2638.米国の弱体化で世界が変わる



米国の弱体化で、世界が変わってきた。その検討。  Fより

米国がイラク戦争で敗戦濃厚になり、米国の世界覇権国家としての
威信を大きく傷つけている。米国の地位は1989年11月9日に
ベルリンの壁崩壊が起きた時が最高の地点であったようだ。

1979年12月にソ連のアフガニスタン侵攻によって、アフガニ
スタンでイスラム・ゲリラを米国が支援して、そのイスラムゲリラ
にスティンガー対空ミサイルなどの兵器を供与して、ソ連のヘリコ
プターが多数撃墜され、かつ地上戦でもゲリラにソ連は悩まされた。
そしてソ連は1989年2月15日にアフガニスタンを撤退する。

それから10ケ月も経たない間に共産主義体制は崩壊に向かい、
1991年8月にはとうとう、ソ連が分裂してロシアなどの国にな
り、ロシア共和国は民主主義国家になる。米国はソ連という敵が敗
れて、名実共に世界唯一の覇権国家となるのだ。この時期、米国幕
府論をこのコラム(ST研究会のリポート)でも書いた。世界の国
は米国に立ち向かえない。反米は即、征伐に会うことになると。

米国はその世界最高の軍事力をメインの敵が居なくなった後、人道
主義に使うが、1992年にソマリアに投入したが、1993年
10月に米兵の遺体を引き回す群集の映像に米国民から撤退論が噴
出し、クリントン大統領は撤退する。

この後は、アフリカの難民救済に米軍がPKOで行くことはなくな
る。そのため、ダルフールの虐殺を救えない事態になっている。

世界の国としては反米になることはなくなったが、イスラムゲリラ
がアフガンの米国支援でその軍事的な力を持ち始めて、ソ連撤退後
に今後は反米的な対応をし始めた。1991年に始まる湾岸戦争で
、イスラム教の守護であるサウジアラビアに米軍が駐留することに
反発して、反米になったようだ。

そして、クリントン大統領時代にもナイロビの大使館爆破やWTC
の爆破などイスラム教徒ゲリラがかかわった事件が多発するように
なっていた。反米国家は存在できないが、国家ではないテロリスト
は反米が可能ということになって、米国はテロリストとの戦争に立
ち向かうことになる。

911でアフガニスタンとイラクに侵略したが、ここでゲリラ戦に
巻き込まれて、米軍は敗退が濃厚になっている。ラムズフェルド前
国防長官は陸軍はいらない。空海軍だけで米国は守れると、陸軍を
弱体化させたが、それが結局命取りになったように感じる。

イラク戦争で米国が泥沼に嵌ると、反米国家が息を吹き返すことに
なる。南米ベネズエラのチェベス大統領、イランのアフマディーネ
ジャード大統領などが反米的な発言を堂々とし始める。

そして、ロシアのプーチン大統領も欧米への不信感を強調する復古
調の演説をしている。イラクでも内戦になる可能性のために分離壁
を構築しようとした米国に親米イラク首相でさえ反対をしている。

米国は北朝鮮との紛争を解決するべく、BDAの凍結資産を解放し
たが中国などの抵抗で資産を移動できない事態になっている。この
件では米朝が協力すると見ていたが、北朝鮮は中国寄りにシフトし
て、米国の弱さを印象付けている。北朝鮮は一時、中国から米国に
乗り換える可能性があったが、中国の工作で北朝鮮は中国陣営に戻
っている。米国の言うことを世界が聞かなくなっている。米国の世
界覇権の崩壊を来たしている。

金融界でも異変が起きている。ドルの価値がどんどん落ちている。
ユーロに資金がシフトしている。シティーバンクなどの米有力銀行
も日本市場などにシフトして米国離れを志向している。

日本の輸出でも米国より中国の方が多くなり、中国との関係を日本
も重要視せざるを得ない。中国でのビジネスの奪い合いを日米で行
っているように感じる。米国は中国ビジネスの独占を実現したいよ
うであるが、日本のほうが中国に近いために、日本が優位になって
いる。交渉に長けている中国は日米を旨く利用しているように感じ
る。

