2686.ヒラリー民主党政権誕生と台湾政策の180度転換



ヒラリー民主党政権誕生と台湾政策の180度転換

               2007.6.17    DOMOTO

「中台の軍事力の格差が広がるなかで、台湾は戦意維持や情報戦レ
ベルから完敗している」
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070516-00000020-san-int
 「台湾、将兵1万人超で軍事演習」(5月16日 産経)

これは5月16日に産経新聞が掲載した軍事専門家の見方だが、6月14
日付の米紙ウォールストリート・ジャーナルの世論調査では、アメ
リカ大統領選挙に関する項目で、民主党勝利を期待する人が52%に
対し、共和党は31%にとどまり、次期大統領選の予測は今のところ
、民主党がリードしている。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070615-00000018-mai-int
「<ブッシュ米政権>支持率29% 政権発足後、最低」(6月15日 毎日)

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070612-00000081-jij-int
「『最強』ヒラリー氏、『好感』オバマ氏=討論会実施州の世論調
査−米大統領選」(6月12日 時事通信)
『SAPIO』4月11日号では、ハーバードの国際問題研究所などに勤め
た藤井厳喜氏が、2007年12月の台湾の国会選挙と2008年3月の台湾
総統選で野党・中国国民党が政権を握り、2008年11月のアメリカ大
統領選挙で民主党が政権を握れば、アメリカは台湾を見捨てる可能
性を予測している。見捨てられた台湾人は、中国のオファーを受け
入れ中国に併合されるという。

藤井氏はこう述べているが、北京オリンピックの聖火リレーは、
2008年3月31日から8月8日に渡って行われる。国際オリンピック委員
会の2007年4月時点での聖火のリレーの経路は、香港(中国領)→
台北→マカオ(中国領)である。

台湾の民進党陳水扁政権は北京五輪聖火リレーの受け入れ拒否を表
明しているが、陳水扁政権は果たして台湾内への聖火リレーを実力
阻止するだろうか。腰の抜けた今のブッシュ政権に中台の聖火リレ
ー問題に介入する意思はないだろう。

5月24日に行われた台湾メディアの世論調査によると、現時点では
野党国民党がリードしている。

「来年の総統選挙候補者について、もし今日投票するとしたら、
国民党の馬英九氏と民進党の謝長廷氏のどちらを選ぶかとの質問で
は、国民党の馬氏を選ぶと答えた人が50%、民進党の謝氏は25%、
どちらも支持しないが8%、わからないが17%だった。」

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070524-00000020-rcdc-cn
「7周年の陳水扁政権、支持率下落17%に―台湾世論調査」(5月24日 Record China)

仮に来年3月の次期総統選で与党・民進党が政権を維持したとして
も、ネオコン去りし後、来年11月のアメリカ大統領選挙で親中の民
主党が政権を握れば、中国との経済協力をアメリカの国益のために
重要視する民主党政権は、現在のアメリカの北朝鮮政策同様、台湾
政策を180度変更し、台湾を見捨てる公算は非常に高い。前民主党ク
リントン政権の中国政策と同様になる。

前述の藤井氏は、中国が台湾にあれほど固執するのは、アメリカに
守られている台湾を落とせば、もともと華僑経済で成立している
東南アジア諸国が、オセロゲームのように、アメリカから中国の
支配下に落ちるという読みがあるからだと指摘している。

これによって、「日本はアジア圏で孤立化し」(藤井氏)、アメリ
カに加えて『中国の属国』となることが決定的に確定する。
DOMOTO
http://www.d5.dion.ne.jp/~y9260/hunsou.index.html
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ブッシュ政権の北朝鮮との妥協政策に見る、極東アジア戦略の形骸化
               2007.6.24    DOMOTO

アメリカ国務省が暴走と愚行を始めている。

「ヒル米国務次官補は、北朝鮮首席代表の金桂寛(キムケグァン)
外務次官や朴宜春(パクウィチュン)外相との会談で、北朝鮮側が
2月に合意した寧辺の核施設停止など「初期段階の措置」について
完全に履行する意志を確認したと説明。今後、3週間以内に稼働停
止が完了するとの見通しを伝えた。日米双方は、両国が今後も連携
し、北朝鮮がすべての核施設の無能力化など『次の段階の措置』履
行するよう協議を加速していくことで一致した。」

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070623-00000004-yom-pol
『北朝鮮核施設3週間内に停止』ヒル次官補が日本側に説明」(6月23日 読売)

アメリカ国務省とヒル国務次官補は「子供のお使い」か。
寧辺の核施設など、ブッシュ政権以降はただの「おとり核施設」、
「張り子の核施設」で、アメリカとの「交渉用施設」として設けら
れているはずだ。北朝鮮とイランの核開発で共通しているのは、
戦術上アメリカの偵察衛星の目をくらますために、核施設は地下に
作られている事だ。
http://otd9.jbbs.livedoor.jp/911044/bbs_plain?base=138&range=1

今月発売された、ワシントンの最新の日高義樹氏のリポート『アメ
リカの新国家戦略が日本を襲う』では、国防総省の情報担当者の話
として、
「衛星が写した写真にある施設は、北朝鮮側が外部を欺くためにわざ
と作った疑いが強い。本当の施設はすべて山岳地帯の奥深くに作ら
れている。」

