2714.温暖化防止の新しい動き



「しんかい6500」によって、海中深いところにCO2が液状化
して存在することが分かった。この検討。   Fより

「しんかい6500」は水深6,500mまで潜ることができる潜水調査船で
現在運航中の有人潜水調査船としては世界で一番深く潜ることがで
きる。1990年に完成し、2007年には通算1000回の潜航を達成したと
のこと。独立行政法人海洋研究開発機構のHPより

この「しんかい6500」が、沖縄海域での液体二酸化炭素の海底噴出
という「世界初の発見」した。これが、二酸化炭素海底貯蔵のアイ
デアにも結びついたのだ。

それと、メタンと一緒に液体CO2を海中に入れると、微生物が
CO2をCHの有機体にする可能性があることも分かった。これは
日本発の大きな温暖化防止の発見である。

このため、にわかに世界はCO2防止対策として、CO2の固定化
が研究の中心になっている。石炭火力発電所から出る大量のCO2
が海中で微生物の働きで有機物に変化するとなれば、これほど、い
いことはない。

しかし、10年以上の研究期間が必要であり、当面は原子力発電で
凌ぐしかない。
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CO2の固定化、10年で実用化を目指す 
http://www.ecology.or.jp/w-topics/wtp11-0307.html
  
 地球温暖化の原因となるCO2を化石燃料使用時に隔離し、地中や
海中に固定化する「炭素隔離技術」を共同で研究開発するため、米
国を中心に日本、中国、ロシアや欧州の一部など14カ国が策定した
国際憲章の内容が24日、朝日新聞が入手した憲章の最終案で明らか
になった。
 CO2削減のため、今後10年でコスト削減や環境保全を踏まえた技術
開発を進める。憲章は25日に米ワシントンで各国政府代表が署名し
、即日発効する。

 CO2固定化での国際的な枠組みは初めて。炭素隔離技術は、世界最
大のCO2排出国で、排出量削減を義務づけた「京都議定書」に不支持
の立場をとる米国のブッシュ政権が温暖化問題で排出削減の代替策
として主導。すでに一定の技術開発が進んでいるうえ、排出量で上
位5カ国の米国、中国、ロシア、日本、インドがいずれも同憲章に署
名する方針。

 憲章に加わるのは、上位5カ国に加え、カナダ、オーストラリア、
ノルウェー、英国、イタリア、メキシコ、ブラジル、コロンビア、
南アフリカの計14カ国。これらの国のCO2排出量(2000年)は計約155
億トンで世界全体排出量約239億トンの65%を占める。
 最終案によると、憲章は、炭素隔離・貯蔵の技術研究開発に関す
る国際協力のための枠組みで、条約とは異なり、国際法上の権利や
義務は生じないが、研究成果の共有で開発が加速されるなど参加国
にメリットが生まれる。活動は、共同研究開発の奨励、知的所有権
の取り扱いに関する議定書づくり、研究の方向性に関する提案、など。
 全体の枠組みと方針を取りまとめる政策グループ(各国最大2人)
と、進展状況や調査の方向を見極める技術グループ(同)を選び、
事務局を米エネルギー省に置く。憲章の有効期間は25日から10年間
(延長可)。

 日本政府(代表=西川太一郎・経済産業副大臣)は24日の閣僚級
会合で、CO2固定化技術は、地球環境対策で大きな役割を担いうると
して協力を表明する。地震が多く狭い日本の国土事情を考慮して、
地中隔離技術だけでなく、海洋隔離技術の重要性も主張する。
 日本は、火力発電所などから大量に発生するCO2を分離回収し、海
洋の中層に液体CO2を放出する技術や、地中帯水層に貯留する技術の
開発を進めている。現時点では、トン当たりの処理に3000〜8000円
かかり、分離回収や輸送時のコスト削減が大きな課題。海洋生物へ
の影響も指摘されており、環境への影響予測を確立する必要がある。

