2631.米国中東政策の変化



米国の中東政策が変化している。それが報道を見ていると分かる。
                      Fより

ロシアが指摘する米国のイラン攻撃はなかった。米国政府が強く否
定したことと米軍士官らの反対があるという報道は、戦争前夜に絶
対に米国は流さない。このため、米国はイラクからの撤退を視野に
中東政策を変換させたように感じる。しかし、イラン人外交官は拘
束されたままであるが、イランとは外交交渉で問題を解決するしか
ないと米国務省は発表している。

米国は反対していたイランやシリアと平和会談を開催すると言うし
、英軍兵士のイランの対応も米国としては穏便であった。また、
親米派サウジのアブドラ国王のイラク反米的な発言「イラク駐留は
不法占拠」と言うし、アラブ首脳会談で中東和平を提唱する。この
ような一連のサウジアラビアの動きはおかしい。

これは、サウジアラビアのアブドラ国王とライス国務長官が裏で合
意して別々に動いているように見える。

ライス長官の国際戦略を非難する勢力が米国ブッシュ政権内にもま
だ強い勢力としているために、イラクからの撤退とは言えないが、
イラク増派でも戦局が好転せずに、厳しい状況との認識をゲーツ米
国防長官も持っている。この感覚はライス長官も同様であると見る。

このため、イラクからの撤退を視野に入れる必要がブッシュ政権で
も徐々に合意を取れる状況になってきている。やっと、ブッシュ大
統領も諦められる状態になったのでしょうね。

この時期にアブドラ国王にサウジの本音とサウジが考える中東和平
を一気に出させた。これはサウジだけではできない。ブッシュ家と
サウド家は兄弟のような関係であるので、絶対に米国ブッシュ家の
了解を事前に取っている。そこにブッシュ家の執事ライス長官が居
てもおかしくない。

イスラエルも当面の中東政策が立案できないでいるようだ。イラン
攻撃の準備をしていたが、その実行は難しい。米国はイスラエルに
攻撃反対を表明しているが、米国もイランへの攻撃がなくなり、サ
ウジの提案であるイスラエルとパレスチナの平和を回復をして、イ
スラエルとアラブ全体(スンニ派諸国)との平和協定を結ぶしか、
イスラエルにも手段がないのでしょうね。

このスンニ派とイスラエルが平和条約を結ぶと、残すはシーア派と
シリアであるが、シリアはシーア派でないのでスンニ派の守護サウ
ジが仲介する。シリアのアサド大統領が、最近サウジアラビアで歓
待を受け、サウジとの連携を表明していた。

シーア派のイラン大統領もサウジアラビアを訪問して、連携してイ
ラクの平和を復旧すると表明している。このようにサウジが米国の
意を汲んで動いていると見ると、米国の状況が見えると思うがどう
でしょうね。
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イラク増派の効果、「厳しい状況だ」と米国防長官(ASAHI) 
2007年04月06日14時34分

 ゲーツ米国防長官は5日、イラクで進めている米軍増派の効果に
ついて「我々は皆、楽観論ばかり語ることに強い抵抗感を感じてい
る。厳しい状況だ」と述べ、功を奏するかどうか判断するには時期
尚早だとの考えを示した。国防総省での記者会見で語った。 

 長官は「まともな評価を下せるようになるまでには、なお数カ月
を要する」とも述べた。 
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対イラン攻撃説、重ねて否定=米

【ワシントン3日時事】フラトー米大統領副報道官は3日、ロシア
のメディアなどで米国による対イラン攻撃の可能性が高まっている
との観測が流れていることについて「誤りだ」と重ねて否定した。
 イスラエル紙エルサレム・ポスト(電子版)によれば、ロシアの
一部メディアは米軍がイランの核施設に対するミサイル攻撃の準備
を整えたと伝え、6日にも攻撃に踏み切る可能性があると報道。
このため、ロシアのタス通信記者がホワイトハウスの記者会見でブ
ッシュ大統領の6日の予定を問いただした。
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サウジの中東和平会議に「参加の用意」 イスラエル首相(ASAHI)
2007年04月02日10時27分

