日本の政治を語るときに、政党の支持基盤を検討する必要がある。 Fより 民主党と自民党の2大政党は、元は同じ自民党から割れたと考えて もいいほど、イデオロギーの問題を感じない。その2つの政党を色 付けしているのは、その支持基盤と支持基盤に利益を齎す政策で判 断することである。多くの国民は、あまり違わない外交の方向性で は政党選択をしない。 このため、常に次の選挙を政党は意識して政治をする必要がある。 だれを味方にするかを考えて、常に行動する必要がある。 このように考えると、今の自民・公明党は都市の大企業管理者以上 と創価学会の信者しか支持母体がない。参議院での民主党支持層は 都市の組合加盟の労働者、農村の小農家である。組合加盟率が落ち たとはいえ、30%以上はあり大きな力を発揮する。農村部の農家 の支持は絶対的でしょうね。しかし、両陣営ともに、その支持母体 だけでは当選できない。 現在は支持政党なしという人たちが増えて、この層の支持を得られ るかどうかが問題なのである。支持政党なしの層を分析すると、若 者層と老人層の2層は、利益が相反しているが、現時点では老人層 の選挙率が高い。今回の参議院選挙を近くの若者に聞くと、ほとん どが行っていない。しかし、老人層に聞くとほとんどの人が行って いる。選挙会場でも老人層がやたらと目に付いたのは うなずける。 しかし、政府はこの老人層の介護医療などを削減して、少子化対策 にシフトしている。それでは、老人層は自民党から離れる。それに 輪をかけて、年金問題を大きな争点としたために、民主党に老人層 がなびいたのでしょうね。 今回ほど、前回の衆議院選のイメージ選挙とは違い、選挙民の実利 を争点にした選挙はなかったと思う。国政策の方向を選挙民の実利 として提示した民主党の小沢さんの選挙手法は、危険でもあるが、 選挙のもう1つの側面であると見る。 安倍政治の基本は正しい。財政バランスを取り戻すことは非常に重 要であるが、その上でどの選挙民の実利を満たすかを考えて政治を する必要がある。その選挙民は、選挙に来て、自民党に入れてくれ る人たちである。