2665.米ブッシュ政権のイラク政策



戦力に余裕が出来た?   

2658.北朝鮮BDAからの送金問題について
   
 Fさま
また鋭いご指摘ありがとうございます。
米国政権内部の対立原因はわかりませんが、イラン爆撃を当面延期
したので空母戦力に余裕が出来て、北朝鮮に強硬策が可能になった
のでしょうか?

北朝鮮は中国を脅かす重大な要素なので、ジェイの子分であるポー
ルソンが怒っているのか?あるいは後ちょっと我慢すれば北朝鮮を
崩壊/政権交代させることが出来るので、もったいないことするな
ということでしょうか?

米国景気も思っていたほど悪くならなさそうで、中東はひとまず矛
を収めて今度は東アジアで急展開が起こるかもしれませんね。
金先生は探りにチョロッとミサイルを撃ってみたが、逆効果になっ
たのかもしれませんね。
団塊君
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(Fのコメント)
米ブッシュ政権の内部は、戦略上の対立が起こっている。ゲーツ国
防長官とライス国務長官はイランとの対話を通じて、不名誉になら
ないイラクからの撤退を志向している。タカ派のチェイニー副大統
領はイラク戦争を勝つまで戦うという。

ゲーツ国防長官は、9月まで戦況を見て、戦況が好転しなければ、
徐々にイラク派遣の兵員数を少なくすると言う。現時点14万人を
10万人まで削減するとしている。この意味は、米軍は基地に閉じ
こもって、敵兵の掃討作戦はしないということであり、そうすると
、勝つ見込みはないので、徐々に削減して撤退する方向であること
は自明になる。敵兵の掃討作戦はイラク軍というが、現時点でもイ
ラク軍に敵が混じり込む状態なので無理がある。

このイラク戦争目的はイラク石油の確保と、ハリバートンの収益拡
大が大きな柱であるから、この目的を達成するまで戦うというのが
、チェイニー副大統領の考えである。

チェイニーは、ハリバートンの社長をしていたし、ハリバートンの
大株主なのだ。ハリバートンは元々、石油開発会社ですから、石油
の掘削がメインでしたが、チェイニーが社長になってから軍の請負
仕事もするようになり、現在ではメインの仕事の1つになっている。
このハリバートンにはブッシュ父も投資している。

しかし、チェイニーの絶対的な信頼を得ていたラムズフェルド前国
防長官を失い、チェイニーの絶対優位から、その立場は弱くなって
いる。またチェイニーと同盟関係にあった英国ブレアも豪州ハワー
ドも、国内的に苦戦してブレアは退任となっているし、ハワードの
支持率も急落している。チェイニーの同盟で今でも健在なのは日本
しかない。このため、日本が拉致問題解決が絶対に必要と主張して
いるので、チェイニーは味方を温存するためにも、日米で実現する
ということになった。

そして、敵であったロシアの近傍にMDを配備すると言って、ロシ
アを北朝鮮制裁に巻き込もうとしている。ロシアは北朝鮮に軍備拡
張の金がないことを知っているために、制裁とMDの取引きにメリ
ットを感じ、チェイニーの提案に乗っている。チェイニーの勧めで
訪米もすることになった。

そして、アジア地域でも中国の台頭に対して、米国の戦略について
対立している。日本にMDやF−22などの高価な軍事機器を売り
つけるためにも、日本周辺での軍事対決を演出しないといけないと
いうのが、チェイニーの考え方である。これに追従しているのがゲ
ーツで、中国への警戒感を演出している。

ポールソン財務長官も、この面ではチェイニーと同じ考え方である
が、親中ポールソンは中国と対決したくないので、北朝鮮を悪者に
する方向で日本を米国の武器市場に留めようとしているようだ。

リアリストのゲーツとライスは、イラク問題解決のために東アジア
の紛争は当面放置して、全力をイラク撤退作戦にかけたいようであ
る。このため、ヒル国務次官補だけが北朝鮮問題を負わされている。
しかし、米ブッシュ政権では、アジア政策の優先順位が低いので、
ライスもあまりヒル次官補を助けていない。ポールソンは中国友好
さえ実現できれば、北朝鮮などは切り捨てる方向である。このため
ヒル次官補をサポートしてくれるのは韓国と中国しかない状態にな
っている。しかし、その中国も本気であるかどうかは確かではない。