 イスラエルのオルメルト首相は1日夜(日本時間2日未明)、同
国を訪問したドイツのメルケル首相と共同で記者会見し、アラブ諸
国に影響力のあるサウジアラビアが穏健派の中東和平会議を開催す
れば「参加の用意がある」と表明した。 

 サウジで先月末に開かれたアラブ首脳会議で、イスラエルが67
年の第3次中東戦争の占領地から全面撤退するのと引き換えに、ア
ラブ諸国が関係を正常化するという「中東包括和平構想」が採択さ
れたことを受けての発言だ。 

 オルメルト首相は「サウジの国王が穏健派諸国の指導者の会議を
主導し、私とパレスチナ自治政府のアッバス議長を招いてくれるな
ら、アラブの指導者たちの提案を聞き、自分の考えを表明したい」
と述べた。 

 ただ、同首相はこの記者会見に先立ち、中東包括和平構想に盛り
込まれたパレスチナ難民の帰還問題への対応や、撤退の対象が「全
占領地」になっていることに難色を示している。また、サウジ側は
イスラエルを交えた和平会議の開催に消極的と伝えられている。 
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サウジ国王「イラク駐留は不法占拠」発言に反論・米国務次官
(nikkei)
 バーンズ米国務次官(政治担当)は29日の議会証言で、サウジア
ラビアのアブドラ国王が米軍のイラク駐留を「外国による不法占拠
」と批判したことについて「同意できない」と反論し、サウジ政府
に説明を求める考えを示した。

 同次官は「(アブドラ国王の)発言に若干驚いている」と表明。
米軍のイラク駐留は国連安全保障理事会の決議に基づいているとし
て正当性を主張した。その上で、発言の翻訳や引用に間違いがあっ
た可能性もあると指摘。両国の協力関係に影響を与えることはない
と強調した。

 AP通信などによると、アブドラ国王は28日、アラブ連盟首脳会
議での演説で「イラクでは、外国による不法占拠の下、同胞の間で
血が流されている」と述べた。対テロ戦争での米国の主要な同盟国
であるサウジ首脳が米国のイラク政策を公に批判するのは極めて異
例。(ワシントン支局)(11:01) 
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中東和平構想を再提案 アラブ首脳会議が宣言採択(ASAHI)
2007年03月29日23時20分
 サウジアラビアで開かれていたアラブ首脳会議は29日、02年
に提唱された「中東包括和平構想」を国際社会に再提案することな
どを盛った宣言を採択し、閉幕した。宣言はイランの核問題を意識
し、中東地域が核軍拡に陥らないよう警告。イスラム教の宗派間対
立への危機感も強調し、アラブの結束を訴えた。 

 包括和平構想は、イスラエルが67年の第3次中東戦争の占領地
から撤退すれば、アラブ諸国がイスラエルと正常な関係を結ぶなど
とする内容。アラブ側は国連に提案する予定で、会議に出席した潘
基文(パン・ギムン)国連事務総長は「この構想は和平プロセスの
主な柱のひとつだ」と述べ、再提起の動きを前向きに評価した。 

 核問題について会議は、「大量破壊兵器のない地域」をめざすと
宣言。その一方で、核の平和利用はどの国にも認められる権利だと
訴えた。サウジを含む湾岸諸国やエジプトなどによる最近の核開発
の動きが、民生目的であることを強調する狙いがある。 

 イラク問題をめぐっては、周辺国からスンニ派の権利を広げるよ
う憲法改正を求める意見が相次いだ。同国のタラバニ大統領は、
旧支配勢力バース党のスンニ派を政府や軍に登用する方針を説明し
た一方、各国にイラクへの過激派流入を防ぐよう求めた。 

