2671.ハイリゲンダムG8での地球温暖化問題



ハイリゲンダム・サミットG8が終了した。その検討。 Fより

今回のサミットで重要な議題は、地球温暖化の問題であった。ドイ
ツや欧州は風力発電やリサイクル、排気ガス取引市場で一歩先を行
くために、温暖化問題関連で経済上の利益を得る可能性が高い。

また、京都議定書が失効する2012年以降の排出ガスの削減に
ついて、主要国が多国間協定の締結に向かわなければ、地球の温暖
化は悲劇的な結果になる。

そして、サウジアラビアの国内生産の半分を頼る世界最大ガワール
油田の石油産出量が減少して、石油生産量は今後大きく削減する状
態になることが分かっている。このため、石炭火力が再度盛んにな
る可能性がある。石炭は石油よりCO2を沢山出す。

G8の米国やオブザーバの中国は電力やエネルギーの60%以上を
今も石炭で賄っているために、排ガス規制を掛けられると経済的な
制約が出ると反対している。

しかし、米国のハリケーンも地球温暖化で強力になり、多大な被害
をメキシコ湾岸地域に与えていることで、米国民意識も変化してき
ている。それと、排気ガス減少をしない米企業の活動を欧州では制
限する方向である。このため、米企業や米国の各州でも排気ガス減
少の独自制限を設けて努力するようになっている。

このような状態の中で、このサミットでは「すべての主要国による
削減の枠組みで、二〇五〇年までに地球規模の温室効果ガスの排出
を少なくとも半減させるよう真剣に検討する」ことで合意した。

京都議定書の枠組みを離脱していた最大排出国の米国が、次期枠組
みには参加することが決まった。米国の参加がなければ、ポスト京
都の交渉自体がほとんど意味を失う。この事態だけは回避できた。
次期枠組みは、〇九年までに国際合意を目指すと期限を切った。

中国も次期枠組みへの参加をしてほしいですね。しかし、中国は発
展途上国と組んで、反対をするはず。経済的に損だからである。

しかし、日本は次期枠組みができると有利な位置にいることになる。
原子力発電、省エネ技術、電気自動車、たんぱく質合成など日本企
業が得意分野がますます注目されることになる。

温暖化問題でも裏にも、各諸国は経済的に損か得かの駆け引きをし
ている。米国がイラク戦争に負けることが明らかになり、イラクの
石油が手に入らなくて、次世代戦略を変更してきている。また、ゴ
アが出てきたことで分かる。米国は次世代戦略で苦しんでいる。
しかし、米国の戦略変更により、世界の枠組みも変化する。
その観点を忘れずに!!
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“環境”サミット 米国は戻って来るが
2007年6月9日

 主要国首脳会議(ハイリゲンダム・サミット)は、温室効果ガス
削減の次期枠組みづくりにそろって取り組むことで合意した。米欧
の決裂は回避されたが、実効確保はこれからが正念場だ。

 焦点の地球温暖化問題で、G8首脳は「真の脅威」である気候変
動に「国際社会が温室効果ガス削減に断固たる措置を取ることが必
要」として、「すべての主要国による削減の枠組みで、二〇五〇年
までに地球規模の温室効果ガスの排出を少なくとも半減させるよう
真剣に検討する」ことで合意した。

 京都議定書の約束期間が終わる一三年以降の新たな枠組みづくり
については、〇九年までの国際合意を目指すと期限を切った。

 序盤では、議長国のメルケル独首相が「一九九〇年比で五〇年ま
でに50%以上削減」という従来の主張を堅持し、産業界に配慮し
て具体的な期限や数値目標の設定をなるべく避けたい米国と激しく
対立した。

 しかし、「対立点より共通点を見いだすべきだ」とする日本の橋
渡しが奏功し、削減の基準年を定めない、あいまいな日本提案に沿
った形で米欧が歩み寄った。

 京都議定書の枠組みを離脱していた最大排出国の米国が、次期枠
組みには参加する。米国の参加がなければ、ポスト京都の交渉自体
がほとんど意味を失うだけに、日本の仲介努力を評価したい。

 しかし、現時点では、米国の復帰という最低限の舞台装置が整っ
ただけである。「半減を検討」という抽象的な目標を具体化してい
くための手だてはまだ決まっておらず、首脳合意の実効性を危ぶむ
声が早くも上がっている。

 削減の数値目標なしには、欧州が先行し、重視する排出量取引制
度も成り立たない。

 年末にはインドネシアのバリで気候変動枠組み条約第十三回締約
国会議(COP13)、来年には日本で開かれる洞爺湖サミットの
ほか、米国や国連が提唱する新しい国際会議も予定されている。
日本政府にはこれまで以上に、首脳合意の具体化に向けた米欧の調
整役への責任と期待がかかる。

