2646.「イラク撤退論」と中国による中東石油支配の始まり



 「イラク撤退論」と中国による中東石油支配の始まり
              2007.5.5 
              DOMOTO


 ブッシュ米大統領は5月1日、遅くとも今年10月にイラク駐留米軍
の撤退を開始し、来年3月末までに完了させる条項を盛り込んだ民主
党主導の戦費法案に対し、拒否権を発動した。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070502-00000039-jij-int

 「リベラル」思考など通用しないこの時代に、時代遅れ、または
時代錯誤の民主党の機関紙ニューヨーク・タイムズなど大手マスコ
ミがこの数年間、イラク撤退の世論形成をやっているが、アメリカ
がイラクから撤退すれば、中東の石油支配が今よりアメリカから中
国へ大幅にシフトしていく。当然アメリカの属国、日本の原油調達
能力も低下し、アメリカ石油メジャー全面頼みの、日本への輸入原
油価格は更に高騰するだろう。

 いま、中東ではアメリカと中国により石油の争奪戦が行われてい
る。
 イランの石油だけではなく、新米国家のサウジアラビアやクウェ
ートの石油にも中国は手を伸ばしており、一例を挙げれば、アメリ
カ資本であったサウジアラビアの国立石油企業サウジ・アラコムの
株の20%を現在中国が取得、他の石油共同事業を見てもサウジアラ
ビアは中国寄りの姿勢を強めつつある。

 いま、国際情勢の力学からすればアメリカと中国では、中国が優
勢といえる。
 アジアでの覇権を獲得するために、北朝鮮の核開発問題を利用し
、中東での石油覇権を獲得するためにイランの核開発問題を利用す
る。戦略計画を進行させていくその様は、見事なものだ。
 アメリカ国防総省でもCIAでも、イランと北朝鮮の核開発推進
の「黒幕」は中国であり、核兵器とミサイルの製造技術は中国によ
る供与が行われていると見ている。
「中国政府が考えているのは、イランを軍事的に強くして湾岸地域
における反米勢力の中心にすることである。」
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 同じ方法論がアジアでも使用され、北朝鮮軍を強化してアジアか
らアメリカを駆逐し、中国を盟主とするアジア圏での覇権獲得を目
的としている。

 アメリカ衰退論が盛んで、アメリカの力が低下して見える一つの
大きな要因に、中国の世界戦略の優越性が挙げられると思うが、
「独裁国家同胞群」−イラン、北朝鮮、ロシア、サウジアラビア−
などと同じルールで国家として行動ができる共産党独裁政権国家、
中国は、最大限に集団独裁政治のシステムを利用している。


参考文献:『米中石油戦争がはじまった』(PHP研究所 2006年1月刊)
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