 パレスチナ問題では、イスラム過激派ハマスが主導するパレスチ
ナ政府への支援を米欧が凍結していることを非難し、支援の再開を
求めた。自治政府のアッバス議長は会議で「イスラエルが我々の
平和の手を受け入れるよう求める」と訴えた。 
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サウジ外交に存在感 アラブ首脳会議開幕(ASahi)
2007年03月29日10時09分
 アラブ圏21カ国・1機構が一堂に集うアラブ首脳会議が28日
、サウジアラビアの首都リヤドで始まった。最近の中東外交では、
イラク問題の混迷で影響力が後退する米国に代わって、サウジが存
在感を強めている。レバノン危機などをめぐりシリアとの対立も一
時続いていたが、この会議ではシリアとの関係修復も図り、アラブ
を代表する大国としての外交力をアピールするとみられる。 

 今回の議題の中心は、サウジのアブドラ国王が皇太子だった02
年に提唱した「中東包括和平構想」の再提案だ。最近、中東歴訪を
重ねたライス米国務長官も関心を寄せる同構想を、アラブ諸国が足
並みをそろえて再提案し、国連にも手助けを求めることにしている。 

 事前の協議では、この構想を国連に提案することをめぐり、シリ
アが一時難色を示した。「アラブの手を離れて欧米に利用される」
との主張だったが、サウジは「(欧米による)構想の勝手な変更は
認めない」と公約して折り合いをつけた。 

 シリアとサウジの近年の摩擦の発端はレバノン問題だ。サウジと
友好関係があったハリリ元レバノン首相が05年に暗殺された事件
について、サウジは「背後にシリアがいる」と強く批判。昨年夏の
レバノン危機でも、シーア派武装組織ヒズボラを支援するシリアを
、サウジは公然と非難した。 

 サウジにしてみれば、現在のアラブ世界の最大の脅威はイスラム
教シーア派の大国イラン。各国のシーア派支援を通じて覇権拡大に
動いているとされるイランと接近するシリアは、アラブの身内の中
で苦々しい存在だ。 

 だが、27日までの外相協議で、今回はレバノン問題に深く踏み
込まないことで決着した。ホスト国サウジがアラブの結束を重視し
て、シリアに和解の手をさしのべた格好だ。27日にリヤド入りし
たシリアのアサド大統領は、サウジの王族の宮殿でもてなされたと
いう。 

 サウジは会議に先立つ2月、抗争に陥っていたパレスチナの両組
織ファタハとハマスの代表を聖地メッカに招き、統一内閣づくりの
合意を実現させた。イスラエルの生存権を固く認めないハマスにも
、和平構想には反対しないと約束をさせた。 
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イラン人5人の拘束継続決定=米ブッシュ政権 (AFP=時事)
【ワシントン14日】14日付の米紙ワシントン・ポストは、ブッ
シュ大統領≪写真≫がイラク、イラン両政府の求めにもかかわらず
、イラクで拘束されているイランの情報機関員5人を当面解放しな
い方針を決めたと報じた。

 同紙が匿名の米当局者の話として伝えたところによると、大統領
の外交政策を決定するグループは、米国務省の勧告を覆す形で5人
の拘束継続を決め、6カ月毎に解放するかどうかを決めるという。

 6カ月毎に解放の可否を見直す手法は、イラクで拘束されている
250人の外国人囚人にも適用されているという。イラン人5人に
対しては、7月に解放の可否が論議される。

 イラン人5人は、イラク北部のアルビルで拘束され、米・イラン
の間で緊張を高める最大の原因となっている。このような決定に対
して、イラン側がさらにいら立ちを強めるのは必至だ。

 これより先、イラク政府スポークスマンがホワイトハウスを訪問
し、米政府に対して、イランとの関係を改善するよう求めていた。
同スポークスマンは、イランと米の関係が改善すれば、イランによ
るイラクに対する内政干渉が緩和するとの見方を示していた。

 ただ、同紙によると、イラン人5人の処遇については、米政府内
でも意見が割れているという。ライス米国務長官は、5人が有力な
情報を持っていないとして、解放することを主張した。しかし、
いろいろな選択肢を検討した結果、ライス長官も大勢に従ったとい
う。チェイニー副大統領は、強硬に5人の拘束を続けるよう求めた。
[ 2007年4月14日16時42分 ] 


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