冷たい関
係では、米中に挟まれて日本は孤立してしまう。中国と組んで外交
を考える必要と、ミャンマー情勢のようなことでは欧米を組んで、
かつ欧米とは違う対応をしないといけないというように日本の外交
は難しいことになっている。

もう1つ、拉致問題という北朝鮮との懸案を抱えているので、日本
は北朝鮮に経済援助ができない。もし、経済援助を無原則に行うと
次回の衆議院選挙では負けることになる。拉致での国内世論が許さ
ない。日本外交の行く道は難しい状況にある。

さあ、どうなりますか??

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南北首脳、宣言4日発表・経済共同体を推進
(nikkei) 
 【ソウル=藤田哲哉】北朝鮮を訪問中の韓国の盧武鉉(ノ・ムヒ
ョン)大統領は3日、北朝鮮の金正日総書記との首脳会談で、朝鮮半
島の平和体制の確立や「経済共同体」構築を目指す「宣言」を4日に
署名、発表することで一致した。核開発問題の解決に向けた努力に
も言及、包括的な経済協力推進などもかかげる。休戦状態が続く朝
鮮戦争の終結に向け、軍事的な信頼醸成を促進させる新たな取り組
みをどこまで打ち出せるかが焦点となる。

 両首脳は3日午前、午後の2度にわたり、平壌の百花園迎賓館で会
談した。盧大統領はその中で経済共同体構想を提案。夜に開いた晩
さん会で「南北互いの利益になる経済共同体で発展していく。経済
共同体は平和共同体にもなる」とあいさつし、同共同体の構築を目
指す立場で金総書記と一致したことを示唆した。 (01:44) 
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韓国造船大手、北朝鮮に部品工場・南北合意の具体化始動
(nikkei)
 【ソウル=鈴木壮太郎】南北首脳会談で合意した平和繁栄宣言を
受け、韓国造船大手の大宇造船海洋は5日、北朝鮮東部の安辺(アン
ビョン)に造船部品工場を建設する計画を明らかにした。韓国人社
員の往来の自由化などの条件が満たされた時点で投資を正式決定し
、早ければ2009年の稼働を目指す。同宣言に基づいて経済協力分野
のプロジェクトが具体化に向けて動き出した。

 南北首脳会談に同行した南相兌(ナム・サンテ)社長が韓国メデ
ィアとの懇談会で明らかにした。計画しているのは船体ブロックと
呼ばれる構造物の生産。生産規模は年20万トン以上、投資額は1億
―1億5000万ドル程度を想定している。(07:00) 
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「実務者出席、金総書記の意欲示す」南北会談同行の教授(ASAHI)
2007年10月08日06時32分

 韓国の盧武鉉(ノ・ムヒョン)大統領に同行して平壌での南北首
脳会談に参加した文正仁(ムン・ジョンイン)・延世大教授が7日
、朝日新聞と会見に応じた。北朝鮮の金正日(キム・ジョンイル)
総書記が4日の首脳宣言後の歓送昼食会に軍、核・外交、経済など
各分野の実務担当者を出席させたことを「金総書記の意思表明」と
述べ、北朝鮮が合意実現へ前向きの姿勢を示すとの見方を示した。 

 文氏は00年の南北首脳会談にも同行した。文氏によると、昼食
会のメーンテーブルには両首脳のほか金章洙(キム・チャンス)韓
国国防相ら閣僚に交じり、核・外交問題で金総書記の右腕とされる
姜錫柱(カン・ソクジュ)第1外務次官、6者協議の首席代表の金
桂寛(キム・ゲグァン)外務次官が座った。文氏は「実務級を座ら
せるのは異例だ。核問題での積極姿勢を直接説明しようというもの
で、解決へ向けた金総書記の強いメッセージだ」と述べた。 

 昼食会には金総書記の義弟に当たる張成沢(チャン・ソンテク)
氏ら経済担当の実務幹部も参加し、韓国大企業トップへの説明に当
たったほか、金総書記側近の軍幹部も出席した。「7年前の歓送会
には高齢で名目的な幹部が多かったが、今回は宣言の項目・分野ご
とに実務幹部を出席させ、合意履行の意思を示したのではないか」
と文氏は述べた。 

 文氏は日朝関係について「盧大統領が日本人拉致を含む日朝関係
での改善を促したのに対し、金総書記も日朝関係の進展には期待を
示したと承知している」と述べた。 
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中国外務省、南北首脳会談の成果を評価 【中国国際放送局】
2007-10-04 20:33:23 cri 

 中国外務省の劉建超報道官は4日、中国は朝鮮と韓国の第二回首脳
会談が成功裏に終わり、積極的な成果を収めたことを歓迎すると述
べました。 

 劉建超報道官はこの仲で、「中国は一貫して朝鮮半島の南北双方
が対話を通じて関係を改善し、和解と協力を実現することを支持し
てきた。中国は、朝鮮と韓国の第二回首脳会談が成功裏に終わり、
積極的な成果を収めたことを歓迎する。これは朝鮮半島の和平プロ
セスを促進し、地域の平和と安定にプラスとなることを信じている
」と語りました。 

 韓国のノ・ムヒョン大統領は2日にピョンヤン入りし、朝鮮の最高
指導者のキムジョンイル総書記と初の会談を行いました。韓国と朝
鮮の首脳は4日ピョンヤンで、「南北関係発展と平和繁栄のための宣
言」を発表し、民族の精神に基づいて協力して共同繁栄を図り、自
主的に統一を実現するという新しい時代を切り開く意欲を示しまし
た。これは2000年6月に韓国のキムデジュン元大統領が朝鮮を訪問し
て会談を行ったのに続く二回目の首脳会談です。(翻訳:KH)


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