2773.ミャンマー情勢から見えること



ミャンマーでの民主化運動から国際情勢が見える。 Fより

世界の工場となった中国の出方が、国際情勢を大きく変えることに
なることをミャンマー情勢は教えている。米国とEUはミャンマー
への経済制裁を行っている。

しかし、中国が国連安保理でミャンマー非難決議に反対しているた
めに、ミャンマーに対して、公式的に国連は非難声明を出すことも
できない状況にある。

戦後、今まで人権問題の進展が大いに進んできた。この人権進展が
植民地からの独立を世界に促し、かつ国の民主化で欧米自由諸国の
支援を得ることができるために、民主化が進展した歴史的な事実が
ある。

しかし、中国の発展で、この戦後の人権の進展が止まるように見え
ている。独裁国に対する中ロの支援は大きな力になるが、特に中国
の経済力が大きく力を与えて、その心配をする必要になっている。
欧米や自由主義国の経済制裁が大きな効果を生まなくなっている。

中国からの工業製品があるだけで、独裁国家は生きていくことがで
きる。今回のミャンマーもそうである。国民や僧侶に銃を向けるこ
とができ、かつ経済的な心配も国際社会からの干渉もないとなれば
、独裁国家は民主化を進展させる必要がないという心理的なバック
アップを得たことになる。

しかし、その中国を米国は非難できない。大量の米国国債を中国に
持たれて、中国からドル暴落の脅しを受けて、米国政府は中国を非
難もできない事態になっている。中国の存在が大きくなると共に、
欧米が目指していた民主化や人権外交ができないことになっている。

そして、ミャンマー情勢で一段と米国の対応が引いていることを感
じる。米国はアジア問題にあまり干渉をしない方向のようである。
その分、中国が力を得ている。どんどん中国圏が拡大している。

ミャンマーの北部は中国の1つの省のようになっているというし、
ミャンマーのヤンゴンから中国への石油パイプラインを工事して、
中東からの石油をそこで下ろして、パイプラインで運ぶことを中国
は戦略的に考えている。このため、ミャンマーの軍事政権に支援し
ている。

世界情勢は、人権擁護の時代から人権問題放置になっていく方向に
なっている。ダルフール問題でも中国がスーダン政府寄りに終始し
たために、人権擁護ができずに、とうとうダルフール全域がアフリ
カ系住民が追い出されてアラブ人に占拠され、その占拠が完成して
からしか国連軍が入れない状態になっていた。

日本は、この中国の近くにいるために、民主主義の基本である人権
擁護をどう進展させるのか悩ましいことになっている。
欧米と同じ経済制裁では、問題は解決しない。軍事力の脅しもでき
ない。世界の民主化が日本企業の工場移転に必要なことである。
この線から独裁国の指導者を説得するしかないのでしょうね。

さあ、どうなりますか??
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「すべての政治犯釈放を」とガンバリ氏 安保理会合(ASAHI)
2007年10月06日01時16分

 ミャンマー情勢をめぐる国連安全保障理事会の公式会合が5日開
かれ、ガンバリ事務総長特別顧問が現地情勢について報告した。
「真の国民的対話のためにはすべての政治犯の釈放が必要」などと
述べ、安保理の一致した対応を含めた国際社会の支援を求めた。 

 ガンバリ氏は「当局の暴力的な抑圧」によって日本人ジャーナリ
ストを含む死傷者や逮捕者が出ており、政府発表の数十人の死傷者
よりも被害者は「大幅に多い可能性がある」と説明。「深刻な懸念
」を示した。 

 タン・シュエ国家平和発展評議会議長がアウン・サン・スー・チ
ーさんと条件付きながら会談の用意があるとしたことについては、
「潜在的には歓迎すべき進展だ」と一定の評価を示した。 

 報告に対し、米国のカリルザード国連大使は、軍政が国際社会の
懸念に応える適切な行動をとらなかった場合、制裁決議を提案する
用意があると述べた。一方、中国の王光亜・国連大使は現在のミャ
ンマー情勢は国際的な脅威ではないと述べ、慎重な姿勢を示した。
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ASEAN、ミャンマー問題の国連仲介を支持
(nikkei)
 【シンガポール=野間潔】シンガポールのリー・シェンロン首相
は3日、ミャンマー訪問を終えて立ち寄った国連事務総長特使のガン
バリ特別顧問と会談した。東南アジア諸国連合(ASEAN)議長
国でもあるシンガポールのリー首相はミャンマーの国民和解と平和
的な民主化への移行に向けた国連の仲介について、ASEANとし
て全面的に支持すると表明した。

 リー首相は国連特使との会談で、国連による軍事政権と民主化勢
力との仲介がミャンマー国民にとって最大の希望だと強調。仲介努
力の継続を求めた。同首相は9月30日までにタイやマレーシア、イン
ドネシアなどASEAN主要国首脳と電話でミャンマー問題を協議
。軍事政権トップのタン・シュエ国家平和発展評議会(SPDC)
議長にガンバリ特使と会談するよう強く求めていた。(21:16) 
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対ミャンマー援助、一部凍結へ 高村外相が考え示す(ASAHI)
2007年10月03日13時15分