そして、チェイニーに面と向かって、ライスもゲーツも反対を言え
ずに、政権全体としては、タカ派チェイニー副大統領に流されてい
る。しかし、チェイニーもイラク情勢が転換しない為に、国民から
支持がなくなり、チェイニーの思い通りにもなっていない。ライス
に任せる方向にシフトしている。このようにイラク以外がチェイニ
ーでイラクがライスと分担ができ始めているようにも見える。

ブッシュは外交をライスとチェイニーに丸投げしている。このため
、ライスとチェイニーで米国の外交が揺れているように感じること
になると見る。
さあ、どうであろうか??
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北朝鮮、核施設の停止先行履行を拒否
 【ソウル=池田元博】北朝鮮の金明吉(キム・ミョンギル)国連
代表部公使は31日(米東部時間)、韓国の聯合ニュースの電話取材
に対し、マカオの銀行「バンコ・デルタ・アジア(BDA)」にあ
る北朝鮮関連資金の送金問題決着前に寧辺(ニョンビョン)の核関
連施設の停止・封印など、2月の6カ国協議合意を履行する案を拒否
する立場を表明した。

 同ニュースによると、金公使は「我々の立場は最初から明白だっ
た。BDA問題が優先解決されるべきだ」と述べた。6カ国協議の米
国首席代表を務めるヒル国務次官補は、BDA問題の解決が国内法
手続きなどの障害で難航していることを認めたうえで、北朝鮮に2月
の6カ国協議合意の先行履行を求める考えを示していた。

 金公使は同時にBDA問題解決に向けて「米国が努力しているこ
とは分かっている」と語った。(19:37) 
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ロシアが、対北朝鮮制裁で大統領令 兵器などを禁輸(ASAHI)
2007年05月30日23時58分

 ロシア大統領府は30日、プーチン大統領が北朝鮮の昨年10月
の核実験に対する制裁を実施する大統領令に署名した、と発表した。
実験に対する国連安保理決議に基づくものだが、これまで実施して
いなかった。6者協議合意の実現を遅らせている北朝鮮に対して、
ロシアが態度を硬化させたことを示すと見られる。 

 大統領令は27日に署名された。これにより、ロシアのすべての
法人、企業や個人は、戦車や装甲戦闘車両、軍用機、ミサイルなど
の兵器と部品、核兵器開発につながる物資や技術などを北朝鮮に供
給することが禁止された。また、北朝鮮の核・ミサイル開発に関係
していると見られる人物の入国も禁止された。 

 北朝鮮で生産されている兵器の多くはロシア製の武器と関係が深
く、ロシアの制裁措置が厳しく実施されれば、国連の制裁は効果が
高まることになりそうだ。 

 そのほか大統領令は金や宝石類、価格300万ルーブル
(約1300万円)以上の乗用車などぜいたく品の輸出も禁じた。 
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拉致問題「被害者全員の帰国」で解決・日米が一致
(nikkei)
 【ワシントン=丸谷浩史】中山恭子首相補佐官(拉致問題担当)
は31日、米国家安全保障会議(NSC)のワイルダー・アジア上級
部長と会談し、北朝鮮の拉致問題について「被害者全員の帰国が大
切であり、それが問題の解決だ」との認識で一致した。米国による
テロ支援国家指定解除に関しても、ワイルダー氏は「日米の立場は
完全に一致している」と語り、拉致問題を考慮する考えを示した。

 会談後、ホワイトハウス前で記者団の質問に答えた中山氏による
と、ワイルダー氏は「ブッシュ大統領は日本の拉致問題に強く同感
しており、日米は拉致問題で一体になっている」と伝えた。北朝鮮
の核問題を巡る6カ国協議との関係では「一つの国では対応できな
い。日米でしっかり共闘態勢をとり、問題解決に向かっていきたい
」と強調した。(13:29) 
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ヒル米国務次官補が北京入り BDA問題で釈明?(ASAHI)
2007年05月30日12時03分

