2597.日本企業の世界的な拡大について



日本企業の世界的な拡大について、見てみよう。  Fより

日本企業は、現時点進出を盛んにしているのは、ロシアやポーラン
ドなど東欧やロシアである。この地域への進出はシベリア鉄道を利
用でき、かつEU統合でEU市場に統合されたことと、労働賃金の
安い地域であり、コスト的に有利である。このため、EU企業も工
場を東欧にシフトしている。米国経済よりEU経済規模の方が大き
いため、日本企業も重要視している。EUは今後も発展の可能性が
高い。

それと、ドイツとロシアはその経済関係を緊密にし、ロシアからの
天然ガスにエネルギーを依存している。ロシアはドイツから製品を
買う相互依存関係になっている。このため、東欧諸国がロシアから
の天然ガスパイプラインを途中で止めても影響が無いようにバルト
海に天然ガスパイプラインを敷設している。今後もロシアとドイツ
の経済的な結びつきは大きいと見える。

このため、ポーランドなどの中間地帯の国家もロシア離れから、今
後ロシアとの関係を見直しを指向するはず。このため、将来は中東
欧・ロシアの一大マーケットが成立する可能性もある。

ドイツは緑の党が長く政権を担当していたために、原子力発電所を
止めて、石炭火力や天然ガス火力発電所にエネルギーを頼っていた。
メルケン首相は、原子力発電所の復活を目指している。この原子力
発電所の企業は仏アレパとWH(東芝)、GE(日立)で三菱が各
企業から奪い合いになっている。というように4社しかない。WH
もGEも工場は持っていないため、製品の製造は日本企業が行って
いる。

また、ドイツ語圏は東欧に広がっている。ポーランドやウクライナ
、ロシアでもドイツ語が多く話されている。中東欧諸国を見るとド
イツの影響力は非常に大きい。

日本とドイツは第2次大戦で同盟を結んだ間柄であり、心情的な親
しみを感じるし、戦後、軍事が弱くなり平和主義国家である点も同
じである。ドイツも日本も世界が平和であることが国益になる。

このドイツ経済の影響が強い地域に日本企業が進出する意味は、勿
論、この地域やEUでの商品販売が目的である。それと、シベリア
鉄道で、日本からの部品輸送が確保されている。昔のような途中で
貨物が無くなるという事故も減っている。広軌は東欧も同じであり
、中国や北朝鮮も同じである。このため、ウラジオストックまで船
で運び、その後はシベリア鉄道で運ぶことができる。約1週間で東
欧に着く。

そういえば、釜山で多くのロシア人船員に会ったが、韓国のLG電
子、サムソンもシベリア鉄道経由なのかもしれない。また、大連か
ら中国経由でシベリア鉄道という手もある。今、中国から中央アジ
ア経由でトルコまでのシベリア鉄道対抗鉄道を中国が中央アジア諸
国と連携して作っている。

そして、トルコからロンドンまでは標準軌で結ばれている。トルコ
からパリまでのオリエント急行が昔はあった。その意味ではトルコ
は欧州への玄関口でもあった。オリエント急行は今もパリ・ウィー
ン間で営業している。

東欧には電気製品では、LG電子やサムソン電子が進出しているた
めに、日本の電気メーカも苦戦が予想されているが、船井電機も工
場を東欧に建てる計画をしている。AV系商品は韓国、日本企業の
イメージが高い。車ではトヨタ、スズキも現地生産を指向している。
そして、日本企業に追い風なのは、円安ウォン高でLG電子やサム
ソンの製品価格が上がり、日本製より高くなっていることだ。韓国
現代の車も高い。

ブラジル、ロシア、インド、中国の10%内外の経済高度成長が世
界の好景気を引き起こしている。日本企業も日本での販売拡大が出
来ないために、この地域での販売を拡大を目指す方向であり、その
ためには日本としても良好な関係をBRICS諸国と結ぶ必要があ
ると思う。日本のような商売優先国家は全方位外交で、どこの国と
も平和的な関係を作るしかない。

中国には多くの日本企業が進出しているが、あまりうまくいってい
ない。このため、低付加価値製品製造会社はベトナムなどの中国か
ら東南アジアにシフトしている。インドはこれから進出ブームにな
る可能性が高い。しかし、インドの識字率は低いので、安い労働力
を工場労働者として使えるかどうか難しい面もある。インドは英語
圏であるために、日本人にはありがたいことである。ブラジルは日
本からの距離が遠く、部品などの輸送がうまくいかないので進出で
きていないようである。
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(nikkeibp)
急速な価格下落への対策として、船井電機は約70億円を投じて、ポ
ーランドに液晶テレビ工場を建設し、今年6月をメドに稼働させる予
定だ。急拡大する欧州市場の近くで液晶テレビを生産することで、
リードタイムと在庫を削減することが狙いだ。 

シベリア鉄道の貨物列車

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