 高村外相は3日昼、ミャンマー(ビルマ)でカメラマンの長井健
司さん(50)が銃撃されて死亡した事件を受け、「人材開発セン
ターみたいなものは当面、止めることができないか検討したい」と
述べ、日本政府がミャンマーで実施している無償資金協力などの人
道援助の一部を凍結する考えを示した。外務省で記者団に述べた。

 高村氏は「(援助を)すべて止めてしまえという意見もないわけ
ではないが、ただでさえ民衆が苦しんでいるなか、民衆に直接裨益
(ひえき)するようなものまで止めてしまうのは良くないだろう」
と説明した。 

 外務省によると、ミャンマーに対する日本の援助は03年以降、
人道援助などに限られ、06年度は無償資金協力と技術協力を合わ
せて約30億円。人材開発センターの建設と関連機材は、今年度実
施を予定しているのは約5.5億円。 
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米、対ミャンマー追加制裁で圧力・国際包囲網構築へ
(nikkei)
 【ワシントン=加藤秀央】米政府は27日、反政府デモが続き邦人
らの死者も出たミャンマーへの追加経済制裁を発動し、同国の軍事
政権への圧力強化に動き出した。同調する欧州だけでなく、経済的
な結び付きが強い中国、タイなどにも協力を求め、政権を完全な孤
立に追い込む戦略だ。ただ経済制裁でミャンマーの民主化を実現す
るのは簡単ではなく、米国などは新たな戦略を迫られる可能性もあ
る。(07:00) 
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EU、ミャンマー制裁強化で合意 
(nikkei)
 欧州連合(EU)加盟国は3日に大使級会合を開き、市民らに武
力を行使したミャンマー軍事政権に対して制裁措置を強化すること
で合意した。現在の金融取引規制や貿易優遇策の撤廃に加え、ミャ
ンマーからの木材や貴金属の輸入禁止などを実施する見込み。15日
に開くEU外相理事会で具体策を詰める。
(ブリュッセル支局) (12:01) 
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ミャンマー情勢、鍵を握る中国

 【大紀元日本10月4日】ミャンマー軍事政権が僧侶と民衆による反
政府デモを武力弾圧した問題について、欧米諸国は、同政権に最も
影響力を持つ中国当局が圧力をかけ、弾圧を停止させることに期待
を寄せている。一方、中国当局はミャンマーと密接な経済関係があ
るため、軍事政権に本格的な圧力をかけるのは不可能との見方もあ
る。

 エネルギー不足に悩む中国にとって、ミャンマーは便利かつ確実
な供給源であり、一方、欧米諸国から長期的な経済制裁を受けてい
るミャンマー軍事政権にとっては、中国は最も重要な貿易パートナ
ーである。ミャンマーだけでなく、スーダン、北朝鮮など国際社会
から孤立している国々は、中国当局と密接な関係を持っていること
から、今回の武力弾圧問題の解決には、中国当局の積極的な対応が
国際社会から期待されている。

 報道によると、国際社会が中国当局に対し、ミャンマーへ圧力を
かけることを期待する一方、中国国内の評論家らはそれに悲観的な
見方を示している。作家の趙達功氏は、このような期待と要求は空
想であると述べ、「1989年に自国民を弾圧した(中国共産党)独裁
政権が、その弟分に銃を捨てるよう説得することが可能であろうか
。おそらく、弟分は『兄貴なら、どうするのか。同じことに直面し
たら、銃を発砲しないのか』と聞き返すだろう」と指摘した。

 今回の武力弾圧で、国連安保理は同政権に対する制裁発動を模索
したが、中国は「今の状況で制裁は有効な手段ではない」(王光亜
国連大使)との見解を譲らなかったため、声明はフランスのリペー
ル国連大使が読み上げる非公式なものにとどまった。

 中国当局が公表した統計によると、2006年度両国の貿易高は14.6
億ドルに達し、前年度比20・7%増となっている。また、今年7月まで
に、中国からの輸出は前年比50%増となっている。

 ドイツの最大日刊紙FAZ(Frankfurter Allgemeine Zeitung)は、
中国当局は長年、ミャンマーから宝石や木材などの資源を輸入して
おり、同軍事政権の崩壊は中国にとって損失であると報じた。ドイ
ツの公共放送局ドイチェ・ベレ(Deutsche Welle)は、ミャンマー
の北部地域は中国の一つの省に化しており、現地では中国製品と中
国人が溢れているなど、両国の密接な関係を報じた。米VOAは、「ミ
ャンマー軍事政権が存続するには、中国当局の支持が重要不可欠。
中国当局も経済利益のために、軍事政権の安定を望んでいる」と分
析、中国当局が弾圧阻止に向けて影響力を行使するかどうかには懐
疑的な見方を示している。

 中国とミャンマーは1950年に国交を締結し、中国当局は多額の無
利息・低利息借款を提供してきた。また、中国はミャンマーの国家
建設プロジェクトにも参加。同国の多くの道路と橋の建設に、中国
企業が深く関わっている。

 非政府組織「アースライツ・インターナショナル(EarthRights 
International)」が最近公表した報告書によると、過去10年間にお
いて、ミャンマーでは中国企業26社以上が62項目に及ぶ大型建設プ
ロジェクトに参加しているという。その中には、中国雲南省とミャ
ンマー南西部のインド洋海域を結ぶ石油・天然ガスの運送パイプラ
インが含まれている。
(翻訳/編集・叶子、田中)
(07/10/04 07:48) 


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