2608.過剰流動性の形成



昨日の「世界同時株安のメカニズム」の説明をもう少しという要望
があったので解説する。   Fより

現在の世界経済は、日本の円資金が大量に世界に出て行って、世界
的な過剰流動が起こっている。しかし、日本国内では過剰流動性が
ないために、円の金利を上げられない。しかし、欧州の金融当局は
欧米の金利を上げて過剰流動性を防ごうとしているが、日本の資金
が大量に出て、世界が過剰流動になっていると指摘していた。

このため、日銀は世界の金融当局からの要請を受けて金利を上昇さ
せる必要が感じ、しかし、日本政府としては現実的な日本経済は過
剰流動性を起こしていなく、かつ景気がやっと上向いてきた状態で
もう少し、様子を見たいと金利引き上げをしなくないようであった。

しかし、G7で欧州金融当局からの強い要請で、日銀は0.25%
引き上げ、0.5%にした。しかし、この金利では、まだ他通貨に
比べて低い金利である。このように世界と日本が繋がっている状態
であり、世界的な過剰流動性を日本が引き起こしている。

この円資金は欧米のファンドを経由して、特にBRICS諸国など
のエスニック市場に投資され、このため下表のように急激な株価の
上昇を起こした中国やインドでバブルを形成したと見る。
米国ニューヨーク市場も円資金のために過去最高の株価であり、い
つか崩れると思われていた。しかし、ニューヨーク株式市場の値上
がりは79%程度であり、インドや香港などに比べて少ない。

このため、円の金利が上がり、円資金が引き上げられると中国とイ
ンドなどエスニック市場のバブルが崩壊する可能性が出てくる。

特に中国は政治的なリスクを抱えている。私有財産法が制定される
など、共産主義から資本主義に政治体制を変換する過程にある。
このため、リスクを抱えている中国から投資資金を剥がす可能性が
高いと見ている。

バブルは形成しない方がいいし、バブルを崩壊させないことが重要
である。このことは、日本の1990年のバブル崩壊で世界の金融
当局は勉強して、米国のグリーンスパンFRB元議長はITバブル
が形成された米国市場でバブルを徐々に緩和する処理をしていた。

中国のバブル崩壊で世界経済はどうなるのかという質問が出ると思
うが、世界経済は徐々に拡大している。インドや中国の経済は欧米
諸国の仕事を取り拡大しているし、欧米諸国はサービス業にシフト
して、軍事産業以外の製造業に戻ることは無い。このため、世界経
済がおかしくなることはないし、中国の製造業がおかしくなること
もない。過剰流動性の行き場は中国でも株式市場や不動産市場であ
り、この不動産価格と中国市場の株価が大幅な下落になると見てい
る。

中国の金融当局はバブル崩壊の害を知っているので、元の金利を上
げていたが、ドルリンクをしているために、このような事態になっ
たのであり、米ポールソン財務長官が進言している元の自由化を行
うことが、中国にとって重要であると思う。

そして、世界第2位の経済大国である日本も国内だけではなくて、
世界を見て経済運営をすることが重要であると思うがどうでしょう
ね。当分世界の株価と円ドル相場から目が離せないですね。

さあ、どうなりますか??
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米市場、利下げ観測が再燃
(nikkei)
 【ニューヨーク=発田真人】世界的な連鎖株安をきっかけに、米
国の市場関係者の間で利下げ観測が再び強まってきた。米景気への
楽観論が後退し、投資マネーが株式から債券へと逃避する動きが加
速。米長期金利は2日、昨年12月以来の低水準となる4.50%に急低下
した。個人消費の底堅さから米景気はなお安定成長を保つとの見方
が優勢だが、投資家心理の萎縮によって株価は不安定な展開が続き
そうだ。

 米株式相場は2月27日の中国株下落に端を発した連鎖株安のあおり
で、ダウ工業株30種平均が1週間で500ドル超下落。2002年7月以来の
下げを記録した。一方、長期金利は0.2%近く低下した。金融政策に
対する市場予想が反映されるフェデラルファンド(FF)金利先物
相場は2日時点で今年前半の利下げをほぼ100%織り込む水準になっ
た。(07:00) 
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過剰流動性:金融用語辞典
http://www.acajp.net/kinyuu/archives/2005/05/post_305.html
経済の取引規模を大幅に上回って通貨が発行され、過度の金融緩和
状態に陥ることを指す。中央銀行は、通貨の適切な管理によって物
価を安定させることを金融政策の目的としているが、政府や外国か
らの圧力によってこうした目的が達成できない場合がある。日本で
は、大幅な円高時に行き過ぎた金融緩和政策をとったことで、過剰
流動性が発生することがあった。
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1月末の株価時価総額
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証券取引所    2007    2003     上昇率
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NYSE Group  1,841兆円  1,054兆円    175%
Tokyo SE     557兆円   242兆円    130%
Nasdaq      474兆円   232兆円       104%
London SE      451兆円     200兆円       126%
Euronext       440兆円     181兆円       143%
Hong Kong     205兆円      56兆円       268%
TSX Group       201兆円     71兆円       183%
Deutsche      199兆円     81兆円       145%
Spanish        161兆円     56兆円       191%
Swiss Exchange  148兆円     64兆円       133%
OMX Stockholm   138兆円     22兆円       538%
Australian SE   132兆円     47兆円       183%
Shanghai SE     130兆円     41兆円       217%
Borsa Italiana  124兆円     57兆円       120%
India            97兆円     13兆円       643%
Korea Exchange   94兆円     25兆円       278%
Sao Paulo SE     89兆円     14兆円       514%
South Africa     86兆円     21兆円       313%
Taiwan SE Corp.  69兆円     35兆円       196%
Singapore        49兆円     12兆円       317%
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