米国の軍事力が弱くなると、米国の経済も弱くなる可能性があり、
米国は同盟国にも辛く当たるようになるのではないか心配である。
さあ、どうなりますか??
==============================
ドルの価値、最低水準・ユーロなど対主要通貨
(nikkei)
 【ニューヨーク=発田真人】外国為替市場で急速なドル安が進ん
でいる。米連邦準備理事会(FRB)によると、主要通貨に対する
ドルの価値を示す実効為替レート(1973年=100)は78.99と過去最
低水準となった。ユーロや英ポンドなどに対し下落が進んでいるた
めだ。欧州に支えられる形で、輸出など米企業の収益にプラスに働
き、米株高を支える要因にもなっている。

 ドルの実効為替レートとは円、ユーロ、ポンドなど主要な他通貨
間の為替レートを貿易量に応じて加重平均して指数化したもの。
(07:02)
==============================
イラク首相、米軍の壁建設に「待った」(ASAHI)
2007年04月23日10時14分

 「テロリストの侵入を防ぐ」として、イラク駐留米軍が首都バグ
ダッドの特定の街区全体をコンクリート壁で囲う工事を始めたとこ
ろ、イラク側から「治安対策の失敗隠し」「人権侵害だ」と強い反
発が起きている。マリキ首相も22日、「建設中断を命じた」と明
らかにした。 

 駐留米軍によると、壁を建設しているのは、バグダッドの中央を
流れるチグリス川東岸のスンニ派地区アダミヤ。東岸は、宗派対立
の進行でほぼ全域がシーア派地区になったが、同地区だけが孤島の
ように残された。 

 アダミヤにはスンニ派武装勢力が潜み、1月には米民間警備会社
のヘリが撃墜された。シーア派地区へのテロの拠点でもあり、シー
ア派民兵組織が報復として頻繁に迫撃砲弾を同地区に撃ち込んでき
た。このため、壁は地区住民を守るだけでなく、スンニ派武装勢力
の行動を規制する意図もあるとみられる。 

 米軍のキャンベル准将は21日、「宗派の分断線に沿って、街を
分割する意図はない。住民により安全な生活を提供するためだ」と
釈明。イラク治安部隊や地域住民との調整もしており、「効果がな
ければ撤去する」と臨時の措置を強調した。 

 しかし、イラクの議員らが一斉に抗議した。クルド勢力のオスマ
ン議員はAFP通信に「米軍と政府が、治安対策に失敗した証拠だ
」と批判。マリキ首相も22日、訪問先のカイロで会見し、「私は
壁に反対。建設は中断される」と明言した。 

 バグダッドでは、省庁やホテル、市場、警察などあらゆる公共施
設が爆弾テロよけの壁に囲まれ、一定の効果をあげている。しかし
、街区全体を壁で囲う例はなく、スンニ、シーア両派の分断を物理
的に象徴するものとして、イラク人にはなお抵抗感が強い。 
==============================
北朝鮮「正常な金融取引」迫る・凍結資金巡り
(nikkei)
 【ソウル=峯岸博】在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)の機関紙
、朝鮮新報は27日、マカオの銀行バンコ・デルタ・アジア(BDA
)内で凍結された北朝鮮関連資金の問題について「国際金融システ
ムによる正常な取引が実現されない限り、要求が貫徹されたとはい
えない」と主張した。米財務省が発動したBDAと米金融機関の取
引を全面的に禁止する措置の撤回も促した。

 「BDA問題が解決しない要因」と題する記事は「銀行に行って
現金を引き出せるかという問題は重要でない」と指摘したうえで
(1)国際金融取引ではドルによる送金が必須であり、米金融機関を通
した送金が必要(2)BDAがドル決済できないと北朝鮮関連口座の資
金移動も影響を受ける――と説明。「BDAと米銀間の取引禁止措
置の解除なしにはBDAの(北)朝鮮関連資金の受け入れる銀行を
探すのは難しい」との考えを示した。 (23:41) 
==============================
軍縮条約の見直しを提起 プーチン氏が最後の教書演説(ASAHI)
2007年04月26日19時58分

 ロシアのプーチン大統領は26日、上下両院議員らをクレムリン
に集めて年次教書演説を行った。憲法で定められた2期8年の任期
切れを来年に控えた最後の演説で大統領は、冷戦終結時に結ばれた
欧州での軍縮条約からの離脱を示唆。欧米からの民主主義への懸念
を一蹴(いっしゅう)するなど、欧米への不信感を強調する復古調
の内容となった。 

