2724.米国発金融不安について



米国のサブプライム問題で、世界同時株安になっている。その検討
                 Fより

米国で低所得者向けの高金利型住宅ローンの大量焦げ付きで、金融
市場の悪循環が止まらない。ローンの最初は低金利で、ある時期を
過ぎると高金利になるローンで、その最初の時期を過ぎた時点で、
住宅価格が上昇していれば、その住宅を売って借りたローンを払い
、儲けが出るという思惑で低所得者も住宅を購入していた。

このローンが出た時点から、将来的な住宅価格の下落時には、大量
の焦げ付きが出ると予想されていたが、米流入人口、移民が増える
ということで、住宅価格は将来共に上昇すると金融業界や住宅関係
者は言っていた。

しかし、現実はテロ対策で同盟国EUのビザ免除まで見直すという
制限を着けるほど、米国は流入を抑えている。米企業が必要なイン
ドのIT技術者も米国での労働ができない状態にある。中南米から
の移民も制限し始めている。

このような状況から住宅価格の上昇から下落に転じていた。このた
め、最初に心配されていたローンの焦げ付きも出てきたが、この焦
げ付きを、つい最近まで証券、銀行やファンドは隠していた。

このため、米NY市場は過去最高の市場価格になっていた。コラム
2707で述べたようにSECの陰謀説も出るまでになった。米国の一
連の鎖国政策(移民制限、人の移動の制限、外交政策)で、世界は
変化してきている。それと米国の産業の空洞化で、企業からの税金
が大幅に縮小し、橋、下水道、道路などのインフラの整備もできな
くなっている。このため、米国経済は金融業界に依存していた。

イラク戦争では親米政権のマリキ首相から多くの党派が離脱して、
マリキ首相はより鮮明に、イランへ傾斜し始めている。これは米国
の望む方向ではない。このイラクからの撤退をゲーツ長官まで言及
し始めている。アジア政策でも東南アジア諸国連合(ASEAN)
地域フォーラム(ARF)にライス国務長官が欠席したように、あ
まり関心がない。アジアの問題はアジアでというスタンスになって
きている。その意味ではモンロー主義に米国はなってきている。

しかし、経済はグローバル化して、米国の躓きが世界に影響を与え
る。サブプライム問題も米国で大きくならずに、フランスのバリバ
銀行で顕在化するというように、米国が国内を統制して問題を隠し
ても、それだけでは収まらないことになる。

そして、とうとう、国際的な株安という大問題に発展して、SEC
も銀行が隠しているローンの焦げ付きを調査すると言うが、エンロ
ンで懲りたためにできた米SOX法は何だったのかという疑問が出
ている。

日本はJ−SOX法を来年から施行するが、米SOX法の無意味さ
を検討することが必要である。円キャリー取引の巻き返しで、円も
上昇している。ドル下落が起こっている。中国がどこまで米国を支
えるかが問題である。米議会では民主党がその中国制裁法案を通し
ている。米国の経済的な自殺が起きる可能性もあり、今後を見る必
要がある。

さあ、どうなりますか??

2707.米国の株価上昇はおかしい
http://www.asahi-net.or.jp/~vb7y-td/190721.htm
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サブプライム危機 米震源、世界のマネーが逆流 
08/11 09:16 IZA

 【ワシントン=渡辺浩生】低所得者向けの高金利型住宅ローン(
サブプライムローン)の大量焦げ付きに端を発した金融市場の悪循
環が止まらない。信用不安が海外の金融機関やヘッジファンドに飛
び火し、震源地の米国では住宅ローン全体に不良債権化が拡大中だ。
米連邦制度理事会(FRB)も火消しに乗り出したが、米景気の悪
化を阻止できるのかどうか。不透明な先行きが市場の不安心理をあ
おっている。

 「現状では、米金融・債券市場の混乱で預金機関が、異例な資金
需要に直面する可能性がある」
 FRBは10日、190億ドルという2003年8月以来最大規
模の緊急資金供給を実施したが、株価は不安定な状態が続いている。
 足下の危機は、サブプライムローンの焦げ付き急増で、ローン債
権を担保にした証券が暴落。この証券が引き金となって欧米ヘッジ
ファンドの巨額損失、さらにファンドに融資する金融機関の財務体
質の悪化へと“負の連鎖”が波及した。
 仏金融大手BNPパリバが傘下ファンドを凍結したのに続き、9
日には米投資銀行大手ゴールドマン・サックス傘下のファンド2社
が、相場の乱高下で巨額損失を計上したことも分かった。

