2762.電気自動車競争の行方について



昨日、モータの先生に会いに永田町へ行った。    Fより

電気自動車が次の自動車になるとここのコラムでは主張している。
ハイブリッドは、過渡的な車でしかない。燃料電池車は耐久性と値
段的に無理がある。しかし、日本のトヨタは電気自動車に興味を示
していないし、電気自動車を担当していた研究者が転勤で居なくな
っている。このようにほとんどの日本の自動車会社は電気自動車に
あまり積極的ではない現状がある。

しかし、その電気自動車の話題がいろいろと出てきて、かつ石油が
1バーレル84ドルもするという状況になり、だんだん、家庭用電
源から電気を給電するプラグインモータが米国を中心に開発されて
きた。

そして、シリコンバレーのベンチャー企業・テスラモータが1000
万円台のスポーツタイプの電気自動車を売り出し、受注が3000
台であるという情報が駆け巡っている。この自動車にはリチュウム
・イオン電池が積まれ、300Kmも一度の充電で走るということ
であり、日本企業はどう対応するのか、それも知りたいと先生に会
いに行った。

このテスラモータの創業者はIT系企業の経営者であり、そこに投
資しているのもIT系の人たちで、その意味では素人たちである。
従業員は主にクライスラー系の電気自動車をやっていた人たちであ
るようだ。

米国の電気自動車には歴史があり、クライスラーのアイアコッカが
30年前に電気自動車の企業を作り、そこで基礎的な技術を積んで
いた。先生もアイアコッカの会社に日本製のニッケル水素電池を推
薦して60台ほどの電気バイクを輸出したことがあるという。

テスラモータの記事を見ると、リチュウム・イオン電池を台湾の企
業から購入しているとあるが、これは中国企業であると指摘された。

先生の事務所にも中国製の電気バイクが試験のために置いてあるが、
そのバイクもリチュウム・イオン電池を搭載している。現在、台湾
では、リチュウム・イオン電池は製造されていない。中国は潜水艦
搭載用の非常に精度のいいリチュウム・イオン電池があり、それを
搭載している可能性が高いとのこと。

しかし、リチュウム・イオン電池には大きな問題点がある。衝撃を
与えると爆発するということであり、どう保護するかを考える必要
がある。中国製の電気バイクの重いリチュウムイオン電池を取り出
す時に、先生から注意された。落としたら、爆発するから気をつけ
てと言われた。私は、先生にそのようなリチュウ・イオン電池をバ
イクに積んでいいのですか?と

先生は、そこがこのバイクの問題点だと。中国製のリチュウム・イ
オン電池は、保護が十分ではないようだ。もし、このリチュウム・
イオン電池をテスラが使用しているとすると、衝突時爆発して大事
故になる。このことをテスラの素人たちは知らない可能性が高いの
で、日本の自動車会社は高みの見物をしているようだ。

先生はトヨタ車体の電池自動車コムスにリチュウム・イオン電池を
乗せる方向でS電機と実験してきて、近々、リチュウム・イオン搭
載のコムスと3輪バイクを発表するようである。

このリチュウム・イオン電池はPCに搭載されている電池を集合し
て、安全性を高めたと言う。S電機はリチュウム・イオン電池の世
界シュア・トップにあり、各種のリチュウ・イオン電池を持ってい
る。PC搭載のリチュウム・イオン電池は落としても爆発しないよ
うな保護があり自動車に積んでも安全であるという。

現時点、コムスは鉛電池で一回の充電で40Kmしか走行しないが
、リチュウム・イオン電池では150Km走行できる性能になる。
この電気自動車コムスをトヨタは生産中止の方向である。このため
、先生も生産を継続してくれる企業を探しているようである。

その候補がS電機かもしれないと思った。S電機としてもリチュウ
ム・イオン電池が大量に出ることになれば、そのコストは飛躍的に
小さくなり、現在のガソリン自動車に勝てることになる。しかも、
石油はどんどん値段が高くなる。

自動車会社が電気自動車を軽視していると、S電機のような電池会
社が自動車会社を引っくり返すことになるような気もする。
また、GMやテスラのように電気自動車の構造は簡単なので、日本
のトヨタ打倒を旗印に、米国は中国と組んで電気自動車を本格的に
取り組んできたようであり、ゼロ戦とグラマンのような死闘がここ
でも繰り返すことになるように思う。

日本企業の動きは昔の日本軍のような気がする。補給ラインが脆弱
で、今、トヨタも海外展開で人員がいなくて、電気自動車開発に人
が避けないようだ。

来年のプリウスにもリチュウム・イオン電池を積まないと宣言した。
プリウスもプラクイン化を行うというが、一度の充電で走行できる
距離は、ニッケル水素電池のために15Kmしかない。これをリチ
ュウム・イオン電池にすると40Kmまで可能になる。しかし、リ
チュウム・イオン電池搭載の実験をしていない。

というより、S電機はフォード・日産と組んでいるために、リチュ
ウムイオン電池を持っている松下電機に声を掛けるしかないが、松
下とトヨタ合弁の電池会社はニッケル水素電池に特化しているので
、再度、松下のリチュウム・イオン電池の技術者と組むしかない。
と思っていたら、松下電器の株をトヨタは大量に買うことになり、
やっと、リチュウム・イオン電池搭載に本腰を入れ始めたようであ
る。


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