2610.日本の小金持ち達



世界同時株安、円高が収まりましたね。日本の小金持ち達の投資意
欲が強いことを感じさせる1週間でした。今後を検討。 Fより

小金持ち達の資金力は個人資産の半分である700兆円と言われて
いるが、世界一の外貨準備高を持つ中国政府でも1兆ドルしかない。
欧米ファンドが束になって円のキャリー取引で円を借りたが、その
総額でも20兆円でしかない。
それに比べると日本の個人資産は頭抜けて大きいことが分かる。
しかし、まだそれでも日本全体の金融資産全体の半分でしかない。

世界第2位の経済大国にもかかわらず日本は富豪が少ない。58億
ドルの資産を持つソフトバンクの孫正義社長が世界129位で日本
の首位であり、世界で10億ドル以上の資産家は946人であるが
、日本はたった24人しかいない。インドは36人もいるのにであ
る。このように日本の金融資産の多くは小金持ち達が持っている。

この小金持ち達が大人しく日本国内に投資している限り、投資問題
は国内に閉じるが、この小金持ちたちは日本国内に閉じこもらず、
世界に投資しようとしている。海外投資セミナーはこのような小金
持ち達で盛況である。

円キャリー取引が盛んであると、世界の国々は欧米ファンドの投資
条件を整備しようとするが、現時点、欧米ファンドは円キャリー取
引を解消しようとしている。欧米ファンドはエスニック投資を手仕
舞っている。と言うことは、世界の国々は欧米ファンドから日本の
小金持ち達を呼び込もうとする。

それが欧州とニュージーランドの金利0.25%上げですよ。日本
の金利との差を広げようとしている。小金持ち達の円から各通貨に
シフトを起こそうとしている。このように日本の資金力は、知らぬ
間に巨大になっている。これを日本人がまだ気がついていない。

そこに問題を生じる可能性がある。下記の日下公人さんの論旨も同
じである。日本の投資力が世界的に無視できない状態になっている
ので、その対応策を練る必要があるということでしょうね。

なぜ、日本には多くの小金持ち達がいるのでしょうかね。これは日
本の産業が製造業であり、この製造業は研究者やホワイトカラーの
中間管理職、営業など、多くの優秀な人的資源を必要としているた
めであり、この人たちに多くの分配をしたために、多くの小金持ち
達ができたのでしょうね。

米国の強さは、インターネットやサーバーなどで示されたパラダイ
ム・シフト力ですね。この場合はパラダイムシフトを起こした優秀
な個人に資産が集まることになる。しかし、日本の強さは、根気良
く1つ1つ改善したり、調べる持続性で、この持続性は多くの人が
地道に行うことであり、このため結果も多くの人に分配することに
なる。日本でも個人的な研究で企業が大儲けした時は、その個人に
多くを分配するべきであるとの裁判での判決があり、そうなるので
しょうね。「こつこつミラクル」という宣伝があるが、日本の企業
力は、まさにその通りですね。

そして、中国人も物真似は上手であり、直ぐに同じような物を個人
で作る力を持っている。このため、分配も個人が優先である。こつ
こつと組織全体で仕事をして、改善する力はない。組織力では日本
が一番であり、その分、小金持ち達も多くなる。

日本の投資力が凄いことが分かった。
日本の今後は、さあ、どうなりますか??
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中国政府、外貨運用会社設立へ 動き出す1兆ドル(ASAHI)
2007年03月09日21時57分
 1兆ドルを超える世界一の外貨準備高を持つ中国政府は、豊富な
外貨を運用する会社を近く設立する。中国の金人慶財務相は9日の
記者会見で「貴重な財産の管理・運用は一大事。安全確保を前提に
より収益を上げるものとする」と述べ、外貨投資会社の設立準備を
進めていることを明らかにした。 

 中国の外貨準備高は06年末で1兆663億ドル。貿易黒字や海
外からの直接投資に加え、人民元の切り上げを抑えるため、中国通
貨当局が元を売ってドルを買う介入を続けているため、3年間で
2.5倍に膨張した。日本と同じく、米国債などを中心の安定運用
が基本のため、国内から「効率運用を考えるべきだ」(宋国青・北
京大教授)との声が強まった。 

 金財務相は会見で「通常の外貨準備と外貨投資をどう分けて運用
するかを研究した」と説明。金融危機などへの準備分は従来通り国
家外貨管理局が運用するが、残りを収益を目的として設立する運用
会社に移す意向だ。 

