2736.仏教思想史1



仏教思想史を書こうとすると、バラモン教(後のヒンズー教)から
見る必要がある。ウパニシャドなどである。
                           Fより

日本にはインドのバラモン教もヒンズー教も直接的には入ってこな
かったが、東南アジア史を見ると分かるとおり、灯篭はヒンズー教
のリンカーが仏教に入った物であり、水天・弁天・吉祥天などはイ
ンド・ヒンズー教の神様である。水掛地蔵の風習もインド・ヒンズ
ー教のリンカーに水を掛ける風習が東南アジアで、後から来た大乗
仏教に取り入れられた風習である。

インドの思想はヴェーダ時代の今から3500年前の昔に遡ること
ができる。ヴェーダからウパニシャドの哲学、仏教哲学と面々と哲
学が体系づけられて、最後にヒンズー教として位置づけられている。

インダス文明を破壊したアーリア人が紀元前1500年頃にインド
のヴェーダを作った。アーリア人は中央アジアにいたが、その後、
アジアの突厥や大月氏などに追われて、1つがインドへ、もう1つ
がヨーロッパに追いやられた民族で、このインド人と欧州人の祖先
アーリア人は、祭祀主義であり、アミニズムの信仰であった。

欧州のアーリア人たちが、祭祀主義から一神教(キリスト教)にな
るのは、ローマ帝国の支配を受けたからである。元はユダヤ教であ
る。

この祭祀の規定、その意義・解釈などの集大成がヴェーダ文献であ
る。ヴェーダ文献の最高峰がウパニシャドである。ヴェーダには、
多神教の神々たちが登場し、この神たちへの祭祀の方法などが書か
れている。

ウパニシャドは紀元前6世紀から紀元前2世紀に徐々に成立した
おびただしい散文である。この書には、祭祀主義から脱皮して、宇
宙の根源や人間の本質を主知主義的に究めようとする態度がある。

そして、宇宙原理プラフマンと個体原理アートマンとの合一説に至
って、哲学的な深まりに達する。ヒンズー教だけでなく、仏教にも
影響を与えた業や輪廻の思想もここで確立する。

ウパニシャドに続く約10世紀がインド思想の最盛期である。仏教
の開祖ブッダ、ジャイナ教の開祖マハーヴィーラなどであり、伝統
に捕らわれない自由思想を説いたのだ。

紀元前4世紀頃にバラモン教に土着文化を受け入れて変貌してヒン
ズー教になる。これはアーリア人が東へ移動して、その地の土着民
族との同化が進み、徐々に文化的な中心地としてガンガー河中流域
が発展したことによる。今のベナレスとかビハール州の首都パトナ
である。

紀元前4世紀、この地にマウリヤ朝ができ、第3代のアショーカ王が
全インドを統一した。アショーカ王は仏教の保護者であり、またヴェ
ータ聖典の学習の補助学としての諸学問を発展させた。この補助学
の発展がバラモン教からヒンズー教になった基礎になっている。

ヨーガは、紀元前4世紀より後の「カタ」に「確固とした感覚器官
の保持」して、「心を散らさなくなる」方法と述べられている。
このように、ヨーガは肉体上の訓練法ではなくて、心の陶冶であり
、精神の集中統一方法なのである。坐法や呼吸の調節法など、精神
統一の具体的な方法が規定された。ヨーガの体系はバタンジャリを
祖とするヨーガ学派が成立した後、紀元5世紀ごろに確立した。
仏教のこのヨーガに影響されて密教ができ、かつ密教の訓練法がヨ
ーガ学派にも影響を与えたようである。



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