2702.日米関係の亀裂



日米関係の亀裂が目立ち始めた。       Fより

北朝鮮問題でとうとう、日米の考え方の違いがハッキリ出てきた。
日本は拉致問題を優先して解決することを目指し、米国は北朝鮮の
核問題を解決して、平和条約を結ぶことを優先している。

米国はイラク戦争前は、世界の唯一の覇権国家として米国幕府とし
て君臨していたが、現時点の世界に対する影響力はほとんどない。
それはイラクのような3流国家のゲリラに勝つことができないと世
界は知ったことによる。それだけではなく、アフガンのように一度
占領した地域でも、ゲリラ活動が再開されて負けている。

米国の世論もイラク戦争反対やイラクからの撤退を求め始めている。
福音派の教会も、イラク戦争に反対し始めている。ブッシュ離れを
起こしている。米国国民は大統領の弾劾を求めるまでになっている。
共和党の基盤である福音派でも民主党を押す動きが出ている。その
ように米国も変わってきた。

イラク戦争開始前に、米国がこの戦争で揺らぐし、米国が揺らぐと
東アジアの地域覇権は日米から中国に傾くと予測していたが、それ
が現実化している。その時、多くの日本の評論家は米国のネオコン
に同調していた。

アフガニスタン・イラク戦争の両戦争に負けている米国は、ほかの
問題を解決できないことになっているし、米国の発言力は小さくな
っている。にもかかわらず、米国が東アジアの問題に口出ししてく
るのは、北朝鮮が米国を必要としているからで、そういう意味では
米国と北朝鮮の利害は一致している。

そして、北朝鮮は米国の力を借りて、日本や中国を負かそうとして
いるように感じる。北朝鮮が米国を組し易しと見ている証拠でもあ
る。その証拠に安寧の原子炉のウランはほとんどなくて、黙って見
ていても、停止する運命にあったことがIAEAの調査で分かった
のである。

北朝鮮は、次に米国に軽水炉をおねがりしている。北朝鮮の新型ミ
サイルをネタに韓国には米と金を要求している。しかし、日本は北
朝鮮を締め上げるために、日本の朝鮮総連の資金を召し上げている。
また、中国は歴史の見直しで、北朝鮮は中国の固有の領土であると
言っている。

北京の防衛上、北朝鮮を米国の陣営に渡すことも中立にすることも
できないと中国国防部は考えている。朝鮮半島が中国の国防上、重
要な位置にあることを日本の知識人は、軍事的な知識がないために
分からないのである。この点に気が付けば、日本と中国の利害が一
致していることを分かるはずだ。

米国は軽水炉の建設費は出そうとはしないし、金を一銭も北朝鮮に
出す気はない。日本や韓国、中国が出すべきであると言うが、日本
も中国も、北朝鮮の要望を聞く気はない。

このように中国と日本の利害が一致して、北朝鮮と韓国、米国の利
害が一致し、かつ2つの陣営は利害が対立している。日中の利害が
一致しているのを米国も気が付いて、アジア全体に北朝鮮問題を拡
散させて、日中の共同行動を封鎖しようとしている。

米国務省は米朝会議が、日本や中国の賛成を得られないと分かり、
路線を変更し始めている。しかし、中国と日本の意向を組み入れる
という思考を持てるかどうか、まだ疑問である。

日本は今まで米国に外交を依存してきたが、外交交渉の仕組みを変
える必要に迫られている。中国と日本が協力して、この北朝鮮問題
に取り組む必要になっている。あくまでも、この北朝鮮問題に限っ
ての話であるが、米国から離れることが必要であると見る。
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米朝軍事会談の優先順位は低い・米次官補が認識示す
(nikkei)
 来日中のヒル米国務次官補は14日朝、北朝鮮が提案した米朝軍事
会談について「朝鮮半島の平和体制の協議は、最後にすることだ」
と指摘した。軍事会談は現時点で優先度が低いという認識を示し、
北朝鮮が軍事会談開催を核問題進展の条件として交渉カードに使う
事態を警戒、けん制したものとみられる。都内のホテルで記者団に
語った。

 軍事会談の提案への対応について次官補は「まだ誰とも相談して
いない」としながらも「関係国の関心は核問題を巡る6カ国協議を
どう進めるかにある」と強調。「北朝鮮軍がまず6カ国協議に協力的
で、その上でほかのことについて協力するならなおさら良い」とも
述べ、米朝二国間対話の先行を探る北朝鮮の姿勢にクギを刺した。

 6カ国協議合意に定めた核放棄の「初期段階の措置」に基づき、
北朝鮮が核施設を停止する時期に関しては「間もなく実施されるだ
ろう」とした。だが「(我々の)戦略上、どの日になるかは重要で
はない」とも主張し、若干の遅れは問題としない考えを示した。
(14:37) 
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日米、協調の裏で認識に落差 6者協議へ両代表会談(ASAHI)
2007年07月13日22時29分

