2636.インドの複雑な動き



インドの動きは複雑であり、敵と味方が見えない時代背景がそうし
ている。日本外交もある程度参考にした方がいい。  Fより

インドが米国と友好関係になり、日米印の3ケ国海軍の合同練習を
16日、房総沖で行うが、そのインド艦隊は日本海で、24日から
4日間、今度はロシア艦隊と合同演習を行う。

インドはロシアから最新鋭兵器をロシア軍向けと同様な基準で、装
備している。ロシアは中国にも同様な兵器を輸出しているが、その
仕様を落とした基準で提供している。どうしてそうするかというと
、中国をロシアは仮想敵国として今も警戒をしている。しかし、
中ロは陸軍上陸作戦の合同演習をしている。

インドと中国は敵対関係に戦後長い間あったが、中央アジアの共同
安全保障の仕組みである上海機構の加盟国として、ロシア・中国と
同盟関係に今はある。このため、インドは中国ともインド洋で海軍
の合同演習をしている。

しかし、中国はパキスタンのダワール軍港を借益して、そこに中国
海軍の艦艇を駐留している。ミャンマーの島を借益して、そこにレ
ーダーサイトをおく予定である。インドネシアからは潜水艦基地の
ための島を借益している。中国は中東石油輸送を守るために各所に
中国海軍を配置する計画である。特にインド洋を重視している。

インドはこのインド洋を自国優位にする必要から中国基地を監視す
るためにアンダマン諸島に東の防衛をしてインド軍を置いている。
他国に基地用地を貸すのは、基本的に同盟国家しかない。日米同盟
であるから日本にも米国基地があるのだ。このように中国はパキス
タンとも、ミャンマーとも仲がいい。

インドとパキシタンは隣国同士で宗教対立などで敵対関係にある。
近年、緊張関係を解きほぐす方向にあるが、敵対関係を変えること
はない。このように南アジア地域は米中露などの勢力が拮抗してい
るために、訳が分からない関係ができている。インドも全方位とも
言える関係を作っている。安全保障関係を組めるためには仮想敵国
が必要である。しかし、インドや南アジア各国を見ていると敵と味
方が入り乱れた安全保障形態になっている。

特に近年、米国の世界的な影響力が落ちて、非同盟諸国の中心であ
るインドは反米的国家とも経済的な関係が強くなった米国とも良好
な関係を構築してきた。特にインドは昔から民主主義国家であるこ
とが米国を安心させている。このようにインドは反米的国家とも安
全保障上の付き合いをするが、米国とも安全保障を行う関係になっ
ている。

インドの産業政策を見るとブラジルとも、さとうきびからのエタノ
ール生産同盟を構築して、エネルギー産業に手をつける可能性が出
ている。また、インドはIT系では強くて、米国やEU諸国など英
語圏ではインド人技術者が多く居る。民主主義と市場経済、世界市
場を相手にしているために、米国とは経済面での一体化を進めなが
ら、政治面や軍事面では反米的になっていた国の戦略を見直してい
る。しかし、依然米国と中ロを等距離に位置づけているように感じ
る。
一番心配なのは、多くの国が米国を頼れなくなったためにインドと
同じような複雑な安全保障体系になって敵か味方かが分かりにくい
状態になっていくことである。歴史的な観点からすると大きな戦争
が起き易くなる。

米国の力が落ちて、EU、ロシアや中国の影響力が増している。
この多極化された世界にどう対応するか各国の模索が続いている。
このため、各国の動きも複雑になっている。日本も複雑な戦略を構
築する必要性を感じる。
どうであろうか??
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ロシアとインド、日本海で軍事演習・24日から、通信社報道
(nikkei)
【モスクワ=古川英治】ロシアとインドが24日から4日間、日本海で
合同軍事演習を実施する。タス通信が19日に伝えた。印ロの合同軍
事演習は2005年にインド領内で実施して以来2回目。ロシアにとって
インドは中国に次ぐ武器輸出先。輸出テコ入れとともに米国をけん
制する狙いもある。

 演習はウラジオストク近海でテロ勢力に船舶が乗っ取られたこと
などを想定。ロシア太平洋艦隊はディーゼル潜水艦や対潜艇など数
隻、インド側も駆逐艦3隻を投入する。

 ロシアは中国とも7月に大規模な軍事演習を計画。米国への対抗姿
勢を強めるなか「中印と全面的に関係を発展させることが国益」(
ロシア国防省)と、両国との軍事協力を強めている。(21:00) 
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日米インド海軍、初の共同訓練・3カ国信頼醸成進める
(nikkei)
 海上自衛隊と米印両海軍が16日、房総半島南方海域で初の共同親
善訓練を実施した。インドの駆逐艦が約2年半ぶりに日本に寄港する
機会をとらえ、3カ国の信頼醸成を進める。国防費の増大が続く中国
をけん制する狙いもありそうだ。

 共同訓練は約6時間を予定。無線などの通信訓練のほか、艦艇が共
同運航する。日印の防衛交流を巡っては、昨年に陸海空の各自衛隊
幕僚長が相次いで訪印。同年5月にはインドの国防相、今年1月には
空軍参謀長が来日するなど活発になっている。 (13:43) 
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ミャンマー縦断の送油管、年内着工へ=マラッカ海峡依存を緩和
−中国
4月21日21時0分配信 時事通信

 【北京21日時事】新華社電によると、中国の石油大手、中国石油
化工は21日、ミャンマー西部の港湾都市シットウェと中国雲南省の
昆明を結ぶ石油パイプラインの建設が年内に始まるとの見通しを明
らかにした。中国石化はミャンマー国営石油ガス公社と覚書を交わ
し、研究を進めてきた。 


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