 アジア歴訪中のヒル米国務次官補は30日、北京に入った。マカ
オの銀行バンコ・デルタ・アジア(BDA)にある北朝鮮の資金移
管問題が難航し、6者協議再開のめどが立っていない中、同問題の
解決に向けた米政府の取り組みなどについて中国側に説明する。 

 ジャカルタから北京に移ったヒル次官補は、6者協議の議長を務
める中国の武大偉外務次官らと協議する。当初はソウル訪問を水面
下で調整していたが、急きょ北京訪問に変更した。BDA問題では
「米国側の不手際に対し、中国側の不満や批判が日増しに高まって
いる」(北京の外交筋)との指摘もあり、ヒル次官補が釈明を迫ら
れたとの見方もある。 

 ヒル次官補は武次官と協議前、記者団に「どの銀行にとっても(
北朝鮮の)資金を移管することは様々な法的問題があり難しいこと
がわかった」「この問題を解決できるか見極めなければならない」
などと弱音とも受け取れる発言をした。
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米イラン協議:イラク戦争の「出口」求める 米側

 【ワシントン笠原敏彦】ブッシュ米政権がイラク問題に限定しな
がらもイランとの対話へとかじを切ったのは、単独主義的行動で始
めたイラク戦争の「出口」を多国間の協調によるイラク安定化に求
めていることの表れだ。一方で、核問題では「イラン封じ込め」を
維持する姿勢は戦略の一貫性を欠き、米国内でもイランの協力を得
るのは困難との見方が強い。

 ライス国務長官は24日、「イランはイラクの安定を望むと公言
している。バグダッドでの会談はイランの真意を見極める場だ」と
語った。ライス長官はイラク問題でのモッタキ・イラン外相との会
談に前向きで、米国は大使級の「バグダッド・チャンネル」を定着
させ、突破口が見いだせれば外相レベルへ対話拡大を図りたい意向
とみられる。

 残り任期が1年半余となったブッシュ政権にとってイラク安定化
とイラン核問題はどちらも「時間との闘い」になった。ペトレアス
駐留米軍司令官は米軍増派でバグダッドの治安改善を目指した作戦
の評価を9月に行う予定で、結果次第で米軍撤退を求める声が米国
内で一層強まるのは必至だ。また、核問題ではイランによるウラン
濃縮技術の習得は目前とされる。

 こうした中、ブッシュ政権がイランとの「グランド・バーゲン(
壮大な取引)」を模索しているとの指摘も出始めた。イランにイラ
ク安定化で協力させ、核開発を放棄させるという目標だ。米国は核
問題でも「ウラン濃縮活動の停止」を条件に「イランが望むことは
何でも話し合う用意がある」(ライス長官)とシグナルを送ってい
る。
 だが、イラン系米国人の研究者、トリタ・パルシ氏は「米国は戦
略的にイランと対話するという決断を下していない。対話をイラク
問題に限定しているのはその証しだ。米国が包括的な対話に乗り出
さない限り、イランから意味のある協力は引き出せないだろう」と
指摘する。
毎日新聞 2007年5月28日 19時02分
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米政権、イラク駐留08年「半減」検討 米紙報道(ASAHI)
2007年05月27日01時13分

 米紙ニューヨーク・タイムズ電子版は26日、イラク駐留米軍の
戦闘部隊を現状の20個旅団から08年中に10個旅団に半減させ
、全体の人数も現在の約14万6000人を10万人程度へ削減す
る案がブッシュ政権内部で検討されていると報じた。 

 複数の政府高官の話として伝えた。イラクの治安が大幅に改善す
る見込みが立たないなか、米国民に不人気ながらも進めている米軍
増派作戦を軌道修正し、新たな戦略に切り替えようとする動きが取
りざたされており、今回の報道もそれを裏付けた形だ。 

 同紙の報道によると、削減案は内部での協議が始まったばかりだ
が、ゲーツ国防長官やライス国務長官が08年中の部隊削減を唱え
ているという。 


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