 北京で来週再開される6者協議首席代表会合を前に米国代表のヒ
ル国務次官補が13日、来日し、佐々江賢一郎・外務省アジア大洋
州局長と会談した。両氏は当面、共同歩調をとることで一致。ただ
、米側は年内にも朝鮮半島の「平和体制協議」を始めることに積極
的な姿勢を見せるのに対し、日本は「まず初期段階の措置の完了が
重要」と慎重で、拉致問題の進展も求めている。両政府の姿勢の違
いは18日からの会合にも持ち越される可能性がある。 

 両氏は会談で、初期段階の措置を北朝鮮ができるだけ早く実施す
ることが重要だとの認識で一致した。「次の段階」の措置について
も、来週の会合で「すべての核計画リストと既存の核施設の無能力
化の議論を深める」ことを確認した。拉致問題でもヒル氏は協力を
約束。日朝、日米関係作業部会を含む「均衡のとれた合意事項の実
施」に期待感を表明した。 

 ヒル氏はこれに先だち、成田空港で「平和のためのどんな道具も
非核化なしにはありえない。非核化に先んじて和平合意を結ぶこと
はない」と、あくまで非核化が当面の重要課題だと強調した。だが
、11日にはワシントンで、朝鮮戦争の休戦協定を平和協定に移行
する協議を年内に始める必要があると表明し、中国や韓国も巻き込
んで米朝対話をさらに加速させる構想も示している。 

 日本政府内には、米国が今回の会合を機にさらに先走るのではな
いかとの警戒感も根強い。 

 安倍首相は13日、青森市での街頭演説で「すべての拉致被害者
が日本の土を踏み、肉親と再会する日が来るまで、鉄の意志で取り
組んでいく」と訴え、参院選でも拉致問題の進展を最重要課題にす
る考えを改めて表明。 

 塩崎官房長官もこの日の記者会見で、再開される会合を「初期段
階の措置の速やかな実施を確認し、次の段階に向けての作業に入る
重要な機会」と位置づけた。そのうえで対北朝鮮エネルギー支援に
関して「拉致問題を含めた日朝関係の進展を確認しなければならな
い」として、拉致問題の進展を重要視する政府方針に変更がないこ
とを強調した。 
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北東アジア安保で新枠組み必要、米国務次官補が表明 
(nikkei)
 【ワシントン=丸谷浩史】北朝鮮の核問題を巡る6カ国協議で米首
席代表を務めるヒル国務次官補は11日、日本人記者団と懇談した。
2月の合意文書に盛り込んだ北東アジアの安全保障対話について「多
国間のオープンな構造がいいと考えている」と指摘、6カ国に限定し
ない新たな枠組みが必要だと表明した。9月初めのアジア太平洋経済
協力会議(APEC)前に6カ国の外相会合を開き、安保の新枠組み
を議題にするとの見通しも示した。 

 ヒル次官補は18日開幕で最終調整している6カ国協議の首席代表会
合は「2、3日間で、今後の日程協議が中心になる」と、核放棄に向
けた年内の予定固めに重点を置くと強調した。北東アジアの安保対
話のあり方も同会合で提起されると語るとともに「核問題の6カ国に
限定すべきだとの意見や、他の国を加える必要があるとの声もある
」と説明した。 

 そのうえで、新たな枠組みに関する議論は「6カ国外相会合の議題
だ」と述べ、事前に首席会合などを通じて調整を進める考えを示し
た。(02:05)
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2007/07/11-08:22 安倍政権に懸念の声
         =歴史問題で米民主党左派から−グリーン氏 

【ニューヨーク10日時事】グリーン前米国家安全保障会議(NSC)
上級アジア部長は10日、時事トップセミナー(時事通信社主催)
での講演で、従軍慰安婦問題で安倍晋三首相が狭義の強制性を否定
したことなどを受け、米民主党左派から「安倍政権は国家主義的で
あり、日米安保を強化すると米国はアジアの中で孤立してしまう」
と懸念の声が出ていると語った。その上で、来年の大統領選で民主
党候補が勝利すれば、米外交政策に影響が出てくる恐れがあると述
べた。
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米下院、イラク撤退法案を可決 大統領は拒否権の方針(ASAHI)
2007年07月13日13時53分

 米下院は12日、120日以内にイラク駐留米軍の削減に着手し
、08年4月1日までに戦闘部隊を撤退させることを義務づける法
案を、223対201の賛成多数で可決した。 

 政権がこの日、議会に提出したイラク情勢をめぐる中間報告書で
は、議会によって設定されていた努力目標のうち、半分近くについ
て、不十分な進展しかみられない、との認識が示された。法案は、
この報告書を早速受けて、野党民主党を中心に、部分撤退を求める
メッセージを改めて発し、政権への圧力を高める動き。共和党から
は4人が賛成に回った。 

 下院はすでに3月、イラク駐留米軍の撤退を求める法案を可決し
たが、ブッシュ大統領が拒否権を発動し法案は成立しなかった。
今回の法案についても大統領は拒否権を行使する方針で、成立の見
通しは立っていない。 


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