 このため、欧米の金融市場で資金供給が細る「信用収縮」が拡大。
M&Aブームなど、株高を支えた世界のマネーの流れが逆回転して
いる。
 問題は、今回の危機が世界経済の牽引(けんいん)役の米国を震
源地としていることだ。
 ローンの延滞で急増する住宅差し押さえが「周囲の住宅価値を下
げ、次の延滞に波及している」(米責任融資研究所)。焦げ付き問
題が住宅市場を一段と冷え込ませる中で、ガソリン高などが重なれ
ば、個人消費への悪影響は避けられない。

 しかし、FRBは「将来の利下げ」のメッセージには消極的。
ブッシュ大統領も「住宅市場は軟着陸に向かっている」と繰り返し
、住宅ローン会社や借り手への救済措置導入を否定する。
 住宅バブル崩壊から正常化に至る途上とみて、「痛みは堅調な経
済が吸収できる」(財務省幹部)との読みがあるからだが、悪循環
が米景気悪化に及ぶまえに、食い止められる保証はない。
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2007/07/29 09:33 市場の動揺、米政権が火消しに動く

 【ワシントン=小竹洋之】ブッシュ米大統領と主要経済閣僚は
27日、4―6月期の実質経済成長率が前期比年率3.4%に持ち直した
ことを歓迎し、今後も米経済の底堅い成長が続くとの見通しを示し
た。信用力の低い個人向け住宅融資(サブプライムローン)問題な
どへの不安が市場を動揺させており、米政権が一斉に火消しに動い
た格好だ。 

 ブッシュ大統領はポールソン財務長官らとの会談後、ホワイトハ
ウスで記者団に「米経済は柔軟で立ち直りが早い」と述べた。「国
民はこの強い経済をよくみてほしい」とも語り、景気の先行きに大
きな不安はないと訴えた。
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<米橋崩落>「人災」批判強まる 必要補修費、予算化されず
8月3日23時39分配信 毎日新聞

 米中西部ミネソタ州で1日、ミシシッピ川にかかる高速道路の橋
が崩落した事故は、必要な補修費を投じなかったことによる「人災
」との批判が強まっている。米メディアは、全米各州で橋の安全性
の再確認や補修費用の試算などが始まったと伝えた。民主党が多数
派を占める米連邦議会は、対策強化に必要な予算増を求める構え。
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米・EU、ビザ免除制度を見直し
(nikkei)
 米国と欧州連合(EU)が渡航者へのビザ免除制度の見直しに入
った。テロ対策を強化するため、米国が西欧などのビザ免除国から
の渡航者に事前登録を義務付ける措置を決定。対抗措置でEUも同
様の規制導入を検討し始めた。米欧間の渡航者にとどまらず、米欧
のビザ免除国である日本の旅行客やビジネスマンらにも影響が及ぶ
とみられる。

 ビザ免除制度は90日程度までの短期滞在であればビザなしで入国
できる枠組み。米国は英独仏や日本などからの渡航者に適用してい
るが、入国審査を強化する目的で、渡航者に事前登録を義務付ける
措置を今月上旬に決めた。渡航48時間前までに旅行者が米治安当局
の質問に答える形式で、個人情報をオンラインで入力、米政府の事
前承認を得ることが必要になる。(07:00) 
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米SEC、実態解明へ サブプライム問題【中日新聞】
2007年8月11日 11時31分

 【ニューヨーク10日共同】信用力が低い借り手を対象としたサ
ブプライム住宅ローンの焦げ付き問題の実態解明に向けて、米証券
取引委員会(SEC)が大手金融機関の調査に乗り出したことが
10日、明らかになった。焦げ付きの恐れがあるローンなど全体像
を把握することで市場の不安心理解消を目指す。米連邦準備制度理
事会(FRB)は同日、この日3度目となる約30億ドル
(約3500億円)の資金を金融市場に投入。米当局は物心両面か
らの手当てで早期の混乱収拾に乗り出した。

 米メディアによると、SECの調査は米証券大手ゴールドマン・
サックス、メリルリンチを含む証券会社や銀行の証券部門などが対
象。SECはこれまでの決算発表でほとんどの社がサブプライム問
題に関する損失を開示しなかったのに、最近になって証券会社傘下
のヘッジファンドで損失が相次いで表面化したことを重視した。


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