<炭素隔離技術>

 火力発電所などから生じる大量のCO2を化学吸収法や物理吸着法で
分離・回収したうえでパイプラインなどで輸送、地中や海洋に圧入
し、固定化する技術。日米、ノルウェーなどが開発を進めている。
今後30〜40年にわたり化石燃料が主要なエネルギー源になる見込み
の中、地球温暖化を防ぐ技術として期待されている。
京都議定書では、各国が研究開発と応用を促進すべき分野として挙
げられている。環境への影響など安全性も課題になっている。 

資料:6/25日付 朝日新聞ニュース速報
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海の液体CO2:海底に自然のプールを確認、地球温暖化対策に
期待持てる発見
http://plaza.rakuten.co.jp/gnetoffice/diary/200608300000/

1.始めに
 沖縄・与那国島から北西50キロメートルの海底で、液体状の二
酸化炭素(CO2)がたまっている場所を発見したそうだ。その存
在は予想されていたが、確認したのは初めてで、地球温暖化対策と
して深海底にCO2を投棄する研究にはずみを付けるものとなった。

 2.液体CO2の発見
1)研究機関
 海洋研究開発機構(神奈川県横須賀市)の地殻内微生物研究プロ
グラムの稲垣史生サブリーダーら
2)確認方法
 グループが有人潜水調査船「しんかい6500」を使って見つけた。
3)確認内容
(1)液体CO2の確認
 水深1380メートルにある熱水チムニーと呼ぶ、熱水に含まれ
る硫化物によって煙突状の構造が形成されている熱水口で液体CO2
を観察した。
(2)たまり(プール)
 約50メートル離れた場所に液体CO2が面積で200平方メー
トル、厚み20センチ程度でたまっている場所を見つけた。
(3)ふたの存在
 液体CO2は、マグマに含まれるCO2やメタンが海底表面で冷
やされて液化したもので、液体でも通常は浮き上がってしまう。
発見した液体CO2の“プール”は、硫黄が固まったものと液体CO2
が水分子とくっついた「液体二酸化炭素ハイドレート」が上側に
ふたを形成していた。 
(4)メタン含有と微生物
 液体CO2中にはメタンも含まれ、CO2とメタンをエネルギー
源とする微生物の存在も確認した。

 3.発見での見解
1)地球温暖化対策
 地球温暖化対策として深海底にCO2を投棄する研究が進められ
ているが、液体CO2は強い酸性を持ち、深海生物への影響も危惧
(きぐ)される。メタンと混合して投棄すれば緩やかではあるが生
物活動により有機物への変換が期待できるなど新たな知見を導ける
可能性があるという。
2)宇宙生物への期待
 高圧と高い酸度、無酸素という極限環境にある液体CO2の中で
生物の存在が確認されたことは、CO2と氷が存在するということ
が分かった火星に、生命が存在するかどうかを議論するうえでも貴
重な発見だという。

 4.最後に
 CO2は圧力の高い深海で冷やされると液体となり、水深2400
メートル以上では海水よりも比重が重くなるため浮いてこないと考
えられている。この性質を利用して、地球温暖化対策が検討されて
いるが、それに加えて、今回の発見では「メタンと混合して投棄す
れば緩やかではあるが生物活動により有機物への変換が期待でき、
強酸性の影響を緩和する術となりそうなことが分かり、より一層の
弾みが付きそうである。
 また、深海の悪条件は宇宙にも通じる厳しい条件で、そこで生き
ている微生物を確認できたことは、かなり厳しい宇宙の条件下でも
生命体の発見に結びつく期待を覗かせた。
 宇宙と同じ未知の海で、日本は『しんかい6500』などを使っ
て様々に研究を繰り広げている。宇宙ほどには華々しくはないけど
、中身の濃い仕事を積み重ねていると思う。今後も多くの成果を期
待したい。

<参考資料>
1)海底の液体CO2だまり 沖縄沖で初確認(Yahooニュース)
                         H18.08.29


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