 米国の復帰で、中国の参加にも一筋の光が差した。だが、中国も
独自の“削減目標”を発表はしたものの、自国を含む“途上国”に
削減義務を課すことには、断固反対する姿勢を崩していない。

 日米欧の枠組みで、削減参加の見返りとしての金融や技術支援の
メニューを詰めるなど、中国やそのほかの途上国に同調を促す仕掛
けを、早急につくらねばならない。
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サミット閉幕、温暖化ガス削減へ決意・議長総括
 【ハイリゲンダム(ドイツ北東部)=日高広太郎】主要国首脳会
議(ハイリゲンダム・サミット)は8日午後(日本時間同日夜)、議
長国ドイツのメルケル首相が地球温暖化防止への決意を盛り込んだ
議長総括を発表して閉幕した。議長総括では温暖化ガス削減に向け
た各国の協調を訴えた。北朝鮮に対しては拉致問題などの「早急な
解決」を求めた。今回のサミットは「2050年までの温暖化ガス半減
」で一致、主要国は実現に向けて重い課題を背負う。

 議長総括では、干ばつや大型ハリケーンの発生などにつながる地
球温暖化について「断固たる国際社会による行動が緊急に必要とさ
れている」とした。先進国が率先して温暖化対策に取り組むととも
に、12年に期限が切れる「京都議定書」後の新たな温暖化ガス削減
の枠組みに、中国やインドなどすべての主要排出国が参加し、各国
が一致してこの問題に取り組むことの重要性を訴えた。

 前日発表された「50年までに温暖化ガスの排出量を少なくとも半
減させる欧州連合(EU)、カナダ、日本の決定を真剣に検討する
」との文言を盛り込み、米国などが反対していた数値目標の設定に
一歩踏み込んだ。09年までに世界の温暖化ガス削減の具体策を作成
する方針も示し、京都議定書後の新たな排出削減の枠組みの構築に
強い意欲を示した。

 日米欧は温暖化ガスの削減に向けて主要排出国が対策を話し合う
初会合を今秋にも開く方針。各国は「温暖化ガスをいつまでにどの
くらい削減するか」「いつを基準年として温暖化ガスを削減するか
」など具体的な数値目標の策定を進める。

 議長総括ではこのほか、風力発電など再生エネルギーの活用や省
エネルギー、原子力発電の推進などの重要性も指摘。これに先立っ
て8日午後に開いた中国、インドなどの新興国との会合で、主要国は
温暖化対策で共同歩調をとるよう求めた。

 一方、政治分野では北朝鮮に対して核放棄に向けた初期段階の措
置となる核関連施設の停止・封印や拉致問題の「早急な解決」を促
した。安倍晋三首相は「北朝鮮に対する国際社会の忍耐には限界が
ある」などとして、サミットで問題解決に向けた強いメッセージを
送るよう主張していた。

 議長総括はイランに対するウラン濃縮活動の停止も求めた。イラ
ク情勢の安定やアフガニスタン復興に向けた支援強化も打ち出した
。次回サミットは08年7月、北海道洞爺湖町で開く。 (00:04) 

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首相記者会見要旨  ハイリゲンダム・サミット終了
 【ハイリゲンダム(ドイツ北部)8日共同】安倍晋三首相の内外
記者会見要旨は次の通り。

 ▽温暖化対策
 気候変動への対処が大きなテーマだったが、議論が私の提案を軸
として行われ、日本の提案が議長総括に盛り込まれ、大きく貢献で
きた。充実感を感じている。気候変動問題に取り組む上で、責任を
果たす。サミット文書に日本の提案が書き込まれた以上、私たちに
大きな責任がある。

 ▽北朝鮮問題
 北朝鮮が6カ国協議で合意した初期段階措置を取っていないこと
は極めて遺憾。国際社会が連携し、時には圧力をかけていく必要が
ある。わたしが議論をリードし、議長総括で早期解決を含む力強い
メッセージを発出することができた。今後もサミットの成果を踏ま
えて、欧州連合(EU)とも協力し、国際社会と連携する。問題解
決に鉄の意志を持って当たっていきたい。

 ▽洞爺湖サミット
 日本が議長国となる来年の北海道洞爺湖サミットでは環境立国・
日本として、気候変動問題を主要課題に取り上げていきたい。徹底
的に環境にやさしいサミット運営にしたい。

 ▽国際的諸問題
 アフガニスタンの復興支援のほか、イランの核問題解決に向けた
働き掛け、スーダンの平和の定着支援にも積極的に取り組む。資金
面、復興支援の人的貢献は積極的に行わなければならない。国際的
な課題に日本として責任を果たす必要がある。


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