2627.世界の原子力メーカ事情



原子力発電所について世界の情勢を調査しよう。   Fより

平和利用の面で世界の原子力大国はアメリカ、フランス、日本の三
か国で、特にフランスと日本はエネルギー資源に乏しい共通点があ
り、また長年、核燃料の再処理を日本はフランスに頼ってきたとい
う経緯がある。

原子力というと、沸騰水型(BWR)の米GEや加圧水型(PWR
)のウエスティングハウス(WH)、仏アレバが基本技術を押さえ
ているというイメージが強い。だが、米国では1979年のスリーマイ
ル島事故以降、原発新設が途絶え、欧州も反原発、脱原発の動きが
続く中で、原子力機器の製造能力は低下してきている。 

三菱重工(WH、PWR)、日立製作所(GE、BWR)、東芝(
GE、BWR)などの日本勢は国内で原発建設が続いてきたことも
あって高い製造能力、技術を維持している。しかし、ここに来て、
東芝は世界の主流であるPWRに乗り換えるためにWHを買収した
ことで、三菱は提携先をなくしている。このため、PWRの仏アレ
バが三菱と提携する可能性がでてきたが、三菱重工独自の新設計炉
は安全性が増しているために、世界的な需要に答える可能性がある。

日本は六ヶ所村再処理工場(平成19年操業開始)、六ヶ所村MO
X燃料加工工場(平成24年操業開始予定)、プルサーマルは九州
電力などで今後取組み、高速増殖炉「もんじゅ」は平成20年試運
転再開など、近い将来、続々と原子力発電サイクル政策が形になっ
ていく予定だ。 

これに対して、現在既にフランスはラアーグ再処理工場、メロック
スMOX燃料工場、高速増殖炉フェニックス、核融合実験施設トー
レスプラがあり、そして世界最大の原子力メーカー・アレバ社、フ
ランス電力会社EDFが独占で原子力発電所を担っている。そして
フランスの電力の8割が原子力発電で生み出している。

世界の市場では、加圧水型(PWR)264に対して、(BWR)
92と言うことで、PWRが優勢にある。今問題になっている臨界
点に達したと思われる原子力発電所は沸騰水型(BWR)が多い。
冷却水で直接、発電タービンを回す沸騰水型は事故が多い。ちなみ
に原子力潜水艦はすべて加圧水型(PWR)を使用している。

米国は一歩遅れている。米国の世界原子力協力計画(GNEP)構
想は、1970年代以降停止している核燃料の再処理再開を柱とす
る米政府の構想であるが、米国企業だけではできないために、日本
とフランスの協力を要請していた。この計画に日本原燃、仏アレバ
が連携して取り組むことになった。

中国はWHが設計した新型のPWR炉を欲しがっており、アメリカ
は中国経済発展を阻害しないように、早急にPWR技術を中国に移
植させる決断をした。WHの親会社である東芝がその製造をするこ
とになるが、移植が終わると中国が自分で作ることになる。そして
仏アレバの原子力発電所も中国は構築するようである。仏アレバ経
由で三菱重工にも声が掛かると思う。
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日本原燃、アレバと連携・米の原子力協力計画(nikkei)

 日本原燃(青森県六ケ所村、児島伊佐美社長)は3/29日、米国の
世界原子力協力計画(GNEP)構想への参画に向け、仏原子力大
手のアレバと連携すると発表した。アレバが米国企業2社とともに
すでに組織している米国での核燃料リサイクル検討チームに新たに
参画する。

 日本原燃は昨年9月、日本原子力研究開発機構、国内原子炉メー
カーなどとともに、米エネルギー省に再処理技術など日本の技術を
提案している。日本原燃の再処理工場を技術面で支援するアレバと
連携、原子力の平和利用などに貢献できると判断した。(13:44) 
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仏アレバ、純利益が実質43%増・06年
(nikkei)
 【パリ=安藤淳】仏原子力大手アレバが22日発表した2006年12月
期通期決算の純利益は6億4900万ユーロ(約1020億円)で、前の期に
比べ38.1%減った。ただ、05年に売却した電気・電子機器部門を除
いて比較すると43.9%増で、実質増益だった。営業利益はフィンラ
ンドの第3世代原発の建設の遅れが響き、26.1%の減。売上高は7.3
%増の108億6300万ユーロだった。(11:00)
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中国、原発建設で仏アレバとも交渉
(nikkei)
 中国政府は原子力発電所建設の技術導入で、すでに契約を決めた
米ウエスチングハウス(WH)に続き仏アレバとも交渉に入った。
まず広東省の2基が対象で、実現すれば契約額は40億ドル前後に達
する可能性がある。巨大市場を狙う外資を競わせながら最新の技術
を導入、原発の自主設計技術の獲得を目指す戦略が明確になってき
た。

 国家発展改革委員会でエネルギーを担当する陳徳銘・副主任(閣
僚級)は日本経済新聞の取材に対し、広東省の原発2基の技術導入
でアレバと「交渉している」と述べた。妥結すれば、中国はアレバ
の最新技術を導入して2013年ころまでに出力160万キロワットの
EPR(欧州加圧水型炉)原発を2基建設。アレバから主要部品を
輸入する。(07:01) 
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原子力発電所は、1年間にどのくらいウラン燃料を使うのですか。  
http://www.enecho.meti.go.jp/e-ene/handbook/qa/010000/010900/010913/index.html

 電気出力100万kWの原子力発電所では、1年間におよそ21トンのウ
ラン燃料を使います。

 我が国には約4,700万kWの原子力発電設備がありますので1年間に
 約990トンのウラン燃料を使うことになります。

 なお、100万kW級の火力発電所が1年間に使う燃料の量は下記の
ようになっています。
100万 kW  天然ガス  97万トン
       石油   131万トン
      石炭   238万トン


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