 プーチン氏は「次回の教書演説は、異なる大統領が行うことにな
る」と述べ、憲法を改正しての大統領3選や任期延長を明確に否定
した。 

 米国が欧州にミサイル防衛(MD)関連施設を配備する計画につ
いて「米国の戦略兵器関連施設が初めて欧州に配備される。米ロだ
けの問題でないことは明らかだ」と強く批判。さらに、90年代初
頭に当時の東西両陣営が通常兵器削減を目指し締結した「欧州通常
戦力条約」について北大西洋条約機構(NATO)との協議を提起
し、ロシアによる義務履行の一時停止について検討する考えを表明
した。 

 治安機関による反政府勢力のデモ鎮圧などロシアの民主化状況に
懸念が高まるなか、大統領は「我が国の内政に直接干渉するために
、外国からの資金の流入が増加している。民主主義を装った言葉を
使って公共財を盗み取ろうとしているやつらがいる」と述べた。欧
米からの野党勢力や選挙監視団体への支援を、利己目的の内政干渉
だとして受け付けない姿勢を鮮明にした発言だ。 

 12月に予定されている下院選で小選挙区が撤廃され、政府に批
判的な独立系候補が事実上締め出されることについても「選挙制度
民主化に向けた革命的な一歩」と自賛。野党が議会に代表を送り出
すチャンスが広がったとの見方を示した。 

 プーチン大統領の強権体質への懸念が高まるきっかけとなった石
油会社ユコスの解体についても「株売却益を住宅インフラの予算に
振り向けられる」と指摘。政権へのあらゆる批判・懸念を拒否する
姿勢を示した。 

 プーチン大統領は冒頭、23日に死去したエリツィン前大統領の
ために黙祷(もくとう)を呼びかけた。一方で自身の任期中に「世
界の経済10強国の仲間入りを果たし、貧困層も半減した」と功績
を誇示した。 
==============================
米国防長官が訪ロ MD問題、溝は埋まらず(ASAHI)
2007年04月23日22時10分

 米国のゲーツ国防長官が23日、ロシアを訪問し、プーチン大統
領、セルジュコフ国防相らと会談した。米国がポーランドとチェコ
で進めるミサイル防衛(MD)関連施設配備計画について理解を求
める目的だったが、ロシア側は反対の姿勢を崩さず、相互不信の根
深さを印象づけた。 

 会談後、セルジュコフ国防相は「MD計画は地域と世界の安全保
障に本質的な影響を与える深刻な不安定要素だ」と述べ、これまで
の立場を繰り返した。さらに、欧州通常戦力条約の有効性に疑問が
生じていると指摘するなど、冷戦後の軍縮の取り組みに与える悪影
響を強調した。 

 一方、ゲーツ長官はロシア側の懸念を取り除くために、技術分野
の共同研究や早期警戒情報の共有、共同軍事演習でのMD利用など
を呼びかけたことを明らかにした。米ロとも今後も協議を継続して
いくとしているが、前向きな反応は得られなかった模様。長官に同
行している米国防総省高官は会談前、ロイター通信に対し、ロシア
の反応にかかわらず計画を進める姿勢を明らかにした。 

 ゲーツ長官との会談後、プーチン大統領はブッシュ米大統領と電
話で協議。ロシア側によると、6月にドイツで開かれる主要国首脳
会議(G8サミット)での米ロ首脳会談に向けて両国間の接触を続
けていくことで合意した。 

 米国は欧州のMDがイランなどを対象としていると説明している
が、ロシアは「新たな軍拡につながる」(プーチン大統領)と強く
反対してきた。米国が旧ソ連の勢力圏だった東欧で軍事的プレゼン
スを強化することへの反発も強い。 
==============================
仏大統領選のサルコジ候補、アフガン駐留軍の撤収表明
2007.04.27
Web posted at: 18:35 JST
- CNN/AP
パリ――今年5月のフランス大統領選決戦投票に進んだ保守系与党
、民衆運動連合(UMP)党首のサルコジ前内相(52)は27日
までに、主要な外交問題に関する見解を発表し、アフガニスタン駐
留の仏軍縮小を進めると述べた。

地元テレビで語った。シラク現大統領はアフガンの仏特殊部隊約
200人を今年末に引き揚げさせると発表しているが、サルコジ氏
はこの方針の踏襲を表明。当選したら、他部隊の撤収も続けると強
調した。


コラム目次に戻る
トップページに戻る