前回の医食同源(1)で玄米の問題点を明らかにしたので、今回は 健康に良い玄米の食べ方を検討しよう。 Fより 玄米のフィチン酸の有害性を前回指摘しました。フィチン酸は鉄や 亜鉛などと結合し、腸からのミネラル吸収を妨げてしまい、人体で ミネラル不足を起こすことになる。 しかし、玄米を発芽させると酵素が働きフィチン酸がなくなります。 こうすると玄米に含まれるミネラル分が体内で吸収されることにな り、玄米の効用が出てくる。それと発芽玄米に多く含まれるのは、 「ギャバ」(ガンマ−アミノ酪酸)である。 今、発芽玄米が注目されているのは、この「ギャバ」という成分に よる。ギャバは哺乳類の脳に存在する神経伝達物質で、神経細胞の 興奮を抑制する働きがある。 血圧を安定させる作用があり、高血圧が改善したという研究報告が あり、また、精神安定作用も確認させている。アルツハイマー病の 予防にも効果があるようです。 ============================== GABA(ギャバ)とは http://www2.health.ne.jp/library/3000/w3000731.html 発芽玄米の登場とともに脚光を浴びている成分、それが通称GABA (ギャバ)だ。正式名称は「ガンマ−アミノ酪酸」。文字通りアミノ 酸の一種だが、たんぱく質を形作っている18種類のアミノ酸とは異 なり、特に哺乳動物の脳や脊髄に存在する。 ギャバは体内で主に抑制系の神経伝達物質として脳内の血流を活発 にし、酸素供給量を増やしたり、脳細胞の代謝機能を高めるはたら きがあることがわかっている。このため、脳内のギャバが不足する とイライラするのをはじめ、さまざまな体調不良を招き、ひいては 大きな病気の引き金となってしまうのだ。 通常、ギャバは睡眠中、特に深い眠りに入っているときに生成され るため、睡眠不足はこのギャバ不足にもつながるとされていた。 では、睡眠不足の人は、みんながギャバ不足に陥ってしまうのだろ うか? 近年までは食べ物によってギャバを摂取しても、脳内へ到達するこ とはないと言われてきた。 しかしギャバの研究が進み、最近になって、食べ物によって摂った ギャバも脳へ届くことがようやくわかってきたのだ。つまり、不足 するギャバは食べ物から摂ればよいというわけだ。 期待されるGABAの効能 ギャバを摂ることによって、期待できる効果は、実に幅広く、多彩 なことに驚くはず。 ■血圧を下げる ギャバには、血液中の塩分をろ過する腎臓のはたらきを活発にし、 利尿作用を促すことで血圧を下げるはたらきがある。このため高血 圧の予防に効果があるとされている。 ■中性脂肪を抑える ギャバが内臓のはたらきを活発にして消費エネルギー量を高める一 方、血液中のコレステロールや中性脂肪をコントロールし、脂質代 謝を促すことがわかっている。このため肥満の予防ばかりでなく、 糖尿病などの予防にも役立つのではないかと期待されている。 ■肝臓・腎臓のはたらきを高める 腎臓のはたらきを活発にして血圧を下げるばかりでなく、ギャバに は肝臓のはたらきを促す効果も。このためアルコールの代謝も速く なるとされている。 ■神経を鎮める ギャバは、脳内で抑制系の神経伝達物質としてはたらく成分。この ため、ギャバを摂ることでイライラなどをやわらげる効果がある。 実際、パニックや不安の状態にある人の脳脊髄液を調べたところ、 ギャバが著しく減っていたという実験結果も。これらのことから睡 眠障害、自律神経の失調、うつ、更年期の抑うつや初老期の不眠と いった症状の改善にも効果が期待されている さらに最近では、アルツハイマー型痴呆症の予防・改善にも期待で きると話題を集めている。 発芽玄米のGABA量は白米の約10倍、玄米の約3倍! 人間の脳神経から内臓、血液のはたらきまで、さまざまな観点から 効果が期待できるギャバ。これを効率よく摂取できるのが発芽玄米 なのだ。ギャバの量は、白米にはわずかに1mg、胚芽米で2.5mg、玄 米でも3mgなのに対し、発芽玄米は10mgと圧倒的に優れている。 しかも発芽玄米なら、毎日の食事で意識しなくても摂れるのだから 、便利だ。 ============================== アミノ酸とグルタミン酸 http://www.fumu-fumu.com/2006/02/post_2.html ギャバはアミノ酸の一種で「抑制性」の神経伝達物質です。 それとは反対に、脳内には「興奮性」の神経伝達物質も存在します。 「うま味調理料」の成分として有名なグルタミン酸がそうです。 人間の脳内では、グルタミン酸が神経を興奮させる一方で、 アミノ酸であるギャバが興奮を押さえ、神経を安定させる はたらきをします。 この「興奮性」と「抑制性」→グルタミン酸とアミノ酸のバランスが うまく取れているのが望ましい状態ですが、ストレスなどにより、 このバランスが崩れると気持ちが不安になったり、イライラしたり、 という体調不良を引き起こすことになるのです。 発芽玄米だけではなくて、チョコレートにも含まれている。チョコ レートが、美味しいだけではなくて、食べた時にホッとするのは、 カカオに含まれているギャバの効果が大きい、と言われています。 ストレス対策にもなるチョコ、ぜひ日常にも取り入れたいものです。 ============================== 玄米食の間違ったイメージ http://www.fukuimai.com/sub82.htm 今、巷で言われている、玄米食の効能について拡大解釈や、誤った とらえ方があるようなので詳しくご説明します。 俗説1 ビタミン、鉄分、各種ミネラルを多く含むため、頭の働き が活発になり老化予防になる。 俗説2 抗がん物質のフィチン酸が多く含まれ、発ガン防止並びに 、化学物質を解毒し、速やかに体外へ排出する。 俗説1のミネラル、俗説2のフィチン酸(イノシトール6リン酸) の抗がん作用についてはその通りです。 しかし、この2つが同時に含まれるために以下の点が考えられます。 ヌカ部分に含まれているフィチン酸はミネラル(鉄・カルシウム・ マグネシウム・亜鉛など)と結合してフィチン酸塩を作ります。フ ィチン酸と結合したミネラルは水に溶けないため腸からの吸収が阻 害されます。よって、貧血予防の為に玄米食をされている方は、 逆効果になり、他に副采をバランスよく取らなければ、このまま玄 米食ばかりを続けると、貧血を起こしやすくなるようです。特に妊 婦さんは、注意してください。 玄米の栄養分の吸収率は白米のそれより低いのも事実です。 栄養成分の吸収率は白米に比べてかえって悪いものが少なくはあり ません。具体的にカルシウム・マグネシウムについて考えてみます。 玄米は白米の二倍のカルシウムを含みます。しかし玄米食で体内に 蓄積されるカルシウムの量は精米食の三分の一しかありません。つまり効 率は六分の一です。 マグネシウムの玄米食での体内蓄積量は−34mg/日で白米食での +48mg/日に比較するとマグネシウムの損失となっています。 1920年エドワード・メランビィEdward Mellanby(イギリス)は 、穀類の多い餌で育てた子犬にくる病が発病することを観察しまし た。これは、穀類中のフィチン酸がカルシウムの吸収を妨げたため でした。 フィチン酸とは、穀類・豆類・などの植物性食品に多く含まれている もので、カルシウム・マグネシウム・鉄などのミネラルと結合して吸 収を妨げます。フィチン酸は種皮に内側の糊粉層に多く含まれてい るので精白すると減少します。ですから白米のほうが栄養吸収率が 良くなるのでしょう。 玄米食で吸収が悪くなるミネラルについて a カルシウムは骨の成分であり、酸・アルカリ度の調節や神経・筋 肉の働きに関係しています。 b マグネシウムは細胞でのエネルギー作りの酵素として働き、特 に筋肉・心臓に必要です。 c 鉄が不足すると貧血・動悸・息切れ・脱力感などの症状が出ます。 この事(フィチン酸について)については、以前はどのホームペー ジにも、書かれていませんでしたが、最近、発芽玄米の各ホームペ ージによく書かれるようになりました。 俗説3 腹持ちがよい 腹持ちが良いということを裏返せば、消化に悪いと言うことです。 事実、玄米食の場合、本当に良くかまなければ、消化不良を起こす ことさえあり、かえって肝臓等に負担を及ぼすことがありますので 、病中病後の胃腸の弱っている方には不向きと考えます。 俗説4 植物繊維が多く含まれる。 これも、事実であるが、植物繊維などは玄米でなく、野菜を規則正 しく食することが大切で、別に玄米に頼る必要は無いのです。 俗説5 白米は撒いても芽が出ないが、玄米はこれが出るので生命 力があるから この意味で玄米を考えるなら、玄米を煮炊きしないで食べることが 条件となるでしょう。玄米を生で食べるという話はあまり見聞きし ません。 俗説6「玄米を食べたら体調が良くなった。やせた」と聞くから 肥満体の人が玄米食を始めると次第に体重が減少していくことがあ ります。 体重が減少していく理由としては前項にも共通することですが、玄 米食では栄養成分の吸収率が白米食より良くないということが挙げ られます。 具体的に玄米食での栄養吸収率は90%で、白米のそれは98%で ある。比較すると10%ほど吸収効率が良くありません。やせるこ とで、体調が良くなることは多々有りますが、他の栄養のことを考 えますとそれで良いのでしょうか。 その他にも 玄米を炊く時に使われる、天然塩の中の悪性にがりが体に悪い影響 を及ぼす。 http://www.naturaldiet.net/report/kobasi9-5.html などいろいろ考えられます。 また、食物アレルギーのあるかたも要注意です。 アレルゲンになるグロブリンなどのタンパク質は米の表面に多く存 在するので、食物アレルギーのある方は玄米食は避けてください。 食物アレルギーの方が、玄米、ゴマなどを食べいると、米やゴマが アレルゲンになることがよくあります。また、米グロブリンはイネ 科に共通のアレルゲンなので、ヒエ、アワ、キビなどにも同時に反 応することがあります。 最後に結論として 人の身体には玄米と白米のどちらが有益なのでしょうか? 玄米と白米のメリット・デメリットを考慮すると『白米を食べて副 食物でその不足を補えば良い』ということになります。 具体的には玄米ではなく白米(胚芽米)を食べて、副食物として牛乳 ・卵・ナッツなどのビタミンB1を豊富に含む食品を摂取すること です。 それでも玄米食が好きだというかたは以下の点に注意すべきでしょ う。 a. 種皮の残留農薬に気をつけること b. 大量の野菜や牛乳を摂取してミネラルの欠乏に陥らないよう に気をつけること 食物は美味しく、健康的に食べたいものです。