 中国政府が参考にするシンガポールは、投資会社を設立し、一部
を日本の不動産や中国の銀行にも出資した。中国が投資会社を設立
すれば、運用先がドル資産中心から多様化するとの見方もある。不
足する資源確保に海外の油田などへ投資すべきだとの意見も中国内
にはあり、運用先や影響が注目を集めている。 
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ゲイツ会長、13年連続の1位・世界富豪番付
(nikkei)
 米経済誌フォーブスは8日、10億ドル(約1170億円)以上の資産
を持つ2006年版の世界富豪者リストを公表した。1位は560億ドルを
持つマイクロソフトのビル・ゲイツ会長で、13年連続首位。同誌が
1987年に実施した初回調査で世界一となった堤義明コクド前会長が
圏外となったほか、インド人(36人)が日本人(24人)を初めて上
回るなど、日本勢の退潮が目立った。

 2位は著名投資家のウォーレン・バフェット氏(520億ドル)、3位
はメキシコで通信事業を営むカルロス・スリム・エルー氏(490億ド
ル)で前年と変わらない。前年6位のマイクロソフト共同創業者のポ
ール・アレン氏は事業投資の不振などで19位に転落。デルのマイケ
ル・デル会長は株価低迷で12位から30位に落ちた。

 日本人の最高位は、58億ドルの資産を持ち129位になったソフトバ
ンクの孫正義社長。対象者が29人から24人に減るなど日本の低迷に
ついて、同誌のルイザ・クロール担当編集者は「不動産バブルの後
遺症から抜け切れていないため」と説明した。
(ニューヨーク=八田亮一)
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欧州中銀、0.25%利上げ
(nikkei)
 【フランクフルト=赤川省吾】欧州中央銀行(ECB)は8日、定
例理事会を開き、ユーロ圏13カ国に適用する政策金利を0.25%引き
上げることを決めた。利上げは昨年12月以来3カ月ぶりで、最重要の
市場調節金利は年3.75%となる。世界同時株安に伴い欧州の株式相
場も一時大幅安となったが、域内経済は引き続き高成長が見込める
と判断。インフレ圧力を警戒し、物価の安定を図る。(21:57) 
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NZ、政策金利を0.25%引き上げ7.5%に
(nikkei)
【シドニー=小林由美】ニュージーランド準備銀行(中央銀行)は
8日、政策金利(目標短期金利)を0.25%引き上げ7.5%とした。利
上げは2005年12月以来。ボラード総裁は、住宅市況が再び活発にな
ったことや乳製品などの輸出価格の上昇が国内需要を強め、中期的
なインフレ懸念が高まっていることを利上げの理由としている。
(08:04) 
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日下公人  世界一の債権国、日本に味方はいない
 http://www.nikkeibp.co.jp/sj/column/p/52/

日本は現在、世界一の債権大国である。
GNP(国民総生産)が500兆円だが、それと同じ500兆円ほどを世界中
に貸している。

 GNPと同じ規模の債権ということは、それを債務国が返してくれた
ら、日本人は丸1年間、働かなくてもいいということだ。
もし10%ずつの利息をくれたら、年間50兆円も入ってくる。そうな
れば、日本国民は税金をいっさい納めなくてもよくなる。

 このように、日本は気前よく貸したり投資して、世界一の債権国
になっているが、それなのにあらゆる議論でその自覚がなく、日本
は貧乏だとか、輸出をして金を稼がなければ生きていけないとか、
相変わらずそうした話ばかりが聞こえてくる。

 それから、世界各国に金を貸したり投資したり援助したりしてい
るから、みんな感謝しているはずだと日本人は思っているが、これ
は大間違いで、本当はみんな日本の敵なのだ。
金を貸すと嫌われる。そんなことは当たり前であり、どうして日本
人は忘れているのだろう。

 多くの日本人は、他人に金を貸すときの気持ちがあまり分かって
いない。
日本人には「何とかお金を借りて、それを真面目に返しました。
わたしは立派な人間です」という感覚の人がとても多い。
だから、金を貸せば感謝されるだろうと思っているが、外国でそん
な感覚を持っている国はない。
そのことを日本人は知らなすぎる。

 政策研究をしたり、日本国家の将来を考えたりする会合はいろい
ろなところで開かれている。
それらに参加すると、「根本が抜けているな」とわたしはいつも感
じる。
つまり「金を貸す国はどうあるべきか」という議論がまったくない。
貸したら真面目に返してくれる国を想定して議論を進めるのは、根
本的に間違っている。

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