「地上に露出している施設はすべて偽者だ。本当の施設は、アメリ
カ軍がミサイルや爆撃機で攻撃しても壊れないような岩山の奥に作
られているはずだ。」
という事を挙げている。
http://www.amazon.co.jp/gp/product/4198623317/503-6332954-4852753

北朝鮮核問題の6カ国協議で、初期段階で双方が一致して行うと定
められた措置の内容は、次の通り。
(1)北朝鮮は寧辺の核施設を稼働停止・封印し、国際原子力機関
(IAEA)の要員を復帰させる(2)北朝鮮は核計画の一覧表につい
て他の5カ国と協議する(3)米朝はテロ支援国家指定解除などの
協議を始める(4)日朝は国交正常化協議を始める(5)重油5万
トン相当のエネルギーを北朝鮮に支援する。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070617-00000003-san-int
http://www.mofa.go.jp/mofaj/area/n_korea/6kaigo/6kaigo5_3g.html

北朝鮮が寧辺の核施設を稼働停止・封印を履行したとしても、意味
など全くない。また、第2段階措置で、IAEAの査察官が山岳地帯の
奥深くに作られている核施設を見つけることなど出来はしない。
IAEAの査察は「冗談」、というのが軍事常識だそうだ。

今年2月の、第5回6カ国協議で合意されたアメリカと北朝鮮も取
り決めは、「(アメリカ)政府内の正当な手続きを踏まず、政策担
当者の分析も行われず」、国防総省、CIA、財務省との政府機関内で
の会議も行われず、ブッシュ大統領の大統領特権によりライスとヒル
国務次官補が決めてしまった。無能化が進むブッシュ政権は、無責任
な話で、日本だけではなく中国以外の、韓国、ロシアの6カ国協議
のメンバー国にも、事前相談無しだったそうだ。
http://www.amazon.co.jp/gp/product/4198623317/503-6332954-4852753

ブッシュ政権・ホワイトハウスは、2002年に国家安全保障戦略NSS2002
を作り上げた。これは半世紀に及ぶ冷戦期のアメリカの国家安全保障
政策NSC68に変わるもので、毎年ごとに改定されてきたが、2006年3月
に出されたNSS2006において、アメリカの戦略が大きく変更されてい
るという。
http://www.whitehouse.gov/nsc/nss/2006/nss2006.pdf

ワシントンのハドソン研究所で日米の将来予測などの研究をしてい
る、前述の日高義樹氏はNSS2006を仔細に検討し、その分析を前著で
述べている。その著作の中でNSS2006について直接的に述べているの
は14ページ程だが、ブッシュ政権の極東アジア戦略を扱う章では引
用回数が多い。

NSS2006におけるアメリカの戦略変更で、日高氏が一番注目し重要視
しているのは、ブッシュ政権の極東アジア戦略が極めて希薄になった
という事だ。日高氏はその中でブッシュ政権の極東アジア戦略につ
いて、(極東アジア戦略が)「放棄された」とか「消滅した」とい
う言葉を頻繁に使っている。

NSS2006でブッシュ政権の極東アジア戦略が形骸化したのは、イラク
戦争の長期化で、チェイニー副大統領の元首席補佐官、ルイス・リ
ビーなどのネオコン戦略家達がすべてホワイトハウスから去り、
追放された事にもよる。

「イラク問題で窮地に立たされ、息も絶え絶えのブッシュ大統領は」
、北朝鮮の核開発問題を含むアジアの極東戦略を放棄し、戦略の対
象を、テロリズムと中東・アフリカ地域に優先的に絞り込んだという。

現実には国防総省、CIA、アメリカ海軍などが中国、北朝鮮、台湾情
勢などを警戒して対峙しているが、肝心のホワイトハウスは今、極
東アジア以外でも、機能不全状態に陥ってしまったと見える。

「アメリカ外交を動かしているアメリカ国務省のエリートたちは、
手に負えなくなった北朝鮮問題を解決するためには、北朝鮮と国交
を結んでもかまわないという考えにとりつかれている。」
http://www.amazon.co.jp/gp/product/4198623317/503-6332954-4852753

2003年8月に、ネオコン主導のブッシュ政権が設けた6カ国協議は
、2007年6月に、アメリカ国務省により前民主党クリントン政権と
同じ愚行を繰り返そうとしているが、それは北朝鮮の核開発問題を
、今のブッシュ政権が優先度の低い問題として考えているからだ。

「アメリカは北朝鮮問題を解決するつもりがない」(日高氏)

北朝鮮に対して強硬派の元国務次官、元国連大使のジョン・ボルト
ンは、国務省とライスのこの計画は、早い時期に破綻すると予測し
ている。

参考文献:『アメリカの新国家戦略が日本を襲う』 日高義樹
(徳間書店 2007年6月刊)
http://www.amazon.co.jp/gp/product/4198623317/503-6332954-4852753

DOMOTO
http://www.d5.dion.ne.jp/~y9260/hunsou.index.html

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